医療用電子機器は高度な電子機器であり、ライフサイクルが長くメーカーによる使用者への講習も求められる。様々な法規則のハードルが存在
厚生労働省の「薬事協業生産動態統計調査」によると、医療用電子機器は主に4つに分類される。
まず画像診断システムは、CTやMRIなどのX線機器や超音波診断装置が含まれる。画像診断用X線関連装置及び用具は、画像診断システムに付随して使用される関連装置やフィルムなどの用具が含まれる。生体現象計測・監視システムは内視鏡を含む生体現象モニター類である。最後に医用検体検査機器は臨床検査機器と同様であり、主に患者から検出された検体を検査する機器である。
医療用電子機器の商品としての特徴は、医療機器・器具の中ではもっとも高価な商品群であり、ライフサイクルが長い点である。メスやピンセットなどの医療器具は基本的に使い捨てとなっており、これらは安定供給が求められるのに対し、電子機器は保守・メンテナンスをおこないながら長期間使用される。そのため普及率が高まった先進国での需要は鈍化しており、一方で新興国需要が旺盛な商品である。また安全性の基準を満たすだけでなく、医師や看護師が利用の段階で正しく操作することが重要であり、メーカーは医療機関向けに操作方法の説明やトレーニングなどを請け負うことが一般的である。
また医療機器の大きな特徴として、製造プロセスで申請が必要な点が挙げられる。医療機器は薬事法(現:薬機法)で不具合が生じた際のリスクの程度に応じて三種類に分類されている。リスクが小さい方から一般医療機器、管理医療機器、高度管理医療機器と呼ばれ、医療用電子機器のほとんどが中間の管理医療機器に属している。リスクが大きいとされる管理医療機器および高度管理医療機器は、製造を手がけるにあたって独立行政法人医薬品医療機器総合機構への申請を義務付けられており、しばしば参入の高いハードルとなる。また、製造業者は「医療機器の製造・品質管理の基準(QMS)」に即して製造に関係するすべての工程、部門の品質をマネジメントする必要がある他、医療機器製造販売業の許可を受けるため、薬機法に定められたGQP(Good Quality Practice)とGVP(Good Vigilance Practice)の基準に適合していることが必要である。