2024/10/21

維持血液透析患者における総除水量予測する人工知能(AI)の臨床性能試験開始のお知らせ

レナサイエンス 

2024 年10月21日
株式会社レナサイエンス

維持血液透析患者における総除水量予測する人工知能(AI)の 臨床性能試験開始のお知らせ

当社は、『維持血液透析を支援する人工知能(AI)を活用したプログラム医療機器』の臨床性能試験1)を開始しますのでお知らせします。本試験は、薬事承認のための検証的臨床試験であり、聖路加国際病院など国内8医療機関で実施します(臨床性能試験調整医師は東北大学大学院医学系研究科腎・膠原病・内分泌内科学分野 田中哲洋教授)。なお、本プロジェクトは東北大学を代表機関として、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による令和5年度「医療機器開発推進研究事業」に採択されております(研究代表者は東北大学大学院医学系研究科分子病態治療学分野 宮田敏男教授)。

国内約35万人の末期腎不全患者が、廃絶した腎臓の代わりに除水と老廃物の除去のための血液透析を週 3 回実施しています。血液透析治療において除水管理は大変重要で、除水不足は心肺機能に障害を与え、過度な除水は透析中の低血圧を生じ、気分不良、意識消失といった有害事象をもたらします。透析病院では多くの患者さんに対して、1名の医師、数名の看護師や臨床工学技士の少ないスタッフで治療を行っており、有害事象が発生するとスタッフの負担は大きくなります。本プログラム医療機器は、透析中にリアルタイムで患者の透析中血圧低下を予測し適切かつ安全な除水量を決定いたします。少ない人的資源で透析診療に携わる医療従事者の負担を軽減でき、安全・安心な透析治療の実施が可能となり、透析患者のQOLや予後の改善も寄与することが期待されます。

人工知能(AI)を活用した本プログラム医療機器は、東北大学、日本電気株式会社(NEC)及びNECソリューションイノベータ株式会社(NES)との共同で開発したもので、透析専門医の設定する目標除水量を模倣学習し、非専門医など経験の少ない医師に対して専門医と同等の精度で目標除水量を提示します。

本プログラム医療機器を医療現場で使用できるようにするためには、厚生労働省から薬事承認を得ることが必要で、本臨床性能試験により臨床現場で期待した性能を発揮するかを検証します。本プログラム医療機器を臨床現場で活用するため、2024年3月にニプロ株式会社と事業化に向けた共同開発契約を締結しております。

なお、本件による業績への影響は現時点では特にありません。

1)臨床性能試験

開発中のプログラム医療機器(SaMD:Software as a medical device)を医療現場で使用できるようにするためには、実際にヒトの臨床データを用いて、臨床現場でそのプログラム医療機器が期待した性能を発揮するかを確かめる必要があります。

臨床性能試験は、その検証のために実施する臨床研究です。臨床性能試験で確認できた性能に基づき、厚生労働省へプログラム医療機器として製造・販売するための申請(薬事申請)を行います。医薬品における検証試験(第三相試験)と同様な性格を有する臨床研究です。

以 上

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