第63回新開発食品調査部会・第54回新開発食品評価第一調査会合同会議の議事録掲載【3月3日開催】
内閣府第63回新開発食品調査部会・第54回新開発食品評価第一調査会合同会議 議事録
日時
2023年3月3日(金)16:00~18:20
場所
消費者委員会会議室(東京都千代田区霞が関3-1-1)・テレビ会議
出席者
- 【委員】
- 受田部会長、木村部会長代理、石見委員、北嶋委員、木戸委員、多賀委員、竹内委員、田中委員、辻委員、武士俣委員、前田委員、松藤委員、吉池委員、吉田委員、稲野委員、上原委員、佐藤恭子委員、佐藤淳子委員、八村委員、山内委員
- 【説明者】
- 消費者庁 蟹江食品表示企画課保健表示室長、食品表示企画課
- 【事務局】
- 小林事務局長、岡本審議官、友行参事官、新開発食品担当
議事次第
- 開会
- 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)の個別申請の審議にあたっての考え方について
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:105KB)
- 【資料1】 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)制度の概要・申請における留意事項(PDF形式:528KB)
- 【資料2】 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)の各要件に係る参考情報(PDF形式:150KB)
- 【資料3】 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)において考えられ得る表示例(PDF形式:129KB)
その他
本調査会の議事については、新開発食品調査部会設置・運営規程第6条第2項に基づき、個別品目の審査内容が許可申請を行っている事業者の権利または利益を侵害するおそれがあるため、非公開とします。
このページの先頭へ
≪1.開会≫
○友行参事官 定刻となりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会第63回新開発食品調査部会」及び「第54回新開発食品評価第一調査会」の合同会議を開催いたします。
朝倉委員、監物委員、山岡委員が御欠席との御連絡をいただいております。
本日は、受田部会長、木村部会長代理、石見委員、北嶋委員、辻委員、武士俣委員、吉田委員、稲野委員、佐藤恭子委員、佐藤淳子委員、山内委員が会議室にて御出席、その他の委員の皆様はテレビ会議システムにて御出席いただいております。
また、消費者庁から蟹江食品表示企画課保健表示室長、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所から食品保健機能研究部食品安全・機能研究室の東泉室長と食品分析・表示研究室の竹林室長に御出席いただいております。
それでは、議事に入ります前に、テレビ会議による進め方と配付資料について確認させていただきます。
まず、本日はテレビ会議システムを活用して進行いたしております。テレビ会議にて御参加の皆様には、ハウリング防止のため、発言者以外の方はマイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。
御発言の際は、あらかじめチャットでお知らせいただきますようお願いします。受田部会長にチャットを御確認いただき、発言者を指名していただきます。指名された方はマイクのミュートを解除して、お名前をおっしゃっていただき、御発言をお願い申し上げます。
御発言の際、配付資料を参照する場合は、該当のページも併せてお知らせいただきますようお願いします。
チャットが使いづらいなどの場合は、マイクのミュートを解除の上、適宜、呼び掛けていただければと思います。
また、御発言の際は、カメラ付きの方は可能な限りビデオ通話をオンにしていただければと思います。御発言が終わりましたら、ビデオ通話を停止し、マイクをミュートにお戻しください。
音声が聞き取りづらいなどの場合にも、チャット機能でお知らせいただければと思います。
一般傍聴者の方にはオンラインにて傍聴いただき、報道関係者のみ会議室で傍聴いただいております。後日、消費者委員会のホームページに議事録を掲載いたしますが、議事録が掲載されるまでの間、本日の様子を3月6日月曜日にホームページにて動画配信をいたします。
次に、本日お配りしている資料でございます。議事次第に記載の資料1から資料3、参考資料1及び参考資料2となっております。もし不足等がございましたら、審議の途中でも事務局にお申しつけください。
それでは、受田部会長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。
○受田部会長 皆様、本日はお集まりをいただきましてどうもありがとうございます。年度末の大変お忙しい時期にお時間を頂きましたことを心より御礼を申し上げます。
≪2. 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)の個別申請の審議にあたっての考え方について≫
○受田部会長 それでは、本日の議題に入ってまいりたいと思います。議題は、「特定保健用食品(疾病リスク低減表示)の個別申請の審議にあたっての考え方について」ということでございます。
初めに、本日の会議開催の経緯を簡単に御説明したいと思います。御存じのとおり、特定保健用食品制度は1991年に創設され、その後、2005年に疾病リスク低減表示の類型ができました。疾病リスク低減表示での申請につきましては、カルシウムと骨粗鬆症、葉酸と神経管閉鎖障害について基準が設けられており、この基準に沿って申請されたカルシウムの品目は複数あります。当部会において、また調査会で審議した実績があるところでございます。
これ以外の関与成分と疾病であっても、特保の表示許可等の詳細を定めた消費者庁の通知に基づき、個別に申請することは可能ながら、これまで一度も申請されたことがありませんでした。今回、初めて疾病リスク低減表示での個別申請がございまして、当委員会に諮問が参ったところでございます。
初めて審議するケースとなりますので、通常の個別品目の審議プロセスに入る前に、委員の皆様に制度の概要や申請の際の要件について再度御確認をいただき、基本的な考え方を共有しておくことが必要ではないかと考えまして、今回、部会及び調査会合同において会議を開催することといたしました。
なお、今回の会議後には、通常どおり調査会、部会において、各申請品目について御審議いただくことになりますけれども、初めての個別申請であり、申請者に対して調査会や部会の見解を丁寧にお伝えする必要があると考えております。委員の皆様におかれましては、あらかじめこの点を念頭に置いていただきまして、本日の会議、また、その後の調査会、部会において御審議を賜りたいと存じます。
さて、本日の進め方でございますが、最初に消費者庁及び事務局から配付資料について御説明をいただき、その後、意見交換をしてまいりたいと思います。
なお、今回諮問があった品目は、参考資料1にございます3品目ですが、今回の会議は公開で行いますので、資料に記載されている以上の各品目の詳細についての説明、御質問は控える形で進めさせていただければと思いますので、その旨、御承知置きいただければ幸いでございます。
それでは、まず消費者庁から、疾病リスク低減表示制度の概要及び海外制度について御説明をいただきます。日本でこの制度が創設されてから20年弱が経過しておりますけれども、この間に海外では検討が更になされておりまして、より具体的な考え方が示されていることなどから、海外での制度や運用も通知の各要件についての捉え方を考えるに当たって、参考にすることができるのではないかと考えているところでございます。
それでは、15分程度で御説明をお願いいたします。
○消費者庁食品表示企画課 それでは、消費者庁から御説明させていただきます。委員の皆様、お手元に資料1と参考資料2を御用意ください。
まず、資料1に基づいて御説明させていただきます。こちらは、特保の制度の概要、申請における留意事項についての説明となります。
2ページを御覧ください。まず、特定保健用食品の区分でございますけれども、こちらの枠で表示しております五つの区分が現在ございます。そのうち、疾病リスク低減表示につきましては、関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合、疾病リスク低減表示を認める特定保健用食品として定義がされております。
3ページ目を御覧ください。疾病リスク低減表示について御説明させていただきます。現在、カルシウムと葉酸については、こちらの表にお示ししております基準が定められております。それぞれの成分ごとに保健の用途の表示、摂取をする上での注意事項、一日摂取目安量に含まれる関与成分の量の下限値、上限値が定められております。保健の用途の表示と摂取をする上での注意事項につきましては、こちらの基準に定められているとおり、一字一句変えずに表示をしていただくというものになっております。そして、下の括弧で記載をしているところですけれども、基準が定められていない疾病リスク低減表示であっても、個別の製品ごとに許可申請が可能となっておりますので、これに基づいて今回3品目の申請がなされたということでございます。
なお、う蝕(しょく)に係るリスク低減表示につきましては、令和4年8月に通知改正を行いまして、許可申請に係る考え方を通知にお示ししております。う蝕(しょく)についても、個別申請にはなりますけれども、その考え方に従い申請を行うこととなっております。
4ページを御覧ください。疾病リスク低減表示の創設経緯についてでございます。平成16年、当時は消費者庁ではなく厚生労働省が所管しておりましたけれども、厚生労働省で「「健康食品」に係る今後の制度のあり方について(提言)」が取りまとめられました。こちらは、特保だけではなくて、健康食品全般について制度の在り方を検討するという検討会が開催されまして、その中で取りまとめられたものでございます。特定保健用食品制度に関しましては、疾病リスク低減表示の容認等が提言されたということでございます。
提言内容につきましては、疾病リスク低減表示についてはアメリカで既に認められているほか、コーデックス、EUにおいても認められる方向にあることから、表示の選択肢を広げ、消費者に対して明確な情報を提供する観点から、我が国においても認めるべき。認めるに当たっては、疾病には多くの危険因子があることなどの表示や過剰摂取に十分配慮した表示をつけること。認める表示内容は「カルシウムと骨粗鬆症」、「葉酸と神経管閉鎖障害」等、科学的根拠が医学的・栄養学的に広く認められ確立されているものとするべきという内容になっております。
その後、平成16年10月には、「新特定保健用食品制度に関する基準等策定のための行政的研究」の中間取りまとめが公表されまして、その中で先ほどの提言を踏まえた疾病リスク低減表示等の基準等策定のための考え方が示されたものでございます。
示された内容としましては、科学的根拠が確立されているものとして、「カルシウムと骨粗鬆症」、「葉酸と胎児の神経管閉鎖障害」について、関与成分などの考え方を提示したというもの。そして、「科学的根拠が医学的、栄養学的に広く認められ確立しているもの」の内容については、より具体的な考え方をお示ししておりまして、カルシウム、葉酸以外の関与成分について個別の表示許可を求める場合には、その考え方に沿って文献データを収集すること、表示の必要性についてデータを付した説明が必要であることなどを提示しております。
こういった研究で取りまとめた内容を踏まえまして、平成17年2月、「「健康食品」に係る制度の見直しについて」という通知が発出され、制度化されたというものでございます。
先ほど研究の中で示されたという個別申請の際の考え方ですけれども、そちらが現在の通知でお示ししている申請書作成上の留意事項となっております。その内容について、5ページ目以降で御説明させていただきます。
5ページを御覧ください。現在の通知は、「特定保健用食品の表示許可等について」というものになっております。この中で、別添2としまして、申請書作成上の留意事項をお示ししております。第2の2(2)としまして、食品が食生活の改善に寄与し、その摂取により国民の健康の維持増進が図られる理由について添付資料の中で説明せよというような制度になっております。製品開発の経緯を含め、申請食品が食生活の改善に寄与し、その摂取により国民の健康の維持増進が図られる理由を具体的に記載することとしております。こちらは、疾病リスクに限らず、全ての特保において求めているものとなります。
さらに、疾病リスクにつきましては、追加で以下のア、イの2つについて記載が求められております。アとしましては、日本国民の疾病の罹(り)患状況等に照らして、当該疾病リスクの低減について注意喚起する必要性。イとしましては、医療従事者や栄養指導を行う者等に対する一般的な勧告や食生活指針等による普及啓発では足りず、当該疾病リスクの低減について、個々の食品における表示の許可等を通じて国民に直接訴求する必要性。この2点について申請書に記載することが求められております。
6ページ目を御覧ください。別添2第2の3としまして、食品及び特定の保健の目的に資する栄養成分に係る保健の用途及び一日当たりの摂取目安量を医学的及び栄養学的に明らかにした資料、これはつまり有効性に係る科学的根拠資料についての部分ですけれども、これについて疾病リスク低減表示の申請に当たっては、当該表示に係る関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学に確立されたものであることを証するものとして、原則として、当該関与成分の有効性を検証した論文から成るメタアナリシスの論文を添付するとされております。
また、資料の作成に当たりましては以下の点に留意することとしまして、まず、論文を系統的に収集した結果、試験デザイン、研究の質等から見て十分な科学的根拠であると判断される複数の疫学的研究が存在すること。なお、これらの研究には、介入研究だけでなく、観察研究も含まれることとしております。
次に、メタアナリシスの論文が不要である場合としては、既に外国において、当該表示に係る関与成分の疾病リスク低減効果について一致した公衆衛生政策が取られており、その根拠となる疫学的研究が共通していることが示された場合等が想定されること。
最後に、当該表示が諸外国において認められている場合には、当該表示に係る関与成分の疾病リスク低減効果が限定的でなく、医学的・栄養学的に確立されたものであることを示す論文が必要であることとされております。
以上が現在の通知にお示ししております留意事項になります。
続いて、参考資料2を御覧ください。こちらで海外の制度について御紹介させていただきます。
まず、コーデックスガイドラインについての御紹介になります。健康強調表示の使用の国際的ルールにつきましては、2004年に「栄養及び健康強調表示の使用に関するガイドライン」を採択されております。また、このガイドラインを補完する「健康強調表示の科学的実証に関する勧告」というものがコーデックス栄養・特殊用途食品部会において議論され、2009年に採択されております。こちらの内容については、下のボックスでお示ししております。
まず、ガイドラインにつきましては、健康強調表示の定義などが示されております。健康強調表示とは、食品又は食品成分と健康の間に存在する関係について述べ、示唆し、または暗示する全ての表現を指す。健康強調表示には、栄養素機能強調表示、その他の機能強調表示、疾病リスク低減表示の三つが含まれるということになっております。
続きまして、「健康強調表示の科学的実証に関する勧告」につきまして、こちらは科学的な証明をする際の考え方のようなものをお示ししている文書になります。まず、実証プロセスとしましては、食品又は食品成分と健康効果との関係を確認すること、食品、食品成分及び健康効果の適切な測定値を確認すること、入手可能なエビデンスの総合性を評価することなどが示されております。また、実証の基準につきましては、十分に設計されたヒト介入試験によって提供される根拠に基づくべきであることなどが示されております。
2ページ目を御覧ください。コーデックスガイドラインにおける疾病リスク低減表示の定義です。疾病リスク低減表示とは、食生活全体の観点から、食品又はその成分の摂取を、疾病又は健康に関連した状態の発症リスクの低減と関連づけた強調表示として定義されております。リスクの低減とは、疾病又は健康に関連した状態の主要なリスク因子を大きく変化させることを意味しています。疾病には複数のリスク因子があり、その一つを変化させることは、有益な効果を持つこともあれば持たないこともある。そのため、リスク低減強調表示を行う場合には、例えば適切な言語の使用や他のリスク因子への言及によって、消費者がこれらを予防強調表示と解釈しないよう確保しなければならないとされております。例としまして、こういった表示が想定されるのではないかということが示されております。
続きまして、3ページ目を御覧ください。コーデックスガイドラインにおける健康強調表示の科学的実証におきまして必要な試験などについて規定されておりますけれども、その具体的な内容について御紹介させていただきます。
まず、健康強調表示、この中に疾病リスク低減表示も含まれるものでございますけれども、主として、適切に設計されたヒト介入試験によって得られた証拠に基づくべきである。ヒト観察試験は一般にそれ自体としては健康強調表示を実証するには不十分であるが、適切な場合には証拠の完全性に寄与することができるとされております。
下に行っていただきまして、健康強調表示の実証に関連があるとみなされる科学的研究は、食品又は食品成分と健康効果の関係を取り上げたものである。強調表示される健康効果を直接測定することが不可能な場合には、妥当性の確認された関連のバイオマーカーを使用することができる。例えば心血管疾患リスクに対する血漿(しょう)コレステロール濃度等と示されております。
続きまして、4ページ目を御覧ください。米国とEUでは、事業者向けにガイダンス文書が示されております。その中で、科学的根拠資料として準備すべきものと示されているものについて御紹介させていただきます。
まず、米国ですけれども、メタアナリシスにつきましては、まとめられた個別の研究について詳細な情報が欠如していることから、評価に有用であろう追加の研究を特定するため、また、成分と疾病の関連性についての基礎的な情報としてのみ利用するということになっております。
また、観察研究につきましては、上のポツですけれども、ヒト介入試験と観察研究が唯一、人体における食品成分と疾病の関連性を科学的に導き出せるものであるとしている一方で、二つ目のポツで、観察研究は自由生活をする集団について最もよく反映し、食品成分と疾病との関連を確立できる可能性がある。しかし、介入試験とは異なり、観察された関係が食品成分によるものであるか、それとも偶然であるかを判断することはできないというふうにしております。
また、疾病の代替指標の使用につきまして、サロゲートエンドポイントは、疾病リスクを予測するための有効な指標であるため、臨床試験において疾病発症の測定の代わりに使用される。多くの疾病は長い期間をかけて発症するため、治療群と対照群の間の疾病発症率の統計的有意差を得るために十分な期間の試験をすることは不可能である可能性があるとしております。そして、こちらの(1)から(4)に示すように、サロゲートエンドポイントの例としてお示ししているものもあるという状態でございます。
そのときに注意事項として示されているのが下の4行です。心血管疾患等の特定の疾患は複数の発症経路が存在することが考えられる。そのため、単一の発症経路に関連するサロゲートエンドポイントは、他の発症経路に関連する食品成分のサロゲートエンドポイントとしては使用できない可能性があるとなっております。
これについて具体例でお示ししたのが下の図でございます。例えばω3脂肪酸と心血管疾患の関連性を説明したいときに、血中LDLをサロゲートエンドポイントとして利用するのはふさわしくないということです。これは、血中LDLと心血管疾患の関連性については確認されているものの、ω3脂肪酸と血中LDLの関連性については確認されていないということで、同じ関与成分と疾患であっても、どのようなサロゲートエンドポイントを選ぶかが重要になってくるということの例でございます。
続きまして、隣のEUの御紹介になります。メタアナリシスにつきまして、評価パネルは食品の摂取と表示された効果との関連性が確立されているかどうか判断する際に、メタアナリシスの結果に依存しないとしております。
また、観察研究につきましては、介入研究はないが、リスク因子と疾病の発症率について十分な関連を示す観察研究があり、リスク因子の疾病の発症への関与が生物学的に妥当である場合、リスク因子の減少が疾病リスク低減表示における有益な生理的効果とみなされる可能性があるとしております。
次に、疾病の代替指標の使用につきましては、疾病リスク低減表示について、有益な生理的効果は疾病の発症に関わるリスク因子の減少(又は有益な変化)である(疾病の発症数の低減ではない)として、米国と同様に具体のサロゲートエンドポイントの例などをお示ししているという状態でございます。
消費者庁からの説明は以上になります。
○受田部会長 ありがとうございました。
疾病リスク低減表示制度について御説明をいただきましたが、通知に定められている申請に当たっての各要件の記載はそれほど詳細、具体的なものではございません。このため、各要件で求められているレベル感について、委員により異なるイメージを持たれることもあろうかと思います。本日は、通知の各要件をどのように捉えるかについて、一定の認識合わせができればと思っているところでございます。
それでは、次に、今後の個別品目の審議に当たってポイントとなると思われる通知の各要件について、参考情報等を事務局にてまとめていただきましたので、御説明をいただきたいと存じます。
それでは、事務局から20分程度で御説明をお願いいたします。
○消費者委員会事務局 それでは、まず資料2について御説明させていただきます。
今の話にもございましたけれども、消費者庁の通知に定められております申請に当たっての要件記載というものはあまり詳細、具体的でないところもありますので、実際の申請に当たって問題となると思われる項目を資料2の表の一番左の列に、「「特定保健用食品の表示許可等について」別添2の記載」として挙げております。この各項目につきまして、申請書の記載は、実際にはこのような資料になるのではないかと想定されるものを3列目の「想定される申請内容」の欄に示しております。また、その際に参考となると思われる情報を2列目の「参考情報」の欄に、海外の参考情報を表の右側に示しております。
それでは、この表の上から順に説明させていただきます。一番上の行を御覧ください。日本国民の疾病の罹(り)患状況等に照らして、当該疾病リスクの低減について注意喚起する必要性ということについてです。これに関しましては、「患者調査」などの統計を参考にいたしまして、「想定される申請内容」の欄のa)、b)と記載しております内容での申請が想定されるところでございます。
次に、2番目の普及啓発では足りず、当該疾病リスクの低減について国民に直接訴求する必要性ということについてでございます。これにつきましては、「健康日本21」や「日本人の食事摂取基準」などを参考にいたしまして、「想定される申請内容」の欄のa)、b)、c)と記載しております内容での申請が考えられます。これらの項目につきまして、「想定される申請内容」の欄に記載いたしました考え方について、この後の御議論で皆様の御意見を頂きたいと思っております。
3番目は、メタアナリシスについてです。関与成分が申請者独自のものである場合、「想定される申請内容」のb)に書きましたように、メタアナリシスに使用される論文の大半が申請者が作成したものであることが想定されます。有効性の根拠資料として、このようなメタアナリシス資料が適切どうかということについて御意見を頂きたいと思っております。
最後、4番目ですけれども、「想定される申請内容」の欄のa)、b)に示しますように、関与成分と疾病リスクの関係性を直接的に示す根拠資料も当然あるのでしょうけれども、一方で、関与成分とサロゲートマーカーの関係性及びサロゲートマーカーと疾病リスクの関係性を示す根拠資料となる、そういったことも想定されてまいります。このような根拠資料の中で、疫学的研究あるいは観察研究の位置付け、在り方についても御意見を頂きたいと思っております。
以上、4項目につきまして「想定される申請内容」を説明いたしましたが、ここにあります例示が疾病リスク低減特保の根拠資料として適切かどうかということを、右側に示しました海外の制度の運用に当たっての考え方を参考に御意見を頂きたいと思っております。
なお、「想定される申請内容」の欄に書きましたものは、あくまでも例文として示したものでございまして、a)、b)と二つあったときに、この例文の優劣をつけるとか、あるいは二者択一でどちらかを選んでいただきくことを求めるものではございません。
資料2についての説明は以上でございます。
続いて、資料3について御説明いたします。
消費者庁からの説明にありましたとおり、カルシウムと葉酸については申請の基準が設けられておりまして、それにのっとっていれば定型の表示ができることとなっております。他方、個別に申請される場合の表示については、特に決まったものはございません。このため、根拠の強さなどに応じて表示のパターンを変えることもあり得るのではないかと考えられ、考えられ得る表示の例をお示ししております。
なお、海外を見ますと、同じ関与成分と疾病であっても異なる表示のパターンがありまして、海外における表示例も参考としてお示ししています。例えば、骨粗鬆(しょう)症とカルシウムを例に取りますと、一番左の列、日本では基準を満たした申請がされた場合、「この食品はカルシウムを豊富に含みます。日頃の運動と適切な量のカルシウムを含む健康的な食事は、若い女性が健全な骨の健康を維持し、歳をとってからの骨粗鬆(しょう)症になるリスクを低減する可能性があります」と定型の表示ができることになっております。
また、右の列を御覧ください。海外の例でございますけれども、アメリカでは「バランスの取れた食生活の一環として適切な量のカルシウムを生涯を通じて摂取することは、骨粗鬆(しょう)症のリスクを低減する可能性があります」と、割と日本に近い感じの表現となっていますが、他方、EUでは「カルシウムは、閉経後の女性の骨塩損失を減少させるのを助けます。骨塩量の低下は骨粗鬆(しょう)症骨折の危険因子です」と、ちょっと異なる表現ぶりになっております。
これらの表現も参考にいたしまして、左から2列目では、仮にこういった疾病の場合こういった表示例が考えられるのではないかということで二つの表示パターンをお示ししております。例えば心血管疾患を事例としましたら、パターン1では、「この食品は
○
○を豊富に含みます。日頃の運動と適切な量の○○を含む健康的な食事は、心血管疾患になるリスクを低減する可能性があります」、パターン2といたしましては、「日頃の運動と○○を豊富に含む健康的な食事は、脂質異常を改善したり、血栓形成を抑制します。脂質異常や血栓形成は、心血管疾患の発症リスクの一つです」と、二つの表示例をお示ししています。
下の※印に記載しておりますように、関与成分と疾病の関係を直接的に示した場合やサロゲートマーカーを使用して示した場合といった根拠の強さに応じ、表現を整理することがあり得るか、また、サロゲートマーカーを使用して示した場合では、当該マーカーと疾病の関係性の強さも表現の強弱に影響するか、こういった観点も踏まえて二つの表示パターンについて御検討いただければと思います。なお、ここにお示しした疾病名等はあくまで仮のものとお考えください。
事務局からの説明は以上です。
○受田部会長 ありがとうございました。
事務局から通知の各要件を考えるに当たっての参考情報などについて御説明をいただきました。
ここから、皆様の御意見を賜りたいと思っております。ただいまの消費者庁及び事務局の御説明を踏まえまして、御質問や御発言がある方は、テレビ会議で御参加の委員はチャットにて、会議室で御参加の委員の方は挙手にてお知らせいただきますようお願いを申し上げます。
北嶋委員、よろしくお願いいたします。
○北嶋委員 ありがとうございます。
私から口火を切っていいかどうかよく分からない面はあるのですけれども、端的には定義について御質問させていただければと思います。二つほどあります。
一つは、疾病リスク低減表示の資料1の2枚目で御説明いただいた、関与成分が医学的・栄養学的に低減効果があるというのですけれども、どうしても頭の中には医薬品のことを想定してしまうのです。医薬品というのは、御存じのとおり用法用量とセットになっていて、単純に医薬品成分のことだけ考慮しているわけではないわけですね。他方、食品の場合はいろいろな形状、カプセルなど、いろいろなタイプの製品があるわけです。したがって、疾病リスク低減表示の食品の場合、剤形のように、何らかの規格はある程度定めようとしているのか、そしてこの点は、海外の例でどうなのか、お教えいただきたく存じます。それとも、当該成分だけ合致していれば、どんな剤形でも良いということなのかどうか、ということが1点目です。
二つ目は、これは医師の先生方が、厳しい目で御覧になられていると思うのですけれども、サロゲートマーカーというのは重い言葉でして、単なるバイオマーカーではなくて、サロゲートというのは代用という意味なのですが、この言葉からは、一見、軽く見られがちなのかもしれませんが、例えば死をエンドポイントとしているような場合は、倫理的に死を見られないので、その代わりとなるような、直接的因果関係があるような非常に重いマーカーの意味なのです。申請者が勝手に決めていいようなマーカーではないわけです。サロゲートマーカーというのは、したがって、こういう定義ですという、どちらかというと、こちらが能動的に定義を示すべきという感触なのですが、今の御説明ですと、申請者側がそれを示せばいいということになるのでしょうか。サロゲートマーカーの取扱いを本当に申請者に全部お任せしていいのかどうか、以上、2点でございます。
○受田部会長 ありがとうございます。
2点御質問を頂きました。1件目は、疾病リスク低減特保限定というよりも、特保全般に関わる質問だったかに思います。薬と特保との違い、用法用量、こういった点も含めて当然違いがあるのではないか、製剤の形を含めて、違いについて説明をお願いしたいということになります。
ここはまず、消費者庁からお答えいただいてもよろしいですか。
○消費者庁食品表示企画課 米国やEUで含有量とセットで規定されているかどうか、ただいま確認をしておりますので、また後ほど御報告させていただきます。
○受田部会長 ありがとうございます。
2番目は、サロゲートマーカーの取扱いでございます。非常に重い位置付けであるということ。これを申請者側が規定するといいますか、疾病との関係性について証明をしていくという考え方なのか。本来は、サロゲートマーカーの位置付けから見れば、審査する、評価するこちらサイドから一定のサロゲートマーカーの位置付けを規定することが求められていくのではないかというお話でございます。
ここについても消費者庁からお答えいただくことができますでしょうか。
○消費者庁食品表示企画課 サロゲートマーカーに関わらずというお話になってしまうのですけれども、海外の制度と違う点としましては、特にアメリカなどは日本で言うところの告示のようなもので一定の基準を定めまして、その基準に沿っていれば、個別の製品ごとの許可は必要なく疾病リスク低減表示ができるというものになっております。
ですので、特保の個別申請のよさを生かすという意味では、申請者が各自で科学的根拠を用意してというところがよいのではないかと思っております。
○受田部会長 前半はまだペンディングになっておりますので、今の北嶋委員のサロゲートマーカーに関しては、先ほど事務局から御説明をいただいた資料2、横長のA3のものですけれども、左下の部分で、もともと「論文を系統的に収集した結果、試験デザイン、研究の質等から見て十分な科学的根拠であると判断される複数の疫学的研究が存在すること。なお、これらの研究には、介入研究だけでなく、観察研究も含まれること」、この記載にのっとった形で、想定される申請内容として事務局からパターンとして二つ、a)とb)ということで御紹介をいただいて、b)のところに関与成分とサロゲートマーカー、サロゲートマーカーと疾病リスク、それぞれの関係性を根拠資料に構成されたものというのは想定されるのではないかという説明がございまして、それに対して今の御質問につながっていっているということかと思います。
この後、またサロゲートマーカーについても委員の皆様から、それぞれのお考えがおありかと思いますので伺いたいと思いますし、今回は冒頭申し上げたとおり3件の申請が出てきて、この申請に関しては既に消費者庁サイドで受け付けて、その内容について消費者委員会に対して諮問が来ているという状況でございます。
普通であれば、石見座長の下、調査会でこの案件に関して御審議を始めていただくことになり、そこで一定の審議を経て、調査会をパスした内容に関しては、新開発食品調査部会において最終的な表示や効能といったところについて議論をし、その諮問に対してお答えをしていくことになります。
ただ、今回初めてこういった形で、基準を設けられていない案件が食品事業者サイドから申請に至ったということがございますので、基準がないというところから、それぞれの案件に対して、留意事項として設けられている要件に合致するのかどうか、そのレベル感を資料2の「想定される申請内容」に基づいて御意見を頂き、その意見分布も含めて参考にさせていただいた上で調査会での審議を始めていただく。そういう意味で、皆様方のお考えをすり合わせようという前さばきの段階である状態として位置付けられているとお考えいただければ幸いでございます。
前段の部分はいかがでしょうか。お願いします。
○消費者庁食品表示企画課 米国は確認が取れまして、各成分と疾病のつながりに関して告示のようなもので規定をしているのですけれども、その中で量についても規定をしております。用法につきましては、注意点がある場合にのみ記載されているところでございます。
○受田部会長 ありがとうございました。
北嶋委員、二つの御質問に対してお答えを頂きました。
○北嶋委員 速やかに御対応いただきましてありがとうございます。例えてはいけないのでしょうけれども、医薬品で考えると、量だけでなくて、血中の動態に影響を与えるであろう剤形など、いろいろな要件があるわけです。この点、疾病リスク低減というと、与える語感が強いものですから、どうしても気になってしまうのですけれども、今のところは量だけで考えてよい、ということでしょうかね。
○受田部会長 お願いします。
○消費者庁食品表示企画課 表示について、我々が定めているカルシウムの保健の用途の表示のように、一つの表示だけをモデルヘルスクレームとして示すのではなくて、ヘルスクレームで伝えるべき内容など、考え方についても米国などは示しているというところでございます。
○受田部会長 ありがとうございます。
疾病リスク低減特保に関しては、基準があるカルシウムと葉酸で、上市されているカルシウムを関与成分として疾病リスク低減特保というのが複数商品ある。それがもう先行事例であり、製剤の形というのもありますし、そこでの用法といいますか、注意書きも含めて摂取の在り方は当然表示をしているというのが現状でございます。
続きまして、吉田委員、お願いいたします。
○吉田委員 私から1点、質問というか、コメントも含めたことになります。
御説明いただきました参考資料2の4ページの左側、米国の評価の考え方の一番下のところです。これは、先ほど北嶋委員からも御質問があったサロゲートマーカーに関連する記述部分です。私は、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」の統括委員を務めていることと、アメリカ心臓協会の上席評議員を務めていることから、この部分については皆さんと認識を改めて整理しておかないといけないと思ってコメントさせていただきます。
ここにあります血中LDL、恐らく血中LDLコレステロールのことを言っていると思いますが、これと同列かのようにオルタネイティブのところに「他のサロゲートエンドポイント」と書いてありますけれども、血中LDLコレステロールは、私どもはサロゲートマーカーとは考えておりません。これは危険因子です。リスク因子となります。何のリスク因子かというと、動脈硬化性心血管疾患のリスク因子であります。
では、サロゲートマーカー、サロゲートエンドポイントとは何かということですが、リスク因子ではなくて、心血管病、例えば代表的な病気ですと冠動脈疾患、一番分かりやすく言えば心筋梗塞、すなわち心臓を養っている動脈である冠動脈に動脈硬化を来して、最終的な帰結として心筋梗塞を起こしたというものだと思いますが、そういった患者さんにおいて、実はそこまで動脈硬化が心臓の血管に及ばなくても、末梢の例えば頸動脈の動脈硬化が進んでいることが認められることがあります。すなわち心筋梗塞が発症するかなり前の段階で、別の部分での動脈硬化が存在していたり、ほかの動脈硬化の状態が起きてくる。血中LDLコレステロールが高いだけではなくて、そういった病態が事前にある。そういったものを一般的にサロゲートエンドポイントと呼んでいます。
すなわち、言い方を変えれば、頸動脈エコーをやって頸動脈硬化がある人とない人では、ある人のほうが圧倒的に心筋梗塞のリスクが高いことが分かっています。だからこそサロゲートエンドポイントとなるわけですが、血中LDLコレステロールが高いだけではリスク因子の一つにすぎません。しかしながら、確かに第一義的な非常に重要なリスク因子・危険因子であることは間違いありません。リスク低減という言葉が他にも出てくるので、危険因子と言ったほうが紛らわしくなくいいですね。
しかしながら、私ども動脈硬化学会ももちろんのこと、アメリカのフラミンガムも同じこと、欧州のガイドラインでも同様に、LDLコレステロールだけでリスク因子としてそのリスクを評価するわけではございません。それぞれ各国において、ほぼニアリーイコールですが、少し違うところもありながらのリスクスコアが設定されています。そこには血中LDLコレステロール以外の幾つかの因子が組み込まれています。総合的に判断されてリスクスコアが高いということになるわけです。すなわち、言い方を変えれば、血中LDLコレステロールの高低だけでサロゲートエンドポイントとは言えないということになります。
ですので、4ページの一番下のところの図は、何となく説明しているような図でありますが、実は不適切な記載にもなっているということを御理解いただきたいと思います。これを同列に扱ってしまうと、北嶋委員からの御懸念につながるものでありますので、このまま解釈されてこの後の議論が進むと誤った結論を導きかねないので、今の段階で早いうちに御指摘させていただきました。誠に申し訳ありません。
○受田部会長 ありがとうございます。
参考資料2の4ページの模式図があります。今の吉田委員の御説明を伺って、私の理解でいくと、このスキームだと、あたかも血中LDLと心血管疾患の間にはサロゲートエンドポイントでこの相関が認められているやに見えるけれども、そうではないということで理解をいたしました。それでよろしいでしょうか。
○吉田委員 そのとおりでございます。
○受田部会長 ここの模式図においては、ω3脂肪酸と血中LDLの関係は「×」がついておりますので、相関が取れていないというところが強調されておりましたけれども、その右側の部分についてもということで触れていただきました。ありがとうございます。
こういった点で、サロゲートマーカーのそれぞれの疾病リスク低減特保において、どういうものがその疾病リスクを低減するということで、こういった成分と関係付けられるのかという点については、それぞれの案件に対して極めて重要な内容だということで、今のコメントに関してはしっかりと受け止めなければいけないと思います。ありがとうございました。
更に御意見を頂きたいと思います。徐々に資料2あるいは資料3、それぞれの留意事項等について、要件として挙がっている内容で申請内容をどういうふうに認めていくのか、あるいはどれぐらいのレベルを求めていくのかという具体的な話へと進んでいくのかもしれません。資料2あるいは資料3の「想定される申請内容」等々、関連付けて御意見を頂ければ大変ありがたく存じます。よろしくお願いいたします。
いかがでしょうか。
吉池委員から御質問があるということで伺っております。北嶋委員の二つ目の質問に関連した質問ということです。
吉池委員、お待たせいたしました。
○吉池委員 吉池でございます。ありがとうございます。
今、議論されていることなのですが、私は説明を伺って、単純に「サロゲートエンドポイント」に対して「サロゲートマーカー」をどのような定義で、どう使い分けているかという質問をしたかったのですが、吉田先生がおっしゃるように、これはクリニカルエンドポイントの代用として「サロゲートマーカー」があり、臨床的な効果を予測するものであると考えられ、それを「サロゲートマーカー」と言ってしまうとほかの概念も入ってしまうので、なぜ「サロゲートエンドポイント」ではないかということを質問したく思っておりました。
以上です。
○受田部会長 ありがとうございます。
ここについては、言葉の定義、また、持っている意味をしっかりと理解をし、それぞれを申請の中身の科学的根拠として認められるかどうかという点について議論をしていかなければいけない極めて重要なところかと思います。
サロゲートマーカーについては、資料2の「想定される申請内容」の一番下のところを御覧いただきますと、事務局のa)、b)の下のところに※印がありまして、「サロゲートマーカーについて、例えば「健康日本21」において脳血管疾患及び虚血性心疾患の発症の危険因子とされている高血圧及び脂質異常症等、公的な文章や医学系のガイドラインで危険因子や診断指標として示されているものが申請に利用されることが想定される」と書いてあります。
この点については、吉田委員、いかがでしょうか。
○吉田委員 そこの部分が非常に大事なところだと私は認識しています。ここで議論する一つの指標項目としてサロゲートマーカーあるいはサロゲートエンドポイント、「エンドポイント」を使うと非常に重い問題があるのですけれども、いずれにしてもそれをどういう言葉の定義にするかを定めないといけないと思っています。
一般的に、私たち臨床研究家がサロゲートエンドポイントと言う場合には、高LDLコレステロール血症は入らないので、例えば先ほど申しました頸動脈硬化といったことが入ってくるのですが、すなわちそこで議論がずれている。
ずれているので、ここで議論するサロゲートという項目、サロゲートマーカーに危険因子、動脈硬化の危険因子であれば、例えば高LDLコレステロール血症、LDLコレステロールが高いというのを含めるとするのであれば、それを含めたということで今後の議論をすることになりますから、そこを整理しておかないといけないと思います。
一般的にサロゲートエンドポイントという言葉を、例えばこれが公開されて、心臓血管の専門医がこれを見た場合に、おかしいではないかと絶対に質問が参ります。したがって、その前に、ここで言うところのサロゲートというものをどのような位置付けにするかということも定めておく必要があるのではないか。恐らく、吉池委員も北嶋委員も私も同様の考えの下、発言をしていると思います。
○受田部会長 補足をしていただきまして、ありがとうございます。
今の御発言も含めて、申請内容に関して、関与成分と疾病リスクの関係性を直接的に根拠資料によって証明できていない内容等については、当然このサロゲートマーカーというのが導入されていく可能性があると思います。そういう案件に関しては、先ほどの御議論を踏まえて、サロゲートマーカー自体の妥当性といいますか、科学的あるいは医学的根拠を明確にして、その妥当性に関して御議論いただかなければならないということを今の複数の委員からのコメントから強調しておきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、それ以外の部分も含めて、委員の皆様から、まずはどの点からでも結構ですので、御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
辻委員、お願いいたします。
○辻委員 サロゲートマーカーのどこまで含めるのかという御意見のところですけれども、私は、食品の場合には、個々の疾病の診断に直結するところよりも、もう少し離れたところのバイオマーカーも含めることが必要ではないかと思います。
比較的慢性のこと、長期の時間を相手にするときに、診断直前というか、そんなに直前でなくてもいいのですけれども、先制医療という形でも、もっと超早期といいますか、未病の定義というのも非常に難しいと思うのですけれども、今あるマーカー以外のものも発掘していくというところまで含めて範囲に入るというふうなコンセプトを持っておくことが大事ではないかと感じました。
食品ですと、一度診断されて寛解期という方も入るのだと思うのですけれども、まだ健康です、健常者ですという一般の方が食事として活用していくことを考えると、一般の方が行動変容に結びつけさせるためには、自分で自覚ができるマーカーであって初めて食品を考えるときのサロゲートマーカーとして意味を持ってくるということなので、理想的には健診とかで自分が自覚することができる、見える化できているものが含まれるのが食べる側、消費者にとっては理想的かなと思います。
それがまだ見える化されていない物は、今いろいろ超早期で見ていくというふうな様々な技術や情報が日々蓄積されてきていると思いますので、そうした中からそうしたマーカーを発掘していくこと自体も、それぞれの事業者さんも進められていることだと思いますので、そこを社会として蓄積していくところまで含めてということが未来に向かってというところかなと思います。
ですので、まだ健診に入っていないものはそこに含めていくぐらいの部分と、食の意義ということも考えながら社会的整理をしていくという、ちょっと漠然としてしまっていますけれども、そうしたサロゲートマーカーという概念ができるといいなと感じました。
以上です。
○受田部会長 ありがとうございます。
疾病リスク低減という視点をどういうふうに特保の一つの類型として確立していくかということかと思います。疾患そのものとの距離感というのはなかなか適切な表現ではないかもしれませんけれども、行動変容を起こして健康の維持増進に近づけていく一つの指針としてバイオマーカーというものがある。例えば、血圧とか血糖値といったものを辻委員が想像しておられたのではないかなと思っておりました。
議論としては、一般的な特保において関与成分、例えばバリルチロシンを含む特定の特保が血圧が高めの方に適した食品ということで上市されていて、これは血圧に対して高めの方を正常に持っていくということがあるので、これが恐らく一つのバイオマーカーになるのではないか。
そこを更に疾患と結びつけるところの距離感、あるいは医学的な見地における科学的な検証の確度の問題、この辺りが今後、この疾病リスク低減特保において、申請案件ごとでどういうふうに調査会及び部会で議論していくかというポイントになっていくのかなというふうに今のお話をお聞きしました。
どうぞ。
○辻委員 まとめてくださってありがとうございました。そのとおりの感覚でお話をさせていただいておりました。
疾患というと、個別にきちんとその病態を把握しなければいけない、非常に突き詰めたものになるかと思うのですけれども、一方で、未病段階というのですか、その手前のところでは、はっきりとは診断がつくようなものはない、しかし、弱いところに病態が出るというふうな考え方をしますと、同じ素因を持っていてリスクがあったとしても、どこにどういった疾患名として出てくるかというのは人によって違ってくるかもしれないということなので、その元にあるものを何とかバイオマーカーとして見つけて制御していくことが、食品の活躍する場としては大事なのではないかなと。
例えば、私は臨床免疫学会で役員をさせていただいているのですけれども、そのときに免疫というのは、疫を免れるなので、健康なときにちゃんと働いている、そういう言葉だと思うのですけれども、どうしても対応しようとすると、ここに炎症が出ている、ここに炎症が出ているということで、疾患横断的な研究という形になってくると思うのですけれども、炎症が出る前にどうだったかという、健常なときの免疫のモニタリングというのは、日本だけでなくて、まだどこでも実現していなくて、そこをきちんとモニタリングして、知見、情報を蓄積していくというところが大事というのは、先ほどのずっと手前のところの情報、バイオマーカーをきちんと把握して、情報をためていくというところの重要性と同じことかなと思っております。
そういうこともあって、今年の臨床免疫学会では、健常人の免疫モニタリングの重要性というふうなシンポジウムのセッションも予定しているということで、例えば免疫なのですけれども、ほかの場合でも同じように、ずっと手前のところをいろいろな角度で見ていって、それぞれの着目された角度のところに、その角度で開発をされたものがある。先ほど様々な角度でとおっしゃったのは、まさにそういうところで様々なすばらしい商品に結びつくような。しかし、そのときには、一般の方が自分でも見ようと思えば見えるというふうな、そうした実感できるものをマーカーとして選んでいく。なければ、そのマーカーを増やしていくというのが研究の現場などからも大事なのではないかなと感じております。
以上です。
○受田部会長 ありがとうございます。
非常に重要で、特保の価値そのものを表現していただいたと私も理解しました。バイオマーカーから疾患と直接結びつくサロゲートマーカーに至るプロセス、そこまでずっとより科学的に相関、つながり、関係を結びつけていけば、疾病リスク低減まで行くのかなということかと思います。
吉田委員、お願いします。
○吉田委員 私も、未病学会の理事長をしているので、今の御発言は非常に大事なことだと思いました。
本題に少し戻したいのですけれども、恐らくこの議論が若干回転しているのは、さっきの参考資料2の4ページ目に米国とEUがありますけれども、米国の評価の考え方のシナリオでいくと若干行き詰まるのです。
何を言っているかというと、右のEUのほうを見ていただきますと、例えば観察研究のところなどは非常に説明が分かりやすく書いてあって、そこを引用しますが、「生物学的に妥当である場合」の後です。「リスク因子の減少が疾病リスク低減表示における有益な生理的効果と見なされる可能性がある」、ここの部分です。ここをうまく扱うと、割といろいろなことが表示で考えやすくなってくるのではないかと思いました。
その理由が、資料3の右側から2番目、「考えられる得る表示例」ということで例示をしていただきました「保健の用途の表示」のパターン1とパターン2というのがありますけれども、パターン1はすなわち米国型で、パターン2が恐らくEU、欧州型なのです。
欧州型で表現すると、今議論されている、サロゲートマーカーに入れてもいいかなと、本当はエンドポイントでおかしいだろうというふうな高LDLコレステロール血症をうまく使うことができる。すなわち、あるものを豊富に含んでいるので、そういった健康的な食事は、これは血栓まで書いてありますけれども、血栓は別として脂質異常症を改善したりすることができる。脂質異常症は心血管病の発症のリスクの一つですという言い方でいくと、割と解釈しやすい。
ですが、パターン1でいきますと、高LDLコレステロール血症をサロゲートエンドポイント扱いして取り組まないと、疾患リスク低減表示ということがうまく表せないとなってしまうので、そこが多分議論の的になってしまう。
もし米国、USパターンでいくとするのだったら、疾患リスク低減表示というよりも、疾患リスク因子低減表示みたいなことになってしまうので、そこの取扱いが非常に複雑になってしまう。そのように感じました。
特保の大事さをしっかりと発揮していただくためには、何となく欧州型のほうがいいかなと、改めて例示を見させていただいて、そのように感じました。
○受田部会長 なるほど。大変示唆に富む御意見を頂きました。ありがとうございます。
続いて、石見委員、お願いいたします。
○石見委員 石見でございます。
参考資料2の2ページ目を見ていただくと、「コーデックスガイドラインにおける疾病リスク低減表示の定義」があります。コーデックスでは、3行目から、「リスクの低減とは、疾病又は健康に関連した状態の主要なリスク因子を大きく変化させることを意味している。疾病には複数のリスク因子があり、その一つを変化させることは、有益な効果を持つこともあれば持たないこともある」ということなのですね。あくまでもリスクを低減するかもしれないよという表示なので、病気の予防のための表示ではないのです。
よく勘違いがあるのですけれども、疾病の予防につながるものではなくて、公衆栄養上の施策の一つとして、「リスク低減」という表現を用いて一般の人たちの健康の維持を図ろうという施策の一つなので、必ずしもバイオマーカー、サロゲートマーカーの変化が疾病に結びつかなければいけないという判断ではなく、あくまでも表示の制度の一つであるというところです。お薬とか疾病を予防するという制度ではないので、そこのところを判断の一つとしていくべきと思います。
○受田部会長 ありがとうございます。
疾病リスク低減というところですね。施策と結びつく。
北嶋委員から手が挙がっていますが、先に田中委員から御発言があると伺っております。田中委員、お願いいたします。
○田中委員 田中です。よろしくお願いいたします。
最初に、疾病リスク低減表示を提案したときのカルシウム、葉酸のときの状況を説明して意見を述べたいと思います。
カルシウム、葉酸のときは、メタアナリシスなどを行って、その中に当然介入研究や観察研究もあって、更にその研究の質をきちんと見て、リスク低減表示にしたということです。もちろんその前には、国民において重要な疾病であるということを前提としたという内容で検討したという経緯があります。
この場合は、この間も議論したのですけれども、先ほど石見先生がおっしゃったとおりで、もともと因子の一つなので、かもしれないということであったのですけれども、昨年部会で議題となった疾病リスク低減表示に係る通知改正のお話の中で、可能性がありますというふうに変わったところです。
今回、サロゲートマーカーという部分で大きな変化があるわけですが、それらを明示した場合については、吉田先生がおっしゃったとおりに、2段階式のEU型の言い方が明確に示しているのかなと思われます。要するに、発症リスクの一つですという考え方というふうに思われるのかなと思います。
いずれも介入研究があることがあるので、さらに、食品に対しての表示について疾病リスクは具体的な疾病名称があったほうが誤解しづらいだろうとも思っております。
こういうふうなことがあると、例えばメタアナリシスがある場合とマーカーで言った場合との言い方を変えるという考え方もあるのではないかと思いました。
以上です。
○受田部会長 ありがとうございます。
今、一連の御意見を頂きながら、資料2の一番下にありますサロゲートマーカーに関しての話、そして、その根拠になりますメタアナリシスの必要性にも話が波及をしておりますし、また、それらの根拠資料を基に資料3にある「考えられ得る表示例」というのも、それらとどういうふうに結びつけていけばいいのか。特に、EU型の2段階表現の仕方について具体例を挙げていただいております。
今日、議論をしてまいりたいポイントが、特に資料2、資料3全体へ及んでおりますので、ぜひサロゲートマーカーから更に資料2の上の部分も含めて、自由に御意見を頂ければと思います。
北嶋委員、よろしくお願いします。
○北嶋委員 ありがとうございます。
辻委員の意見も分かりますし、皆さんの意見も分かるので、その前提なのですが、またここでは結論を出す場所ではなくて、問題点や懸念点をできるだけ挙げることが目的だと思っているので、その観点から申し上げます。
サロゲートマーカーは非常に重い概念でして、加えて自ずとこれに関係する診断というのも非常に重いものでして、診断して、そこで終わりというものでは当然なく、その後、それに基づく薬の選択や治療など、シークエンシャルに、まさに命がけで挑む行為ですので、サロゲートマーカーをここに持ち込んでくること自体が、繰り返しで恐縮ですが、変だなということなのです。この点、コーデックスの考え方の方は分かりまして、私の理解としては、参考資料2の3ページ目の下の「妥当性の確認された関連のバイオマーカーを使用することができる」です。この妥当性の確認された、という表現は日本語にすると意味がぼやけるのですが、英語でrelevant validated、これがまた重い言葉でして、私がこれを研究などで実践せよ、と言われたら、気が遠くなるくらい重いこととして受け止めるのです。ここまで厳しくないものとして、もっと一般的なバイオマーカーがあります。定義次第なのですが、もっとも甘い定義のレベルのバイオマーカーであれば、例えば当方の研究でも100種類ぐらい挙げようと思えば上げられるのです。それくらい、バイオマーカーとは、意味合いが非常に広いものと理解しております。
例えば肝障害の際に、相関関係にてバイオマーカーの可能性があるという場合もあれば、これを相関から因果関係にまで落とし込み、この値が上がっていれば、確実にこの障害と結びついているバイオマーカーであるというふうに、バイオマーカーの定義というのは各段階がある、という理解です。
それで最初に申し上げたのは、もしこうした一般的なレベルのバイオマーカーまで引き下がってしまうと、申請者のほうで独自に新規に研究をして、その成果を発表した論文を引用して、このバイオマーカーがこのときに上がっているから、これが下がった、あるいは上がったということで申請してくる、ことが想定されるわけです。それに対して我々はどう判断するか、という問題が出てくるのです。逆にもっと前に出て、より厳しい定義のものにすると、それはそれで申請上、難しくなり問題だということになります。コーデックスのことで、石見先生がおっしゃることはまさにそうで、ここで記されている考え方に則り、疾病リスク低減表示に叶ったバイオマーカーについては、ある程度、網でくくって、このバイオマーカーだったら適切であるという、当方側からの例示はあって然るべきなのではないか、と思ったのです。
○受田部会長 ありがとうございました。
今のようなサロゲートマーカーやバイオマーカーや、それぞれ言葉の定義も含めて大きな違いがあるということ。これらを基に、最終的に消費者に対してどう訴求していくか。先ほど石見委員から施策と結びついていくということがありましたけれども、健康の保持というところで行動変容に結びついてくような、そういう特保、あるいは疾病リスク低減特保であるべきということかと思います。
今回、三つの案件が具体的に企業から申請されてきたおりますので、当然それらについて個別に御審議をいただくことになりますが、先ほど田中委員から、カルシウム、葉酸に関する基準の決まっている疾病リスク低減特保に関して、どういう経緯でこれらが誕生したのかということについて御説明、御紹介もいただきました。
こういった経緯も踏まえながら審議の案件について議論を重ね、これらがまた個別に許可されるようなことが積み上がっていけば、それぞれに対する基準もおのずと構築できるのではないかなとも思うところです。
サロゲートマーカーの点が今中心になっておりますけれども、もし可能でしたら、資料2の「想定される申請内容」でまだ御意見が出ていない上のほうの内容等についても、御意見をいただいておきたいという思いでございます。
例えば、サロゲートマーカーの上に関しては、先ほどから話題になっているメタアナリシスが求められるということなのですけれども、a)とb)がございますように、申請者以外の第三者が作成した論文を主に使用して実施されたメタアナリシスが一つの理想像であると思いますけれども、案件によっては申請者独自の関与成分というものをもし申請したとすれば、当然、第三者が作成した論文を使用したメタアナリシスは世の中にはまだ存在していない。そういう場合について、どういうふうに考えたらいいのかというのがその上のカラムのポイントというふうにお示ししております。
さらに、その上は施策とも絡んでいくことになると思いますけれども、あえてもう説明いたしませんけれども、そういった点についても御意見を頂ければ大変ありがたく存じます。
山内委員、お願いいたします。
○山内委員 メタアナリシスの扱いについてですけれども、これは申請者以外か、あるいは申請者がという二つのパターンが示されていて、それぞれの適正度合いといいますか、申請者自身が作ったメタアナリシスが議論になる可能性が非常にあると、今おっしゃったとおりだと思うのです。
メタアナリシスを論文化する際には、幾つかのやり方があるそうなのですけれども、前もって登録してからやらないと論文にならないとお聞きしております。そういったいわゆる論文を投稿して受理されるものが論文でありますので、それに対して、例えばそれが不適切だとか、これは適切だということを調査会で判断していいものなのかどうか、まずは調査会で議論することになると思うのですけれども、この辺の扱いについて、これは別に疾病リスクだけでなくて、ほかの特保のときにもいつもこの話が出てくるのですけれども、論文になってさえいればというのは非常に失礼ですが、論文化されているものを根拠資料として提出することに対して調査会あるいは部会でよしあしを付けていいものなのかどうかというものをまず教えていただきたいといいますか、議論をしたいと思います。
○受田部会長 ありがとうございます。
最後に山内委員がいみじくもおっしゃったように、特保全般に関して、個別許可を求める際には当然ヒト試験に関しての論文化を求められている。そのクオリティーといった点についても調査会を含めて議論があるということなのですけれども、石見委員、今のようなメタアナリシスの論文に関する質的な問題等については、これまで調査会では大分議論があったということですけれども、いかがでしょうか。
○石見委員 特にメタアナリシスについて、調査会でそれだけについて議論したことはないのですけれども、今の山内委員の御意見はよく出る意見でございます。ただ、今回、この疾病リスク低減表示につきまして、資料2の一番左のカラムの一番上と2番目、医療従事者や栄養指導を行う者に対する一般的な勧告や食生活指針等による普及啓発では足りず、疾病リスク低減について、個々の食品における表示の許可等を通じて国民に直接訴求する必要があるかどうかというところも非常に重要ですし、普通の特保でしたら、医療従事者の方や栄養指導を行う方がこの特保を取ってくださいとは言わないわけです。だから、そこはこの概念に沿って判断するしかないなと思うのですけれども、メタアナリシスのところは、どのレベルで判断したらいいのか、エビデンスレベルがどのぐらいのもので判断したらいいのかというのは非常に難しいなと思っています。
例えばFDAがヘルスクレームを評価しているわけですけれども、FDAの場合メタアナリシスは参考の一つと言っているのですけれども、リスク低減表示をする、FDAではヘルスクレームと言っていますけれども、試験や研究者の違いを超えて一貫性を示す科学的根拠の十分なまとまりが存在することが必要ということなので、ヘルスクレーム、リスク低減表示は重いものでありますので、メタアナリシスをどう扱うか難しいところです。ただ、メタアナリシスをやればいいというものではなくて、単一の事業者の方が出されたメタアナリシスの結果については、FDAの概念に沿いますと、研究者全ての違いを超えて一貫した科学的根拠の十分なまとまりというところには達しないのかなという考えを持っております。
もちろんメタアナリシスは重要なのですけれども、その一つ一つの論文の内容も吟味する、その質をどう評価するかというところが、もちろん効果はないよと言っているのではなくて、効果があるのだけれども、その効果のエビデンスのレベルを疾病リスク低減表示に持っていくのに十分であるかの判断をしなければいけないというのがすごく難しいなと考えています。
○受田部会長 これは、具体的な申請内容、どういう疾病リスク低減なのか、また、関与成分がどういうもので、どういったメタアナリシスを根拠資料として提出しておられるか、個別の内容を精査していかなければいけないというところが結論かと思います。
実際に論文になっているというところから、ピアレビューを経て、一定の科学的要件、またメタアナリシスとして抽出されている論文自体の要件というのも決まっているはずですので、それを調査会を中心に先ほどの一貫性やまとまりや研究者の枠を超えて特定の研究者のみならずというようなところをどれだけ申請案件に関して重きを置いていくのかということに尽きるかと思いました。
ただ、繰り返しになりますけれども、十分な蓄積のある関与成分であり、メタアナリシスを多様な研究者のグループで実際に論文化していけるものもあれば、まだれい明期にあるような関与成分に関しては、当然ここの敷居は非常に高くて、一定の研究の広がりが求められることになると、その関与成分が疾病リスク低減特保として上市されるまでには相当な月日が掛かる。このことが、例えばその特保が上市されることによって便益というか、メリットを享受できる消費者の方がいらっしゃるとすると、機会の損失にもつながるのかもしれません。
ですから、疾病リスク低減特保の施策的な活用方法、あるいは国民の健康の維持、また、医療費の抑制というようなところまで視野に入れつつ、どこまで認めていけるのかというところはかなり議論が必要になっていくのではないかと思います。
山内委員、どうぞ。
○山内委員 本日は細かい個別の議論をしないということでありますが、参考資料を見てみますと、恐らく1番目と2番目はメタアナリシスはやりやすいような気がします。3番目に関しましては、私が不勉強だと思うのですけれども、出すとすれば、この会社あるいは一部の研究者のメタアナリシスにならざるを得ないような気がいたします。
そういったときに、実際に審査するに当たって、論文の質とかそういったことを考慮する、しないというのは非常に大きな点になるかと思いますので、コンセンサスといいますか、共通理解が必要ではないかという気がしました。
○受田部会長 ありがとうございます。
まさにその点を念頭に置きつつ、議論に関してはお願いをしているところでございます。ありがとうございます。
佐藤淳子委員、お願いいたします。
○佐藤(淳)委員 よろしくお願いいたします。
いろいろお話を伺いまして私自身も大変勉強になっております。私はふだん糖尿病の患者さんを大学病院で拝見しております。「疾病リスク低減表示」という言葉が特に患者さん方に非常に魅力的に映るなと感じております。
参考資料1で食品形態を挙げていただいていますが、フィッシュソーセージを毎日食べていたら疾病リスクが本当に低減するのかについては、いろいろ問題もあるということを私自身も感じております。最初からお話も出ております「サロゲートマーカー」という言葉は、話が戻って恐縮ですが、専門家の方々でもちょっとわかりにくいところがあるわけですから、患者さん方を対象としますと、そのような言葉は避けていったほうがいいのかなと思います。石見先生がおっしゃっておられたようなことは非常に納得感がありますので、「リスク因子」のような一般の方々簡単に分かるような言葉が重要なのかなと考えております。
メタアナリシスに関しましては、私どもも大学でいろいろ研究も進めておりますと、先生方がおっしゃるようにいろいろなレベルの論文があることを感じております。今日はEUのほうが良さそうということで話がずっと進んでおりますが、EUでもメタアナリシスは一次データをみんなでレビューしましょうと書いてございますので、もしメタアナリシスをやる場合には一次データのレビューが必要なのかなと考えております。
今お話のあったイミノシュガーも糖尿病の方にということで、恐らくα-GIのようなお薬と関連するものかとは思いますが、食品ですので当然データが少ないと思います。メタアナリシスが使えない場合には個々の論文を精査してということになるのかなと感じました。
以上になります。
○受田部会長 ありがとうございます。貴重な御意見を頂きました。
疾病リスク低減特保という、持っている魅力、価値は十分に消費者の皆様にとって最大化できるようにしていかないといけない。一方で、だからこそメタアナリシスのクオリティーも含めてエビデンスについてはしっかりと議論をし、慎重な上にも慎重に、そして、それに基づく消費者の皆さんに対するヘルスクレームとしての表現方法もセットで考えていかなければいけないということですね。
○佐藤(淳)委員 余計な追加ですが、前回初めて申請品について審議させていただきましたが、内臓脂肪を低減しないで皮下脂肪を低減するということで話題になったと思います。その後、電車に乗りましたら、既許可品で全脂肪を低減するというふうに書かれておりまして、買う人から見たら、全部脂肪を取ってくれるならすごくいい商品だなと思うだろうなと感じました。言葉のマジックというのはすごいですね。
○受田部会長 大変重要なところかと思います。ありがとうございます。
審査、審議については細心の注意を払いながら、その表現についても徹底した議論を進めているというところから、最後のプロモーションに関しての部分で、委員の中からもいろいろ疑問が呈される部分は私も重々理解しておりますので、今のような御発言についてはしっかりと今後また議論の中で生かしていきたいと思います。ありがとうございます。
今日は4時からこの会議を設定させていただいております。議論は尽きなくて、エンドレスで行くのではないかと思うのですけれども、今後、調査会での議論を進めていただく前さばき的な意見のすり合わせ、また、委員の皆様がどのようなお考えをお持ちであるかということについて、まずは合同の会議でこのように議論していただいているということなので、6時ぐらいをめどにいたしまして会議に関しては終了を目指していこうかなと思っております。残り20分ぐらいで、更に御意見があればと思います。
北嶋委員、木村部会長代理の順番でお願いいたします。
○北嶋委員 佐藤淳子先生のお話を聞いていて、そういえばそうだなと思って、この資料に出てこないところで私の素朴な疑問ですけれども、参考資料1において、当該の医薬品の商品名を言ってはいけないのでしょうけれども、関与成分は、これは食品ではそうでしょうけれども、佐藤先生はよく御存じでしょうが、実は血液中のトリグリセライド(中性脂肪)を抑制する薬の成分であって、効くことがよく知られているものなのです。ですから、医薬品として、ちゃんとこれと同じ成分が売られているわけなのです。
私が冒頭に申しましたように、医薬品の場合は剤形も含め、用法用量がちゃんと決まっていて、ですから例えば、1日何回というのも非常に厳格になっているわけです。この観点からは、うがった見方ですが、開発者サイドからすると、医薬品で使われているような成分が、たまたま食品由来であって、それが食品に含まれていると、疾病リスク低減表示に結びついていきそうな、そういう想定ができます。
そうすると、バイオマーカーのお話どころか、成分自体は、治療に使われているわけですから、リスク低減というか、病態を治療するという意味では、エビデンスはすでに薬理のレベルとしてはあるわけですね。ですけれども、特保は健康な方における摂取を想定し、辻委員がおっしゃるように未病の状態に、あるいは病気にならないような状態に持っていくという意味では、例えば血中の中性脂肪を抑えるような作用があるから、これがよいとしていくとすると、かなり幅広い成分が候補として考え得る。ところがこの観点は、資料2と3からは読み取れないように思えてきました。つまり、医薬品の成分となっているようなものが使われた場合、資料2と3の中では、どのようにしてその点を、読みとる、あるいは読み込んでいくのでしょうか。
○受田部会長 ありがとうございます。
食薬区分的に特保と医薬品成分とのすみ分けがあるということかと思いますけれども、この点は消費者庁から少しコメントしていただいてもよろしいですか。
○消費者庁食品表示企画課 医薬品と同様の成分を特保の関与成分とする場合ですけれども、まず医薬品であるかどうかにつきましては食品形態や表示の文言などを総合的に勘案して判断されるということになります。ですので、個別の製品ごとに御審議をいただくことが適当と考えております。
○受田部会長 ありがとうございます。
さらに、具体的な品目についての調査会における議論での審議事項になっていくかと思いますので、これ以上の踏み込みというところについては今日のところは入らないようにしておきたいと思いますけれども、北嶋委員、よろしいでしょうか。
○北嶋委員 したがいまして、それは我々部会の部員もそうですし、調査会の委員がそれを読み解く前提だと受け取りましたので、責任を感じているところでございます。ありがとうございます。
○受田部会長 ありがとうございます。
続いて、木村部会長代理、お願いいたします。
○木村部会長代理 木村でございます。
消費者にとってみると疾病リスク低減表示は大変魅力的でございまして、効果を期待して摂取することが前提としてあると思います。今回、3品目ということで申請されておりますけれども、今後、様々な成分が申請される可能性があるということで、今回こうやって意識合わせをすることは大変重要だと思っております。
先ほど部会長が述べてくださったとおり、消費者が選択する際に信用をどこに置くかということは重要なことだと思っております。論文の質とか、言葉ですね。ぱっと見て、サロゲートマーカーと言われても一般の方はなかなか分かりにくいですし、私も調べてそういうことなのねと、納得するまでに時間が掛かりますので、そういうところをきちんと消費者、利用する方に分かりやすく伝わるようにしていかなければいけないなと改めて思った次第です。
あと、消費者がもう少し詳しいことを知りたいなと思ったときに、ホームページなどできちんと根拠があると言うことはすごく重要だと思いますので、そこも今後、今までもしておりますけれども、これからもきちんと根拠を詰めた上で許可なりなんなりをしていければなと思っております。
以上です。
○受田部会長 ありがとうございます。
用語に関して、調査会や部会で専門家の皆様に御議論いただいているので、専門用語が飛び交っているという状況かと思います。
ただ、最終的には資料3にあるように「考えられ得る表示例」として、より分かりやすい表現ということで、こういったヘルスクレームを消費者の皆様に向けて表示をしていただくことになりますので、途中のプロセスでは「サロゲートマーカー」や「サロゲートエンドポイント」や「バイオマーカー」といろいろな言葉が出てきますけれども、より消費者の皆様に丁寧に御理解いただくこと。
それと、後半のデータについては、東泉室長もいらっしゃいますけれども、国立健康・栄養研究所等で特保の成分とかはデータベース化しておられるのですよね。
コメントをお願いします。
○国立健康・栄養研究所東泉食品安全・機能研究室長 医薬基盤健康・栄養研究所の東泉でございます。
特保の成分については、弊所のホームページでデータベース化して、皆様に理解いただけるように、分かりやすいように掲載をしているところでございます。
以上です。
○受田部会長 コメント、ありがとうございました。
消費者の皆様に対する情報の御提供、また、消費者の皆様が自主的かつ合理的に選択できるような情報の提供というところは、これまでの特保の長年の実績、歴史の中で積み上げていっているということかと思います。
今後、疾病リスク低減特保が基準を設けている物以外で申請に基づいて個別許可されることが出てまいりましたら、更に疾病リスク低減についての情報公開の在り方について、今の御意見を基にきちんと対応していかなければいけないのかなと感じました。ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
稲野委員、お願いいたします。
○稲野委員 福島県立医大の稲野です。
簡単に言っていきますと、サロゲートマーカーというのが、先ほども出ましたけれども、やはりバリデートされているということの議論をどこで行うかというのはとても大事で、この申請の中でバリデートされているかどうかというのを審議の中に含めてしまうと、もう追いつかないだろうなと思っていますので、バリデートするのは誰ですかといったときに、関連学会の意見を参考にしながら、バリデートされているものについての議論という形のほうが分かりやすいなと考えています。
あとは、これまで疾病リスク低減の表記の申請がなかったということにはそれなりの意味があると思いますので、新規成分でもしこういった疾病リスクの低減表示が追加されていく、葉酸、カルシウム以外でできてくるということであれば、今回、例えばオーケーしたからずっとオーケーだというわけではなくて、さっきのコーデックスでもありましたけれども、5年間とか何かしら期間が決まっていれば、その期間を経た後、再度評価する、もしくは関連学会からの意見も聞きながら、疾病との関係、リスクの低減効果について再度見直す。もしくは、医薬品成分に類似するようなもの、もしくはそれを含むような食品という形の摂取が進むのであれば、再度安全性に関するアセスメントを定期的に行うとか、そういった形で、最初はオーケーを出すのだけれども、ずっとオーケーですよというより、エビデンスをきちんと更新させて、疾病リスク低減効果が維持できているということの確認はこの中でもとても大事な話で、特に関連学会とのコミュニケーションは結構大事だろうなと感じました。
具体的なことを言ってはいけないという話ですが、例えばメタボリックシンドロームの発症といったときに、これって何のことだろうと実は僕もよく分からないのですね。これも議論の中で消化できることかもしれませんけれども、例えば事前にバリデートされていますかという話が先に問われていれば、この話は多分出てこないだろうなという気はしました。
以上です。
○受田部会長 ありがとうございます。
バリデーション、バリデートされているかどうか、誰がしているのか、そのオーソライズをどう前提とし得るか、この後の調査会での議論等でポイントになってくるということで伺いました。
御存じのとおり、今、特保の場合は一度個別許可された商品に関しては、有効な期間等は設定されていません。いろいろな議論がありますけれども、先ほどの稲野委員の御提案のように、例えば疾病リスク低減特保で基準が設けられていない案件については、一定の期間を設けてみて、それについて更に再評価していくということも含めて新しい取組として考えていってはどうかと。今の御提案に関しては、今後の特保の在り方そのものについても問いかける極めて重要な御提案だったのではないかなと思います。
何かきっかけがないと、これまでの個別許可された内容に関していきなり有効な期間を設けることは制度上できないと思いますので、何かこういうようなことを取り入れていくことも一考かなと伺いました。ありがとうございます。
辻委員が手を挙げておられました。
○辻委員 ありがとうございます。
私も少しオーバーラップするところが出てまいりますけれども、一つ目はメタアナリシスのところで、既存のデータのバリデーションは非常に大事なところだと思います。一方で、受田部会長がおっしゃったみたいに、ヘルスケアのところは、れい明期のところに今チャレンジしようとしている。健常者の例えば免疫機能を測るというのは、今までの社会で蓄積がない。そうしたところは多くはこれからというところになりますので、そこをどういうふうにうまく蓄積していくのかというふうなストラテジーも議論できるといいかなと思いました。
そのためには、マーカーの指標というのは関連学会で、先ほどおっしゃったとおり、ある程度アイデアを出していただいて情報交換をしつつ進めていくとか、あと、プロトコールが非常に大事で、メタアナリシスできるようなきちんとしたサンプルの取り方、プロトコールといったところを関連学会あるいは組織のところである程度提示していけるような形を取って、特にれい明期のところではそこをしっかり基盤を作っていくというのが有効かなと思いました。
それから、先ほど北嶋先生が言われた食と薬のところで、薬も食成分、薬草とかから取れてきたものがいっぱいありますけれども、そこは割とシームレスなところがあるということが一つ。それから、健康と病態というところも、一人の体なのでシームレスであるということ。
食薬のところはどこがというのは別として、健常者と病態のシームレスのところは、今それこそどんどん遡って健常の状態、どこが未病かというところが技術的に科学レベルでどんどん遡ってきている状況であると思いますので、そこのボーダーは時代に沿ってどんどん遡っていいのではないか。そうしたところが食と薬のボーダーレスというところにもちょっとずつ下ろされてきて、例えば製薬企業が非常に遡ったところの食に近いようなところを非常に深く研究されるようになるかもしれないですし、そこは日本がとても強い産業にしていけるところではないかなと感じますので、そういうインフラを作っていけたらいいのではないかと感じております。
以上です。
○受田部会長 ありがとうございます。
「ボーダーレス」というキーワードを頂きましたけれども、今、疾病リスク低減特保で御議論いただいていますけれども、特保が誕生してもう32年になろうかと思います。機能性表示が年間1,000商品も届出が出ているような状況になってきていますので、今後の特保の存在意義が保健機能食品全体の中でも問われているのではないかと思います。
メタアナリシスを含めて疾病リスク低減特保が今回の申請によって新しいれい明期を迎え、それによって学会のオーソライズも含めたマーカーの設定や、それによって学術的な研究を推進する上でのプロトコールや、様々なスタンダード化によってその研究の加速が期待されるかもしれません。そういう意味で、今回のこういった議論が未来に向けてというか、保健機能食品全体に対する非常に大きな試金石になっていくのかなと、今の辻委員からの御発言を伺って感じました。
それでは、竹内委員から御発言があるということで、その後、石見委員、佐藤恭子委員からコメントを頂いて、多分時間としてはかなり押しておりますので、よろしくお願いいたします。
竹内委員、お願いいたします。
○竹内委員 ありがとうございます。竹内です。
今日いろいろな御議論を伺っていて、大変勉強になりました。
私からは、消費者への情報提供という観点で疑問に思ったこと、感じたことを述べさせていただきます。
先ほどほかの何名かの委員からも、疾病リスク低減ということ自体が消費者にとって非常に魅力的であり、ありがたいものとして受け入れられるという話があったと思うのですが、私自身もそう思っています。
そうした前提で申し上げますと、資料1のマークに関して、全部一律同じマークになっていて、条件付きだけが少し違う形になっていますが、もし疾病リスク低減が拡大していく可能性が大きいのであれば、一くくりに疾病リスク低減ということを訴求するようなマーク化等の可能性もあるのかなと感じた次第です。
そして、資料3ではパターン1、パターン2という表示内容を例示していただいておりますが、また、今回申請のある3品についてはそれなりの表示スペースが確保できると思いますが、例えばガム等々、小スペースでの表現、表示を実際にはしていかなければならない可能性もあると思います。そうしたときに、どこまで丁寧に、誤解のないように、しかも分かりやすく情報提供できるのか。これは実際にそれぞれのケースで検討していかなければならないので、なかなか大変なことなのではないか、その辺も課題になるのではないかということで発言させていただきました。
以上です。
○受田部会長 ありがとうございます。
実際に個別許可された暁に、疾病リスク低減に関して基準のあるものもございますけれども、そういったものにより消費者に分かりやすいようなシンボルを付ける、マークを付けるということ、あるいは表示可能スペースというか、印刷可能面積の低い物に対しての表現の仕方も含めて考えないといけないということで、これは一つの提案と受け止めたいと思います。ありがとうございます。
それでは、石見委員、お願いします。
○石見委員 実際、調査会で今後対応していくことになりますので具体的に質問させていただきたいのですけれども、資料2におきましては、一番上から行きますと、疾病については、日本国民全体としてその低減に取り組む必要がある旨は理解できます。
その次の高血圧症、脂質異常症、糖尿病その他、いわゆる疾病の中心となるのは生活習慣病という理解でよろしいでしょうかということです。
3番目のメタアナリシスの質ですけれども、これはケース・バイ・ケースだと思いますので、先ほど御意見がありましたように、ケース・バイ・ケースで個々の論文を中心に質もしっかり見ていくということで、単にメタアナリシスがあれば良いというわけではないということで理解いたしております。
4番目ですけれども、「サロゲートマーカー」と書いてありますが、リスク因子というバイオマーカーを今回は用いることができるということで、カルシウムと葉酸については疾病との関連で非常にたくさんの文献を調査したと思われるのですが、今回は個別の評価ということで、国際的な基準も見ますと、バイオマーカーあるいはサロゲートマーカーを使っているということで、それは判断材料としてよろしいということと理解しております。そのことについて、一番下の一番左を見ていただきますと、「論文を系統的に収集した結果、試験デザイン、研究の質等から判断される複数の疫学研究が存在すること。なお、これらの研究には、介入研究だけでなく観察研究も含まれていること」が書かれているのですが、ここは非常に重いと思うのですけれども、これもこのような理解でよろしいでしょうかというところでコンセンサスを頂きたいと思います。
○受田部会長 ありがとうございました。
これからの調査会における具体的議論のポイントということで、これまでの委員の皆様から頂いた意見を基に提案をしていただきました。
資料2のまず一番上の部分は、「患者数が多く日本国民全体としてその低減に取り組むことが必要である旨、患者数は一定数にとどまっているものの重大な疾病であり、その低減に取り組むことが必要である旨」、これに関しては、今日特にここのポイントでの御意見は頂戴しておりませんけれども、具体的な国民の興味・関心のある内容とこの疾病リスク低減特保というのは当然親和性があるというところで、ここの留意事項についてはこういった想定される申請内容でおおむね皆様に御賛同いただけるのではないかと思います。特にa)かb)かということではなく、こういったものをという考え方で申請内容として想定している。
それから、二つ目のカラムは生活習慣病が中心ということで、これについても特殊な疾患というよりは、日本国民の疾病の罹(り)患状況という言葉が出てきますので、当然、多くの方々に関わる疾病、疾患ということかと思いますので、今の御提案でよろしいのではないかと改めて提案させていただきます。
それから、メタアナリシスのケース・バイ・ケースで質も見ていくということに関しては、それまでの間にどういうふうな形で学術誌に掲載されているか、論文になるまでのプロセスを通じて論文自体の質も精査をしていただくということかと思います。
最後のところについては、サロゲートマーカーやリスク因子の話、サロゲートエンドポイントやバイオマーカーの話、いろいろ御意見を頂きましたけれども、「複数の疫学的研究が存在すること。なお、これらの研究には、介入研究だけでなく、観察研究も含まれていること」という要件について、これは確かに非常に重いと思うのですけれども、これが別添2の記載にある留意事項として書かれているというところをどう具体的に審査の中で要件としていくのかということですね。
つまり、これがなければもう要件を満たさないということにするのか、提出されている内容を総合的に判断していき、例えばここに書いてある「複数」という言葉、あるいは「介入研究だけでなく、観察研究も含まれること」と書いてある場合に、それが含まれていない場合にどういうふうに取り扱うか。ここに関しては少し御意見を頂いておいたほうがいいかと思います。ありがとうございます。
いかがですか。
吉田委員、お願いします。
○吉田委員 先ほどのメタアナリシスについては、皆さん御存じのとおり、例えばコクラン・レビューなんかは無作為比較試験の介入試験に基づくメタアナリシスというのが基本にあるのですけれども、実際、例えば特に栄養介入の場合に必ずしも無作為比較試験ができていないことが多いのです。これらを統合的に集めて解析することもよく行われています。
例えば、さっきのEPA、DHAなんかも、介入試験と観察研究でトレンドが違う結果が出てくることがあるのです。ですから、このことについて私たちはしっかり認識した上で、例えばヘルスクレームを決めるときも確認していく必要がある。言い方を変えれば、介入試験とともに、観察研究もあるのであれば一緒に見ておいたほうがいいということになるかと思います。
ただ、私、ガイドラインを作成する側の人間なので、ガイドラインの場合はマインズ方式でいくと、通常は無作為比較試験のランダム比較研究の介入試験のいわゆるメタ解析を一番重んじて行っているのが事実であります。それを5年に1回システマティックレビューをやって、膨大な研究論文を全部集めてきて、ガイドラインを出して、先ほどのリスク因子も決めております。
ですから、リスク因子は妥当性があるかどうかについては、その専門学会に聞いていただければすぐに分かる。特に生活習慣病関係は分からないことはないと思いますので、それはオーケーなのですが、栄養分野においては必ずしも無作為比較試験の介入試験だけでは、とてもじゃないけれども記述できない。そういった意味で、観察研究を実は取り上げることがある。
ここの介入研究と観察研究の表記の仕方は、両方ないといけないという書き方なのかどうかが問題点で、介入試験でしっかりとしたメタ解析があるのであれば、それだけでも十分に達し得る可能性があって、私たちがガイドラインを書くときには観察研究はあくまで補足的な資料です。介入試験におけるメタ解析ではとても記述できないレベルのエビデンスしかなかったというときに、少しでも国民のためになるように、ガイドラインというのは国民に発するメッセージの一つでもありますので、観察研究も軽んじていないというところがあるので、一緒の土俵に出てきていることに違和感があります。これは最後に質問しようかなと思っていて、石見先生がちょうど言ってくださったので、そこが気になっております。
だから、消費者庁の委員会等において、その辺のスタンスをどのようなことでこの記述になったのかということを教えていただきたいと、最後に質問を取っておいたのです。
○受田部会長 ありがとうございます。
経緯を御説明いただけますか。
○消費者庁食品表示企画課 まず、こちらの規定の読み方から御説明させていただきます。現在の通知で、これらの研究には介入研究だけでなく観察研究も含まれることと明記されておりますので、介入研究と観察研究は両方そろっていなければ、そもそも我々は申請書を受領することができないことになっております。ただし、どういったレベルの観察研究が必要かといった細かい規定はございませんので、そこの細かいレベルについて皆様に御審議をいただきたいというものになっております。
「想定される申請内容」でお示ししているa)、b)が関連してまいりますが、特に、観察研究におきましては、関与成分を実際に飲んだ一般の方を対象に実施をするというのが非常に困難かと思いますが、バイオマーカーと疾病リスクの関係性を確認するための観察研究であれば、既存のものを探して提出することが可能ということでございまして、観察研究のレベルについて関与成分と疾病の関係性を示すものでなければならないとするのか、それともサロゲートマーカーと疾病リスクの関係性を示すものでよいのかというところがポイントになってくるかと思います。
○吉田委員 今のでよく分かったのですが、結局、無作為比較試験なんかを言う場合は、対象者が条件で縛られているので、国民を広く反映していないのですね。観察研究の場合は、その条件が介入試験ほど制限されていないので、したがって、広くいろいろな方々の状況が見えるという意味ではすごくいい。
観察研究であれば、スナップショット的なクロスセクションではないので、経過をずっと見ていますから、一定程度のハザード比が出てくる。よって、観察研究を出してくる意味があるので、そういった意味であれば両方そろっていたほうが正しい疾病リスク低減表示をするにおいては妥当性が高い。そういう意味だったら両方そろっているというのが大事かなと今思いました。ありがとうございました。よく分かりました。
○受田部会長 石見委員、お願いします。
○石見委員 今の消費者庁の御説明ですけれども、そもそもそろっていないとお受けされないということなので、今回は条件を満たしているということを理解するということと、メタアナリシスについても、バイオマーカーと疾病との関連のメタアナリシスと、もう一つおっしゃったのは、関与成分とバイオマーカーとのメタアナリシス、どちらかそろっていればいいということだったので、例えば関与成分とバイオマーカーのメタアナリシスがなくても、バイオマーカーと疾病の関連のメタアナリシスがあればよいという理解でいいですか。
○消費者庁食品表示企画課 はい。今回はそちらで要件を満たしているとして受領しております。
○石見委員 そこは結構大事なので、一つ一つについて関与成分とバイオマーカーのメタアナリシスがあるかどうか、それが必要かどうかを議論しておいたほうがいいかなと思ったのです。
バイオマーカーと疾病の関連は、今さんざん議論して、バリデートされたしっかりしたものということで理解したのですけれども、メタアナリシスがバイオマーカーと疾病との関連だけで、関与成分とバイオマーカーのメタアナリシスがない場合はどうしたらいいでしょうか。
○受田部会長 今回の提出資料に関しては、個別の話に入ってはいるのですけれども、それはどういうことになっていますでしょうか。
○消費者庁食品表示企画課 資料1の6ページを御覧いただきたいのですけれども、メタアナリシスの論文のところの記載に、「原則として」というのが付いております。ですので、原則ですので必須ではないという読み方もできるというところで、今回、メタアナリシスについては、関与成分を基にしたもの、もしくはバイオマーカーを基にしたもの、いずれかが付いていればオーケーということで受領しております。
○受田部会長 ありがとうございます。
今の消費者庁からの御説明のように、この留意事項に沿った形で要件を満たしているということをもって受け付けて、それが消費者委員会に諮問として来ているというところで整理をしていただきました。あとは、個別の資料に関して調査会で御審議をいただくということかと思います。ありがとうございます。
一定整理できたところで、佐藤恭子委員、お願いします。
○佐藤(恭)委員 国立衛研の佐藤です。
最後にこんなつまらない質問をと思うのですけれども、今、特保として認められているものが今度疾病リスクの表示になると、ほかのものの扱いはどうなるのかなというのが気になりました。これもまた基準を作るとか、そういった方向に行くようなものなのか、やはり個別に申請を出してもらうということになるのでしょうか。
○受田部会長 御質問ありがとうございます。
これは、疾病リスク低減ではない一般の特保に関しても、毎回、これまで個別許可されたものとの関係性はどうか。今、佐藤恭子委員から御質問されたように、特定の関与成分が異なるヘルスクレームや対象者が違っているということも散見されます。
今言えることは、各諮問内容に対して調査会や部会で議論しておりまして、それは一件一件の申請課題に関して議論していくということで諮問に対する答申を出しております。したがいまして、同じ関与成分で、一方が一般的特保であり、新しく上市されたものに疾病リスク低減特保が出てくる、これについてどう考えるかという点についてはこの部会や調査会のミッションの範囲を超えているのかもしれません。ただ、整合や、上市されている個別許可型の商品がたくさんある状況を最も意識してそれらについて議論できるのは部会や調査会かもしれません。
ですから、今後、そういった内容に関して更に議論の必要が出てくれば、適切にそういう議論の場も設けていかなければいけないなと思うところです。お答えになっていますでしょうか。ありがとうございます。
6時までと申し上げたのですけれども、もう6時15分を過ぎてしまいまして、大変申し訳ございません。
今日、冒頭に申し上げましたとおり、初めて基準が設けられていない疾病リスク低減特保に関して事業者の方々から三つの申請が出てきました。初めての申請に対して、調査会と部会の合同会議を今回設定させていただくということで、これは本当に異例のことでございます。そして、満たすべきレベル感についてすり合わせを行わせていただき、この後、調査会や部会で議論するに当たっての重要な指針的な内容を委員の皆様から御意見として頂戴できたように思います。
基本的に、先ほど石見委員から資料2についてまとめていただき、そして、今日のすり合わせの結論というところまでは至りませんけれども、一定の考え方を皆様と協議するに至りましたので、今日議論いただいた内容を基に調査会を開催していただいて、個別の御審議に入っていただくということでお願いできればと思います。
石見委員、よろしいでしょうか。
○石見委員 承知いたしました。
○受田部会長 ありがとうございます。
そして、調査会の議論の推移を部会の部会長として私も注視をさせていただき、そして、調査会において一定の要件等がつく可能性もあるかもしれませんし、御審議を経た形で部会をまた開催して、最終的な答申へ結びつけていきたいと思うところでございます。
ここから、また、調査会の先生方には大変な御負担をおかけすることになり、お時間を頂戴することになりますけれども、調査会の石見座長の下、先生方、よろしくお願いいたします。
その後、部会に上がってまいりましたら、今日のこのすり合わせの内容をもう一度部会の委員の皆様と共有させていただいて部会審議に進めていく。そういう形で今日のこの合同会議の内容をフルに生かしていきたいと思います。
≪3.閉会≫
○受田部会長 お忙しい中、委員の皆様、本日もありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、事務局からお願いいたします。
○友行参事官 長時間にわたりまして御議論いただきまして、誠にありがとうございます。
次回の日程などにつきましては、決まり次第、御連絡いたします。
○受田部会長 どうもありがとうございました。
(以上)
このページの先頭へ