2024/07/03

ヘリオスUDCに関する論文が Stem Cell Research and Therapy に掲載

株式会社 ヘリオス 

2024 年7月3日
株式会社ヘリオス

ヘリオスUDCに関する論文が “Stem Cell Research and Therapy” に掲載
HLA-G、PD-L1、PD-L2を発現する低免疫原性ヒトiPS細胞の 自然免疫および獲得免疫からの回避


当社は、遺伝子編集技術を用いて、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクを低減する次世代iPS細胞、ユニバーサルドナーセル(Universal Donor Cell: 以下、「UDC*」といいます。)を用いた新たな治療法の研究を進めております。このたび、遺伝子編集により多形性HLAを除き、HLA-G、PD-L1、PD-L2を発現させた低免疫原性ヒトiPS細胞(ヘリオスUDC)が自然免疫および獲得免疫から回避されることを確認した当社研究員による学術論文が、査読付きジャーナル、”Stem Cell Research & Therapy” に掲載されましたのでお知らせいたします。

タイトル:Hypoimmunogenic human iPSCs expressing HLA-G, PD-L1, and PD-L2
evade innate and adaptive immunity.
掲載誌:Stem Cell Research & Therapy
DOI :10.1186/s13287-024-03810-4
執筆者:Norihiro Tsuneyoshi#1, Tomonori Hosoya#1, Yuriko Takeno#1, Kodai Saitoh, Hidetaka Murai, Naoki Amimoto, Rie Tatsumi, Sono Watanabe, Yudai Hasegawa, Eri Kikkawa, Kumiko Goto, Fusako Nishigaki, Kouichi Tamura*, and Hironobu Kimura*
#1: These authors have equally contributed.
*Corresponding author

恒吉らは、自社開発したUDCが染色体異常もなく、造血前駆細胞、肝細胞や血管内皮細胞などに分化できること、獲得免疫並びに自然免疫に対して耐性を持つこと、さらには安全装置としての自殺遺伝子が機能することを明らかにしました。本論文を通して、当社のUDCが移植細胞の原材料として、ポテンシャルを十分に持つことを示すことができたと考えます。

当社グループは、再生医療等製品開発のフロントランナーとして、iPS 細胞等を用いた新たな治療薬の創出のための取り組みを進めています。10年以上にわたる技術の蓄積を通して、 当社グループは高品質で独自のiPS細胞製品開発技術を構築してきました。2020年には、iPS 細胞本来の特長である無限の自己複製能力や、様々な細胞に分化する多能性を維持しながら、免疫拒絶を抑え安全性を高めた再生医療等製品創出のための次世代技術プラットフォームとして、臨床グレードのUDC株(臨床株)を完成しました(2020年10月 20 日発表「ヘリオス独自のユニバーサルドナーセル(遺伝子編集技術を用いて作製した HLA 型に関わりなく免疫拒絶リスクを抑える次世代 iPS 細胞) 臨床株完成のお知らせ」)。 以降、細胞医薬品における有力な原材料として、世界中の研究機関や企業にUDCを提供し、様々な疾患に対する適応可能性を検証しています。

引き続き当社は、UDCの臨床応用に向けた研究を継続し、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患に苦しむ患者様のために、革新的な再生医療技術の研究開発を推進してまいります。また、当社の UDC がデファクトスタンダード製品として共同研究やライセンス導出が行われ、再生医療の世界を大きく前進させることを目指します。

以上

* UDC

UDCは、免疫拒絶反応を抑えた他家iPS細胞です。通常、移植細胞は患者とのHLA型を一致させない場合免疫拒絶反応を起こします。そのため、移植時には免疫抑制剤の投与が必要となりますが、患者の負担も大きくなります。免疫抑制剤の投与を回避するためには、自らの細胞から作製する自家iPS細胞の使用が望ましいのですが、この作製には多くの時間と多額の費用が必要となります。UDCは、遺伝子編集技術を用い免疫拒絶反応の抑制を可能にするiPS細胞です。当社のUDCは、他家iPS細胞から拒絶反応を引き起こすHLA遺伝子を除去し、その細胞に免疫抑制関連遺伝子、および安全装置としての自殺遺伝子を導入した、安全な細胞医薬品の原材料となる細胞です。iPS 細胞本来の特長である無限の自己複製能力や、様々な細胞に分化する多能性を維持しながら、免疫拒絶を抑え安全性を高めた再生医療等製品創出のための次世代技術プラットフォームです。

■株式会社ヘリオスについて

再生医療は、世界中の難治性疾患の患者にとって新たな治療法として期待されています。この分野では、製品開発・実用化への取り組みが広がり、将来的には大きな市場となることが見込まれています。ヘリオスは、iPS 細胞(人工多能性幹細胞)などを用いた再生医薬品開発のフロントランナーとして、実用化の可能性のあるパイプラインを複数保有するバイオテクノロジー企業です。2011年に設立し、2015年に株式上場(東証グロース:4593)し、再生医薬品の実用化を目指して研究開発を進めています。

体性幹細胞再生医薬品分野では、健康な成人ドナー骨髄由来の多能性成体前駆細胞(MAPC)から成る独自の細胞製品である MultiStem(R)を使用した脳梗塞急性期や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治験を実施しています。MultiStem(R)は、強力な抗炎症作用と免疫調節作用を示すことが示されており、さまざまな病態への応用が可能です。後期臨床試験において数百人の患者で試験され、3D培養法で一貫して製造されており、複数の適応症において数百人の患者で安全性と有効性の両方が実証されています。ヘリオスは、脳梗塞急性期、ARDS、外傷に対し、MultiStem(R)をグローバルに推進してまいります。

iPSC 再生医薬品分野では、免疫拒絶のリスクを低減する次世代 iPS細胞であるユニバーサルドナーセル(UDC: Universal Donor Cell)を作製し、さらには、遺伝子編集技術により固形がんに対する殺傷能力を強化した次世代 NK 細胞(eNK(R)細胞)の開発を進めています。eNK(R)細胞は、動物モデルにおいて強固な抗腫瘍効果を実証しており、大量生産が可能な3Dバイオリアクターでの製造プロセスを実現しています。これらにより、がん免疫領域をはじめ、眼科領域、肝臓領域などで新規治療薬の開発に取り組んでいます。

https://www.healios.co.jp/

本件に関するお問合せ先
IR・財務経理部 ir@healios.jp

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