2024/07/12

全国発明表彰を受賞~海岸近傍でも無塗装使用可能な高耐候性鋼~

JFEホールディングス 株式会社 

2024年7月12日
JFEスチール株式会社

全国発明表彰を受賞
~海岸近傍でも無塗装使用可能な高耐候性鋼~

当社はこのたび、「海岸近傍でも無塗装使用可能な高耐候性鋼の発明」により、令和6年度全国発明表彰(※1)発明賞を受賞しました。当社の全国発明表彰受賞はJFEスチール発足以来14回目となります。7月11日にThe Okura Tokyo(東京・虎ノ門)にて表彰式が執り行われました。

1.受賞件名:
「海岸近傍でも無塗装使用可能な高耐候性鋼の発明」

2.受賞者:

三浦 進一 スチール研究所 構造材料研究部 主任研究員
鹿毛 勇 厚板セクター部 主任部員
小森 務 スチール研究所 耐食材料研究部 グループリーダー
(現 JFEテクノリサーチ株式会社 福山材料評価センター 主査)
三田尾 眞司 スチール研究所 耐食材料研究部 部長
(現 株式会社豊田中央研究所 総合企画・推進部 研究支援室)

3.発明の概要

本発明は、高塩分環境にある橋梁に従来用いられてきたニッケル系高耐候性鋼とほぼ同等の耐候性を有しながらコストパフォーマンスに優れる高耐候性鋼に関するもので、高塩分対応型の高耐候性厚鋼板「LALAC®-HS(※2)」に活用されており、すでに国内外5つの橋へ適用されています。

ニッケル系高耐候性鋼は、良好な耐候性を得るためにNiを1~3%添加する必要があるため、高コストであるという課題がありました。本発明では、鋼中にSnとNbを複合添加することで、これらの元素が錆の下層へ局所的に濃化し、ニッケル系高耐候性鋼と同様に緻密な錆が形成され、腐食促進物質である塩化物イオンの透過抑制が可能であることを見出しました(図1)。SnやNbは局所濃化により微量添加でも良好な耐候性を示すため、ニッケル系高耐候性鋼に比べNiを大幅に削減することが可能となり、コストパフォーマンスに優れながらも従来のニッケル系高耐候性鋼とほぼ同等の耐候性を得ることに成功しました(図2)。高塩分環境での良好な耐候性と低材料コストを両立した本発明の鋼板は、塗装や塗替えの省略によるライフサイクルコストの大幅な低減に寄与するものと期待されます。

当社は今後とも、本鋼板の採用範囲拡大および高機能・高品質な鋼材の開発に努め、鋼橋の安全性向上と耐久性向上に貢献し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

(※1) 公益社団法人発明協会(会長: 内山田竹志)が主催。我が国の科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に、多大な功績をあげた発明・考案・意匠(以下、発明等)や、その優秀性から今後大きな功績を挙げることが期待される発明等を表彰。

(※2) LALAC®-HS: Low Alloyed & Low Atmospheric Corrosion Steel - High Salinityの略。

【写真】


(左から)小森氏、三浦氏、鹿毛氏、三田尾氏

図1 錆層中の元素分布の模式図

図2 実環境での曝露試験

【参考URL】
コストパフォーマンスに優れた高塩分対応型の高耐候性鋼板が国内橋梁に初採用|JFEスチール株式会社 (jfe-steel.co.jp)

本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。

JFEスチール(株)総務部広報室 TEL 03(3597)3166

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