2024/07/12

ペンシルべニア州立大学医学部が研究成果による知見を発表 - ポリオーマウイルスの感染性ウイルス産生を抗ウイルス薬ブリンシドフォビルが抑制

シンバイオ製薬 株式会社 

2024年7月12日

ペンシルべニア州立大学医学部が研究成果による知見を発表
ポリオーマウイルスの感染性ウイルス産生を抗ウイルス薬ブリンシドフォビルが抑制

シンバイオ製薬株式会社(本社:東京都、以下「シンバイオ」)は、この度、ポリオーマウイルスに対する抗ウイルス薬ブリンシドフォビル(brincidofovir、以下「BCV」)の非臨床試験を実施している米国ペンシルベニア州立大学医学部が、研究成果を論文発表したことをお知らせします。

当社は2022年11月にポリオーマウイルス感染マウスモデルを用いてBCVの潜在的有用性を検証する目的で試料提供契約をペンシルベニア州立大学医学部(Aron Lukacher教授)と締結*し研究を開始しました。その研究成果の第一報として、新たな知見を『mBio』誌に公表したのでお知らせします。

論文の概要は以下の通りとなります。

■腎上皮細胞及び大脳皮質細胞を用いた初期培養試験:
? ポリオーマウイルス接種後の感染性ウイルス産生をBCVは選択的に抑制。
? 感染性ウイルス産生の抑制にはウイルスのT抗原**の減少が関与することが示唆された。

■マウスモデルにおける試験:
? BCVは、ポリオーマウイルスに対して、比較的低用量から腎、脳における感染性ウイルス産生を抑制。
? 免疫不全マウスモデルにおいてもポリオーマウイルスの慢性感染に対するウイルス産生抑制効果を確認。

本論文の著者であるAron Lukacher教授は「私たちの研究が、ポリオーマウイルスによる命にかかわる病気で苦しむ患者さんに大きな利益をもたらす可能性がある抗ウイルス薬について、新たな知見が提供できることを大変嬉しく思っています。」と語っています。

吉田文紀社長兼CEOは、「重篤なポリオーマウイルス感染症に対して承認された薬剤は無く、有効な薬剤が切望されています。今後、さらにLukacher教授とBCVの抗ポリオーマウイルス活性を検証する試験を進めてまいります。」と語っています。

以上

* 関連プレスリリース
2022 年 11 月 24 日 ペンシルバニア州立大学医学部との間で試料提供契約を締結 ~ブリンシドフォビルのポリオーマウイルス感染モデルに対する効果検証試験~

** T抗原は、ポリオーマウイルスの複製及びウイルス産生に必須な役割を果たすウイルス性タンパク質です。

【ポリオーマウイルス感染マウスモデル】
通常、BK ウイルスや JC ウイルスなどのポリオーマウイルス感染は健常人においては無症候性で、主に泌尿器系、リンパ組織に持続感染します。しかしながら、生体の免疫機構が機能低下した際にこれらのウイルスが再活性化され、これらの組織において重篤な感染症となって現れる場合があります。ヒトのポリオーマウイルスに対する抗ウイルス薬は未だなく、ヒトにしか感染しない上記ウイルスに関する非臨床モデルはほとんどありません。Lukacher 教授のラボで確立されているモデルは上記ウイルスと同様のゲノム構造と感染様式を示すマウスポリオ―マウイルスを用いてポリオーマウイルス感染症モデルで、腎臓や中枢神経における感染のみならず、免疫機構の関与も検討できる試験系です。

【公表論文の情報】
Butic AB, Katz ZE, Jin G, Fukushima K, Hazama M, Lukacher AE, Lauver MD. 2024.Brincidofovir inhibits polyomavirus infection in vivo.mBioe0104924.https://doi.org/10.1128/mbio.01049-24

公式ページ(続き・詳細)はこちら
http://www.symbiopharma.com/news/pdf/20240712.pdf

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