末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)に対するブリンシドフォビルの抗腫瘍効果を確認 がん原遺伝子MYCの抑制及び免疫調整遺伝子の発現を誘導

2024/06/24  シンバイオ製薬 株式会社 

2024年6月24日

末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)に対するブリンシドフォビルの抗腫瘍効果を確認
がん原遺伝子MYCの抑制及び免疫調整遺伝子の発現を誘導

シンバイオ製薬株式会社(本社:東京都)は、現在、ブリンシドフォビル(brincidofovir、以下「BCV」)のシンガポール国立がんセンター(National Cancer Centre Singapore以下「NCCS」)との間で、抗腫瘍効果の評価についての共同研究を進めております。2024年6月13日から16日にスペイン・マドリードで開催された第29回欧州血液学会(EHA2024 Hybrid Congress)においてその研究成果が発表されたことをお知らせします。

既にNK/T細胞リンパ腫に対するBCVの抗腫瘍効果については、2022年米国血液学会、2023年国際悪性リンパ腫学会においてNCCSとの共同研究の成果として報告済みですが、この度の発表では、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)を含むヒトT細胞リンパ腫の細胞株と異種移植マウスモデルを用いて評価し、これらのリンパ腫に対してNK/T細胞リンパ腫と同様の抗腫瘍効果が得られたことを報告しました。

主に以下の研究成果を報告しました。
●1)BCV は、検討した全ての T 細胞リンパ腫細胞株において濃度依存的に高い細胞傷害性を示した。
●2)異種移植マウスモデルにおいては腹腔内投与のBCV が、対照群と比較して有意に腫瘍増殖を明確に抑制した。
●3)BCV 処理した PTCL 細胞では、NK/T 細胞リンパ腫モデルにおける遺伝子発現変化、特に抗腫瘍効果を示すMYC 関連遺伝子発現の低下及び IFNγの上昇など免疫調整機能の遺伝子発現において同様の変化が観察された。

吉田文紀社長兼CEOは「当社は現在、BCVのプラットフォーム事業を推進するなかで、NK/T細胞リンパ腫に加えPTCLにおいても抗腫瘍効果が確認されたことから、未充足の治療領域であるNK/T細胞リンパ腫及びPTCLを対象として臨床試験開始を進めてまいります。BCVによる抗腫瘍効果はがん原遺伝子であるMYC発現抑制に加え免疫調整関連遺伝子発現誘導が確認されたことは、今後、他の血液腫瘍のみならず固形がんに対しての抗腫瘍効果も期待させるものです。」と語っています。

本発表の抄録は、EHA2024学会ウェブサイト(下記リンク:英語)に掲載されております。
https://s3.eu-central-1.amazonaws.com/m-anage.com.storage.eha/temp/eha24_abstract_bodies/P2128.pdf

以上

【注記】
末梢性T 細胞リンパ腫(Peripheral T-cell lymphoma, PTCL)
PTCL は、胸腺での分化・成熟を経て末梢組織に移動した T 細胞に由来する種々のリンパ系腫瘍の総称であり、速やかに進行するアグレッシブリンパ腫に分類される希少がんの一つ。PTCL にはさまざまな病型が含まれ、末梢性 T 細胞リンパ腫-非特定型(PTCL-NOS)、血管免疫芽球性 T 細胞リンパ腫(AITL)、ALK 陽性未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、ALK 陰性 ALCL などが主要な病型として知られる。一次治療は多剤化学療法や放射線が用いられるが、必ずしも十分な効果はなく、近年再発または難治性のPTCL に対し様々な治療薬が臨床使用されているものの、標準的な治療は確立されていないため、新たな治療薬の開発が望まれている。

マウス異種移植モデル
高度免疫不全状態のマウスを用いた異種移植モデルは、ヒトのがん細胞株を移植し、がん細胞を標的とした抗がん剤の評価のために用いられています。

欧州血液学会(European Hematology Association)
欧州における血液学会であり、世界中から専門家が参加する年次会議を開催しています。

公式ページ(続き・詳細)はこちら
http://www.symbiopharma.com/news/pdf/20240624.pdf

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