2024/09/27

産業副産物の高度利用を実現するジオポリマーコンクリートを開発

清水建設 株式会社 

産業副産物の高度利用を実現するジオポリマーコンクリートを開発

~使用材料の最大96%を産業副産物で構成~

  • 環境

2024.09.27

清水建設株式会社
株式会社神戸製鋼所
ポゾリスソリューションズ株式会社

清水建設株式会社、株式会社神戸製鋼所、ポゾリスソリューションズ株式会社(2024年10月1日にシーカ・ジャパン株式会社と統合)の3社は、構成材料における産業副産物の活用率を最大96%(重量比)まで高められる資源循環促進型のジオポリマーコンクリートの配合技術を共同開発しました。本技術では、ジオポリマーの活性フィラー(粉体)※1に利用する高炉スラグ微粉末やフライアッシュのみならず、コンクリートの骨材と練混ぜ水にも産業副産物を有効活用することで、産業副産物の活用率を最大化しています。同時に、ジオポリマーの課題とされてきた施工性や硬化後の強度発現についても、一般的なコンクリートと同等の性能を確保することに成功しました。

ジオポリマーは、活性フィラーとアルカリ溶液を原料とする硬化体で、活性フィラーには高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどの産業副産物が主に利用されています。このジオポリマーに骨材と水を混ぜて製造するジオポリマーコンクリートには、セメントを結合材として使用する一般的なコンクリートと比べて、製造工程におけるCO2排出量を大幅に抑制できる利点があります。他方、活性フィラー以外の材料については、一般的なコンクリートと同様に骨材などの材料が主に利用されるため、産業副産物の活用率は20%(重量比)程度に留まっていました。また、施工性の面でも、ジオポリマーには、活性フィラーとアルカリ活性剤の反応速度が速く、高い流動性を長時間保持できないという課題がありました。

3社が開発した資源循環促進型のジオポリマーコンクリートの特長は、活性フィラーとして利用する高炉スラグ微粉末とフライアッシュに加え、骨材、練混ぜ水に至るまで、産業副産物を有効活用して製造できることです。流動性や強度を決定する反応メカニズムを分析することで、骨材と練混ぜ水にそれぞれ、製鉄所から産出されるスラグ骨材とアルカリ廃液を活用する独自の配合技術を構築しました。

施工性の課題に対しては、ポゾリスソリューションズが独自開発したアルカリ活性剤と分散剤※2を活用することで、流動性の保持時間を確保することができます。また、常温で硬化するため、コンクリート製品への適用時に必要とされてきた高温養生が不要となり、CO2排出量や製造コストの低減が図れます。製造コストについては、安価な産業副産物を利用する材料構成も含め、従来型のジオポリマーコンクリートの半分以下に抑制できる見込みであり、資源循環の促進、サーキュラーエコノミーの実現に資する建設材料としての実用化に目途がつきました。

清水建設と神戸製鋼所は今後、開発した資源循環促進型のジオポリマーコンクリートについて、原料中の副産物利用率が95%超のものを「All-ByPro-One TM(オール・バイプロ・ワン)」、95%以下のものを「ByPro-One TM(バイプロ・ワン)」と称し、社会実装に向けた取り組みを進めていきます。具体的には、コンクリート製品への適用に向けた実証や現場施工に向けた製造システムの構築に取り組むとともに、各種の産業副産物を幅広く活性フィラー等の使用材料として活用し、資源循環の促進につなげていく考えです。

図1 構成原料の比較 図2 開発した資源循環促進型のジオポリマーコンクリートの流動性測定結果の一例 図3 圧縮強度の例
  1. : 非晶質のケイ酸アルミニウムを主成分としたジオポリマー生成反応に寄与する原料。代表的なものはフライアッシュ、メタカオリンおよび高炉スラグ微粉末。
  2. : 界面活性剤の一種で、微粒子を液体中に均一に分散する効果を持つ。この作用により、ジオポリマーコンクリートの流動性を向上する。さらに添加する水分量を低減できるため、強度の増進を図ることができる。

以上

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