経済産業省 武藤大臣記者会見 - 2024年11月12日 - 冒頭発言 ●大臣再任 ●ペルー出張(APEC閣僚会合) 質疑応答 ●国民民主党の政策 ●次世代半導体支援 ●APEC閣僚会合 ●次世代半導体支援 ●洋上風力発電 ●トランスジェンダーの職員へのトイレ利用制限
経済産業省武藤経済産業大臣の閣議後記者会見の概要
2024年11月12日(火曜日)
10時29分~10時45分
於:本館10階記者会見室
冒頭発言
大臣再任
皆さん、改めておはようございます。はじめに私から2点申し上げます。
1点目でございますけれども、昨晩、石破総理から、経済産業大臣、原子力経済被害担当大臣、原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当の内閣府特命担当大臣、GX実行推進担当大臣、産業競争力担当大臣を引き続き拝命いたしました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
総理からは、前回に引き続き、福島の復興、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」の実現、中小企業の賃上げ、エネルギー・GX政策の推進、大阪・関西万博に向けた着実な準備などについて、指示があったところであります。
総理からの指示も踏まえて、経済産業政策を確実に前に進めるべく、引き続き、経済産業大臣の職責をしっかりと務めてまいりたいと思います。
ペルー出張(APEC閣僚会合)
そして2つ目でございます。明日11月13日から16日までですが、APEC閣僚会議に出席するため、ペルーに出張をさせていただきます。APEC閣僚会議では、アジア太平洋地域の貿易投資の活性化や、持続可能な成長の実現に向けた方策について、参加閣僚間で議論をしてまいります。
私からは、WTO改革等を通じたルールベースの貿易秩序の維持・強化の重要性や、各国の事情に沿った多様な道筋の下でネットゼロを目指し、脱炭素・経済成長・エネルギー安全保障を同時実現する重要性等を発信する予定であります。
また、この機会に、複数の国・地域との会談を予定しておりまして、二国間の経済関係の一層の深化に向けて議論を行ってまいります。
以上です。
質疑応答
国民民主党の政策
Q:税制改正に関わる議論が始まりました。国民民主党は、トリガー条項の凍結解除や再エネ賦課金の徴収停止を主張しています。こうした主張に対して、大臣はどのようにお考えでしょうか。
また、国民民主党は衆院選の公約で原発の建て替え・新増設を掲げましたが、これらへの大臣の姿勢を教えてください。
A:まず、トリガー条項の件ですけれども、今の凍結解除、あるいは再エネ賦課金の徴収停止、これは今、与党と国民民主党さんの間で政策の案件ごとに協議を進めているものと承知をしています。
政党間の協力に当たっての個別の政策の取扱いについては、各政党間で議論されるべき事柄でありまして、また、過去に与党と国民民主党との間で協議をされてきた経緯もございます。こうしたことから、国民民主党との合意形成に関して、政府として、今お答えすることは差し控えたいと思います。
その上で、トリガー条項の凍結解除については、実務的な課題もあると承知をしております。また、再エネ賦課金につきましても、徴収停止しても、いずれにしても、再エネの導入拡大に必要な経費として、国民負担が発生する点にも留意が必要だと思っております。そうした点も踏まえて、今後の協議の中でどのように取り扱われていくのか注視をしながら、適切に対処してまいりたいと思います。
それと、もう一つ、原子力の話。個別の政党の公約の内容について、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。その上で、エネルギー安定供給、経済成長、脱炭素を同時に実現していくためには、原子力は、再エネとともに、脱炭素電源として重要であり、安全性の確保を大前提に、最大限活用していくのが政府の方針であります。
なお、政策協議につきましては、先ほど申しましたとおり、与党と国民民主党との間で、政策の案件ごとに協議を進めているものと承知をしておりまして、エネルギー政策について、今後の協議の中でどのように取り扱われていくのか注視しながら、適切に対処してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次世代半導体支援
Q:半導体についてお伺いいたします。石破首相は会見で、2030年までに半導体やAIに10兆円以上の公的支援するというフレーム策定を表明されましたが、例えば支援策として出資ですとか債務保証ですとか、具体的にはどんなものを想定されていますでしょうか。
また、財源については、赤字国債は発行しない前提だとも御説明されております。こうした中でどのように10兆円以上を確保するお考えか、現時点の考えを教えてください。
最後に、このフレーム検討について関係省庁で御議論していくとも御説明されているので、具体的にどんな会議の場を想定されているかも、もし分かれば教えてください。
A:昨日、今おっしゃられたように、総理から、今後2030年度までにAI・半導体分野に10兆円以上の公的支援を行い、今後10年間で50兆円を超える官民投資を引き出すための新たな支援フレームを策定することを表明いただきました。AI・半導体支援につきましては、必要な財源を確保しつつ、複数年度にわたり大規模かつ戦略的に支援するとの方針を、これまで私も述べてまいりました。経済対策に盛り込むべく、政府内の調整を進めてきたところであります。
昨日の総理の表明を踏まえて、経済対策調整プロセスの中で支援方法や財源を含めた詳細について、関係省庁で詰めの作業を行っているところでありまして、今後、内容が詰まった段階でしっかりと御説明をさせていただきたいと思います。
それから、財源の話ですけれども、赤字国債はしないということと、それから増税も行う予定はない。その新しい財源のフレームは、先ほど申したとおり、今調整をしていますので、しっかりとまた決まった段階でお話をさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
会議体は、GX実行会議もそうですし、様々な会議でこれからやられると思いますので、引き続き、また、しっかりと決まったらお話をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
APEC閣僚会合
Q:APECについて伺います。
先ほど、ルールべースのお話が出ましたが、アメリカの大統領選でトランプ氏が当選して保護主義への警戒も出ている中で、どのような会議にしていきたいと思われていますか。
A:APECそのものは、我が国はこれまでずっとやってきましたけど、ルールに基づく国際秩序を維持するという重要性を様々な機会を通じて発信してきた会議であります。
今回のAPEC閣僚会合においても、WTOを中核としたルールベースの国際貿易体制の維持・強化について、各国と議論したいと考えております。米国のいわゆるトランプ次期政権の施策に現時点では予断を持てないと思いますし、いずれにせよ、こうした我が国の考え方について、しっかりと対話をしていきたいと思っています。
Q:2016年、前回トランプ氏が当選したときには、ちょっと保護主義に反対するような声明がAPECでも盛り込まれていたんですけれども、何か今回そういうAPECに対する影響というのは、大臣としては何かあるとお考えでしょうか。
A:まだこれから、僕も正直、詳細お聞きするんですけれども、そう具体的なものは出てこないと思います。いろいろ我が国として今の国際ルールの中で、様々な各国の反応もあるでしょうから、それを確認した上で、また、御報告申し上げたいと思います。
次世代半導体支援
Q:先ほどの半導体についての質問のところで補足なんですけど、これまでも岸田政権の下でも10兆円程度、あのときは公的のみならず事業規模で、というような言い方されていたと思うんですけど、今回その10兆円程度公的支援をするっていうことなんですけど、これって、これまでここ3年ぐらい4兆円程度、補正予算で支援の額を決定していると思うんですけど、この4兆円っていうのを含む10兆円ということなのか、別枠として10兆円なのかっていうところが1点と、もう一点は、これまで補正予算で主に半導体戦略のところの資金を出してきたわけですけど、これからは主に本予算で、この2030年度までの10兆円程度のターゲットっていうのは、本予算の方で主に対応していくっていうことになるのか、その2点、よろしくお願いいたします。
A:基本的には別。今までの4兆円、ラピダスのやつありますよね。今回お話ししているのは、一応今後10年間で50兆円を超える官民投資を引き出すための新たな支援フレームということになると思います。
今の当初、補正の絡みもあるんですけど、基本的には今度、たしか補正にも入れていると思いますけれども、当初も含めて、また改めてという形で継続的にやっていく話だと思っていますし、半導体は別にラピダスに限っているわけじゃなくて、次世代半導体市場として、これからどう我々が考えていくかという形でのプロセスになっていくのだろうと思います。
Q:すみません。確認ですけど、4兆円とは別。
A:別です。
Q:それと、じゃ、補正もまだあり得るということですか。本予算の方に、両方あり得るという。
A:そこは今調整中で。先ほど話したとおりです。
Q:調整中。はい、分かりました。ありがとうございます。
洋上風力発電
Q:洋上風力発電の投資の実現についてお伺いします。
今の資源エネルギー庁の方ではですね、昨今のインフレなんかを踏まえて、事業者の確実な投資を促すための施策について議論が進んでいるかと思います。政府として洋上風力は、次世代発電の主力電源になり得るということで目標も設定している一方で、ウクライナ侵略以降のインフレで、諸外国では事業者の撤退なんかも相次いでいるように伺っていますけども、改めて政府として洋上風力の重要性についての認識と、今度のスキームでは、物価変動を基準価格に変動させるような話も出ているかと思うんですけども、こういった事業者の投資の確実性を担保するような事業の必要性についての認識についてお聞かせください。
A:洋上風力発電は、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札として、経産省も積極的な導入を後押ししているところであります。御承知のとおりです。
一方で、世界的にも、おっしゃったようにインフレ等の影響を受けて、中断や撤退する事象が各国で発生をしており、我が国でも同様の懸念があるのは今の御指摘のとおりだと思います。そのため、現在審議会で、撤退や遅延を抑止するための保証金制度のあり方であるとか、入札後の資材価格等の変動を踏まえて価格を調整する仕組みの導入等について審議していただいているところであります。
引き続き、国民負担に中立的な形で、事業実施の確実性を高めるための規律強化・環境整備を進めるべく、着実かつ丁寧な検討を進めてまいりたいと思っております。
トランスジェンダーの職員へのトイレ利用制限
Q:話は変わって、経済産業省内の話で、先日トランスジェンダーの職員に対しての職場の女性トイレの使用を制限した問題について、使用を認めたということが出ておりました。その上で、この経緯と、そして大臣の受け止めについて伺わせてください。
A:まず、昨年7月に本件に関する最高裁判決が出されています。これは、トランスジェンダー職員からの女性トイレ利用の要請に対して、それを認めなかった人事院の判定の妥当性が問われたものであったと承知しています。この経緯から、本件については、経産省のみでなく、人事院と連携をしながら対応してきているところだと承知しています。
最高裁判決では、職員の理解を増進する活動など、共生社会の実現に向けた取組が必要と指摘をされてきました。これを踏まえて、経産省では、かねて進めてきたユニバーサルトイレの設置を全フロアで完了するとともに、職員に対する研修を強化するなど、環境整備に努めてきたところであります。
加えて、人事院では、再度の検討が行われて、本年10月29日ですね、「当該職員について、省内女性トイレを自由に使用させるべき」との再判定が行われたところだと承知しています。その翌日には経産省に通知があったということだと承知しています。
今般、人事院の再判定の通知を受けた後に、速やかに当該職員本人と面談を行い、トイレの制限を解除する旨を伝達しているところです。
このような経緯とともに、経産省として人事院と連携しつつ、適切に対応を行ってきたと考えています。
以上でございます。
以上
最終更新日:2024年11月12日