株式会社JERAに対する業務改善勧告を行いました
2024年11月12日
エネルギー・環境
本日、電力・ガス取引監視等委員会は、電気事業法第66条の12の規定に基づき、株式会社JERAに対して業務改善勧告を行いました。
1.概要
株式会社JERAが、遅くとも平成31年4月から令和5年10月までの間、卸電力取引所が開設する翌日市場(スポット市場)において、市場相場を変動させる認識を有しつつ、停止する発電ユニットの余剰電力の一部を供出していなかったことについて、当委員会は、「適正な電力取引についての指針」(令和6年10月1日)における「市場相場を変動させることを目的として市場相場に重大な影響をもたらす取引を実行すること又は実行しないこと」(同指針第二部II2(3)イ③相場操縦参照)に該当すると判断しました。
このため当委員会は、本日、同社に対し、電力の適正な取引の確保を図るため、電気事業法第66条の12の規定に基づき業務改善勧告を行いました。
2.勧告の内容
スポット市場入札について、各プロセスが合理的であるか総点検を実施した上で、本来の需給関係によらずに相場を変動させ得ると考えられる箇所を特定し、システムの改修やマニュアルの改定等適切な措置を講ずること。
- 本件と同様の不適切事案の再発を防止するため、卸電力取引に関する法令遵守、コンプライアンス管理の実効性確保を旨とし、以下の計画を立案すること。
(1)問題意識を有する社員が社内において容易に相談、問題提起及び通報することが可能となるような体制の整備及び社内風土の醸成(2)社内ルール遵守のための確認、牽制体制の構築 (3)法令遵守及びコンプライアンス管理のための情報共有、教育及び研修等による、全社員に対する定期的かつ社内統一的な周知徹底機会の設定
- 上記1.について講じた措置、及び、上記2.に基づき策定した計画について、令和6年12月12日までに、当委員会に対し、文書で報告すること。
3.適正な電力取引についての指針(抜粋)
第二部 II 2(3)卸電力市場の透明性
ア 公正かつ有効な競争の観点から望ましい行為
③スポット市場における売り札
・・・(略)・・・
また、スポット市場において売り札を入れる事業者のうち、市場支配力を有する可能性の高い事業者においては、余剰電力の全量を限界費用に基づく価格で入札することが特に強く求められる。したがって、当該事業者がこれに反して、合理的な理由なく、限界費用に基づく価格よりも高い価格で市場に供出した場合や、余剰電力の全量を市場に供出しなかった場合においては、下記イ③における「市場相場を変動させることを目的として市場相場に重大な影響をもたらす取引を実行すること又は実行しないこと」に該当することが強く推認される一要素となる。
イ 公正かつ有効な競争の観点から問題となる行為
③相場操縦
卸電力市場に対する信頼を確保する観点から、以下に掲げるような市場相場を人為的に操作する行為は、電気事業法に基づく業務改善命令や業務改善勧告の対象となり得る。
・・・(略)・・・
- 市場相場を変動させることを目的として市場相場に重大な影響をもたらす取引を実行すること又は実行しないこと
4.添付資料
事案の概要
関連リンク
担当
経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会事務局
取引制度企画室長 石井
担当者:篠崎、竹内
電話:03-3501-1511(内線 4387)
メール:bzl-ne-dentori-mp★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。