AI-RAN統合ソリューション「AITRAS」を開発～今後、国内外の通信事業者向けに「AITRAS」を展開～
ソフトバンク 株式会社
AI-RAN統合ソリューション「AITRAS」を開発
～今後、国内外の通信事業者向けに「AITRAS」を展開～
2024年11月13日
ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社（以下「ソフトバンク」）は、AI-RANコンセプトに準拠した、AI（人工知能）とRAN（無線アクセスネットワーク）を同一のNVIDIAアクセラレーテッドコンピューティングプラットフォーム上で動作可能にする統合ソリューション「AITRAS（アイトラス）」の開発を本格的に開始しました。今後、大容量、高性能かつ高品質なキャリアグレードの統合ソリューションである「AITRAS」を、ソフトバンクの商用ネットワークへ導入するだけではなく、2026年以降には国内外の通信事業者などへの展開・拡大を目指していきます。
「AITRAS」は、NVIDIA AI アクセラレーテッドコンピューティングプラットフォームの特長を生かし、AIとRANの高性能化と効率化を目指したアーキテクチャーであるAI-RANを製品化したものです。NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchipプラットフォーム上に、大容量、高性能かつ高品質なRANをキャリアグレードで提供するだけでなく、生成AIなどさまざまなAIアプリケーションの提供も、同時かつ効率的な運用を可能にするソリューションです。
実際の無線環境では、日常的に発生する急激なトラフィック増加や、マルチパスなどによる電波干渉に対して性能を引き出すために、さまざまな高速処理やアルゴリズム機能を適用しますが、高度かつ複雑な処理が必要なため、システムの安定性を保つことが課題になります。
「AITRAS」のL1※ソフトウエアは、ソフトバンクがNVIDIA AI Aerialプラットフォームをベースに開発したもので、信号の並列処理やタスク起動タイミングの最適化などにより、キャリアグレードに不可欠な高い安定性かつ高性能を実現すると同時にRAN容量の最大化や消費電力の削減などを実現します。
また、仮想化基盤と連携するオーケストレーターも開発しており、AIとRANそれぞれのアプリケーション特性を踏まえて効率的にコンピューティングリソースを動的に配分することで、運用の効率性かつ消費電力の削減などによる経済性の向上が期待できます。
通信事業者は、「AITRAS」を導入することにより、従来のRANインフラの投資を継続しながらAIインフラの構築も同時に行えることに加え、AIを活用したネットワークの効率化も図ることで、効率のよい革新的なインフラ投資が可能になります。
さらに、「AITRAS」には、大規模言語モデル（LLM）の開発・展開を容易にする機能群で構成されたソフトウエアプラットフォーム、NVIDIA AI Enterpriseが実装されています。これにより、顧客である企業自身でAIアプリケーションを開発・展開することも可能になります。詳細は、2024年11月13日付のプレスリリース「AI-RANの統合ソリューション『AITRAS』のエッジAIサーバーにNVIDIA AI Enterpriseを実装」をご覧ください。
- [注]
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- ※
L1：vRANソフトウエア構造におけるOSI参照モデル「物理層（第1層）」
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「AITRAS」の通信事業者向けリファレンスキットを展開
ソフトバンクは、AI-RANコンセプトを具現化した、AIとRANを同一ネットワークインフラ上で動作可能にする統合ソリューション「AITRAS」の実用性と効果の実証を目的として、通信事業者向けに「AITRAS」のリファレンスキット（以下「本キット」）の2025年以降の提供・展開を目指します。
通信事業者は、本キットを自社の屋内外のラボに導入することにより、NVIDIA AIコンピューティングインフラ上に実装されたAI-RANの機能、性能ならびに経済性などの実証を自社のみで行うことが可能になります。また、通信事業者が新たなユースケースの創出のため、事業者自身がAIアプリケーションを開発し、本キット上に展開・動作させ、検証を行うことも可能になる予定です。
本キットは、NVIDIA AIコンピューティングインフラ上で、大容量、高性能かつ高品質なキャリアグレードのRANおよび生成AIなど、さまざまなAIアプリケーションが同時に動作します。また、本キットでは、効率的なコンピューティングリソースの運用を可能にするオーケストレーターも提供します。
本キットは、主に下記の7要素で構成されるシステムです。
- ①
オーケストレーター
- ②
Edge AIアプリケーション
- ③
RAN L2/L3※ソフトウエア
- ④
RAN L1ソフトウエア
- ⑤
仮想化基盤
- ⑥
NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchip
- ⑦
Radio Unit
- [注]
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L2/L3：vRANソフトウエア構造におけるOSI参照モデル「データリンク層（第2層）」と「ネットワーク層（第3層）」
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本キットを活用した実証がスムーズかつ活発に行えるように、パートナープログラムを開設する予定です。
今後もソフトバンクは、モバイル通信市場において「AI-RAN」の特長の理解促進と、「AITRAS」の導入および迅速な展開を推進していくことで、通信事業者の新たな強みを創出し、AIと通信の融合によるより豊かな社会の発展に貢献していきます。
ソフトバンクの代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川潤一は、次のように述べています。
「AI-RANのコンセプトを実現する『AITRAS』を発表できたことをうれしく思います。あらゆる産業がAIによって変革、再定義され、DX（デジタルトランスフォーメーション）を超えたAIトランスフォーメーションの幕開けを迎える中で、『AITRAS』はロボットや自動運転、そしてドローンなどが普及した『AI共存社会』を支える、次世代社会インフラの実現を目指す上で不可欠な存在となり、持続可能な社会の実現において重要な役割を担うことを期待しています」
NVIDIAの創業者／CEOのジェンスン・フアン氏は、次のように述べています。
「通信事業者が、AIと5Gを同じコンピューティングインフラ上で運用可能になることは画期的であり、各国にソブリンAIへの迅速な道を提供します。ソフトバンクが開発した初のNVIDIAアクセラレーテッドAI-RANソリューションにより、あらゆる通信事業者がAIサービスプロバイダーとなり、世界で最も強力なテクノロジーをあらゆる場所にいる顧客に提供できるようになります」
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