「債券市場参加者会合」第21回議事要旨等(2024年12月5、6日)
日本銀行2024 年 12 月 20 日
日本銀行金融市場局
「債券市場参加者会合」第 21 回議事要旨
1.開催要領
(日時)
銀行等グループ 12 月5日(木)15 時 45 分から
証券等グループ 12 月5日(木)17 時 30 分から
バイサイドグループ 12 月6日(金)16 時 30 分から
(場所)日本銀行本店
(参加者)「債券市場サーベイ」等に参加する金融機関の実務担当者
(日本銀行出席者)金融市場局長、金融市場局総務課長、同市場調節課長、 同市場企画課長
2.日本銀行からの説明等
●日本銀行より、①債券市場サーベイの結果、②国債市場の流動性、③最近の市場動向と市場調節、について説明した。
3.参加者の意見
●上記説明の後、意見交換を実施した。会合参加者から聞かれた主な意見は以下のとおり。
最近の債券市場等についての見方
●本年7月の金融政策決定会合で決定された長期国債買入れの減額計画は、市場の事前予想に沿った内容であり、大きな材料とはならなかったが、同時に実施された利上げを受けて、長期金利はやや上昇した。
●8月入り後は米景気減速懸念を背景に急速にリスクオフムードが広がり、ボラティリティが高まったほか、本邦の利上げ観測が後退するなかで、長期金利が大きく低下した。その後は、堅調な米経済指標や米大統領選の結果を受けて、米長期金利が上昇に転じるもと、本邦の利上げ観測も徐々に高まったこともあり、長期金利は再度上昇した。
●8月のボラティリティ上昇、金利低下がトリガーとなる形で投資家のショートポジションが大きく解消され、リスク許容度も低下したため、金利が上昇しにくい状況がみられた。
●年限別にみると、超長期ゾーンは、生保が規制対応の一巡もあって様子見姿勢を続けるなか、需給懸念から他年限対比で大幅に金利が上昇した。
●8月以降、国債買入れの段階的な減額が行われているが、これによって国債の需給環境に大きな変調が生じている様子は窺われない。
債券市場の機能度・流動性についての見方
●国債買入れ額は段階的に減っているが、ペースは緩やかであり、正常な状態には道半ばといった状況。流動性の改善ペースもしばらくは緩やかだろう。
●減額の影響が徐々に現れ、海外金利との連動性が緩やかに高まっている。カレント銘柄を中心に、板の厚みは改善しており、国債買入れによる需給逼迫は徐々に緩和している。
●国債補完供給の落札額減少にみられるように、市場の機能度・流動性は幾分改善している。また、買入れ減額や将来の買入額の予見性の高まりが、価格発見機能の回復や流動性の向上に寄与していると感じる。
●日銀保有比率が極めて高い銘柄がチーペストとなることで、海外投資家を中心に、スクイーズへの懸念を示す向きもみられる。
●流動性供給入札や国債補完供給の減額措置によって、10 年 366 回債の市中流通残高は増加した。先行きもこれらの制度の利用を通じて市中流通残高が増えるかは利用者の経済合理性の判断次第の面もあるが、バックストップとしての機能が確認されたことで、先物限月交代への警戒感は幾分後退した。
●チーペスト銘柄等にかかる国債補完供給の要件緩和措置が継続する限りにおいては、スクイーズが発生する蓋然性は低く、先物の機能度に特段の懸念はない。日本銀行は、こうした状況であることを、海外投資家も含めて、市場に向けて丁寧な情報発信をしてほしい。
市場調節運営への見方
(残存期間別の買入れ減額について)
●発行額に対する買入れ比率が高いゾーンから順に減額していくこれまでのやり方は、市場機能度向上の観点から理に適っていると思う。
●残存期間別の買入れ減額幅を決める際は、フローである発行に対する買入れ比率に加えて、ストックとしてのゾーン毎の日銀保有比率も勘案してほしい。
●引き続き、買入れ減額は銀行等の需要がある 10 年以下のゾーンを中心に進めるのが良い。超長期ゾーンについては、投資家需要が減退するなか、減額の優先順位は低い。
●超長期ゾーン等、これまで買入れ減額を行ってきていない年限の減額については、サプライズと受け止められることも予想されるので、予見可能性を高めるために、丁寧なコミュニケーションをお願いしたい。
(物価連動債の買入れについて)
●固定利付債の発行額に対する買入れ比率が徐々に低下していることを踏まえると、高止まりしている物価連動債の買入れ比率についても、徐々に引き下げていくことが自然。
●物価連動債は、財務省による買入消却を勘案すると、発行額のほぼ全てを日本銀行が買入れている状況。需給環境を踏まえて慎重に進める必要があるが、価格形成を市場に委ねる観点から、買入れ減額を検討すべきタイミングとなっているのではないか。
●物価連動債の買入れはいずれ減らすべきだとは思うが、流動性の低さや投資家の裾野の狭さを考えると、かえって市場機能に悪影響が生じる可能性もあるので、慎重に検討してほしい。
(国債補完供給等について)
●チーペスト銘柄等にかかる国債補完供給の要件緩和措置は、先物の流動性を担保するうえで極めて重要なので、来年以降も継続してほしい。また、こうした措置を変更する際には、丁寧なコミュニケーションを行ってほしい。
●日銀保有比率が高い銘柄については、国債補完供給の最低品貸料を、他の銘柄と比べて相対的に低い水準とすることによって、市場機能度の改善を図ることができるのではないか。
●国債補完供給の減額措置にかかる手数料の引き下げや、国債の売りオペと買いオペを組み合わせたスイッチングオペによって、日銀保有比率の高い銘柄の市中流通残高をさらに増やすことが可能なのではないか。
以上
公式ページ(続き・詳細)はこちら
http://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond241220.pdf
日本銀行金融市場局
「債券市場参加者会合」第 21 回議事要旨
1.開催要領
(日時)
銀行等グループ 12 月5日(木)15 時 45 分から
証券等グループ 12 月5日(木)17 時 30 分から
バイサイドグループ 12 月6日(金)16 時 30 分から
(場所)日本銀行本店
(参加者)「債券市場サーベイ」等に参加する金融機関の実務担当者
(日本銀行出席者)金融市場局長、金融市場局総務課長、同市場調節課長、 同市場企画課長
2.日本銀行からの説明等
●日本銀行より、①債券市場サーベイの結果、②国債市場の流動性、③最近の市場動向と市場調節、について説明した。
3.参加者の意見
●上記説明の後、意見交換を実施した。会合参加者から聞かれた主な意見は以下のとおり。
最近の債券市場等についての見方
●本年7月の金融政策決定会合で決定された長期国債買入れの減額計画は、市場の事前予想に沿った内容であり、大きな材料とはならなかったが、同時に実施された利上げを受けて、長期金利はやや上昇した。
●8月入り後は米景気減速懸念を背景に急速にリスクオフムードが広がり、ボラティリティが高まったほか、本邦の利上げ観測が後退するなかで、長期金利が大きく低下した。その後は、堅調な米経済指標や米大統領選の結果を受けて、米長期金利が上昇に転じるもと、本邦の利上げ観測も徐々に高まったこともあり、長期金利は再度上昇した。
●8月のボラティリティ上昇、金利低下がトリガーとなる形で投資家のショートポジションが大きく解消され、リスク許容度も低下したため、金利が上昇しにくい状況がみられた。
●年限別にみると、超長期ゾーンは、生保が規制対応の一巡もあって様子見姿勢を続けるなか、需給懸念から他年限対比で大幅に金利が上昇した。
●8月以降、国債買入れの段階的な減額が行われているが、これによって国債の需給環境に大きな変調が生じている様子は窺われない。
債券市場の機能度・流動性についての見方
●国債買入れ額は段階的に減っているが、ペースは緩やかであり、正常な状態には道半ばといった状況。流動性の改善ペースもしばらくは緩やかだろう。
●減額の影響が徐々に現れ、海外金利との連動性が緩やかに高まっている。カレント銘柄を中心に、板の厚みは改善しており、国債買入れによる需給逼迫は徐々に緩和している。
●国債補完供給の落札額減少にみられるように、市場の機能度・流動性は幾分改善している。また、買入れ減額や将来の買入額の予見性の高まりが、価格発見機能の回復や流動性の向上に寄与していると感じる。
●日銀保有比率が極めて高い銘柄がチーペストとなることで、海外投資家を中心に、スクイーズへの懸念を示す向きもみられる。
●流動性供給入札や国債補完供給の減額措置によって、10 年 366 回債の市中流通残高は増加した。先行きもこれらの制度の利用を通じて市中流通残高が増えるかは利用者の経済合理性の判断次第の面もあるが、バックストップとしての機能が確認されたことで、先物限月交代への警戒感は幾分後退した。
●チーペスト銘柄等にかかる国債補完供給の要件緩和措置が継続する限りにおいては、スクイーズが発生する蓋然性は低く、先物の機能度に特段の懸念はない。日本銀行は、こうした状況であることを、海外投資家も含めて、市場に向けて丁寧な情報発信をしてほしい。
市場調節運営への見方
(残存期間別の買入れ減額について)
●発行額に対する買入れ比率が高いゾーンから順に減額していくこれまでのやり方は、市場機能度向上の観点から理に適っていると思う。
●残存期間別の買入れ減額幅を決める際は、フローである発行に対する買入れ比率に加えて、ストックとしてのゾーン毎の日銀保有比率も勘案してほしい。
●引き続き、買入れ減額は銀行等の需要がある 10 年以下のゾーンを中心に進めるのが良い。超長期ゾーンについては、投資家需要が減退するなか、減額の優先順位は低い。
●超長期ゾーン等、これまで買入れ減額を行ってきていない年限の減額については、サプライズと受け止められることも予想されるので、予見可能性を高めるために、丁寧なコミュニケーションをお願いしたい。
(物価連動債の買入れについて)
●固定利付債の発行額に対する買入れ比率が徐々に低下していることを踏まえると、高止まりしている物価連動債の買入れ比率についても、徐々に引き下げていくことが自然。
●物価連動債は、財務省による買入消却を勘案すると、発行額のほぼ全てを日本銀行が買入れている状況。需給環境を踏まえて慎重に進める必要があるが、価格形成を市場に委ねる観点から、買入れ減額を検討すべきタイミングとなっているのではないか。
●物価連動債の買入れはいずれ減らすべきだとは思うが、流動性の低さや投資家の裾野の狭さを考えると、かえって市場機能に悪影響が生じる可能性もあるので、慎重に検討してほしい。
(国債補完供給等について)
●チーペスト銘柄等にかかる国債補完供給の要件緩和措置は、先物の流動性を担保するうえで極めて重要なので、来年以降も継続してほしい。また、こうした措置を変更する際には、丁寧なコミュニケーションを行ってほしい。
●日銀保有比率が高い銘柄については、国債補完供給の最低品貸料を、他の銘柄と比べて相対的に低い水準とすることによって、市場機能度の改善を図ることができるのではないか。
●国債補完供給の減額措置にかかる手数料の引き下げや、国債の売りオペと買いオペを組み合わせたスイッチングオペによって、日銀保有比率の高い銘柄の市中流通残高をさらに増やすことが可能なのではないか。
以上
公式ページ(続き・詳細)はこちら
http://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond241220.pdf