COVID-19の集団免疫レベルの低下と再流行時期の予測

2022/10/27  公益財団法人 東京財団政策研究所 

10月26日(水)9時 Review(論考)公開

[本文はこちら] https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=4094 新型コロナウイルス流行「第8波」の時期を予測し、対策を講じるために、国内の集団免疫レベルを推計することは重要です。 東京財団政策研究所(*)では、集団を感受性S、潜伏期E、感染I、回復Rに区分するSEIR感染症モデルによる、国内の集団免疫レベルの推計を続けてまいりました。この度、来年春までの5都道府県での集団免疫レベルの推移のシミュレーションを行い、その結果をReview(論考)として公表いたしました。 (*)「ポスト・コロナ時代における持続可能かつレジリエントな医療・看護・介護システムの構築に関する研究」プログラム(渋谷健司研究主幹)における國谷紀良プログラムメンバー(神戸大学大学院システム情報学研究科准教授)を中心とする研究班


[Review概要]
1.  国内の主要な5都道府県(北海道、東京、大阪、福岡、沖縄)を対象に、2022年9月30日時点のCOVID-19に対する集団免疫レベルの推計を行った。また、免疫の減衰を考慮したシミュレーションにより、再流行時期の予測を行った。
2.  沖縄以外の4都道府県では遅くとも2023年の春先までには第7波初期の水準まで免疫レベルが減少し、第8波が起こることが予想される。それを防ぐためには自然感染を経験していない人を中心にワクチンの追加接種を進めることが効果的である。
3.  本稿のモデルは滞在時間によって免疫の低下を考慮できる点で現実的と言えるが、行動変容や季節性などによる個人の社会的活動の時間変化(transient collective immunity)を考慮していないため、集団免疫の過大評価や流行の過小評価に繋がっている可能性があり、注意が必要である。

[研究プログラム]
「ポスト・コロナ時代における持続可能かつレジリエントな医療・看護・介護システムの構築に関する研究」
https://www.tkfd.or.jp/programs/detail.php?u_id=33

「健康危機に対するヘルス・レジリエンスの構築に関する研究」
https://www.tkfd.or.jp/programs/detail.php?u_id=35

[執筆者]
國谷 紀良 研究協力者 (神戸大学大学院システム情報学研究科 准教授)
徳田 安春 東京財団政策研究所主席研究員
中村 治代 東京財団政策研究所研究員
諸見里 拓宏 東京財団政策研究所主席研究員
渋谷 健司 東京財団政策研究所研究主幹

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◇◆東京財団政策研究所の方向性◆◇
戦後75年が過ぎ、国内外を問わず、社会の大きな転換が進んでいます。この大転換は、戦後の政治・経済・社会の体制から本格的に脱皮し、市民一人ひとりが独立した人間として自らの人生と社会の充実、国家の再生、平和の維持に携わる新しい時代を日本にもたらしています。また、この新たな時代を創るための政策研究・実践のイノベーター(革新者)として、戦後の体制からの独立した政策シンクタンクが必要とされています。
当財団の研究部門は、この大転換期が求める日本再生のイノベーターを目指します。

◇◆取り組む分野◆◇
国際情勢と歴史認識への冷静な視座のもと、下記5領域で約30の研究プログラムを並行して進めています。
I. 経済・財政、環境・資源・エネルギー
II. 健康・医療・看護・介護
III. 教育・人材育成、雇用・社会保障
IV. 科学技術、イノベーション

V. デジタル革命、デジタル化による社会構造転換


所在地:〒106-6234 東京都港区六本木三丁目二番一号 六本木グランドタワー34階
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