沖縄県にて研究用血液製剤のドローン配送実証実験を実施 - 将来的な人手不足などの配送課題や緊急ニーズへの対応策として検証

2024/11/08  伊藤忠商事 株式会社 

沖縄県にて研究用血液製剤のドローン配送実証実験を実施 将来的な人手不足などの配送課題や緊急ニーズへの対応策として検証

2024年11月8日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井 敬太、以下「伊藤忠商事」)は、ANAホールディングス株式会社、沖縄県立北部病院、株式会社スギヤマゲン、地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立墨東病院、沖縄県赤十字血液センターらと、2024年11月27日より、沖縄県浦添市と名護市間の53kmにおける、ドローンを活用した研究用血液製剤※1の配送サービスに関する実証実験(以下「本実証」)を行います。本実証は、沖縄県が実施している「令和6年度テストベッド実証支援事業」※2にANAホールディングスが責任者として採択され、伊藤忠商事が共同事業者として実施する取組みとなっております。

本実証では、地理的特性から配送に人手や時間を要していた、沖縄県北部地域への血液製剤配送について、ドローンを活用することによる配送員の負担を軽減させる効果や経済性を検証します。また、輸血医学に精通する東京都立墨東病院の藤田浩氏や沖縄県立北部病院、沖縄県赤十字血液センターの協力を受けることで、より現場での運用を見据えた実践的な手法・機材を用いた配送フローを作成し、運用面での実現性を検証します。さらに、耐荷重性や速度性の高いドイツのWingcopter GmbH社製のeVTOL型ドローン「Wingcopter 198」を用い、株式会社スギヤマゲンが提供する定温輸送容器等を組み込むことで、同機による血液製剤配送について、品質管理の面からも医学的に検証します。

これまでは配送できる時間枠が限られていましたが、ドローンによる配送で、必要な時に必要な分だけ運ぶことができ、緊急ニーズも含めた血液製剤の効率的な供給や災害時への対応も可能となります。将来的には、従来の自動車での供給ネットワークに多数機同時運航でのドローンの配送を組み込むことで、効率性を実現すると共に、持続的な医療体制の維持に貢献してまいります。また、確立した定温輸送技術をもとに、安全性の高いドローンによる緊急性の高い医薬品や医療品の配送サービスの社会実装を目指します。

伊藤忠商事は、経営方針「The Brand-new Deal~利は川下にあり~」を掲げ、社会の変化に伴い多様化する売り手・買い手・世間のニーズを捉え、川下を起点にビジネスを開拓・進化させ、事業領域を拡大していきます。今回の実証実験を通じて、高性能なeVTOL型ドローン「Wingcopter 198」を利用したドローン配送ネットワークの構築を進め、多様なニーズ・社会課題に対応したサービスの提供を目指してまいります。

本実証概要

1. 目的:ドローン(無人航空機)による輸血用血液製剤配送のフィジビリティの検証と経済性のシミュレーション
2. 内容:ドローンを組み込んで沖縄県赤十字血液センターから沖縄県立北部病院まで研究用血液製剤を配送する。
3. 期間:2024年11月27日(水)~12月1日(日)9:00~18:00頃(日没まで)
※天候事由により一部中止する可能性もあります。
4. 飛行区間:沖縄県浦添市伊奈武瀬球場〜沖縄県名護市名護漁港
5. 配送物:赤血球製剤(RBC)、全血製剤
6. 使用機材諸元:Wingcopter GmbH社製のeVTOL型ドローン「Wingcopter 198」
① 寸法:66×198×167cm[HWL]
② 最大離陸重量:24.9kg
③ 搭載可能重量:最大4.5kg
④ 運用飛行速度:最大133km/h(固定翼モード)
7. 飛行ルート(上図参照):
今回の飛行レベルは『レベル3運航』として、無人地帯での操縦者の目視外(BVLOS※3)飛行を行います。運航管理システムを一部取り入れることで、「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」を遵守し、安全かつ効率的な運用を実現します。
※飛行ルートについては、気象条件により一部変更になる可能性がございます。
  • ※1研究用血液製剤とは、輸血用血液製剤としては規格に適合しない研究開発用の献血血液を指します。詳細はhttps://www.jrc.or.jp/donation/blood/koubo/kouboR6/ をご参照ください。
  • ※2「令和6年度テストベッド実証支援事業」(沖縄県補助事業)とは、革新的なデジタル技術・サービスを持つ企業等が沖縄県内で実施する実証実験に対する支援を行い、イノベーションの創出につなげ、社会課題の解決等を図ることを目的としています。
  • ※3Beyond Visual Line of Sight:無人航空機の操縦者が、自分の目によって無人航空機の位置や姿勢及び航行の安全性を確認できない飛行のこと。

本実証における各社役割

組織 役割

ANAホールディングス株式会社

責任者

本実証実験の取りまとめ、ドローン運航準備・離着陸場所の調整、ドローン運航

伊藤忠商事株式会社

共同事業者

機材提供、飛行ルートの検証、研究用血液製剤の配送調整支援

地方独立行政法人東京都立病院機構
東京都立墨東病院

共同研究

研究用血液製剤の提供、実験結果分析

沖縄県赤十字血液センター

協力者

研究用血液製剤の指定場所への陸路配送、施設の提供

株式会社スギヤマゲン

協力者

研究用血液製剤配送用の保冷箱の試作・提供

沖縄県立北部病院

協力者

研究用血液製剤の受領確認

名護市役所

協力者

地元調整、地域関係者の取りまとめ

浦添市役所

協力者

地元調整、地域関係者の取りまとめ

MROJapan株式会社

協力者

機材の保管

ANAあきんど株式会社

協力者

地元調整支援

参考情報

<伊藤忠商事のWingcopterに関する取組み>
・北海道・内浦湾における初のドローン輸送で輸送時間を大幅短縮
最新eVTOL型ドローンを用いた医療機器輸送に関する実証実験を実施|プレスリリース|伊藤忠商事株式会社 (itochu.co.jp)
・海外企業のドローンとして日本初の第一種型式認証の申請が国土交通省航空局に受理
日本初、固定翼式のドローンの第一種型式認証の申請が国土交通省航空局に受理|プレスリリース|伊藤忠商事株式会社 (itochu.co.jp)

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