低遅延で電力効率が高い無線アクセラレーターの実現に向けた技術開発を実施

2023/03/22  ソフトバンク 株式会社 

低遅延で電力効率が高い無線アクセラレーターの
実現に向けた技術開発を実施

2023年3月22日
ソフトバンク株式会社
EdgeCortix株式会社

ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川 潤一、以下「ソフトバンク」)とEdgeCortix株式会社(本社:東京都渋谷区、創設者 兼 CEO:サキャシンガ・ダスグプタ、以下「EdgeCortix」)は、低遅延で電力効率が高い無線アクセラレーター※1の実現に向けて、AI(人工知能)に適用されている高速処理かつ低消費電力に特長があるEdgeCortixのIP(Intellectual Property)ソリューションを活用した技術開発を実施しました。

Beyond 5G(第5世代の次の世代の移動通信システム)や6G(第6世代移動通信システム)のみならず、環境に優しい持続的な通信事業の発展には、スケーラブルで高い信頼性と電力効率を併せ持つネットワークインフラが不可欠になります。ネットワークインフラ全体のコストと消費電力を低減した次世代のサービスを提供するために、無線基地局の仮想化技術において計算負荷が高いレイヤー1 High-PHY※2の処理を、専用のアクセラレーターにオフロードするニーズが高まっています。

ソフトバンクとEdgeCortixは、EdgeCortixが保有するDNA(Dynamic Neural Accelerator®)IP技術※3をレイヤー1 High-PHYの処理に適用し、無線誤り訂正符号方式の一つであるLDPC(low-density parity-check)の符号化処理※4をFPGA(Field Programmable Gate Array:プログラミング可能な集積回路)のボードに実装して検証した結果、約36Gbpsのスループットを確認しました。これは、市販のIPソリューションの公開データと比較して約10倍のスループットに相当します。両社は、このIP技術の適用拡大によって、低遅延で電力効率が高い無線アクセラレーターを実現していきます。今後、High-PHY処理全体に適用することで、より性能が高い無線アクセラレーターの実現の可能性を探求していきます。

[注]
  1. ※1

    汎用プロセッサー(CPU)上で高速に動作させるのが難しい特定の処理に特化し、高速に処理することを支援するハードウエア

  2. ※2

    無線通信における物理通信層(PHY)のうち、変復調や誤り訂正を実施する部分

  3. ※3

    機械学習アプリケーション、特にニューラルネットワーク固有の演算を効率的に行うことに強みを持つEdgeCortixの独自特許技術

  4. ※4

    データに符号誤りが発生した場合に検出・訂正を行う無線誤り訂正符号方式の一つで、ノイズがある通信チャンネルを通してメッセージを通信する手法

FPGA用エンコーダーのスループット測定結果

[注]
  1. 3GPP TS 38.212 に定義されたパラメーター(BG=2、CodeBlockSize=3840、Zc=384、E=19200)で測定

各社のコメント

ソフトバンクの先端技術研究所 所長である湧川隆次は、次のように述べています。
「ネットワークインフラの性能向上と省電力化は、将来にかけて大きな課題です。EdgeCortixは、これらの課題を同時に解決するために必要なIPと技術に関する専門知識の両方を提供するパートナーとして期待しています。私たちは、今後も質が高いネットワークを提供するため、EdgeCortixと協力して、さらなる性能向上と省電力を実現する最適なアクセラレーターの研究を進めていきます」

EdgeCortixの創設者 兼 CEOであるサキャシンガ・ダスグプタは、次のように述べています。
「当社のエッジAIプラットフォームと過去3年間に開発したDynamic Neural Accelerator IPで培った経験を活用するのに、Open RANのアクセラレーションは最適な機会でした。当社のIPは、AIモデルやそれに内在する複雑な数式にとらわれず、実行時に再構成できるように設計されています。MERAコンパイラやソフトウエアフレームワーク、スケーラブルなニューラルネットワークエンジン、SAKURA SoCアーキテクチャーなど、私たちの主要な資産は、非常に柔軟なアーキテクチャー設計となっており、AIと5Gが融合する領域でさまざまなニーズに合わせてプラットフォームをカスタマイズすることが可能です。ソフトバンクと協力しながら開発したプロトタイプのシステムで検証した性能の結果に驚いています。今後、MECなどにもまたがるエンド・ツー・エンドシステムへの適用を追求します」

このたびの検証の概要を含めて、ソフトバンクのR&D部門である「先端技術研究所」のさまざまな取り組みを紹介する技術展「ギジュツノチカラ ADVANCED TECH SHOW 2023」を、2023年3月22~23日に開催します。詳細はギジュツノチカラ ADVANCED TECH SHOW 2023 公式サイトをご覧ください。また、先端技術研究所が取り組むさまざまな技術領域の解説や、取り組み内容の説明などについては、リニューアルした先端技術研究所の公式ウェブサイトをご覧ください。

EdgeCortixについて

EdgeCortixは、エッジ向けのAIプラットフォームをサービスとして提供する企業で、CIE(Connected Intelligent Edge)の未来を開拓しています。ハードウエアとソフトウエアを統合する「協調探索エンジン」という手法により、人工知能に特化したランタイムで再構成が可能なプロセッサーを1から設計しつつ、ソフトウエアファーストでアプローチするという考えの下、2019年に設立しました。高度なコンピュータビジョンアプリケーションをターゲットとして、FPGAなどの既存のプロセッサー上やSAKURA AI アクセラレーター・デバイスを用いた新しいチップレットアーキテクチャー上で独自のハードウエアやソフトウエアIPを使用して、5G通信、防衛、航空宇宙、スマートシティ、自動運転、ロボット工学など急速に成長しているエッジAIアクセラレーションの分野に、積極的に参入することを目標にしています。
https://www.edgecortix.com/ja/

  • EdgeCortixおよびEdgeCortixのロゴは、EdgeCortix, Inc.およびそのグループ会社の日本およびその他の国における商標または登録商標です。
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