エクソソームなどの細胞外小胞(EV)精製キット『EXORPTION(R)』を販売開始-簡単な操作で、短時間に高収率で高純度なEVが回収可能-

2024/05/13  三洋化成工業 株式会社 

2024 年 5 月 13 日
三洋化成工業株式会社

エクソソームなどの細胞外小胞(EV)精製キット『EXORPTION(R)』を販売開始
-簡単な操作で、短時間に高収率で高純度な EV が回収可能-


三洋化成工業株式会社(本社:京都市東山区、代表取締役社長:樋口章憲)は、エクソソームなどの細胞外小胞(EV)を、簡単な操作で短時間に高純度で高収率に回収することができる精製キット『EXORPTION ??』(エクソープション)を開発しました。本キットは、コスモ・バイオ株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:柴山法彦)およびタカラバイオ株式会社(本社:滋賀県草津市、代表取締役社長:仲尾功一)を通じ、2024 年 5 月より販売開始致しました。

当社は『EXORPTION(R)』 を通して、エクソソームなどの細胞外小胞(EV)の応用研究を加速・発展させ、診断薬や治療薬などの新規医薬品の創出に貢献してまいります。

<EXORPTION(R)>

当社が開発した『EXORPTION(R)』は簡便な操作により、わずか 90 分で高純度の EV を高回収率に得ることを可能にした精製キットです。体液を吸収する特殊なハイドロゲルビーズの入ったスピンカラムを用いており、一般的な小型卓上遠心機で精製処理することが可能で、専用装置は不要です。現在普及している超遠心法と比較して約 1/20 の 90 分で精製でき、夾雑物(きょうざつぶつ/測定対象以外の混合物)量が約1/100 未満の高純度な EV を、約 10 倍近い回収量で得られます。

【開発の背景】

エクソソームをはじめとする EV は、細胞から分泌される微小粒体です。EV は血液や尿などさまざまな体液中に存在して細胞間の情報伝達を行うとともに、疾病、組織の修復、免疫応答、老化現象など多様な生命現象へ関与することなどが明らかになってきており、疾病の診断や治療への活用が検討されています※1。一方、現行の EV の精製法としては「超遠心法※2」や「ポリマー沈殿法※3」などが主流ですが、産業応用においては夾雑物が多く含まれ純度が低い、EV へのダメージが大きい、精製操作が煩雑で回収に時間がかかる、装置が高価であるなどさまざまな課題があります。

当社は、これまで培ってきた界面制御技術を生かして、ハイドロゲル技術を応用した EV の新規精製法である『EXORPTION(R)法※ 4 』を開発し、この手法を基に精製キット『EXORPTION(R) 』を開発しました。

『EXORPTION(R)』を用いることで、高純度な EV を手軽に精製・利用できるようになり、さまざまな疾患の早期診断や治療方針の決定につながるだけでなく、創薬開発などにも革新をもたらすことが可能と考えております。

【『EXORPTION(R)』概要】

製品名:EXORPTION(R)
精製原理:ハイドロゲル吸着法
価格: 80,000 円(税別)/1箱10 テスト入り

*本キットは研究用試薬のため、医療従事者・研究者を販売対象としています。

【コスモ・バイオ株式会社 製品情報サイト】
https://www.cosmobio.co.jp/product/detail/exorption-ev-purification-spin-column-kitsac.asp?entry_id=45796

【タカラバイオ株式会社 製品情報サイト】
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100009696

<参考>
※1 日薬理誌(folia pharmacol.Jpn) 149, 119~122 (2017)

※2 超遠心法
遠心分離によりエクソソームの分画を採取する方法。多くの医学研究でスタンダードとなっている手法で、多くの研究実績がある一方、大型の装置が必要であり、1検体の分離精製に時間がかかる等、産業応用には課題があるとされてます。

※3 ポリマー沈殿法
ポリマーを使ってエクソソームを沈殿精製する手法。安価・簡便であることが特徴です。しかし、一般的に沈殿物に夾雑物を多く含み、診断・治療への適用が難しいとされています。

※4 本精製法は、国立大学法人徳島大学大学院医歯薬学研究部保健学域生体機能解析学分野 冨永辰也教授、および同大学院社会産業理工学研究部理工学域 右手浩一教授らの研究グループとともに開発しました。

※5 アフィニティ法
抗体などを結合させた固定化担体へ EV を結合させ、夾雑物を洗い流した後に結合を外して回収する方法。親和性を利用して夾雑物と分離するため、一般に精製度は高いことが特長です。しかし、固定化担体を操作して分離するためスケールアップが難しく、EV を結合させる方式によっては最終精製物に試薬が混入することがあります。

以上

<本件に関するお問い合わせ先>
三洋化成工業株式会社
経営企画本部 広報部
電話 075-541-4312
https://www.sanyo-chemical.co.jp/

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