センサーデバイスやカメラモジュール、レンズ関連の市場を調査

2024/11/01  株式会社 富士経済 

第24101号

センサーデバイスやカメラモジュール、レンズ関連の市場を調査

― 2030年世界市場予測(2023年比) ―
●LiDAR(2D・3D) 7,200億円(6.5倍)
自動化・省人化を目的としたAGV需要の増加や自動運転車の普及により大幅拡大
●エリアイメージセンサー 3兆410億円(23.3%増)
スマートフォン向けの頭打ちが想定され、車載カメラなど自動運転関連への展開が進む

マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋 社長 田中 一志 03-3241-3490)は、スマートフォン向けの減速を受けて自動車やXR関連、産業分野などで新たな成長分野への展開を図るセンサーデバイスやカメラモジュール、その部材や装置の世界市場を調査した。その結果をその結果を「2024 イメージング&センシング関連市場総調査」にまとめた。

この調査では、半導体デバイス5品目、光学ユニット11品目、光学部品7品目、光学関連材料7品目、光学関連装置3品目の計33品目について最新の市場を捉え、将来を展望した。またデバイスを搭載したアプリケーション12品目についても動向をまとめた。

◆注目市場

●LiDAR(2D・3D)

水平方向のみのスキャンを行う2D LiDARや、垂直方向もスキャンして空間を認識する3D LiDAR を対象とする。

市場はAGV(無人搬送車)や半導体ウエハー搬送用のOHT(天井走行式無人搬送車)といった産業分野向けの2D LiDARを中心に形成されてきた。2021年から2022年には半導体不足、2023年はユーザーの在庫調整の影響を受けたが、2024年には在庫が正常化されつつあり、自動化・省人化を目的としたAGVやOHTの需要増により市場は前年比63.6%増の1,800億円が見込まれる。

自動運転のキーテクノロジーとして注目されていることから、今後は自動車向けが有望とみられる。2024年はさらに自動車向けの比率が高まり、将来的にも自動運転レベルの上昇に伴って自動車1台あたりの搭載数が増えると想定されるため、引き続き順調な成長が予想される。

●エリアイメージセンサー

シリコンベースのイメージセンサーを対象とする。スマートフォン向けが圧倒的に多く、その他にPC・周辺機器や監視カメラ、車載カメラなどの用途がある。

市場は、2022年から2023年にスマートフォン市場が苦戦したため成長が鈍化した。2024年からはスマートフォン市場が回復していくとみられ、センサーの大型化や積層タイプの増加による単価上昇もあって、市場は前年比12.2%増の2兆7,670億円が見込まれる。一方でカメラの多眼化トレンドが終息したため、数量ベースは回復は鈍い。

2030年の市場は3兆410億円が予測される。スマートフォン向けはセンサーの大型化や積層タイプの増加で堅調に成長していき、車載カメラ向けは自動車1台当たりのカメラ搭載数の増加や高機能化により伸びが予想される。スマートフォン向けの需要が頭打ちに近づくなか、安価かつ情報量の多いカメラは運転支援や自動運転化のキーデバイスであるため、今後の有望用途とみられる。

●車載カメラ用レンズユニット

車載カメラモジュールに搭載される製品を対象とし、ドライブレコーダー向けのレンズユニットは対象外とする。車載カメラモジュール市場と連動しており、車載カメラ搭載数の増加に伴って市場は拡大している。

2023年は自動車市場が堅調だったことやサラウンドカメラの搭載が進んだことで成長した。今後はADASや自動運転の普及などにより車載カメラの搭載もさらに増えていくとみられ、2030年の市場は2023年比91.7%増の2,415億円と予測される。近年スマートフォン向けにレンズを供給してきた中国メーカーが安価な製品を展開して採用を増やしているため単価は下落しており、市場の伸びは数量ベースを下回るとみられる。

●スマートグラス用導光板

スマートグラスで採用される導波路を対象とする。2015年ごろから各社により開発が進められ、2024年時点ではナノインプリントを用いたタイプが存在感を高めつつある。

市場は今後本格化していくとみられる。ナノインプリント系は現在主流のBirdBathと比較すると歩留まりや価格に課題があるが、性能面の優位性があるため、今後スマートグラス市場の成長に伴って拡大が予想される。

●短波赤外エリアイメージセンサー

波長帯として900~1,700nm帯(SWIR)および1,700~2,500mm帯域近傍(概ね2,350~2,550nm帯、eSWIR)までの短波赤外波長領域をカバーするエリアイメージセンサー(InGaAs、MCT、T2SLなど)を対象とする。

軍事・国防分野で多く採用されてきたが、近年民生分野に用途を広げつつある。製品価格が非常に高いため、用途は半導体ウエハー検査など、導入メリットが明確かつコスト吸収が可能なものに限定されており、2024年は生成AIをキーワードに半導体需要が旺盛であることを受けての成長が予想される。

現在、参入企業により三品産業(食品、医薬品、化粧品)向け検査や、プラスチック選別システムへの活用が模索されている。普及にはコスト面を始めとして課題があるものの、長期的にはデバイスの価格下落や導入実績の積み上げにより民生分野でも普及が期待される。

◆調査結果の概要

■イメージング・センシング関連市場の動向

市場は主体であるスマートフォン向けの拡大により成長してきたが、2022年から2023年にかけて在庫調整からスマートフォン市場が低迷した影響を受けた。スマートフォン市場は2024年には回復するとみられるが、高価格化による買い替えサイクルの長期化や中古機市場の成長、市場の成熟により今後は頭打ちとなっていくことが予想される。

光学業界では規模の大きいスマートフォン向けのビジネス展開を継続しつつ、成長が期待できる新たな有望分野での展開拡大を図っており、自動車やXR、産業分野(製造、検査、農業など)が特に有望とみられる。自動車分野では自動運転技術の進展に伴ってすでに活用されつつあるが、新分野での広がりには障壁もあることから急激な拡大は難しいとみられ、活用増加に向けた中長期的な取り組みが期待される。

今後の市場は、けん引役がスマートフォン向けから自動車向け、XR向け、産業分野向けへと置き換わりながらも着実に成長すると予想される。

◆調査対象

アプリケーション
・スマートフォン
・デジタル一眼カメラ
・交換レンズ
・ドローン
・ドライブレコーダー
・監視カメラ
・遠赤外カメラ
・内視鏡
・ヘッドマウントディスプレイ
・スマートグラス
・プロジェクター
・プリンター

デバイス・部材・装置
半導体デバイス
・エリアイメージセンサー
・リニアイメージセンサー(CIS・RO)
・短波赤外エリアイメージセンサー
・ToFセンサー
・赤外LED
光学ユニット
・小型カメラモジュール
・モバイル機器用レンズユニット
・モバイル機器用AF・OISアクチュエーター
・車載カメラモジュール
・車載カメラ用レンズユニット
・ヘッドライトシステム
・ヘッドアップディスプレイ
・LiDAR(2D・3D)
・マシンビジョンカメラ(エリア)
・マシンビジョンカメラ(リニア)
・バーコードリーダーモジュール
光学部品
・光学レンズ(ガラス・プラスチック)
・赤外カメラ用レンズ
・VR用接眼レンズ
・モバイル機器用光学フィルター
・ペリスコープカメラ用プリズム
・ウエハーレベルオプティクス
・スマートグラス用導光板
光学関連材料
・光学ガラス
・石英ガラス
・光学用フッ化カルシウム結晶
・レンズ用樹脂材料
・レンズ用コーティング材料
・光学接着剤
・イメージセンサー用シール剤
光学関連装置
・射出成形機
・光学薄膜形成装置
・ナノインプリント装置

2024/11/1

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