一次性免疫性血小板減少症の治療を一変させる可能性を持つmezagitamabの臨床第2b相試験の最新データの発表について

2024/06/24  武田薬品工業 株式会社 

一次性免疫性血小板減少症の治療を一変させる可能性を持つmezagitamabの 臨床第2b相試験の最新データの発表について

一次性免疫性血小板減少症の治療を一変させる可能性を持つmezagitamabの臨床第2b相試験の最新データの発表について

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June 24, 2024

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  • mezagitamab群において血小板数が迅速かつ持続的な改善を示し、最終投与(8週目)から16週目まで8週間持続1
  • mezagitamabの安全性と忍容性は概ね良好であり、新たな安全性シグナルの検出はなし1
  • 当社は、一次性免疫性血小板減少症の患者さんを対象としたmezagitamabの国際共同臨床第3相試験を2024年度下期に開始予定

当社は、2024年6月22日(米国時間)、持続性もしくは慢性の一次性免疫性血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病:ITP)の患者さんを対象としたmezagitamab(TAK-079)の安全性、忍容性および有効性を評価する臨床第2b相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験の良好な結果を発表しましたのでお知らせします。ITPは、血小板の破壊の亢進を特徴とする希少な免疫介在性出血性疾患で、血液中の血小板数の減少と消耗性出血の増加を引き起こします。これらのデータ(抄録番号LB01.1)は、タイ・バンコクで開催された第32回国際血栓止血学会(International Society on Thrombosis and Haemostasis Congress:ISTH)のLate-Breakthrough Sessionで発表されました。当社は、ITP患者さんを対象としたmezagitamabの国際共同臨床第3相試験を2024年度下期に開始する予定です。

TAK-079-1004試験(NCT04278924Go to https://clinicaltrials.gov/study/NCT04278924)は、慢性もしくは持続性のITP患者さんを対象に、3つの用量(100 mg、300mgおよび600 mg)を週1回、8週間にわたり皮下投与した後に8週間を超えて安全性追跡調査を行い、プラセボと比較評価しました1。主要評価項目は、グレード3以上の有害事象、重篤な有害事象、および投与中止に至った有害事象を含む、試験治療下で有害事象を発現した患者さんの割合です2。副次評価項目は、血小板反応、血小板反応の完全寛解、臨床的に意義のある血小板反応、止血血小板反応です1,2

臨床第2b相試験の結果、評価した3つの用量すべてにおいて、プラセボと比較してmezagitamabの投与により、血小板反応が大幅に改善することが示されました。mezagitamab群では、血小板数の迅速かつ持続的な増加(治療閾値50,000/μL以上)が認められ4、その効果が最終投与(8週目)から16週目まで8週間持続したことから、血小板反応が迅速かつ治療後の効果も示されました1

  • 評価した血小板反応におけるすべての指標は、mezagitamab 600mg群で最も高く、具体的には、81.8%が血小板反応の完全寛解、90.9%が臨床的に意義のある血小板反応、100%が止血血小板反応を達成しました1
  • 疾患活動性に関連した出血性の有害事象が1件以上発現した患者さんは、mezagitamab群の方がプラセボ群よりも少ない結果となりました(17.9%対46.2%)1

ITPの第一人者であり、本試験の発表者であるDavid Kuter, M.D., D.Phil.はISTHのLate-Breakthrough Sessionにおいて、「現在利用可能な治療法があるにもかかわらず、ITP患者さんの疾患負荷が依然として大きく、ITP患者さんが忍容できる疾患修飾治療が必要とされています。今回の臨床第2b相試験の結果は、mezagitamabが有効性および安全性プロファイルが良好であることを示しており、ITPにおいてベスト・イン・クラスの有効性を示す可能性を有するこの抗CD38モノクローナル抗体について、さらなる臨床的エビデンスを得る準備が整いました」と述べています。

本試験は、ITP患者さんにおいてmezagitamabの安全性および忍容性プロファイルが良好であることを示しており、新たな安全性シグナルは検出されず、安全性プロファイルはこれまでに実施されたmezagitamabの試験と一致していました1。mezagitamab群とプラセボ群で、投与中止に至った有害事象、グレード3以上の有害事象、および重篤な有害事象はそれぞれ、14.3%と0%、17.9%と23.1%、および14.3%と7.7%でした1

当社のVice PresidentでありFranchise Global Program LeaderであるObi Umeh, M.D., M.Sc.は、 「今回の臨床第2b相試験の結果を、ISTHでLate-Breaking Abstractとしての発表に選んでいただけたことを光栄に思います。これらの結果に基づき、当社は2024年度下期にITP患者さんを対象としたmezagitamabの臨床第3相試験を開始する予定であり、アンメットニーズの高い治療領域で革新的な医薬品を創出するという当社の目標に向け、さらに取り組んでまいります」と述べています。

mezagitamabについて

mezagitamabは完全ヒト免疫グロブリンIgG1モノクローナル抗体(mAb)であり、CD38発現細胞(形質芽細胞、形質細胞、ナチュラルキラー細胞を含む)に高い親和性を有し、これらの細胞を減少させます。mezagitamabによる治療は、血小板反応の迅速かつ持続的な改善をもたらすようデザインされており、通常、血小板数を正常な機能が得られるレベルまで回復させます。

mezagitamabはこれまでに、米国食品医薬品局(FDA)からITPの治療薬として希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)指定、慢性/持続性ITPの治療薬としてファストトラック指定を受けています。mezagitamabは、どの医薬品規制当局からも使用が承認されていない治験薬です。

ITPの患者さんを対象としたmezagitamabの臨床第2b相試験について

ISTHのLate-Breakthrough Sessionで発表されたデータは、持続性もしくは慢性のITP患者さんを対象としたmezagitamab(TAK-079)の安全性、忍容性および有効性を評価する臨床第2b相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験の事前に規定された中間解析によるものです。本試験は2つのパートからなり、パートAでは25例をmezagitamab 100mg、300mg、またはプラセボに無作為に割り付け(1:1:1)、パートBでは16例をmezagitamab 600mgまたはプラセボに無作為に割り付けました(2:1)。被験者にmezagitamabまたはプラセボを週1回、8週間にわたり皮下投与した後に、8週間を超えて安全性追跡調査を行いました。

主要評価項目は、グレード3以上の有害事象、重篤な有害事象、および投与中止に至った有害事象を含む、試験治療下で有害事象を発現した患者さんの割合です。副次評価項目には以下が含まれます:血小板反応(血小板数が50,000/μL以上かつベースラインから20,000/μL以上の増加)、血小板反応の完全寛解(血小板数が100,000/μL以上)、臨床的に意義のある血小板反応(血小板数がベースラインから20,000/μL以上増加)、止血血小板反応(ベースラインの血小板数が15,000/μL未満で血小板数が30,000/μL以上かつベースラインから20,000/μL以上増加した被験者)2。すべての副次評価項目について、過去4週間に治験薬投与期間中に許容される救済治療を受けておらず、かつ直近に他の救済治療も受けていない状況において、2回以上の来院時に血小板数の基準を達成しなければならないとしています2

ITPについて

ITPは希少なIgG介在性自己免疫疾患であり、出血防止や止血を担う血液細胞である血小板(および/または巨核球)に対する自己抗体の発現によって部分的に引き起こされる疾患です。血小板の(血小板産生障害の有無にかかわらず)破壊亢進を特徴とし、その結果、血小板数が減少し、出血のリスクが高まります。出血のリスクが高まると、身体の衰弱(疲労や生活の質(QOL)の低下など)につながる可能性があり、重症例では生命が脅かされる場合もあります。

これまでのITPを適応とした新薬の承認の取得事例より、持続的に血小板数を50,000/μL以上に維持する必要があります。ITP患者さんの約20%は、第一選択薬および第二選択薬による治療を受けても血小板数が50,000/μL以上に達しないため、患者さんへの負担が大きいことから、忍容性の高い治療薬に対するアンメットニーズが残っています3,4

武田薬品について

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細についてはhttps://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

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医療情報

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References

  1. Mezagitamab (TAK-079) ITP Ph2b ISHT abstract (LB01.1). Safety, tolerability, and efficacy of mezagitamab (TAK-079) in chronic or persistent primary immune thrombocytopenia: Interim results from a phase 2, randomized, double-blind, placebo-controlled study. Presented at International Society on Thrombosis and Haemostasis (ISTH) Congress, June 22–26, 2024 Bangkok, Thailand.
  2. https://clinicaltrials.gov/study/NCT04278924Go to https://clinicaltrials.gov/study/NCT04278924. Accessed June 2024.
  3. Provan D, Donald A, et al. Blood Advances. 2019;26;3(22):3780-3817.
  4. Rodeghiero F. International Journal of Hematology. 2023;117:316–33.

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