『2024年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望』まとまる(第24067号・市場概況)

2024/07/22  株式会社 富士キメラ総研 

『2024年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望』まとまる(2024/7/22発表 第24067号:市場概況)

プラスチックフィルム・シート市場を調査

■2027年予測(2023年比)
■フィルム代替紙製品(国内) 35億円(75.0%増)
食品包装・容器を中心に脱プラスチックニーズを受けて拡大
■プラスチックフィルム・シート41品目の国内市場 1兆8,026億円(6.2%増)
値上げやディスプレイ市況に影響を受けた品目の回復により拡大

マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、主要な販売先である食品業界の過剰在庫抑制や、脱プラスチックニーズの高まりによる薄膜化、値上げに伴いユーザーが安価な製品へ切り替えを進めるといった縮小要因があるものの、フィルム代替紙製品や、生分解性プラスチックフィルム・シートなどの伸び、また、値上げの影響や新興国での需要増加で拡大が予想されるプラスチックフィルム・シートの市場を調査した。その結果を「2024年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望」にまとめた。
この調査では、プラスチックフィルム・シート41品目の最新市場を調査し、将来を展望した。また環境対応素材の採用動向、再利用やリサイクルへの取り組みについて今後発表する。

■注目市場
■フィルム代替紙製品

ヒートシール紙とバリアコート紙を対象とする。51%以上が紙で構成されているため、使用したパッケージには紙マークを付与することが可能である。技術的には以前から可能であったが、コスト面の課題や紙パッケージ化の必要性が低かったため、製品化は進んでいなかった。しかし近年、脱プラスチックニーズの高まりを背景に、菓子・土産物向けから製品化が進み、化粧品包装やホテルアメニティ包装などへも用途が広がりつつある。
国内では2019年に「キットカット」(ネスレ日本)でヒートシール紙が採用されたことをはじめ、大手CVSのデザートやサンドイッチのパッケージ採用もあり、市場拡大が続いている。CVS各社は2030年までに自社開発商品の50%で何らかの環境対応製品を採用することを目指しており、今後も採用が増えることが予想される。市場はヒートシール紙が大勢を占め、バリアコート紙は2023年時点の規模は小さいが、今後新規採用が増えていくとみられる。コストの高さや、シワになりやすいといった課題があるものの、メーカーや流通業者の環境対応への注力度は年々高まっていることから、今後代替が進んでいくと予想される。
海外は、ヒートシール紙を中心とした市場であり、環境意識の高い欧州や北米を中心として拡大傾向にある。またNesthleなど脱プラスチックへの取り組みに積極的なユーザーにより、紙パッケージ化の取り組みが進んでいる。
■調査結果の概要
1. プラスチックフィルム・シート41品目の国内市場
2023年2022年比2027年予測2023年比
汎用樹脂1兆2,141億円101.2%1兆2,781億円105.3%
エンプラ、他4,836億円101.2%5,246億円108.5%
合計1兆6,977億円101.2%1兆8,026億円106.2%
※国内市場は世界市場の内数
※市場データは四捨五入している
2021年以降、原料や電気料金などのユーティリティコスト、輸送費の高騰などを背景に、すべてのフィルム・シートで複数回の値上げが行われているため、市場は拡大が続いている。一方で数量ベースでは2022年は在庫過多によるディスプレイ市場の不調、2023年は前年に値上げの影響を避けるため、ユーザー企業が前倒し購入を行った反動や、最終製品の値上げによる消費低迷、また複数の製品でサプライチェーンの混乱による前倒し発注により、在庫過多になったことなどで苦戦した。2024年は在庫調整の影響が落ち着き、数量ベースでも前年を上回るとみられる。
今後は、値上げの影響に加え、ディスプレイ市況に影響を受けたCOP・COCフィルムやPETフィルム(光学用)の回復や、CVSの冷凍食品向けやレンジ対応食品向けが伸びているPP系シートの堅調が予想される。さらにフィルム代替紙製品、生分解性プラスチックフィルム・シートなどの脱プラスチックニーズに対応した製品の拡大もあり、市場は微増が続くとみられる。一方で主な用途である食品包装・容器の薄肉化の進展に加え、フードロス対策で食品自体の生産量が減少することが想定されるため、数量ベースでは微減が予想される。
2. プラスチックフィルム・シート41品目の世界市場
2023年2022年比2027年予測2023年比
汎用樹脂28兆9,937億円113.7%35兆5,133億円122.5%
エンプラ、他4兆9,966億円111.5%6兆2,950億円126.0%
合計33兆9,903億円113.4%41兆8,083億円123.0%
市場は、新型コロナウイルス感染症流行の影響で、各地で最終製品の工場が休業したことなどから2020年に縮小したが、2021年以降は企業活動の再開に加え値上げの影響もあって伸びが続いている。
環境対応のため、レジ袋の禁止・有料化や素材の切り替え、薄肉化といった動きがみられ、市場への影響が懸念される一方で、リサイクル対応に向けてモノマテリアル包材を実現できる製品や、バイオ原料、生分解性原料などの環境対応製品のニーズが増している。また、新興国では、これまで使用されていなかった食品容器・包装の需要増加を始め、建材、エレクトロニクス、メディカルなどの分野でも、経済成長や人口増加に連動して需要が増すため、各種フィルム・シートの市場は拡大していくとみられる。
内容の詳細につきましては『2024年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望』をご覧ください。
■報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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