『2024年 自動運転・AIカー市場の将来展望』まとまる(第24075号)

2024/08/09  株式会社 富士キメラ総研 

『2024年 自動運転・AIカー市場の将来展望』まとまる(2024/8/9発表 第24075号)

自動運転車の生産台数を長期予測

■自動運転車の世界生産台数 2045年予測(2024年見込比)
■レベル3車両 2,409万台(80.3倍)
■レベル4/5車両 2,793万台
レベル3以上は、2024年は30万台だが、2035年以降普及が本格化し、2045年には生産台数の過半数を占める
■注目市場 2045年予測(2023年比)
■自動運転ドメインコントローラー/ビークルコンピューター 2兆7,655億円(16.1倍)
2030年以降、次世代E/Eアーキテクチャーの搭載率が上昇するため市場拡大
■LIDAR 3兆6,476億円(76.3倍)
2025年以降レベル3以上の車両が急増し、市場拡大

マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、ヒューマンエラーの防止や事故ゼロを目的に、2024年は自動車生産台数の約半数がレベル2の機能を搭載し、長期的にはレベル3以上の普及が予想される、自動運転車の世界市場を調査した。その結果を「2024年 自動運転・AIカー市場の将来展望」にまとめた。
この調査では、自動運転車市場をレベル別・エリア別で捉えるとともに、自動運転を実現するためのAI技術や自動運転に必要な自動運転制御製品9品目、コックピット関連製品4品目、セーフティ関連製品10品目の市場を把握し、自動運転・AIカー市場の将来を予想した。

■調査結果の概要
■自動運転車レベル2以上の生産台数

自動運転車の生産台数は2024年にレベル2が4,513万台、レベル3が30万台と見込まれる。現在は、レベル3に対する法制度が進まない地域があることや事故時の責任所在の関係から、レベル2が主流である。ただし、中国ではレベル3の生産が先行して進んでいる。
自動車メーカーは、自動運転に関する法整備を含む将来的なインフラ整備を想定し、無線通信経由でデータを送受信してソフトウェアの更新などを行うOTA(Over The Air)によって自動運転レベルを上げられる車種の展開を増やしているため、今後はレベル3以上の普及が進むとみられる。法整備の進展や自動運転技術の向上により2035年以降普及が本格化し、2045年には自動車生産台数の過半数がレベル3以上になると予想される。
■自動運転車レベル3以上のエリア別生産台数
2024年見込2030年予測2045年予測
日本僅少19万台423万台
欧州僅少86万台942万台
北米僅少40万台757万台
中国30万台264万台2,294万台
その他僅少27万台786万台
中国での生産が先行している。中国では、中国工業情報省が2023年にICV(Intelligent Connected Vehicle)に関する長期的な戦略を発表し、2024年6月には、一定の条件下でレベル3の公道試験を自動車メーカーなど9社に承認した。新興メーカーを含め、自動運転に関する装備を搭載した車両の展開が増えていることから、中国での生産が加速するとみられる。
今後も、中国ではレベル3と4の搭載車両の走行試験を強化するとみられ、市場拡大をけん引していくが、欧州や北米でも需要が増え、生産が増加すると予想される。日本では、OTAによるソフトウェアのアップデートでレベル3への移行が可能とみられる車両が販売されていることや、開発が進むレベル3のシステムが2025年頃から搭載されることなどから、徐々に伸長するとみられる。
■注目市場
■自動運転ドメインコントローラー/ビークルコンピューター
2024年見込2023年比2045年予測2023年比
2,201億円127.9%2兆7,655億円16.1倍
自動運転の全機能を統合制御・管理するECUである自動運転ドメインコントローラーと、特定領域で区別することなく自動車の全機能を統合制御・管理するECUであるビークルコンピューターを対象とする。自動運転車1台当たり1個搭載される。
レベル2以上かつドメイン型E/Eアーキテクチャーやゾーン型E/Eアーキテクチャーといった次世代E/Eアーキテクチャーを採用する車両に搭載され、2024年の市場は2,201億円が見込まれる。
今後は、システムの高度化に伴う採用増加が予想される。2030年以降はレベル3以上の自動運転車が増加するため、新車生産台数に対する次世代E/Eアーキテクチャーの搭載率は、2030年で15~30%、2045年頃には70~80%まで上昇すると予想され、長期的にも市場は拡大するとみられる。
■LIDAR
2024年見込2023年比2045年予測2023年比
936億円195.8%3兆6,476億円76.3倍
レーザー光を周囲に照射し物体に当たり跳ね返ってくるまでの時間から物体の有無や距離、方向などを測定する製品で、高度な自動運転システムにおいて、リアルタイムに対向車や歩行者、障害物の存在を把握するために搭載される。
2024年は、前年比95.8%増の936億円が見込まれる。ロボットタクシーサービスの増加と中国でNoA(Navigation on Autopilot)と呼ばれる自動運転車が発売され、それらに搭載されたことから市場は急拡大している。
2025年以降は、日系や欧米系自動車メーカーによるレベル3以上の車両展開も予想される。レベル2では2個までの搭載が多いが、レベルが上がるにつれ、詳細な周辺環境データが必要になり搭載数は増加することから、引き続き市場は拡大するとみられる。また、1個当たりの製品コストが高い点が課題であり、今後の対応が望まれる。
内容の詳細につきましては『2024年 自動運転・AIカー市場の将来展望』をご覧ください。
■報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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