2022年12月02日
令和4年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」の第四次採択案件の決定について
令和4年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業(以下、「本事業」という)」の第四次採択案件として、令和4年7月1日に公表した第一次採択案件の16件、令和4年8月9日に公表した第二次採択案件の4件、令和4年9月29日に公表した第三次採択案件の5件に加え、今般、新たに4件を選定しました。これまでに本事業により採択した案件による2030年までの累積温室効果ガス(GHG)削減量は、約1,951万トンCO2を見込んでいます。
今後も、「地球温暖化対策計画(令和3年10月閣議決定)」等に基づき、「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)」を通じた環境インフラの海外展開を一層強力に促進していきます。
【添付資料】
・環境省JCM資金支援事業案件一覧(2013~2022年度)
1.事業内容
本事業は、優れた脱炭素技術等を活用し、途上国等における温室効果ガス(GHG)排出量を削減する事業を実施し、測定・報告・検証(MRV)を行っていただく事業に対して、初期投資費用の1/2を上限として補助を行います。
途上国等における温室効果ガス(GHG)の排出を削減するとともに、JCMを通じて我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成に活用することを目的とします。また、「地球温暖化対策計画(令和3年10月閣議決定)」、「環境省 COP26後の6条実施方針(令和3年11月環境省発表)」、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップ(令和4年6月閣議決定)」等に沿って、相手国のニーズを深く理解した上で先進的な脱炭素技術等を普及・展開することにより、世界の脱炭素化に貢献することが期待されています。
2.採択した案件の概要
「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」の執行団体である(公財)地球環境センター(GEC)が令和4年4月6日(水)~同年11月30日(水)正午まで日本の民間企業等を対象に公募を行ってきました。
この度、書面審査、ヒアリングによる二次審査及びその結果を踏まえた採否審査を実施し、下記のとおり、令和4年7月1日に公表した第一次採択案件の16件、同年8月9日に公表した第二次採択案件の4件、同年9月29日に公表した第三次採択案件の5件に加え、4件を第四次採択分として選定しました。
今後、交付決定の手続等を進め、JCMの実施に向けた手続きを進めていきます。
<第四次採択分の選定事業>
No. |
パートナー国 |
プロジェクト名 |
代表事業者 |
想定GHG削減量(tCO2/年) |
26 |
ベトナム |
チャビン省ズエンハイ県における48MW洋上風力発電プロジェクト |
自然電力株式会社 |
36,597 |
27 |
ベトナム |
自動車部品工場及び建材工場への1.8MW屋根置き太陽光発電システムの導入による電力供給事業 |
関西電力株式会社 |
815 |
28 |
ラオス |
配電網へのアモルファス高効率変圧器の導入II |
裕幸計装株式会社 |
2,121 |
29 |
フィリピン |
ネグロス島北部における5.6MW地熱バイナリー発電プロジェクト |
日揮グローバル株式会社 |
9,728 |
【参考1】 令和4年度の本事業第一次採択案件(令和4年7月1日報道発表)
https://www.env.go.jp/press/press_00054.html
No. |
パートナー国 |
プロジェクト名 |
代表事業者 |
想定GHG削減量(tCO2/年) |
1 |
ケニア |
食品加工施設への3.1MW屋根置き太陽光発電システムの導入 |
株式会社AAIC Japan |
2,454 |
2 |
ケニア |
養鶏場・食肉加工施設・バッテリー工場への2.3MW屋根置き太陽光発電システムの導入 |
株式会社AAIC Japan |
1,735 |
3 |
ベトナム |
ハウジャン省における20MWバイオマス発電事業 |
イーレックス株式会社 |
36,814 |
4 |
ベトナム |
ビントゥアン省における16MW小水力発電プロジェクト |
株式会社兼松KGK |
16,910 |
5 |
ベトナム |
自動車部品工場及び衣料品製造工場への7.9MW屋根置き太陽光発電システム導入による電力供給事業 |
関西電力株式会社 |
2,634 |
6 |
ベトナム |
アルミホイール製造工場への0.4MW屋根置き太陽光発電システムの導入(JCMエコリース事業) |
三井住友トラスト・パナソニック ファイナンス株式会社 |
156 |
7 |
インドネシア |
化学工場への高効率貫流ボイラの導入 |
DIC株式会社 |
1,652 |
8 |
タイ |
タイヤ工場へのガスコージェネレーションシステム及び22MW屋根置き太陽光発電システムの導入 |
関西電力株式会社 |
31,652 |
9 |
タイ |
板ガラス製造工場へのORC廃熱回収発電設備の導入 |
AGC株式会社 |
7,845 |
10 |
タイ |
部品工場及び工具製造工場への4.3MW屋根置き太陽光発電システムの導入による電力供給事業 |
関西電力株式会社 |
1,926 |
11 |
タイ |
金属加工工場及び冷凍倉庫への2.9MW屋根置き太陽光発電システムの導入による電力供給事業 |
大阪ガス株式会社 |
1,150 |
12 |
タイ |
金属リサイクル・自動車部品工場への1MW屋根置き太陽光発電システム導入による電力供給事業 |
丸紅株式会社 |
403 |
13 |
フィリピン |
マハナグドン地熱発電所における28MWバイナリー発電プロジェクト |
日揮グローバル株式会社 |
76,220 |
14 |
フィリピン |
ミンダナオ島シギル川における14.5MW小水力発電プロジェクト |
豊田通商株式会社 |
47,349 |
15 |
フィリピン |
窯業・セメント工場への9MW太陽光発電システムの導入による電力供給事業 |
丸紅株式会社 |
5,957 |
16 |
フィリピン |
アルミニウム製品・包装資材・車両部品工場への0.8MW太陽光発電システムの導入(JCMエコリース事業) |
東京センチュリー株式会社 |
544 |
【参考2】 令和4年度の本事業第二次採択案件(令和4年8月9日報道発表)
https://www.env.go.jp/press/press_00394.html
No. |
パートナー国 |
プロジェクト名 |
代表事業者 |
想定GHG削減量(tCO2/年) |
17 |
インドネシア |
車両・エンジン工場への5MW太陽光発電システムの導入 |
トヨタ自動車株式会社 |
3,788 |
18 |
チリ |
マウレ州及びニュブレ州の農地を活用した6MW太陽光発電プロジェクト |
ファームランド株式会社 |
4,400 |
19 |
タイ |
果物加工品工場における有機廃水から生成するバイオガスとバイオマスの混焼による熱供給及びメタン回避事業 |
株式会社ドール |
43,343 |
20 |
タイ |
プラスチック容器工場及び化粧品工場への1.6MW太陽光発電システムの導入(JCM エコリース事業) |
東京センチュリー株式会社 |
595 |
【参考3】 令和4年度の本事業第三次採択案件(令和4年9月29日報道発表)
https://www.env.go.jp/press/press_00631.html
No. |
パートナー国 |
プロジェクト名 |
代表事業者 |
想定GHG削減量(tCO2/年) |
21 |
ベトナム |
ファスナー工場及びアルミニウム工場への5.7MW屋根置き太陽光発電システムの導入 |
丸紅株式会社 |
1,416 |
22 |
インドネシア |
ジャワ島における日用消費財工場及び印刷工場への3.1MW屋根置き太陽光発電システムの導入 |
アラムポート株式会社 |
2,658 |
23 |
インドネシア |
鋼線製品工場及びアルミニウム工場への2.1MW太陽光発電システムの導入 |
東京センチュリー株式会社 |
1,747 |
24 |
チリ |
ビオビオ州ユンガイ市における9MW第2太陽光発電プロジェクト |
株式会社ユーラスエナジーホールディングス |
8,342 |
25 |
チリ |
マウレ州テノ市における9MW太陽光発電プロジェクト |
株式会社ユーラスエナジーホールディングス |
8,239 |
【参考4】 地球温暖化対策計画(令和3年10月閣議決定)におけるJCMの位置付け
途上国等への優れた脱炭素技術、製品、システム、サービス、インフラの普及や対策実施を通じ、実現したGHG排出削減・吸収への我が国の貢献を定量的に評価するとともに、我が国のNDCの達成に活用するため、JCMを構築・実施していく。これにより、官民連携で2030年度までの累積で、1億t-CO2程度の国際的な排出削減・吸収量の確保を目標とする。
令和4年10月25日現在のパートナー国は、モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオス、インドネシア、コスタリカ、パラオ、カンボジア、メキシコ、サウジアラビア、チリ、ミャンマー、タイ、フィリピン、セネガル、チュニジア、アゼルバイジャン、モルドバ、ジョージア、スリランカ、ウズベキスタン及びパプアニューギニアの25か国。
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/keikaku/211022.html 【参考5】 環境省 COP26後の6条実施方針(令和3年11月発表)
国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において、パリ協定6条(市場メカニズム)ルールの大枠が合意された。市場メカニズムを活用した世界での排出削減が進展することが期待される。6条ルール交渉をリードし、世界に先駆けてJCMを実施してきた我が国として、以下3つのアクションを通じて、世界の脱炭素化に貢献する。
<3つのアクション>
- JCMのパートナー国の拡大と、国際機関と連携した案件形成・実施の強化
- 民間資金を中心としたJCMの拡大
- 市場メカニズムの世界的拡大への貢献
https://www.env.go.jp/annai/kaiken/files/r04/cop26%206jou.pdf 【参考6】 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップ(令和4年6月閣議決定)(抄)
JCMの拡大のため、2025年を目途にパートナー国を30か国程度とすることを目指し、関係国との協議を加速するとともに、2022年度に民間資金を中心とするJCMプロジェクトの組成ガイダンスを策定し普及を行う。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/fu2022.pdf 添付資料
連絡先
環境省 地球環境局 国際脱炭素移行推進・環境インフラ参事官室
- 代表
- 03-3581-3351
- 直通
- 03-5521-8246
- 参事官
- 水谷 好洋
- 国際企画官
- 小圷 一久
- 参事官補佐
- 増田 正悟
- 担当
- 柏栁 太郎