日鉄物産株式会社株式(証券コード9810)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ

2023/03/10  日本製鉄 株式会社 

2023 年3月 10 日
日本製鉄株式会社

日鉄物産株式会社株式(証券コード 9810)に対する
公開買付けの開始に関するお知らせ


日本製鉄株式会社(以下「公開買付者」といいます。)は、2022 年 12 月 21 日付「日鉄物産株式会社株式(証券コード 9810)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(以下「2022 年 12 月 21 日付公開買付者プレスリリース」といいます。)にて公表しておりましたとおり、2022 年 12 月 21 日開催の取締役会において、日鉄物産株式会社(証券コード:9810、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場、以下「対象者」といいます。)の普通株式(以下「対象者株式」といいます。)を金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号。その後の改正を含みます。以下「法」といいます。)に基づく公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得することを決議しておりました。

本公開買付けは、国内外(日本、中国、台湾、トルコ、メキシコ、米国及びベトナム)の競争法に基づく必要な手続及び対応に一定期間を要することが見込まれることから、当該手続及び対応が完了すること等一定の前提条件(詳細は、下記の(注1)をご参照ください。かかる前提条件を、以下「本前提条件」といいます。)が充足された場合(又は公開買付者により放棄された場合)に速やかに開始することを予定しており、公開買付者は、2023 年2月下旬を目途に本公開買付けを開始することを目指しておりましたが、2023年2月 27 日付「日鉄物産株式会社株式(証券コード 9810)に対する公開買付け実施に向けた進捗状況のお知らせ」(以下「2023 年2月 27 日付公開買付者プレスリリース」といいます。)にて公表しておりましたとおり、国内外の競争法に基づく手続及び対応のうち、一部の国における競争法に基づく手続及び対応が完了しておらず、当該時点においては、本公開買付けを開始する時期は、2023 年3月中になるものと見込んでおりました。今般、公開買付者は、国内外(日本、中国、台湾、トルコ、メキシコ、米国及びベトナム)の競争法上のクリアランスの取得を含む本前提条件が全て充足されたことを確認したことから、2023 年3月 10 日、本公開買付けを 2023 年3月 13 日から開始することといたしましたので、お知らせいたします。(注1)「本前提条件」とは、①本取引(下記「1.買付け等の目的等」の「(1)本公開買付けの概要」に定義します。以下同じです。)の実行に必要な競争法上のクリアランスの取得が完了(注2)していること、②対象者の取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見表明を行い、かつ、対象者の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議がなされ、本公開買付けの開始時点においてもそれが変更、追加又は修正されず有効であること、③本取引の検討を行った対象者の特別委員会が、対象者の取締役会に対して、本公開買付けに賛同すること、対象者の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨すること及び本取引を行うことについて、肯定的な内容の答申を提出し、本公開買付けの開始時点においても当該答申の内容が変更、追加又は修正されず有効であること、④本株主間契約(下記「1.買付け等の目的等」の「(1)本公開買付けの概要」に定義します。以下同じです。)が有効に締結され存続していること、⑤本株主間契約に定める、三井物産株式会社(以下「三井物産」といいます。)の表明及び保証(注3)が、いずれも重要な点において真実かつ正確であること、⑥本取引のいずれかが法令等に違反するものではなく、また、司法・行政機関等に対して、本取引のいずれかを制限又は禁止することを求める旨のいかなる申立て、訴訟又は手続も係属しておらず、本取引のいずれかを制限又は禁止する旨のいかなる司法・行政機関等の判断等も存在しておらず、かつ、その具体的なおそれもないこと、⑦対象者によって公表(法第 166 条第4項)されていない対象者の業務等に関する重要事実(法第 166 条第2項)が存在しないこと、⑧法第 27 条の 11 第1項ただし書に定める対象者又はその子会社の業務又は財産に関する重要な変更その他の本公開買付けの目的の達成に重大な支障となる事情が生じていないこと、並びに⑨その他本取引の実行が客観的に不可能又は著しく困難となる事情が発生又は判明していないことをいいます。

(注2)日本、中国、台湾、トルコ、メキシコ、米国及びベトナムにおける競争法上の届出に係る承認又は待機期間の満了をいいます。

(注3)本株主間契約に基づく、三井物産による表明及び保証の内容については、下記「1.買付け等の目的等」の「(6)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。



1.買付け等の目的等

(1)本公開買付けの概要

公開買付者は、本日現在、東京証券取引所プライム市場に上場している対象者株式 11,141,529 株(所有割合(注1):34.54%)を直接所有する対象者の筆頭株主であり、公開買付者の完全子会社である日鉄建材株式会社(所有株式数 129,800 株、所有割合:0.40%)、日鉄物流株式会社(所有株式数 8,400 株、所有割合:0.03%)及び日鉄SGワイヤ株式会社(所有株式数 4,400 株、所有割合:0.01%)、並びに公開買付者の連結子会社である王子製鉄株式会社(所有株式数 20,000 株、所有割合:0.06%)、山陽特殊製鋼株式会社(所有株式数 7,700 株、所有割合:0.02%)及び日鉄セメント株式会社(所有株式数 4,400 株、所有割合:0.01%)を通じた間接所有分と合わせて対象者株式 11,316,229 株(所有割合:35.08%)を所有(注2)することにより対象者を持分法適用関連会社としております。

(注1)「所有割合」とは、対象者が 2023 年2月 14 日に提出した第 46 期第3四半期報告書(以下「対象者第3四半期報告書」といいます。)に記載された 2022 年 12 月 31 日現在の発行済株式総数(32,307,800 株)から、対象者が公開買付者に通知した同日現在の対象者が所有する自己株式数(50,533 株)を控除した株式数(32,257,267 株)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の記載について同じとします。

(注2)公開買付者は、日鉄建材株式会社、日鉄物流株式会社、日鉄SGワイヤ株式会社、王子製鉄株式会社、山陽特殊製鋼株式会社及び日鉄セメント株式会社との間でその所有する対象者株式(174,700 株)について、本公開買付けに応募する意向があることを確認しております。

公開買付者は、2022 年 12 月 21 日付公開買付者プレスリリースにて公表しておりましたとおり、2022年 12 月 21 日開催の取締役会において、対象者株式の全て(ただし、公開買付者及び三井物産が所有する対象者株式並びに対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得し、対象者を連結子会社とすること、並びに対象者の株主を公開買付者及び三井物産のみとし、対象者株式の非公開化後における対象者に対する公開買付者及び三井物産の議決権所有比率をそれぞれ 80.00%及び 20.00%(以下「本議決権比率」といいます。)とすることを目的とした一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、国内外(日本、中国、台湾、トルコ、メキシコ、米国及びベトナム)の競争法上のクリアランスの取得が全て完了すること等本前提条件が充足された場合(又は公開買付者により放棄された場合)、本公開買付けを実施することを決議しておりました。

公開買付者は、2023 年2月下旬を目途に本公開買付けを開始することを目指しておりましたが、2023年2月 27 日付公開買付者プレスリリースにて公表しておりましたとおり、国内外の競争法に基づく手続及び対応のうち、一部の国における競争法に基づく手続及び対応が完了しておらず、当該時点においては、本公開買付けを開始する時期は、2023 年3月中になるものと見込んでおりました。今般、公開買付者は、2023 年3月10日に、以下のとおり本前提条件が全て充足されたことを確認したことから、2023 年3月10日、本公開買付けを 2023 年3月 13 日から開始することといたしました。

① 国内外(日本、中国、台湾、トルコ、メキシコ、米国及びベトナム)の競争法上のクリアランスの取得について、公開買付者は、2023 年2月 28 日に、2023 年2月 27 日(現地時間)付で、メキシコ連邦経済競争委員会から発出された本公開買付けによる対象者株式の取得(以下「本株式取得」といいます。)を承認する文書を受領したことをもって、本取引の実行に必要な競争法上のクリアランスの取得が完了し、本株式取得を実行することが可能となったことを確認いたしました。

② 公開買付者は、対象者より、2023 年3月 10 日開催の取締役会において、改めて、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対し、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議がなされ、それが変更、追加又は修正されず有効である旨の報告を受け、2023 年3月 10 日に、当該決議がなされ、それが変更、追加又は修正されず有効であることを確認いたしました。

③ 公開買付者は、対象者より、対象者の特別委員会が、2022 年 12 月 21 日以後、2023 年3月 10 日までの事情を勘案しても本公開買付けに賛同すること、対象者の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨すること及び本取引を行うことについて、肯定的な内容の答申を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2023 年3月 10 日に、委員全員の一致の決議により、対象者取締役会に対して、上記答申内容を変更する必要はないものと考える旨の追加答申書(以下「2023 年3月 10 日付答申書」といいます。)を提出し、かつ、当該答申の内容が変更、追加又は修正されず有効である旨の報告を受け、2023 年3月 10 日に、当該答申が対象者取締役会に提出され、かつ、当該答申の内容が変更、追加又は修正されず有効であることを確認いたしました。

④ 2023 年3月 10 日時点において、本株主間契約は、有効に締結され存続しております。

⑤ 公開買付者は、2022 年12 月21 日以降2023 年3月10 日まで、三井物産より、本株主間契約に定める、三井物産の表明及び保証の違反の事実又はそれらの具体的なおそれを認識した旨の通知を受領していないことから、2023 年3月 10 日時点において、当該表明及び保証は、いずれも重要な点において真実かつ正確であると判断いたしました。

⑥ 公開買付者は、対象者より、2023 年3月 10 日時点において、司法・行政機関等に対して、本取引のいずれかを制限又は禁止することを求める旨のいかなる申立て、訴訟又は手続も係属しておらず、本取引のいずれかを制限又は禁止する旨のいかなる司法・行政機関等の判断等も存在しておらず、かつ、その具体的なおそれもない旨の報告を受け、同日、当該事由は生じていないと判断いたしました。

⑦ 公開買付者は、対象者より、2023 年3月 10 日時点において、対象者によって「公表」されていない対象者の「業務等に関する重要事実」が存在しない旨の報告を受け、同日、対象者によって「公表」されていない対象者の「業務等に関する重要事実」が存在しないと判断いたしました。

⑧ 公開買付者は、対象者より、2023 年3月 10 日時点において、法第 27 条の 11 第1項ただし書に定める対象者又はその子会社の業務又は財産に関する重要な変更その他の本公開買付けの目的の達成に重大な支障となる事情が生じていない旨の報告を受け、同日、当該事由は生じていないと判断いたしました。

⑨ 公開買付者は、対象者より、2023 年3月 10 日時点において、その他本取引の実行が客観的に不可能又は著しく困難となる事情が発生又は判明していない旨の報告を受け、同日、当該事由は生じていないと判断いたしました。

本公開買付けに際して、公開買付者は、2022 年12 月21 日付で、対象者株式6,428,800 株(所有割合:19.93%)を所有する対象者の第2位の株主であり、対象者を持分法適用関連会社としている三井物産との間で株主間契約(以下「本株主間契約」といいます。)を締結し、三井物産所有株式の全てについて本公開買付けに応募しないこと(以下「本不応募条項」といいます。)、対象者の株主を公開買付者及び三井物産のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)の実施及び本スクイーズアウト手続実施後に本議決権比率を実現するために講じることが必要な措置がある場合に当該措置を実施することを合意しております。なお、本株主間契約の概要については、下記「(6)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。

本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の下限を 3,934,571 株(所有割合:12.20%)としており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限に満たない場合には、公開買付者は、応募株券等の全部の買付け等を行いません。一方、公開買付者は、対象者株式の全て(ただし、公開買付者及び三井物産が所有する対象者株式並びに対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得し、対象者の株主を公開買付者及び三井物産のみとし、対象者株式を非公開化することを目的としているため、買付予定数の上限を設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(3,934,571 株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行います。なお、買付予定数の下限である 3,934,571 株(所有割合:12.20%)は、対象者第3四半期報告書に記載された 2022 年12 月 31 日現在の対象者の発行済株式総数(32,307,800 株)から、対象者が公開買付者に通知した同日現在の対象者が所有する自己株式数(50,533 株)を控除した株式数(32,257,267 株)の3分の2に相当する株式数の1単元(100 株)未満に係る数を切り上げた株式数(21,504,900 株)について、当該株式数から、本日現在、公開買付者が所有する対象者株式の数(11,141,529 株)及び三井物産が所有する対象者株式(6,428,800 株)を控除した株式数(3,934,571 株)としております。これは、本取引においては対象者株式を非公開化させ、対象者の株主を公開買付者及び三井物産のみとすることを目的としているところ、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載された会社法(平成 17 年法律第 86 号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第 180 条に基づく株式併合(以下「本株式併合」といいます。)の手続を実施する際には、会社法第 309 条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされているため、当該手続が確実に実行可能となるよう、本公開買付け後に公開買付者及び三井物産が対象者の総株主の議決権の数の3分の2以上を所有することとなるように設定したものです。

公開買付者は、本公開買付けにより、対象者株式の全て(ただし、公開買付者及び三井物産が所有する対象者株式並びに対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、対象者の株主を公開買付者及び三井物産のみとするため、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しております。

なお、対象者が 2022 年 12 月 21 日に公表した「当社のその他の関係会社である日本製鉄株式会社による当社株式に対する公開買付けの開始予定に係る賛同の意見表明及び応募推奨に関するお知らせ」(以下「2022 年 12 月 21 日付対象者プレスリリース」といいます。)によれば、対象者は、2022 年 12 月 21 日開催の取締役会において、同日時点における対象者の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対し、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をしたとのことです。また、上記取締役会においては、対象者による意見表明に係る次の手順を決議したとのことです。すなわち、本公開買付けが開始される際に、下記「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅲ)判断内容」に記載のとおり、対象者が設置した特別委員会に対して、特別委員会が 2022 年 12 月 21 日付で対象者の取締役会に対して行った答申内容に変更がないか否か検討し、対象者の取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の内容を答申するよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえて、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議したとのことです。さらに、対象者が 2023 年3月 10 日に公表した「当社のその他の関係会社である日本製鉄株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(以下、2022 年12 月 21 日付対象者プレスリリースと併せて「対象者プレスリリース」と総称します。)によれば、対象者は、2023 年3月 10 日開催の取締役会において、改めて、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対し、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をしたとのことです。2022 年 12 月21 日及び 2023 年3月10 日開催の各対象者の取締役会決議の詳細については、対象者プレスリリース及び下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑧ 対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。

(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針

① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程

公開買付者は、1950 年4月1日に八幡製鐵株式会社、富士製鐵株式会社としてそれぞれ設立し、両社は 1970 年3月 31 日に合併し、商号を新日本製鐵株式會社に変更しました。新日本製鐵株式會社は、2012年 10 月1日に、1949 年7月1日に設立された住友金属工業株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行い、商号を新日鐵住金株式会社に変更し、その後、2019 年4月1日に、商号を現在の日本製鉄株式会社に改め、2020 年4月1日に日鉄日新製鋼株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行い、現在に至っております。また、公開買付者は、1950 年 10 月2日付で東京証券取引所及び株式会社名古屋証券取引所に、1950 年 10 月5日付で証券会員制法人福岡証券取引所に、その後、1952 年1月 21 日付で証券会員制法人札幌証券取引所にそれぞれ株式を上場し、本日現在、公開買付者の株式は、東京証券取引所プライム市場、株式会社名古屋証券取引所プレミア市場、証券会員制法人福岡証券取引所及び証券会員制法人札幌証券取引所にそれぞれ上場しております。

公開買付者は、2022 年 12 月 31 日現在、368 社の連結子会社及び対象者を含む 100 社の持分法適用関連会社を有しております(公開買付者並びにその連結子会社及び持分法適用関連会社を総称して、以下「公開買付者グループ」といいます。)。公開買付者グループでは、製鉄事業を主体に、エンジニアリング事業、ケミカル&マテリアル事業及びシステムソリューション事業を加えた4セグメント体制を敷いております。公開買付者グループは、「常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献する」という基本理念に則り、将来に亘って日本の産業競争力を支える「総合力世界 No.1の鉄鋼メーカー」を目指して成長し続けることを念頭に、2021 年3月5日付で中長期経営計画(2021 年度~2025 年度)(以下「公開買付者経営計画」といいます。)を策定しております。公開買付者経営計画では、4つの柱として、(ⅰ)「国内製鉄事業の再構築とグループ経営の強化」、(ⅱ)「海外事業の深化・拡充に向けた、グローバル戦略の推進」、(ⅲ)「カーボンニュートラル(注1)への挑戦」及び(ⅳ)「デジタルトランスフォーメーション戦略の推進」を掲げております。

(注1)「カーボンニュートラル」とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることをいいます。

一方、対象者は、1977 年8月2日に公開買付者(当時の商号は新日本製鐵株式會社)の 100%出資により日鐵商事株式會社として設立されました。対象者は、2013 年 10 月1日に公開買付者の持分法適用関連会社であった住金物産株式会社(以下「住金物産」といいます。)を吸収合併消滅会社として吸収合併(以下「本吸収合併(住金物産)」といいます。)を行い、商号を日鉄住金物産株式会社に変更し、2019年4月1日に商号を現在の日鉄物産株式会社に変更し、現在に至っております。また、対象者株式については、1990 年 12 月 21 日に東京証券取引所市場第二部、1991 年 10 月に株式会社大阪証券取引所市場第二部にそれぞれ上場(2004 年2月9日に株式会社大阪証券取引所市場の上場は廃止)し、2010 年4月 12 日に東京証券取引所市場第一部に指定され、2022 年4月4日より東京証券取引所プライム市場に上場しております。

対象者プレスリリースによれば、対象者は、2022 年12 月 31 日現在、子会社 83 社及び関連会社 44 社を有しており(対象者並びにその子会社及び関連会社を総称して、以下「対象者グループ」といいます。)、公開買付者の直系商社として、公開買付者グループとの有機的な戦略共有により鉄鋼及び鉄鋼周辺分野での事業拡大を図ってきたとのことです。対象者グループは、対象者のその他の関係会社である公開買付者グループに属し、対象者を中核として国内及び海外において鉄鋼、産機・インフラ、繊維、食糧、その他の商品の販売及び輸出入を主な事業にしているとのことです。

対象者グループの主力である鉄鋼事業においては、国内外の販売網を活かし、鉄鋼原料からお客様への製品納入まで総合的なサービスを提供しているとのことです。対象者グループは、公開買付者グループの製品を扱って、設立以来築き上げた販売網とコイルセンター等の加工・流通網を活用し、鉄鋼製品を供給しているとのことです。また、対象者グループは、顧客密着型の営業を徹底するため、より多様化・高度化するお客様の要望をタイムリーに把握し、これを解決に導くソリューション機能をさらに強化し、かつ鉄鋼メーカーと戦略を共有することにより、需要増加が期待できる成長分野へ経営資源を投入するとともに、鉄鋼流通における新たな付加価値を創造する提案型営業を推進しているとのことです。対象者グループの繊維事業においては、アパレルメーカー向け OEM 生産(他社ブランドの生産)を主軸に、素材の開発から製品の企画・生産・物流までを一貫して手掛けるメーカー型商社の機能を強化しているとのことです。

対象者は、2018 年4月2日、鉄鋼事業の一層の成長・発展を図ることを目的とした三井物産が営む鉄鋼事業の一部の譲受及び資本関係強化を目的とした三井物産に対する第三者割当の方法による新株式の発行(発行新株式数:1,350,000 株(持株割合(注2):4.18%))を行ったとのことです。なお、三井物産は、2018 年1月 25 日に単一銘柄取引(ToSTNet-1)による買付けにより 69,600 株(持株割合:0.22%)を取得し、また、同日に株式会社シンニッタンから 65,000 株(持株割合:0.21%)、同月 26 日にエア・ウォーター株式会社他6社から 1,175,910 株(持株割合:3.80%)、同月 31 日に共英製綱株式会社から385,160 株(持株割合:1.24%)の対象者株式を株式市場外における相対取引により取得した後、上記の第三者割当の方法により対象者の新株式 1,350,000 株(持株割合:4.18%)を引き受けたことから、2002年 10 月の対象者(当時の商号は日鐵商事株式會社)の第三者割当増資による対象者株式及び対象者の種類株式の引受け、2007 年 10 月の対象者の種類株式の普通株式転換並びにその後の一部の対象者株式の市場売却により所有していた3,383,100株(持株割合:10.93%)と合わせて対象者株式を合計で6,428,770株(持株割合:19.90%)所有するに至り、2018 年4月2日、対象者は三井物産の持分法適用関連会社になったとのことです。その後、2018 年4月 27 日に、三井物産は、対象者に対して単元未満株式売渡請求を行い、対象者株式 30 株(持株割合:0.00%)を取得したことにより、三井物産が所有する対象者株式は 6,428,800 株(持株割合:19.90%)となり、本日現在、三井物産は対象者株式を 6,428,800 株(所有割合:19.93%)所有するに至っているとのことです。このように、対象者は、三井物産から鉄鋼事業を一部譲受けたことにより、両社が培ってきた鉄鋼事業の知見や総合力、バリューチェーンを相互に活用し、取引先へのより良いサービスの提供を図り、両社の販売力と顧客基盤及び各々が得意とする商品・サービスと営業ネットワーク、製造加工拠点を組み合わせ、相互補完することで鉄鋼事業を拡充するとともに、その総合力、相乗効果を発揮し、事業競争力を向上させているとのことです。また海外市場において、日系企業だけでなく地場企業の需要を捕捉すべく、両社グループの事業基盤・事業競争力を最大限に活用し、世界の様々なお客様のグローバルなニーズに合致したトータルソリューションを企画提案できるベストパートナーとなることを目指しているとのことです。

(注2)「持株割合」とは、各時点における対象者の発行済株式総数に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております(なお、各時点の自己株式数を把握することが困難であるため、発行済株式総数から自己株式数を控除しておりません。)。以下、持株割合の記載について同じとします。さらに、対象者は、対象者の繊維事業と三井物産の連結子会社である三井物産アイ・ファッション株式会社(以下「三井物産アイ・ファッション」といいます。)との統合を軸とした両社の繊維事業における提携につき合意し、2021 年8月 25 日、三井物産及び三井物産アイ・ファッションとの間で、繊維事業提携に係る株主間契約、対象者の繊維事業と三井物産アイ・ファッションとの統合に係る統合基本契約、及び対象者が営む繊維事業を三井物産アイ・ファッションに承継させる吸収分割(簡易吸収分割)契約を締結し、2022 年1月1日に統合新会社 MN インターファッション株式会社(以下「MN インターファッション」といいます。)(出資比率:対象者 50%、三井物産 50%)を発足させたとのことです。対象者は、MNインターファッションを軸に、対象者と三井物産の協業を推進することにより、「コア事業である OEM 事業の基盤強化」、「新たな成長分野での事業機会創出」、「顧客への提供価値の深化」の各事項を実現することを目的とし、両社の有する経営資源を相互補完的に活用し、より強固な事業基盤を構築するとともに、新たな事業機会を創出することにより、持続的成長の実現と企業価値の向上を目指しているとのことです。なお、MN インターファッションは 2022 年 10 月に経営理念「Purpose、Vision、Values」を制定しており、新たな事業方針のもとで、成長を目指すとのことです。

また、対象者は、将来に亘って事業環境の構造的変化を乗り越え、社会的に価値ある製品とサービスの供給を通して「社会に貢献する強靭な成長企業」を実現することを念頭に、2021 年5月 10 日付で新たな中長期の経営計画(以下「対象者経営計画」といいます。)を策定し、2023 年度に連結経常利益 420 億円、親会社株主に帰属する当期純利益 260 億円、2025 年度に連結経常利益 450+α億円、親会社株主に帰属する当期純利益 280+α億円の指標を実現(2021 年度は連結経常利益 478 億円、親会社株主に帰属する当期純利益 354 億円の実績)することを目指しているとのことです。対象者経営計画によると、対象者を取り巻く事業環境としては、鉄鋼事業における国内鋼材需要は人口減少等に伴い減少し、国際マーケットにおける競合も、今後一層激化することが想定されるとのことです。また繊維事業についても、対象者のメインターゲットである国内アパレル市場は人口減少等に伴い、引き続き縮小する見通しとのことです。一方7で SDGs(Sustainable Development Goals の略で持続可能な開発目標)等の社会的ニーズに対応した新規需要及びアジア・北米を中心とした鉄鋼製品のグローバル需要の拡大が想定されるとのことです。これまで対象者は、「総合力世界 No.1の鉄鋼メーカー」を目指す公開買付者の中核商社として、鉄鋼を中心に、産機・インフラ、繊維、食糧の四つの事業を複合的に展開し、商品を仕入れて販売するトレーディングを主体に国内外での事業規模拡大に取り組んできたとのことです。しかしながら、上記のような事業環境の構造的な悪化が見込まれる状況では、現状の固定費規模を前提に既存のビジネスモデルを継続することは困難になると認識しているとのことです。こうした状況に的確に対応していくため、対象者は事業基盤強化策の実行により、グループ社員の付加価値生産性を抜本的に向上させるとともに、グループ製造・販売拠点の再編・統合・撤退等により固定費規模を圧縮することで、強靭な企業体質を構築していくとのことです。また新たな成長戦略の推進による持続的な利益拡大のために、SDGs 等の社会的ニーズに対応した新規需要捕捉とともに、伸長する海外市場において、各地域における加工拠点や販売網の拡充によるいわゆるインサイダー化(注3)への転換を図る等、グローバルな需要拡大を捕捉していくとのことです。加えて、流通効率化や新たな事業創出に繋がる M&A、アライアンス及びデジタルトランスフォーメーション戦略に、全社の総力を結集して取り組んでいくとのことです。さらに、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営の深化を強力に推進し、社会貢献に取り組み、また、エコソリューションの提案により脱炭素・循環型社会に貢献するとともに、ダイバーシティ&インクルージョンに配慮した次世代を担う人材育成や安全・健康経営の更なる向上、信用・信頼に基づく経営、株主還元等に努めていくとのことです。

(注3)「インサイダー化」とは、海外市場における需要に対して、当該国・地域で生産される製品等で対応することをいいます。

公開買付者と対象者の資本関係については、対象者は 1977 年8月2日に公開買付者(当時の商号は新日本製鐵株式會社)の 100%出資により設立され、公開買付者が対象者(当時の商号は日鐵商事株式會社)株式の全てを所有しておりました。その後、対象者は 1977 年 11 月1日に大阪鋼材株式会社及び入丸産業株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行い、公開買付者が所有する対象者株式は 1,594,000 株(持株割合:34.65%)となりました。公開買付者は、1978 年3月に 246,000 株を、1987 年3月に230,000 株を、それぞれ他株主より取得し、公開買付者が所有する対象者株式は 2,070,000 株(持株割合:45.00%)となりました。1988 年3月 31 日に対象者は第三者割当増資を行い、公開買付者は対象者株式 540,000 株を取得し、公開買付者が所有する対象者株式は 2,610,000 株(持株割合:45.00%)となりました。1989 年8月1日に対象者は株式分割を行い、公開買付者は 23,490,000 株の対象者株式を取得し、公開買付者が所有する対象者株式は 26,100,000 株(持株割合:45.00%)となりました。1990 年 12月に、対象者は公募増資 10,000,000 株を行い、公開買付者の持株割合は 38.38%となりました。1991 年5月に対象者は 0.1 株の無償の株主割当増資(6,800,000 株)を行い、公開買付者は 2,610,000 株を取得し、公開買付者の所有する対象者株式は 28,710,000 株(持株割合:38.38%)となりました。1994 年1月14 日に対象者は第三者割当増資(19,470,000 株)を行い、公開買付者は対象者株式14,870,000株を取得し、公開買付者が所有する対象者株式は 43,580,000 株(持株割合:46.23%)となりました。2002 年10 月、対象者は三井物産に対して第三者割当増資(23,568,000 株)を行い、公開買付者の持株割合は36.98%となりました。2007 年 10 月、三井物産が所有していた種類株式の普通株式への転換により、対象者の発行済株式総数が 16,963,000 株増加し、公開買付者の持株割合は 32.33%となりました。2013 年10 月1日、対象者は本吸収合併(住金物産)を通じ公開買付者が 62,810,454 株を所有する住金物産の株式(合併比率は、住金物産の株式1株に対して、対象者(当時の商号は日鐵商事株式会社)の株式を1.08 株割当交付)で合併比率調整後の株式数は 67,835,290 株)を承継取得し、当該合併の効力発生後に公開買付者が所有する対象者株式は111,415,290株(持株割合:35.99%)に増加しました。2016 年10 月1日、対象者が対象者株式 10 株につき1株の割合で株式併合を実施したことにより、公開買付者が所有する対象者株式は 11,141,529 株(持株割合:35.99%)となり、本日現在、公開買付者は対象者株式を11,141,529 株(所有割合:34.54%)所有するに至っております。

公開買付者においては、我が国の鉄鋼需要は、人口減少や需要家の現地生産拡大等に伴い引き続き減少していくと想定しておりますが、世界の鉄鋼需要は、インドも含めたアジア地域を中心に今後とも確実な成長が見込まれると認識しております。これまで公開買付者は、国内需要が縮小する中で輸出比率を向上させつつ国内生産規模を維持してきましたが、今後、主力製鉄所が大規模な老朽更新投資を必要とする時期を迎える一方、世界の鉄鋼生産の6割を占める中国における需要の頭打ち等により、海外市場における競争が一層激化することを想定すると、輸出比率の拡大によって国内生産規模を維持するという現状のビジネスモデルを継続することは困難になると認識しておく必要があると考えております。

公開買付者は、こうした状況に的確に対応していくため、国内製鉄事業について、商品と設備の取捨選択による集中生産等を基軸に体質強化を徹底的に推進し、製鉄事業のグローバル戦略の中核を担うマザーミル(注4)(注5)として、最高級の商品を効率的に生産し得る強靭な体制の実現を目指しております。一方、伸長する海外市場においては、インド・ASEAN等の需要地での一貫生産体制を拡大し、現地需要を確実に捕捉していく体制を構築し、国内マザーミルと海外現地ミルを合わせた公開買付者グループトータルで年間粗鋼1億トン体制を実現することを目指しております。

(注4)「ミル」とは、製鉄業における製鉄所に代表される製造拠点のことをいいます。

(注5)「マザーミル」とは、公開買付者の有する日本国内の製造拠点のことをいいます。全国各地のお客様と地域ごとに密接な関係を持ちながら、同じく国内にある大規模な研究開発拠点とともに、公開買付者の強みである商品開発、操業・設備技術の最前線を担い、公開買付者がグローバルに価値を創出していく上での価値の源泉となるものです。

また、気候変動問題にも積極的に対応し、公開買付者の技術力・商品力を活かし、車体軽量化のための超ハイテン鋼板(注6)や電動車で使われる駆動モーター用高性能電磁鋼板(注7)等のより高機能な商品の開発・供給能力増強等を通じて、我が国のカーボンニュートラル実現に貢献していく所存でおります。

さらに、デジタルトランスフォーメーションを推進させ、鉄鋼業におけるデジタル先進企業を目指し、データとデジタル技術を駆使して生産プロセス及び業務プロセス改革に取り組むとともに、意思決定の迅速化、課題解決力の抜本的強化に資する対策を推進しております。具体的には、AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット化)等のデジタル技術の高度利活用によるものづくりのスマート化や、受注~生産~納入までの統合生産計画プラットフォームの構築によるフレキシブルかつ最適な供給体制の強化、様々な経営情報や KPI(注8)をリアルタイムに把握し速やかな改善アクションを可能とする統合データプラットフォームの構築等を推進しております。

(注6)「ハイテン」とは、「High Tensile Strength Steel」(高張力鋼)の略で、「超ハイテン鋼板」とは、高強度により車の衝突時の安全性を確保しながら軽量化により燃費を向上させ、CO2 排出量を削減することができるもので、鋼材組織内の結晶構造を製造プロセスにおいて作り込むことによって強度と加工性を両立し、引っ張り強さが 1.0GPa(注9)以上の鋼板のことをいいます。

(注7)「電磁鋼板」とは、電動車や各種電気機器のモーター、発電所の発電機、送電等に使われる変圧器等の中の鉄心に使用するもので、鉄の結晶の方位のコントロールにより良好な磁気特性を発揮し、エネルギーロス(鉄損)を最小化する省エネ材料のことをいいます。

(注8)「KPI」とは、「Key Performance Indicator」の略で、目標達成に向けた業績を評価するための指標のことをいいます。

(注9)「GPa」とは、物質の引っ張り強度を測定する単位のことをいいます。

そして、足元では、エネルギー価格高騰や金融引締めによる米国や欧州での経済活動の減速、通貨安による新興国での景気悪化、ASEAN における鋼材市況の下落等により、海外での鋼材需要は減速しており、国内においても半導体供給の制約による自動車生産の回復の遅れや資源価格高騰、円安進行により鋼材需要の回復が遅れており、世界粗鋼は前年同月比の生産数量減の期間が、2021 年8月以降約1年間にわたっていることを踏まえると、当面は厳しい事業環境が継続することが想定されるため、公開買付者は、従来からの国内体制のスリム化・効率化を継続するとともに、経営環境の変化に対する臨機応変な所要変動対応、原燃料コスト上昇の販売価格への適切な反映によるマージン確保等により足元の収益最大化に取り組みつつ、グローバルな鉄鋼需要の確実な捕捉のための経営資源投入や、カーボンニュートラル社会に対応した技術開発及び製品提供を推進し、中長期的な成長の実現を目指しております。

これまで、公開買付者グループは、鉄鋼取引において、需要家との一部の直接取引の他は、対象者を含む複数の商社を仲介役とし、その国内外情報網、取引実務、与信、流通・加工への投資・運営等の諸機能を活用することで、鉄鋼サプライチェーン一貫での営業力を維持・強化してまいりました。しかし近年では、将来的な国内需要減少、需要家の現地生産拡大、中国を始めとする競合他社の質的向上・量的拡大、世界的な鉄鋼産業の地産地消化、流通における事業戦略の多様化等、市場を取り巻く環境は変化しております。加えて、2021 年以降、世界の鉄鋼市場は、コロナ経済からの需要回復におけるサプライチェーンの混乱や、地政学リスク、インフレリスク等に対する各国の経済政策の影響を受けた資源・エネルギー価格の高騰や為替変動等により、短期間で大きく変化する構造となっていると認識しております。

公開買付者グループは、こうした市場の構造変化に迅速かつ適切に対応する力を高めていくためには、公開買付者グループとして、国内外の需要家との直接の接点を増やし、鉄鋼取引に関わる業務を自らが一貫して担う力を高めるとともに、公開買付者グループ一貫で収益を確保していくために、鉄鋼製造から流通・加工一貫での最適化・効率化や、新たな付加価値の創造等により、サプライチェーン全体での競争力をさらに強化していく必要があると認識しております。

このような認識の下、公開買付者は、これまでも主要商社として起用してきた対象者との間で、鉄鋼製品の販売及び人材交流等での協力関係を構築してまいりましたが、上記施策を実施するにあたっては、公開買付者と対象者の関係性をより強固なものとしていく必要があるものの、対象者が上場企業であり、かつ、公開買付者の持分法適用関連会社に留まり、資本関係が限定的であることから、互いの顧客情報、技術情報等の共有、経営資源の補完及び相互活用等において、一定の制約を受けていると考えております。

具体的には、公開買付者と対象者の相互の顧客情報や技術情報の共有を案件別に判断する必要があることや、公開買付者の保有する鉄鋼製造設備と対象者が保有する加工設備について、それぞれの最適化は検討できるものの、一貫での最適化検討には限界があることに加え、対象者と同じ鉄鋼の流通・加工業を営む公開買付者の子会社と対象者との間での営業情報等の共有ができておりません。さらに、公開買付者は、上記施策を含む中長期的な観点に立った施策を実行することで、対象者及び公開買付者グループ全体の企業価値向上に資するものと考えるものの、短期的な観点でいえば対象者の業績や財務状況の悪化を招くおそれもあり、必ずしも対象者の一般株主の皆様の利益になるとは限らないと想定されることから、対象者株式の上場を維持したままでは、上記の施策を実施することについて、一般株主の皆様の理解を得ることが容易ではない可能性もあると考えております。公開買付者は、2022 年3月下旬、このような課題を解決するためには、対象者を公開買付者の連結子会社とし、かつ対象者株式を非公開化することが望ましいと判断いたしました。

公開買付者は、対象者を公開買付者の連結子会社とし、かつ対象者株式を非公開化することにより、以下の施策の実現が可能と考えております。

公式ページ(続き・詳細)はこちら
https://www.nipponsteel.com/common/secure/news/20230310_100.pdf

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