中央区京橋で木造ハイブリッド構造のオフィスビルが近く上棟
~中高層建築の木質化技術「シミズ ハイウッド」シリーズの新技術を適用~
2024.10.22
清水建設(株)<社長 井上和幸>が東京都中央区で施工を進めている木造ハイブリッド構造の賃貸オフィスビル「(仮称)京橋第一生命ビルディング」の建方工事が最終段階に入り、近く上棟を迎えます。計画建物は、日本橋・銀座をつなぐ中央通りと鍛治橋通りの交差点角に立地する、地下2階・地上12階、高さ約56m、延床面積約16,000m2の木造ハイブリッド建築物で、木材の使用量は中規模オフィスでは国内最大規模となる約1,000m3に及びます。
本計画では、当社が展開する中高層建築物の木造・木質化技術「シミズ ハイウッド」の新技術を導入し、木の温もりを感じられる快適なオフィス空間を実現します。シミズ ハイウッドは、木材と鉄骨、コンクリートを適材適所に組み合わせて耐震性、耐火性、施工性、デザイン性、経済性に優れた木造・木質建築を実現する木造ハイブリッド技術です。本計画には、新たに開発した3つのシリーズ技術、「ハイウッドビーム 2時間耐火仕様」「ハイウッドウォール」「ハイウッドスラブ・サポートレス工法」を適用し、梁や天井面を木質化した40m×17mの木質無柱空間を施設利用者に提供します。
本計画に適用した「シミズ ハイウッド」の新技術
ハイウッドビーム(耐火木鋼梁)2時間耐火仕様
- 木質部材でありながらロングスパンに対応できる耐火木鋼梁「ハイウッドビーム」について、中高層建築物にも適用可能な2時間耐火仕様の部材を新たに開発し、本物件の17mスパンの大梁に適用します。
- ハイウッドビームは木材を耐火被覆とした鉄骨梁で、鉄骨造の構造性能を保持しつつ木材仕上げの梁を実現できます。これまでの案件適用は1時間耐火仕様の部材に限られていましたが、このほど2時間耐火仕様部材の大臣認定を取得。2時間耐火性能は、炭化することで遮熱性能を発揮する木製被覆材と燃え止まり層となるせっこうボードを組み合わせることで実現したものです。
ハイウッドウォール(CLT ハイブリッド耐震壁)
- 圧縮力に強い木材と引張力に強い鋼材をそれぞれの特性を活かしながら組み合わせた耐震壁部材です。
- 地震で生じる圧縮力をCLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)、引張力を鋼材ブレースに負担させることで、中高層建築に求められる高い耐力と変形性能を確保しています。
- ハイウッドウォールは、鉛直荷重を支持しない耐震要素として機能するため、耐火被覆を施す必要がなく、木材を現しとした温かみのある空間の創出に寄与します。
ハイウッドスラブ(RC-CLT 合成床)・サポートレス工法
- ハイウッドスラブ(RC-CLT 合成床)は、CLTを型枠兼化粧材として活用し、鉄筋コンクリート(RC)造のスラブを構築する技術です。構造・耐火性能はコンクリートスラブが担保するため、CLTへの耐火被覆が不要となり、天井面の木質化を実現できます。また、従来の木造床と比べて、音振動性能・防耐火性能が高まる効果も見込めます。
- ハイウッドスラブの従来工法は、CLT床型枠を支持する支保工を下層に配置する必要がありましたが、梁にLアングル支持材を取り付けてCLTを敷設するサポートレス工法を新たに開発しました。従来工法と比べて施工性を大きく向上させた本工法は、特に、工期面で制約のある中高層建築において有効な技術となります。
本計画は、社会への波及・普及効果が期待できる先導的な木造建築物として評価され、国土交通省の「令和4年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されています。当社は引き続き、ハイブリッド木造技術「シミズ ハイウッド」シリーズの技術拡張に取り組み、人と環境にやさしい木造・木質建築を多様な規模・用途の建物に展開していく考えです。
以上
≪参 考≫
「京橋第一生命ビルディング建替計画」物件概要
所在地 | 東京都中央区京橋二丁目4-12 |
主要用途 | オフィス、店舗 |
規模 | 階数:地上12階・地下2階建、延床面積:約16,000m2 |
構造 | 木造ハイブリッド構造(木造+鉄骨造) |
建築主 | 第一生命保険株式会社 |
設計/施工者 | 清水建設株式会社/清水建設・日本建設共同企業体 |
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