『DX/サステナブル社会における有機エレクトロニクスの将来展望 2022』まとまる(2022/4/15発表 第22039号)
有機エレクトロニクスデバイスの世界市場を調査
- ■2035年市場予測(2020年比)
- ■有機エレクトロニクスデバイス 7兆4,525億円(2.2倍)
医療・ヘルスケア分野への応用により需要増加
- ■有機エレクトロニクスデバイスの活用により、デバイス製造での特定資源依存回避や、有害物質使用抑制などで
サステナビリティへの貢献、また、センサー利用による新たなビジネス創出でDX促進にも期待
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、「サステナブル」やその具体的目標を掲げた「SDGs」などに対応し、希少資源に配慮した持続可能な経済成長に貢献できることから、エレクトロニクス産業において需要が高まっている有機エレクトロニクス関連の世界市場を調査した。その結果を「DX/サステナブル社会における有機エレクトロニクスの将来展望 2022」にまとめた。
この調査では、有機エレクトロニクスデバイス22品目、機能性有機材料6品目、プリンテッドエレクトロニクス関連材料6品目、基板材料4品目、印刷装置3品目の41品目の市場を調査・分析し、将来を展望した。
- ■調査結果の概要
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■有機エレクトロニクスデバイスの世界市場
2021年見込 | 2020年比 | 2035年予測 | 2020年比 |
4兆3,516億円 | 125.8% | 7兆4,525億円 | 2.2倍 |
※有機TFT、温度センサーは除く
- スマートフォンで採用が進んでいる中小型AMOLEDをはじめ、大型AMOLEDやグルコースセンサーの規模が大きく市場をけん引しており、2021年は4兆3,516億円が見込まれる。一方、既存品に対し性能が低い点やコストが高い点などが課題で、現状は規模が小さいデバイスも、2025年までにはそれらの課題が解決され、市場は本格化すると予想される。有機フォトダイオードはスマートフォンの画面内蔵型指紋センサーで採用が進むとみられるほか、ペロブスカイト太陽電池はシリコン系太陽電池からの置き換えが進むとみられる。また、圧力センサーシートや心電位・筋電位センサー、ガス・環境センサーは、ヘルスケア分野やバイオセンサーでの利用増加が期待され、2035年の市場は7兆4,525億円が予測される。
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■有機エレクトロニクスデバイスにおけるフレキシブル・プリンテッド採用率
| 2021年見込 | 2035年予測 |
フレキシブル採用率 | 66.1% | 72.6% |
プリンテッド採用率 | 12.5% | 28.8% |
フレキシブル採用率では、高いウェイトを占める中小型AMOLEDはプラスチック基板を採用したフレキシブル品が主流となっており、今後もフレキシブル品を中心に伸びるとみられる。2022年以降に投入される中小型AMOLEDの大半がフレキシブル品であることからフレキシブル採用率は上昇し、2035年には72.6%が予測される。
プリンテッド採用率では、グルコースセンサーなどは採用率が高いものの、AMOLEDは真空蒸着が主流であるため採用率が低くなっている。2025年には、有機フォトダイオードやペロブスカイト太陽電池など、プリンテッド採用率100%のデバイスが伸びるものの、採用率が低い中小型AMOLEDも伸長するため、採用率は緩やかな上昇が予想される。今後は、真空プロセスを採用していたデバイスにおいても、フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス(FHE)におけるデバイス機能の複合搭載、大面積対応・コストダウンを目的として、プリンテッドの採用が増えるとみられる。
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■サステナビリティと有機エレクトロニクスデバイスの関連性
デバイスの製造面 |
- Siやレアアースなどの特定資源への依存性が低い。
- 鉛やコバルトなど、有害物質の使用を抑制できる。
- プリンテッドエレクトロニクスなど環境負荷が低いプロセスの採用により、省材料化、使用電力の削減、プロセス廃棄物の減少が期待される。
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デバイスの利用面 |
- 生産・管理の効率化・省人化により、人件費などのコストを削減できる。
- 有機系太陽電池や熱電変換シートにより、使用電力を削減できる。
- ヘルスケアの応用範囲拡大により、QOL(Quality of Life)の向上、医療費の抑制が期待される。
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■DXと有機エレクトロニクスデバイスの関連性
有機エレクトロニクスデバイス
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- 新たなビジネス機会の創出
- ビジネスモデルの構築
- 企業価値の向上
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圧力センサーシートなどのフレキシブルかつ軽量なセンサー・アクチュエーター、ペロブスカイト太陽電池などのエナジーハーベスト向けデバイス、導電性テキスタイルやMIDなどの次世代配線・素材の技術は、スマートウェアなどのウェアラブルデバイスやロボット、自動車などへの組み込みを経て、あるいはサービスベンダーがデバイスを直接利用して、センサー情報を用いたサービス、工場や店舗のリアルタイム情報の可視化、自律制御・自動運転といった新たなビジネスの創出が可能で、DXを促進すると期待される。
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■注目分野向けデバイスの市場
| 2021年見込 | 2030年予測 |
医療・ヘルスケア分野 | 6,369億円 | 8,224億円 |
FA・インフラ分野 | 413億円 | 1,315億円 |
流通・小売分野 | 2,149億円 | 3,885億円 |
自動車分野 | 80億円 | 984億円 |
医療・ヘルスケア分野の市場では、血糖値測定用のグルコースセンサーの規模が最も大きく、次いでスマートウォッチ用の中小型AMOLEDが大きい。2030年までには有機フォトダイオードによるX線CT装置の実現や乳酸センサーの心疾患リハビリ用などにより、医療分野向けデバイスの市場が立ち上がると予想される。また、医療・介護現場の効率化を促進するデバイスとして、要介護者の動態を把握できる圧力センサーシートなども伸びが期待され、2035年の市場は8,224億円が予測される。
FA・インフラ分野の市場では、試作や新製品開発などで使われている圧力センサーシート、安全性を確保するために設置されているガス・環境センサー、資材管理などに用いられるRFIDの規模が大きい。2030年には非破壊検査向けで需要が増加する有機フォトダイオードが伸びるほか、RFIDやガス・環境センサーは工場のスマート化に伴いさらに需要が増加し、市場は大幅に拡大すると予想される。
流通・小売分野の市場では、電子棚札で使われる電子ペーパーや商品の在庫管理で使われるRFIDなど業務の効率化、省人化に使われるデバイス、製品や倉庫の状態を監視するためのガス・環境センサーなどの規模が大きい。電子棚札や電子タグの普及により、電子ペーパー、RFIDが引き続き市場をけん引するほか、これらの電源として使われるペロブスカイト太陽電池や有機薄膜太陽電池が伸びると予想される。
自動車分野の市場では、運転者の呼気チェックや燃料漏れの検知などに使われるガス・環境センサーやカーナビゲーションシステムに採用される中小型AMOLEDの規模が大きい。今後もAMOLEDの採用が広がるほか、自動車の安全性に寄与する車載カメラ向け有機フォトダイオードや有機CMOSイメージセンサー、またドライバーの運転支援を行うソフトアクチュエーター、ドライバーを監視する圧力センサーシートなどの需要が増加すると予想される。
内容の詳細につきましては『DX/サステナブル社会における有機エレクトロニクスの将来展望 2022』をご覧ください。
- ■報道関係のお問い合わせは
- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)