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米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表したホルモン受容体陽性かつHER2低発現の化学療法未治療の乳がん患者を対象としたトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201)の第3相臨床試験データについて

2024/06/03  第一三共 株式会社 

2024 年 6 月 3 日
第一三共株式会社

米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表したホルモン受容体陽性かつHER2低発現の化学療法未治療の乳がん患者を対象としたトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201)の第3相臨床試験データについて

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、ホルモン受容体(以下「HR」)陽性かつHER2低発現の化学療法未治療の転移再発乳がん患者を対象とした、トラスツズマブデルクステカン(T-DXd/DS-8201、 抗HER2抗 体 薬 物 複 合 体 (ADC)*1、 以 下 「 本 剤 」 ) の グ ロ ー バ ル 第3相 臨 床 試 験(DESTINY-Breast06)の最新データについて、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2024)において発表しましたので、その概要についてお知らせいたします。

有効性について、主要評価項目であるHR陽性かつHER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH?)の化学療法未治療の転移再発乳がん患者713名における無増悪生存期間*2の中央値において、本剤投与群は13.2ヵ月で、8.1ヵ月の化学療法投与群に対し病勢進行または死亡リスクを38%低下させ、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。

重要な副次評価項目である全患者集団(HER2低発現およびHER2超低発現*3)866名における無増悪生存期間の中央値において、本剤投与群は13.2ヵ月で、8.1ヵ月の化学療法投与群に対し病勢進行または死亡リスクを37%低下させ、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。

また、事前に規定した探索的な解析では、HER2超低発現患者152名における無増悪生存期間の中央値において、本剤投与群は13.2ヵ月、化学療法投与群は8.3ヵ月でした。

客観的奏効率*4は、HER2低発現患者において、本剤投与群の56.5%(完全奏効 9名、部分奏効*5 194名)に対し、化学療法投与群では32.2%(完全奏効 0名、部分奏効 114名)でした。HER2超低発現を含む全患者集団においては、本剤投与群の57.3%(完全奏効 13名、部分奏効 237名)に対し、化学療法投与群では31.2%(完全奏効 0名、部分奏効 134名)でした。HER2超低発現患者においては、本剤投与群の61.8%(完全奏効 4名、部分奏効 43名)に対し、化学療法投与群では26.3%(完全奏効 0名、部分奏効 20名)でした。

安全性について、新たな懸念は認められず、本剤の他の乳がんの試験と同様の傾向でした。本剤投与群におけるグレード*6 3以上の有害事象として、好中球減少症(20.7%)、白血球減少症(6.9%)、貧血(5.8%)等が認められました。間質性肺疾患(以下「ILD」)については、本剤投与群の11.3%がILD外部判定委員会により本剤と関係のあるILDと判定されました。グレード1が7名(1.6%)、グレード2が36名(8.3%)、グレード3が3名(0.7%)、グレード4が0名、グレード5(死亡)が3名(0.7%)でした。

当社は、本試験結果に基づき、化学療法未治療のHR陽性かつHER2低発現(HER2超低発現を含む)乳がん患者さんに本剤を速やかに提供できるよう、日本を含めたグローバル承認申請に向けた準備を進めております。

以上

*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。
*2 無増悪生存期間とは、治療中及び治療後に病勢進行せず安定した状態の期間です。
*3 HER2超低発現とは、HER2が極めて低いレベルで発現している状態(膜染色を認めるIHC 0(IHC 01+))です。
*4 客観的奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上縮小した患者の割合です。確定した客観的奏効率を意味します。
*5 部分奏効とは、腫瘍が30%以上縮小した状態です。
*6 米国国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語規準(CTCAE)で規定された重症度を意味し、グレード1~5に分類されます。

乳がんとHER2発現について

乳がんは、がんによる死亡の主な原因の1つであり、2022年には全世界で新たに200万人以上が診断され、約67万人が亡くなったとの報告があります。HR陽性かつHER2陰性は最も一般的な乳がんのサブタイプであり、乳がん患者の約70%を占めると言われています。HER2は、乳がん、胃がん、肺がんや大腸がんを含む多くのがん細胞表面に発現するタンパク質です。これまで、HER2陽性でない場合はHER2陰性と分類されてきましたが、これらの腫瘍の多くはHER2が一定レベルで発現しています。HR陽性かつHER2陰性の乳がんにおいては、約60~65%にHER2低発現、約25%にHER2超低発現がみられるとの報告があります。

HR陽性の転移再発乳がんの初期治療には内分泌療法が広く用いられています。内分泌療法後にがんが進行すると、標準治療である化学療法が行われますが、その治療効果は限定的であり、新たな治療の選択肢が必要とされています。

第一三共のDXd ADCパイプラインについて

第一三共のパイプラインには、現在、6つのDXd ADCが様々ながん種を対象とした臨床開発段階にあります。これらの薬剤は、がん細胞表面に発現する特定の抗原を標的とした抗体と、複数のトポイソメラーゼⅠ阻害剤(DXd)をリンカーを介して結合させ、がん細胞の内部へDXdを届ける第一三共独自のDXd ADC技術を活用して創製されました。

トラスツズマブデルクステカン(エンハーツ®、抗HER2 ADC)及びダトポタマブデルクステカン(Dato-DXd/DS-1062、抗TROP2 ADC)は、全世界(当社が独占的権利を有する日本は除く)においてアストラゼネカと共同で開発及び商業化を進めています。パトリツマブデルクステカン(HER3-DXd/U3-1402、抗HER3 ADC)、イフィナタマブデルクステカン(I-DXd/DS-7300、抗B7-H3 ADC)及びDS-6000(R-DXd、抗CDH6 ADC)は、全世界(当社が独占的権利を有する日本は除く)においてMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAと共同で開発及び商業化を進めています。DS-3939(抗TA-MUC1 ADC)は当社が単独で開発を進めています。

なお、ダトポタマブデルクステカン、パトリツマブデルクステカン、イフィナタマブデルクステカン、DS-6000及びDS-3939は、現在開発中の薬剤です。安全性及び有効性はまだ確立されておらず、各国の規制当局による薬事承認は受けていません。

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