2024年度入社式社長挨拶

2024/04/01  日本冶金工業 株式会社 

2024 年4月 1 日
日本冶金工業株式会社

2024 年度入社式 社長挨拶

本日執り行われた当社 2024 年度入社式における社長挨拶文を以下に掲載いたします。 新入社員の皆さん 入社おめでとうございます。皆さんを心から歓迎いたします。 さて、新型コロナウィルス感染症の位置づけが昨年の 5 月に第 5 類へ移行して以降、社会生活全体が徐々に正常化していく中、皆さんの学生生活も辛うじて最後の 1 年間はオンラインではない講義や友人たちとのキャンパスライフを取り戻せたのでしょうか。それにしても、貴重な 3 年間を悔しく思われる方も多いのだろうと推察します。

昨年の入社式で、私は皆さんの 1 年先輩に、浄土真宗の、とある高僧の言葉で「これからが、これまでを決める」という言葉を紹介しました。普通は「これまでが、これからを決める」と思うわけですが、この住職は逆のことを言っています。「これからが、これまでを決める」―何か心に響くものを感じないでしょうか。 先ほど、皆さんの学生時代のことに触れました。過去の日々はもう戻ってはきません。しかし、今日これからスタートする社会人生活を、皆さんなりに日々前向きに懸命に過ごしていく中で、かつてのコロナに大きな制約を受けたあの学生時代が、また別の意味を持って振り返れる日が来るかもしれません。私たち日本冶金工業でのこれからの日々が、皆さんの学生時代に、また違う意味や意義、輝きを与える、そうした社会人生活になれるよう、私は心から願っています。

さて皆さんは、当社の来歴については、すでにある程度ご存知かとは思います。当社は大正14年、1925年に創業しました。すなわち今年は創立 99 年目、来年には 100 年となる、大変に歴史と伝統ある会社ですが、この数年、当社は次々と大きな新しい施策に取り組んできました。川崎製造所においては、相次いで基幹設備の更新が進行中です。すなわち一昨年の 1 月に業界に先駆けて最新鋭の電気炉が稼働を開始しました。また、これも最新鋭の冷延ミルが今年の 11 月の完成を目指して工事中です。また大江山製造所においても、カーボンレスニッケル製錬への挑戦を掲げて、様々なトライを続けています。

言うまでもなく 100 年は、記念すべき大きな節目ではありますが、あくまで通過点であります。皆さんは、次の 100 年へ向けたスタートを担う世代です。是非新しい発想、新しい力で会社を新たな成長軌道へ向けて牽引していただきたいと思います。 又、皆さんは内外の歴史が大きく変動する、その只中に社会人生活をスタートされます。ウクライナや中東での終わりの見えない戦争、超大国で強まる独裁的、強権的な政治のあり様を見ていると、必ずしも歴史が良い方向へ進歩しているとは到底思えませんし、一方で、国内では政治不信を深めるような報道も目につきます。経済は GDP がドイツに抜かれて 4 位に転落、あるいは「失われた 30 年」とも言われる中、ようやく日銀がゼロ金利を解除。株価も日経平均が 4 万円を突破、また各企業が大幅な賃金改定を実施しています。

こうした内外の大きな動きについて、私たちは自分ではコントロールはできません。しかし、一体世界で、また日本で何が起きているのか、何故こんなことが起きるのか、これからどうなっていくのか、我々への影響はどんなことがあるのか等々、社会人になっても、あるいは社会人になったからこそ、様々な情報に接し、時に学び、考えることを是非続けていただきたい。もちろん、いくら考えても答えや結論が簡単に出るものではないし、人によって意見も異なるのですが、企業人として、そのようなことが大変重要になってくると思います。

私はこの 6 月に社長を退任しますが、最後にもう一つだけ、卒業生の遺言ではありませんが、「報酬」に対する考え方についてお話ししておきたいと思います。 給料は貰う方からすればもちろん多いに越したことはありませんし、企業は少なくとも世間から見て見劣りしないもの、また社員の貢献に見合うものを出すべく努力すべきであります。しかし最近、人や仕事の価値をお金だけで測るような、いわば拝金主義のような傾向が世の中に出てきてはいないか、ということを心配しています。

「人の価値は、その人が得たものではなく、その人が与えたもので測られる」というアインシュタインの言葉を、時に我々は思い出す必要があるのではないでしょうか。あるいはこれも有名な企業人の名言ですが、「仕事の報酬は仕事である」という言葉もあります。そして私がこのことに関して一番好きな言葉―ある会社の方の言葉は、「懸命に働いていれば、縁ある人々に巡り合う。その出会いこそが、企業人としての最大の財産、報酬でした」というものです。今振り返っても、本当にそのとおりだと思います。

皆さんも、これから長い社会人生活の中で、金銭的な見返りという意味では必ずしも報われそうにない試練や転機を迎えることがあると思います。けれども、これは新しい出会いのチャンスかもしれない、と前向きにとらえて、チャレンジしていってほしいと思います。

出会い、という意味では、まずは縁あって集まったこの 15 人の同期生です。お互いによく知り合い、理解しあい、配属後も絆を大切にしていただきたいと思います。また生活のリズム、パターンもこれまでと変わります。健康に気を付けて、新しい体験ばかりの社会人 1 年生を楽しみながら頑張ってください。

代表取締役社長 久保田 尚志

本件に関するお問い合わせ先:IR・広報部(電話:03-3273-4632)

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