ローヤルゼリーの抗老化作用について新メカニズムを解明 老化を促進する炎症反応を抑制

2024/06/24  株式会社 山田養蜂場 

株式会社山田養蜂場(所在地:岡山県苫田郡鏡野町、代表:山田英生、以下「山田養蜂場」)の自社研究機関である、山田養蜂場 健康科学研究所(所在地:同上)及び山田養蜂場グループ 美容科学研究所(所在地:東京都品川区)は、表皮由来の老化細胞にローヤルゼリーを添加すると、SASP因子※1の遺伝子発現が抑制されることを明らかにしました。このことから、ローヤルゼリーが老化細胞の機能を抑える働き(セノモルフィック効果)を持つことが示され、抗老化作用の一端が解明されました。本研究成果は、第47回日本基礎老化学会大会(2024年6月開催)にて、発表いたしました。 ※1老化した細胞が分泌する炎症性物質のことで、このような老化細胞の特異な変化を細胞老化随伴分泌現象(SASP)と呼ぶ。


研究背景


日本は、65歳以上の人口割合が28%を超える超高齢社会であり、加齢によって起こるさまざまな老化現象の解決が求められています。老化は身体的な健康に関する問題だけでなく、シワやシミといった見た目の変化にもつながるため、高齢者の生活の質を低下させる一因にもなります。
老化の原因の一つとして、近年、「細胞老化」という現象に関心が集まっています。通常、細胞は古くなると体から取り除かれ、新しい細胞に置き換わることで健康な組織を維持しています。しかし、加齢とともに老化した細胞が増えると、組織の老化を引き起こすことが知られています。その理由の一つに、老化した細胞が炎症を引き起こす特異な変化(SASP)を生じ、この時に放出される炎症性物質(SASP因子)が周辺の細胞を老化させることで、組織全体の老化を引き起こすことが挙げられます。そのため、SASP因子の分泌抑制は世界中の研究機関から注目されるターゲットであり、老化細胞の機能を阻害する薬剤(セノモルフィック薬)の抗老化作用に期待が寄せられています。
これまでの研究で、ローヤルゼリーは肌の再生に関わる幹細胞の機能を向上させること、肌の防御機構に関わる抗酸化遺伝子の発現を促進することが確認されており、抗老化に関わるさまざまな肌への有用性が明らかにされてきました。しかし、老化細胞の特異的な変化について、ローヤルゼリーが直接どのような影響を与えるかは調べられていませんでした。
そこで本研究では、伝承的に知られてきたローヤルゼリーの抗老化作用のメカニズムを検証するために、表皮由来の老化細胞を用い、ローヤルゼリーがセノモルフィック効果を示すかを調べました。


研究結果


本研究では、「1.長期培養することで細胞老化を誘導したヒト表皮角化細胞」および「2.高齢者に由来するヒト表皮角化細胞」を用い、実験的な条件で老化を誘導した場合(複製老化)と、自然条件下において老化した場合(自然老化)の2つの条件で実験を行いました。それぞれの場合において、ローヤルゼリーが老化した細胞のSASP因子の抑制に寄与するかを調べました。

1.長期培養した細胞に対する影響
若齢由来のヒト表皮角化細胞を長期培養した結果、老化細胞に特徴的に表れるタンパク質(SA β-ガラクトシダーゼ, p16)の発現が増加し、SASP因子(IL-6, CXCL1, SERPINE1など)の遺伝子発現が亢進した。
この複製老化細胞にローヤルゼリーを添加して培養した結果、IL-6, CXCL1, SERPINE1などのSASP因子の遺伝子発現が抑制された。

2.高齢者由来の細胞に対する影響
高齢者由来のヒト表皮角化細胞にローヤルゼリーを添加して培養した結果、IL-6, CXCL1, SERPINE1などのSASP因子の遺伝子発現が抑制された。
以上のことから、ローヤルゼリーは異なる老化モデルにおいて、SASP因子の発現を抑制することが示されました。
これにより、伝承的に知られてきたローヤルゼリーの抗老化作用が、老化細胞の特異的な炎症反応を抑制することによるものであることが示唆されました。

今後について


今回の研究では、ローヤルゼリーがSASP因子の分泌を抑えることで、抗老化作用(セノモルフィック効果)をもつことが示唆されました。これまで山田養蜂場では、ローヤルゼリーが組織の再生に関わる可能性について、幹細胞に着目して研究を進め、肌や血液、筋肉など全身の幹細胞を活性化する可能性について探求してきました。
今後も山田養蜂場では、ローヤルゼリーが「老化の抑制」と「組織の再生」の二つの軸に関わる可能性について探求し、伝承的に知られているローヤルゼリーの効果を科学的に解明することで、超高齢社会における健康長寿の実現や若々しい肌づくりに役立つ素材及び商品の開発につなげてまいります。

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