新規炭素繊維織物の開発・販売[帝人]

2022/02/17  帝人 株式会社 

2022年 2月17日
帝 人 株 式 会 社

優れた強度安定性と高いコスト効率を実現
新規炭素繊維織物の開発・販売


帝人株式会社(本社:大阪市北区、社長:鈴木 純)は、このたび、優れた強度安定性と高いコスト効率を実現した炭素繊維織物を開発しました。今後、産業用途やスポーツ用途に向けて販売を開始します。

1.背 景

(1)軽量性と強度に優れる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、航空機用途、産業用途、スポーツ用途などにおいて、パフォーマンスの向上を目的に幅広く採用されていますが、そうした中で機械的特性のさらなる向上が求められており、そのため強度の安定化が必要となっています。

(2)CFRPの強度は、強化材として用いる炭素繊維織物に平滑性を持たせることにより、炭素繊維にかかる応力の集中を緩和させることで安定化させることができ、織物に平滑性を持たせるには、使用する糸をより細いものへと切り替えるのが一般的です。

(3)しかし、炭素繊維は細い糸ほど高い製造技術が求められるため、より細い糸への切り替えがコスト上昇となってしまうことが問題としてありました。

(4)こうした中、帝人は独自の開繊(*1)技術を用いることにより、優れた強度安定性と高いコスト効率を実現する炭素繊維織物の開発に成功しました。

(*1) 開繊:押しつぶしたように糸を薄く拡げること。

2.新規炭素繊維織物について

(1)本製品は、3K(*2)の糸で構成される炭素繊維織物(CFRPにした際の成形厚が約0.2mm)を、独自の開繊技術により、1Kの糸で構成される織物と同じ厚さ(CFRPにした際の成形厚が約0.15mm)にまで薄肉化した炭素繊維織物です。

(*2) K:1 本の糸に含まれるフィラメントの千本単位の数。3K は 3000 本のフィラメントで構成される。

(2)開繊技術を用いることで炭素繊維織物を構成する糸の起伏を小さくし、織物表面の平滑性の向上を実現しました。本製品の平滑性は、1Kの糸で構成される炭素繊維織物よりも高く(帝人調べ)、それによりCFRPにした際の強度の安定性が高まりました。

(3)また、本製品に用いた独自の開繊技術は生産効率が高いため、従来の開繊技術に比べて低コスト化を実現し、さらに1Kの糸を用いた炭素繊維織物と比較してもコストを抑えることができます。

(4)加えて、本製品は薄肉化しているため、3Kの糸を用いた炭素繊維織物の重量(200g/㎡)を約35%軽量化し、1Kの糸を用いた炭素繊維織物の重量(125g/㎡)と同程度としました。

使用する糸開 繊 織物の断面イメージ図 厚み 重量 平滑性(強度安定性) コスト
1 K 無 ○0.15mm○125g/㎡
3 K 有 ○0.15mm○128g/㎡
3 K 無 △0.2mm△200g/㎡△○△ ◎○◎

3.今後の展開

(1)このたび開発した炭素繊維織物は、産業用途やスポーツ用途の製品を展開する企業に向けて販売を進めていきます。その結果、既に当社が展開している各種炭素繊維開繊織物と合わせ、2030年度に20億円の売上を目指します。

(2)当社は、このたびの開発を契機として、炭素繊維製品の開発をさらに強化し、革新的な高性能材料とソリューションを提供することで、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していきます。

以 上

【 当件に関するお問合せ先 】
帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部 TEL:(03)3506-4055

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