クラシエ薬品株式会社(本社:東京都港区、社長:草柳徹哉)は、中国山東省威海市に中国では二つ目となる新工場を建設します。新工場は漢方薬の原料となる生薬の刻み工程と原薬であるエキス粉末の製造工程を有し、生薬保管倉庫も併設します。2023年での稼働開始を目指し、国内外の既存工場と合わせてエキス粉末の生産能力の増強を図ります。
新工場建設の背景
クラシエ製薬は、現在、中国山東省青島市と大阪府高槻市の工場でエキス粉末の製造を行い富山県高岡市の工場で細粒剤や錠剤などの製剤化と最終製品の包装を行っています。高齢化の進展やセルフメディケーションの更なる浸透などで、今後、医療用漢方薬、一般用漢方薬ともに国内の需要が拡大すると考えることから、今次中国においてエキス粉末の製造プラントを増設し、漢方薬の供給体制を増強することとしました。
威海新工場の概要とコンセプト
最新技術による省人化や効率化を積極的に取り入れ、地球規模の資源・エネルギー事情に配慮した省エネ・CO2排出量の少ない工場を目指します。今後も日本国内における漢方薬の需要は伸びることが予想されることから、更なる増築が可能な拡張性の高いレイアウトとし、高品質の漢方薬原料を安定的に供給する体制を整備致します。また、漢方薬の原料となる生薬保管機能も拡充し、天然物である原料生薬の安定確保を実現します。
建設緒言※1
※1:上記は現段階のものであり、変更の可能性があります。
※2:I-RECとは、再生可能エネルギーにより発電された電気の再エネ価値を証書化したもので、取得したI-REC相当分の電力使用量をSBT等の国際的イニシアチブにおいて再エネ電力とみなして報告することが出来るものです。
1.省エネ・CO2排出量削減のために
1. 建築:徹底した省エネ建築物とし各種省エネ指針を積極採用する
▶ 中国現地の省エネ指針である「公共建築省エネ設計基準」や「民用建築熱工設計規範」等に準拠し
「工業建築省エネ設計統一基準」の要求に合致
▶ 建築物は外壁外部保温システムを採用
▶ 屋上保温材は発泡ガラス断熱ボード
▶ 外部窓は複層ガラスを使用
▶ 電気設備・サニタリー設備も全て高効率・省エネタイプのものを採用
▶ 空調は冷凍性能係数(COP値)の高い冷凍設備を選択
▶ 温湿度自動制御やブロア類のインバータ制御を積極的に取り入れる
2. 生産設備
▶ 加熱源の再利用(ヒートポンプ式減圧濃縮装置)
▶ ポンプ類の高効率モーター採用
▶ 高温設備の断熱強化等による空調負荷の低減とエネルギー使用の合理化
3. その他
▶ 安定稼働直後から海外再エネ証書「I-REC」を活用して使用電力の相当量
を再エネ電気(CO2排出ゼロ)とすることを目指す
▶ 将来的には太陽光や風力など再生可能エネルギーのオンサイト発電に取り組む
2.自動化・生産性向上
▶ 主要生産機器の容量アップによる生産能力・生産性向上
▶ 殺菌工程や混合工程での生産効率化(ボトルネック工程の二重化、自然落下の有効活用)
▶ エキス粉末の梱包自動化
▶ 全設備をコンピュータで接続して生産の全体最適化を目指す
DCS制御(分散制御システムDistributed Control System、既存プラントも同様)の更なる高度化
漢方薬の生産工程
漢方薬は原料の生薬を煎出して有効成分を抽出し、乾燥させてエキス粉末にしてから細粒、顆粒、錠剤などの製剤化を行い製品にします。現在、エキス粉末は中国山東省の青島華鐘製薬と大阪府高槻市のクラシエ製薬高槻第二工場にて生産しております。漢方薬の継続的な需要増に伴い、エキス粉末の生産能力も不足することが予想されることから今回の投資実行に至りました。なお、製剤・包装工程を有する富山県高岡工場においても随時生産ラインの増設やラインスピードの向上などにより生産能力増強を図っております。
クラシエ薬品について
クラシエ薬品は漢方のプロフェッショナルとして、半世紀以上にわたり日本に暮らす人々の健康で豊かな暮らしをサポートしてきました。漢方薬を中心に一般用医薬品から医療用医薬品まで自社一貫体制の下で幅広く提供しています。
近年、健康の価値や暮らしのあり方が大きく変化している社会の状況を受けて、クラシエ薬品は漢方事業における医療用分野と一般用分野の連携を強め、「クラシエの漢方」として事業一体で漢方薬を通じた健康価値の提供を高めていくことに挑戦していきます。
漢方を通じて、日本に暮らす人々が自らの健康を総合的に見つめ、理想とする健康的な暮らしをつくることをサポートしていきます。