自転車用ヘルメットの安全性を示すマークについて ― 消費者庁が自転車用ヘルメットを標ぼうする商品に関する措置命令を実施 ―
消費者庁では、令和6年12月10日及び同月11日、インターネット上で自転車用ヘルメットを標ぼうする商品を販売する事業者3社に対し、これら事業者が景品表示法に違反する不当表示(優良誤認表示)を行ったことから、措置命令を行いました(※1) 。
不当表示の内容は、自転車用ヘルメットに係る欧州の安全規格又は安全基準に適合するものであるかのように示す表示が行われていたにもかかわらず、実際には、これらの規格又は基準に適合するものではなかったというものです。
自転車用ヘルメットの安全性を示すマーク・規格について
自転車用ヘルメットには、自転車運転時の事故の際に頭部を保護する重要な役割があり、令和5年4月から着用が努力義務化されています 。
我が国においては、現時点で、乗車用ヘルメット(バイク用ヘルメット)と異なり、自転車用ヘルメットに対する法令による規格・基準はありませんが、民間機関・団体による安全規格や安全基準が存在します。また、外国における法令や民間の安全規格や安全基準への適合をうたう製品も輸入・販売されています。
自転車用ヘルメットの安全性を示すマークには様々なものがありますが、代表的なものとして、SGマーク、JCF公認/推奨マーク、CEマークなどが挙げられます(図)。これらのマークが要求する安全性を満たすためには、いずれも、視界確保試験、衝撃吸収試験、あご紐等による保持システムの規格適合試験・強度試験・安定性試験、耐久性試験など、極めて厳格なテストに加え、視界確保やヘルメットの保持装置に関する基準をクリアする必要があります。
図:主な自転車用ヘルメットに関する安全性を示すマーク・規格
自転車用ヘルメットのマークに関する相談事例
- ネット通販で自転車のヘルメットを購入した。広告には海外の製品安全の認証マークのCEマークとCPSCマークがついているとの表示があったが、届いたものにはついていなかった。
- ネット通販で安全基準認証済の自転車用ヘルメットを購入した。商品紹介には【CE安全基準認証済、自転車用ヘルメット】と表示があったが、商品到着後に表示を確認すると、EN812という産業用ヘルメットの規格であり、自転車ヘルメットの規格EN1078ではなかった。
消費者へのアドバイス
自転車用ヘルメットを購入する際は、以下のポイントを参考にしましょう。
- 作業用ヘルメットなどではなく、自転車用ヘルメットに関する安全性を示すマークが付されているものを選択するようにしましょう。
- 消費者庁では、今般の措置命令及び本注意喚起と合わせて、「自転車用ヘルメットの外形上の主な注意点」(※2)を公表しています 。主な注意点については、これらに一つでも該当すれば、CEマークやSGマークの安全規格や安全基準を満たさないと考えられますので参考にしてください。
- この機会にマークごとの特性を理解することも非常に有益です。例えば、SGマークとJCF公認/推奨マークを取得している製品の多くは、各認証等をした団体のウェブサイトで公表されており、個別製品の認証取得の有無を回答してくれます。購入時の参考にしましょう。
- 製造事業者、輸入事業者や販売元が確かな製品を購入するようにしましょう。インターネット通販で購入する際は、万一不具合等が発生した時のために、国内の問合せ先が表示されている製品を選びましょう。
- 自転車用ヘルメットは、自転車運転時の事故の際に頭部を保護するための製品です。視界の確保やヘルメットの機能が保てないと思われる製品は、選ばないようにしましょう。
事業者の方へ
安全規格や安全基準を満たしたとするマークが付された自転車用ヘルメットを選んで購入する消費者は、安全の確保に第一義的な価値を置いていると考えられます。多くの事業者の方は、この価値を確実に提供するため、厳格なテストを経て商品を世に出しています。法令による規格基準でなかったとしても、安全の確保を第一に商品を選ぼうとする消費者に対し、正にその安全に関する表示を偽ることは、消費者を決定的に裏切る行為であり、決して許容されません。
また、安全性を含め、製品の長所を一般消費者に訴求するために品質や規格等の内容について積極的に表示を行う場合には、製造事業者や仕入先事業者の説明をうのみにするのではなく、当該表示の根拠となる情報をしっかりと確認する必要があります。詳細は、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」(平成26年11月14日内閣府告示第276号)(※3)を参照してください。
担当:消費者安全課