関税・外国為替等審議会 関税分科会(令和6年11月5日開催)議事録

2024/12/26  財務省 

関税・外国為替等審議会 関税分科会(令和6年11月5日開催)議事録

  1. 開会
  2. 令和7年度関税改正検討項目①
    -個別品目の関税率の見直し
    -沖縄に係る関税制度上の特例措置(選択課税制度等)
    -レバノンに対する便益関税の適用
  3. 加糖調製品を巡る動向等
  4. 閉会

出席者
関税分科会長 森田 朗 財務省 高村関税局長
委員 伊藤 恵子 内野審議官
植田 健一 中澤審議官
片山 銘人 吉田総務課長
河野 真理子 大関関税課長
木村 旬 石谷参事官
木村 福成 仲監視課長
古城 佳子 藤中業務課長
佐藤 基嗣 酒井調査課長
杉山 晶子 藤岡特殊関税調査室長
高橋 裕子 平田原産地規則室長
田村 善之 近田税関調査室長
樽井 功 香川経済連携室長
永沢 裕美子 金山知的財産調査室長
根本 敏則 外務省 塚田経済局国際貿易課長
野原 佐和子 笹田中東アフリカ局中東第一課首席事務官
三石 誠司 農林水産省 近藤輸出・国際局国際経済課長
臨時委員 清水 順子 参鍋農産局地域作物課長
専門委員 阿部 克則 経済産業省 谷通商政策局国際経済部通商交渉調整官
石黒 憲彦 新地製造産業局素材産業課課長補佐
国松 麻季 内閣府 中島政策統括官(沖縄政策担当)付参事官(産業振興担当)
佐藤 英明
末冨 純子
藤岡 博
宮島 香澄
村上 秀德
午前10時00分開会

森田分科会長 おはようございます。時間もまいりましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

委員の皆様方には、御多用中のところ、御出席をいただきましてありがとうございます。

それでは、早速ですが、本日の議事に入りたいと思います。本日の議題は、お手元の議事日程のとおりでございます。

具体的に申し上げますと、「個別品目の関税率の見直し」及び「沖縄に係る関税制度上の特例措置(選択課税制度等)」について財務省から、また「レバノンに対する便益関税の適用」について、財務省と外務省から御説明いただき、審議を行いたいと思います。そして最後に「加糖調製品をめぐる動向等」につきまして農林水産省から御説明を受けることにしたいと思います。

それでは、まず大関関税課長から「個別品目の関税率の見直し」につきまして御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

大関関税課長 おはようございます。関税課長の大関でございます。

初めに、「個別品目の関税率の見直し」について御説明いたします。

資料1-1の1ページ目を御覧ください。個別品目の関税率の見直しにつきましては、物資所管省庁による要望を踏まえ、必要に応じて行ってきており、令和4年度から令和6年度にかけても委員の先生の皆様の御意見を賜りつつ、資料下段の品目について実施してきたところでございます。

2ページ目、資料左側の表を御覧ください。鉱工業品にかかる関税改正要望について御説明いたします。表に記載しておりますとおり、4つの品目について基本税率無税化の要望が提出されておりますところ、詳細は個別の品目毎に御説明いたします。

資料右側を御覧ください。リチウム=ビス(オキサラト)ボラートとは、略称で「ライボブ」と呼ばれており、電気自動車等に使用されるリチウムイオン電池の寿命と出力を向上させる効果のある化学品です。当該品目につきましては、現在国内生産者は存在せず、ドイツ、中国、韓国から全量を輸入している状況です。本品目の無税化に関しては、カーボンニュートラルの実現等に向け、電気自動車の製造・販売が増加する中で関税を無税とすることの意義は認められる一方で、リチウムやリチウムイオン電池については経済安全保障上の重要性から安定供給の観点を踏まえる必要があると考えております。

こうした点について経済産業省とともに検討を行いまして、リチウムイオン電池関連のサプライチェーンの将来的な展開をよく見極める必要があることから、基本税率ではなく、暫定税率を無税としたいと考えております。

次のページに参りまして、左側、略称でCEDMABとCEDMAHと呼ばれている2品目について御説明いたします。これらの品目はディーゼルエンジンの排ガス浄化に使用されるSCR触媒に用いられるゼオライトの原料として利用されております。当該品目について、現在、国内生産者は存在せず、主にインド等から全量を輸入している状況でありまして、令和7年度以降は米国からの輸入も見込まれております。

他方で、国内外における自動車排ガス規制の強化への対応に向け、ゼオライト及びSCR触媒は引き続き需要拡大が見込まれることから、当該品目の調達安定性の確保及び国内ゼオライトメーカー等の国際競争力の維持のため、基本税率を無税としたいと考えております。

続いて、資料右側を御覧ください。1,6-ヘキサンジオールは自動車向けの合成・人工皮革をはじめ、塗料や接着剤などの幅広い用途に加工される各種化学品の原料として利用されております。

当該品目については2023年に国内生産が終了したため、現在、国内生産者が存在せず、主に米国、ドイツ、中国から全量を輸入しております。当該品目から製造される製品には国民生活に密接に関わるものが多く、引き続き高い需要が見込まれるところ、仕入れにかかるコストを低減し、関連産業の国際競争力向上を図るため、基本税率を無税としたいと考えております。

資料1-1の説明は以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。ございませんか。

それでは、御質問、御発言ないようですので、続きまして、「沖縄に係る関税制度上の特例措置(選択課税制度等)」につきまして、御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

大関関税課長 続きまして、沖縄に係る関税制度上の特例措置である選択課税制度等について、資料2-1に沿って御説明いたします。

次のページを御覧ください。まず現行制度の概要について御説明いたします。選択課税制度は、沖縄振興特別措置法に基づき、沖縄県知事が定める国際物流拠点産業集積地域、いわゆる国際物流地域における保税工場等において、外国貨物を原料として加工または製造された製品を国内に引き取る際に課される関税について、原則である原料に対する関税率と製品に対する関税率のいずれか低いほうを輸入者が選択できる制度でございます。法律上は関税制度上の特例措置として関税暫定措置法に定められております。

このほか、沖振法に基づき、税関関係手数料令において、国際物流地域の区域内において保税蔵置場等の許可を受けた者が納付する許可手数料を2分の1に軽減する措置を講じております。

これらの制度について、その3年間の適用期限が令和7年3月31日に到来することを踏まえて、内閣府及び経済産業省からその適用期限を2年延長すること、既存の国際物流地域の範囲が見直される場合には見直された国際物流地域においても選択課税制度及び保税蔵置場等の許可手数料の軽減措置の適用を認めること、との要望がございました。

検討いたしましたところ、まず国際物流地域における企業集積の進展は、国際物流地域の新規雇用者数の増加や国際物流地域において生産された物品の輸出額及び国内出荷額の増加などをもたらしており、沖縄県全体の1人当たり県民所得の増加にも一定程度寄与していること、選択課税制度は沖振法に基づく国際物流地域に関する各種税制上の特例措置の一環として創設されたものであり、国際物流地域における企業誘致の観点から1つの魅力となっていること、また、現在国際物流地域においては9者の保税蔵置場が許可手数料の軽減措置の適用を受けており、今後選択課税制度と相まって国際物流地域における企業集積に一定の効果をもたらすものと考えております。

こうした点を踏まえまして、沖縄の振興に寄与するため、選択課税制度及び保税蔵置場等の許可手数料の軽減措置について適用期限を2年間延長すること、また、国際物流地域の範囲が見直される場合には、見直し後の国際物流地域においても、これらの特例措置の適用を認めることが適当と考えております。

資料2ページ目と3ページ目は国際物流地域に係る参考資料でございます。

説明は以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等ございましたら御発言をお願いいたします。

根本委員 保税地域で選択課税制度を導入して地域振興を図るという考え方には賛同いたします。しかし、前回の関税分科会で実績を伺ったところ、保税蔵置場は9か所あるようですけれども、保税工場は1か所か2か所しかないと。せっかくつくった制度が使われていないという印象を受けたわけです。この制度を所管している内閣府にあっては、利用者が増えるように具体的なプロモーション活動をお願いしたいと思いますけれども、現状いかがでしょうか。

森田分科会長 これは内閣府、どうぞ。

中島政策統括官(沖縄政策担当)付参事官(産業振興担当)(内閣府) 内閣府沖縄振興担当でございます。

本制度の利用の促進につきましては、これまでワンストップ相談窓口における相談対応、また、沖縄特区税制のパンフレットの作成、経済団体を通じた各企業への周知、税制説明会の開催などを通じて周知を図ってきたところでございます。今後につきましては、実績が限られている、極めて限定的であるという事情も踏まえまして、企業誘致セミナーですとか、直接の企業訪問による制度の説明などにより制度の周知を図ってまいりたいと考えてございます。これらの対応につきまして、沖縄県とともに強化をしまして、利用の促進を図ってまいりたいと考えてございます。

根本委員 保税制度の活用というのは、沖縄だけではなくて全国で横展開してほしいというふうに思っています。まず沖縄で実績をつくっていただきたいなと思います。

以上です。

森田分科会長 ほかにいかがでしょうか、御発言。よろしいですか。ございませんか。

それでは、続きまして、「レバノンに対する便益課税の適用」につきまして、財務省と外務省からそれぞれ報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

大関関税課長 続きまして、便益関税制度をレバノンに適用する旨の要望に関して、資料3-1に沿って御説明いたします。

次のページを御覧ください。便益関税制度とは、WTO非加盟国かつ我が国との間でWTO協定上の最恵国待遇を付与するための二国間条約を締結していない国・地域のうち、我が国に対して最恵国待遇と同様の取扱いをしている国・地域に対し、相互主義の観点からWTO税率を適用する制度でございます。

本年8月にレバノンよりWTO譲許税率の適用を希望する旨の口上書が接到したことを受け、外務省から同国を便益関税制度の適用対象国に追加する旨の要望がございました。便益関税制度の適用に当たっては、我が国に対し最恵国待遇と同様の取扱いをしている国につき、相互主義にのっとり、その国の社会経済情勢その他の事情も考慮しつつ決定することとしております。

レバノンが我が国に対し最恵国待遇と同様の取扱いをしているかについては、レバノンの関税法において自由貿易協定に基づく税率の適用対象国以外の国に対しては通常の税率が適用されると規定されており、WTO加盟作業部会の報告書においても、我が国も含め最恵国待遇ベースで関税が適用されていることを確認しております。

同国をめぐる社会経済情勢につきましては、2023年10月のガザ情勢悪化以降、周辺地域の情勢が不安定化しておりますが、我が国としても、中東地域の安定化のため連携していく旨を同国と確認しております。

同国をめぐる事情につきましては、後ほど資料3-3を用いて外務省より御説明いただきます。

改正の方向性といたしましては、令和7年度以降、便益関税の対象国にレバノンを追加することが適当と考えておりますが、情勢不安が続いていることを踏まえ、政令公布までに政府において情勢を慎重に見極めることとしたいと考えております。

私からの説明は以上となります。

森田分科会長 それでは、続いて外務省からお願いできますか。

笹田中東アフリカ局中東第一課首席事務官(外務省) 外務省中東第一課でございます。では、レバノンの概要という資料3-3に沿って御説明申し上げます。

レバノンという国ですけれども、基本的に中東の国で、アラビア語が公用語となっていて、アラブ人がいて、宗教につきましてはキリスト教とイスラム教、キリスト教の細かい宗派がありまして、合計18の宗派からなるという国でございまして、政治体制は共和制、元首は大統領ですけれども、大統領は空席ということになっている国でございます。在留邦人数は、この資料では101人となっておりますけれども、今般の情勢を受けて今はさらに減少しております。

国の政情でございますけれども、基本的に内戦が過去続いていたような国でございまして、お手元の資料の1枚目の一番下の項目になりますけれども、長年の政治の混乱に収拾をつける形で2021年9月、ミカーティ元首相による組閣が成立しております。それから22年5月、議会選挙が実施されましたけれども、組閣の見通しは現在に至るまで不透明なところとなっております。大統領ポストは22年10月末に前大統領の任期が満了しておりまして、それ以降は不在の状態が続いていると。ただし、閣僚評議会の議長である首相が代理を務めてきているというところでございます。

2ページ目に移りますけれども、経済面につきましては、基本的には自由市場経済体制を柱に地域における金融センターの地位を享受してきたというところでございます。基本的には経済面、なかなか厳しい状態になっておりまして、赤字で記載がありますように、20年3月には事実上のデフォルトを表明していると。それから財政健全化や汚職対策等に取り組んでいますけれども、依然として厳しい状態にあるという中で、政治情勢、さらに追い打ちをかけるような状態になっておりまして、レバノンへのイスラエルによる空爆が激化しているというところで経済的な損失が発生しているという厳しい状態にはございます。

外交面では、旧宗主国であるフランスやアメリカと緊密な関係を有しております。

それから、イスラエルとの関係では現在でも衝突が続いておりまして、ヒズボッラーという政治勢力による対イスラエル抵抗運動が継続しております。2023年10月7日にガザでイスラエルとパレスチナ武装組織ハマスとの間で紛争が発生しておりまして、その関係でヒズボッラーという政治勢力もそれにある意味加勢するような形で、イスラエルとの間で、国境地帯においては攻撃の応酬が継続しているというところで、こうした状況を受けて人道状況が急速に悪化しているというところでございます。

それから、シリア危機が2011年のアラブの春を受けて発生しておりまして、このとき100万以上のシリア難民がシリアからレバノンに流入して、そうした難民も受け入れているので社会の負担が増えているというところはございます。

ただ、二国間関係につきましては総じて良好でございまして、22年3月に技術協力協定に署名しておりましたり、我が方の政府要人、山田外務副大臣が2023年8月に訪問しております。それから支援のほうもかなりやってきておりまして、日本の支援というのは総額約2億9,000万ドルに至るというところでございます。

国際社会によるレバノン支援国会合にも日本政府として出席してきておりまして、EU主催の閣僚級会合に山田外務副大臣が参加しております。さらに、直近ですと、10月24日にフランス政府が主催したレバノン支援会合におきまして我が国から総額1000万ドルの緊急無償支援を発表しております。

レバノン情勢について以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの報告につきまして、御質問、御意見等ございましたら御発言をお願いいたします。

オンラインで手を挙げられた方、いらっしゃいませんか。三石委員と末冨委員が挙げていらっしゃいます。その順番で御発言を願います。

三石委員 宮城大学の三石です。御説明ありがとうございました。

この便益関税というのは意外と難しい制度だと理解しております。こうした制度の存在は承知していますが、WTOの非加盟国に対してこれを認めるということは、行政各部局のしっかりとした判断のもとで協議してなされたと理解しています。私は農産物等をよく見ています。消費者の立場から見ればレバノン産の、例えばオリーブオイルやワインが安く入ってくる、こういう点では非常によい制度です。

一方で日本産の農産物、恐らくカマボコだとか冷凍のホタテなどがレバノンにはよく輸出されていると理解しています。ここに書かれているような相互主義という原則を踏まえたときに、日本の農産物の輸出も不利な扱いは受けない、これはどうなのでしょうか。

ここには「我が国に対する差別的取扱いは認められない」と書かれていますが、それだけではなく、先方が受けるメリットを我々日本の農産物を輸出する際においても、しっかり享受できるように環境を整え、情勢を見ながら慎重に対処していただければと考えております。その辺についてコメントいただければと思います。

森田分科会長 これについては、大関さん、お願いします。

大関関税課長 コメントありがとうございます。御指摘のとおり便益関税制度につきましては、WTO非加盟国に対して相互主義の観点からWTO協定税率を適用するという制度でございます。レバノンが我が国に対して当然差別的な取扱いをしていないということであります。我が国からの輸出に関しては、現時点では機械類や自動車などが多いという状況でございます。今御指摘いただきましたように、当然差別的な扱いはされていないということではありますけれども、農産品も含めて輸出環境を整えていくように関係省庁とも連携をして引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

三石委員 関税審議会・関税部会では個別の品目をかなり細かく議論をしながら見てきていますので、一国に対し包括的な便益を与えるという際には相当注意が必要です。その点を慎重に実施していただければと思います。全体的な貿易促進という視点からはよいと思いますので、遺漏なきようお願いいたします。

以上です。

森田分科会長 ありがとうございました。これはよろしゅうございますね。

続きまして、末冨委員、どうぞ。

末冨委員 御説明ありがとうございました。今御説明いただいた中で輸出業者について言及いただいたんですが、その部分がちょっと聞こえにくかったんですけれども、御説明の資料を拝見すると、レバノンとの貿易については、我が国からの輸出のほうが圧倒的に多いという御説明がある中で、我が国からの輸出については最恵国待遇がちゃんと付与されているので、相互主義に基づいてレバノンからの輸入についても最恵国待遇を付与するという御説明かと思うんですけど、それぞれレバノンからの日本への輸出について、あるいは日本からレバノンへの輸出について、主な産品がお分かりになれば教えていただければなと思います。よろしくお願いいたします。

大関関税課長 まずレバノンから日本への輸出につきまして、まず輸出入の総額を先に申し上げますと、レバノンから我が国への輸出、我が国にとって輸入は23年で8億円強でございます。一方で我が国からレバノンへの輸出額は、同じく23年で460億円強という状況で、圧倒的に我が国からの輸出のほうが多いという状況です。具体的な品目ですけれども、レバノンから我が国に対する輸出というのは現在、銅くず等の非鉄金属くずが約7割を占めております。次いで機械類が7.5%という状況となっております。レバノン側としては、ワインや子ども向け衣類などの輸出促進に関心があるというふうに承知をしております。

我が国からの輸出につきましては、今正確なデータが手元にないので、また追って御説明差し上げたいと存じます。申し訳ありません。

森田分科会長 それでは、ほかに御発言いかがでしょうか。

伊藤委員、どうぞ。

伊藤委員 素朴な質問で恐縮ですが、この便益関税制度について、この数年間、関税分科会の場であまり議題に出てきていなかったように思います。13か国対象と資料に出ているんですけれども、政情不安や内戦が続いているような国が結構入っていまして、定期的な見直しとか、どういう状況になっているかなどの検討は普段されているものなんでしょうか。もし今回レバノンを加えるとなった場合に、例えば何年後かにレビューをするとか、そういった計画があるものなのかというのをお尋ねしたいんですが、よろしくお願いいたします。

大関関税課長 御指摘ありがとうございます。便益関税制度についてレビューというものを定期的に行っているものではございませんけれども、御指摘いただきました今各国がどのような状況にあるのかという点については、よく確認をしながら、毎年度の関税改正においても取り組んでまいりたいというふうに考えております。少なくとも現時点では定期的にレビューするというものではございません。

森田分科会長 伊藤委員、よろしいでしょうか。

大関関税課長 すみません、追加でございますけれども、便益関税の適用のレビューということではございませんが、外交上の課題を抱えているような国につきましては、関係国や国際機関等と連携をして、我が方から累次の機会を活用して課題の解決に向けて働きかけを行っております。

森田分科会長 伊藤委員、よろしいですか。

伊藤委員 ありがとうございました。

森田分科会長 それでは、会場からですけれども、河野委員、阿部委員でお願いいたします。

河野委員 御説明ありがとうございます。冒頭でレバノンからの口上書による依頼があってこの制度を検討されたというふうに御説明があったと思うんですけれども、これは依頼があれば基本的には応じるという方向で検討されるのか、それとも何らかの形で、先ほど来、いろんな委員から出ていますように、政治的に問題がある国であっても、何らかの意思を持って決定しておられるのか、できればその辺りを教えていただければと思います。

大関関税課長 ありがとうございます。まず適用に当たりましては、口上書が来れば適用するというものではなく、まず最恵国待遇と同様の取扱いを我が国に対してしているかどうかという点、それからその国の社会経済情勢、その他の事情も考慮して、これらの要件を満たしたと判断された際には適用するということで対応してきているところでございます。

河野委員 ありがとうございます。そうすると、例えば日本の側から働きかけるというような例はなくて、むしろ先方から依頼があったら検討するというふうに理解してよろしいんでしょうか。

大関関税課長 基本的にはそのような形になります。

河野委員 ありがとうございました。

森田分科会長 それでは、阿部委員、どうぞ。

阿部委員 ありがとうございます。後ほどでも結構なんですけど、先ほどお話のあった主要な貿易品目について、もしこの便益関税制度を適用した場合にどういう関税率が適用されるのか、それから我が国からレバノンへの輸出品目について、どれくらいの関税率、最恵国待遇が適用されているということなんですけども、具体的な関税率、どういうふうに適用されているのかというのがもし分かれば教えていただければと思うんですけども。

大関関税課長 まずレバノンが我が国に対して適用している関税率の水準でございますけれども、0%から10%未満の品目が約90%となってございます。我が国からレバノンに対するものと大体同様の水準となっています。具体的な品目で申し上げますと、レバノンから我が国への輸出品目の約7割を占める銅くず等の非鉄金属くずについては基本税率は無税、それから次いで割合の大きい一般機械、これは7.5%の輸出シェアですけども、そちらについても基本税率は無税というふうになっております。

それから、先ほど御質問がありました我が国からのレバノンに対する輸出品目ですけれども、車両等の輸送機器が7割以上を占めているというような状況となってございます。

森田分科会長 阿部委員、よろしいでしょうか。

阿部委員 ありがとうございます。そうしますと、今回便益関税をレバノンに適用しても、レバノンとの関係で関税適用上の利益に大きな変更はないという理解でよろしいでしょうか。

大関関税課長 大きな変更はないというふうにみられます。

森田分科会長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

それでは、ないようでございますので、この件はこれくらいにいたしまして、最後のアジェンダになりますけれども、農林水産省から「加糖調製品をめぐる動向等」につきまして御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

参鍋農産局地域作物課長(農林水産省) 農林水産省で砂糖を担当しております地域作物課長の参鍋でございます。

資料4、「加糖調製品をめぐる動向等について」、御説明をさせていただきます。

冒頭、2ページからが糖価調整制度の概要と昨年の答申を踏まえた対応方向になりますが、その内容に入る前に、まず砂糖自体について、3ページ目でございます。

砂糖は国民の摂取カロリーの約8%を占める品目です。甘さの付与に加えまして、防腐効果や発酵促進効果などもあり、加工食品の原材料として欠かせない品目となっております。砂糖消費量のうち、家庭向けは約10%となっておりまして、料理の上でも欠かせない調味料です。食品製造業者や消費者のニーズに応じて、資料右側にありますとおり様々な種類の砂糖が生産、供給されており、我が国の食生活を支えているところです。

続きまして、4ページです。この砂糖の安定供給を支えておりますのが糖価調整制度になります。図は砂糖の例でございますけれども、糖価調整制度は最終製品であります精製糖の海外からの流入に対して、高い水準の国境措置を課す一方で、輸入の原料糖と国内産糖の価格調整措置を講じることで、沖縄・鹿児島のさとうきび、北海道のてん菜といった甘味資源作物やそれらを原料とする国内産糖の製造事業、さらに国内産糖と輸入の原料糖を原料として精製糖を生産する事業、これらが成り立つようにすることで国内の砂糖の安定供給を図る仕組みです。

こうした仕組みの中で、精製糖に例えば脱脂粉乳のようにほかの物を混ぜた加糖調製品につきましては、精製糖よりも関税が低くなっていることから、国内の精製糖にとって脅威となっていたところですが、加糖調製品からの調整金の徴収につきまして、砂糖との公平性の観点で平成29年11月のTPP大綱に盛り込まれたところです。

5ページにまいります。平成30年12月のCPTPPの発効から加糖調製品を糖価調整制度の対象に加え、国産の砂糖の競争力の強化を図っているところです。今般は昨年に引き続きまして、この輸入加糖調製品からの調整金徴収幅の拡大につながる暫定税率の引下げを要望させていただいております。

6ページにまいります。中ほどに昨年の答申を載せておりますが、この内容を踏まえまして、食料・農業・農村政策審議会の甘味資源部会を9月12日に開催いただきまして、検討を頂いたところです。

その議論の結果について、7ページの枠内に記載をしております。概要といたしまして、国産の砂糖の競争力強化を図る観点から、CPTPP税率の設定状況に応じまして、令和6年度においても引き続き加糖調製品の暫定税率引下げに向けて関税改正の要望を行っていく必要があるということでございました。

8ページから加糖調製品と砂糖の需給動向と暫定税率の引下げによる政策効果について説明いたします。

9ページを御覧ください。砂糖と加糖調製品の需給の動向になります。加糖調製品は真ん中の青い棒グラフになりますが、平成2年に輸入が自由化されて以降、輸入量が増加しまして、国内の砂糖需給を代替してきました。ここ数年は減少に転じておりますが、直近の令和5砂糖年度で36万トンと一定の規模が引き続き輸入されている状況です。

10ページを御覧ください。これは甘味全体の需要量の推移になります。人口減少や消費者の低甘味嗜好などによる砂糖、異性化糖、加糖調製品を合わせた甘味全体の需要量の減少に伴いまして、加糖調製品の需要量も減少傾向にあります。ただ、右側グラフにありますとおり、砂糖、加糖調製品ともにその仕向け先は菓子・冷菓が最も多く、次いで清涼飲料・酒類、パンと共通が見られまして、両者が競合関係にあるという点は変わらないのであろうと考えております。

11ページにまいります。直近の加糖調製品の輸入動向になります。グラフ右端の赤枠になりますが、これは令和4砂糖年度から5砂糖年度にかけての輸入動向を表したものですが、原料価格の上昇や円安などを背景にCIFの単価は14.3%増加し、輸入量自体は10.8%減少している状況です。

12ページからは加糖調製品輸入量の減少要因の分析になります。主な加糖調製品に関して、まずココアの調製品についてですが、加糖調製品の輸入量全体で4万1,000トンほど減少しているもののうち、半分以上に当たる2万2,500トンがココア調製品の減少です。その背景ですが、カカオの主な生産地であるアフリカ各国の天候不順による不作により昨年末からカカオの国際相場が高騰していると承知しております。これに伴いまして、ココア調製品のCIF価格も高騰し、量的にも確保しにくくなったことから、ココア調製品の輸入量が減少したということが考えられます。

一方で、新型コロナウイルスなどで砂糖の消費量が大幅に減少する中でも、チョコレート自体の生産量は大幅に減っているということではなく、チョコレートの消費は今後もある程度堅調に推移することが予測されます。また、足元では国際カカオ相場も下落傾向にあると承知しておりまして、今後調達環境が整えばココア調製品の輸入が増加に転じるということも十分に想定されるところです。

13ページは粉乳の調製品と豆の調製品についてです。まず粉乳調製品については、昨年度は国内の脱脂粉乳の在庫が過剰になっていたため、粉乳調製品が突出して減少していた状況でしたが、国内の在庫量が落ち着いてきていると承知しておりまして、粉乳調製品の輸入量の減少幅は縮小しているところです。

また、豆の調製品、これは主に加糖餡になりますが、こちらは輸入量がほとんど減っていない状況です。これは昨年、国産の小豆が不作で、収穫量が減少したことが一つの要因であると考えられます。いずれにしましても、加糖調製品の砂糖以外の原料の要因が一定程度輸入量に影響していると考えられまして、それらの動向次第でこれらの加糖調製品の輸入は今後も増加する可能性があり、依然として脅威が存在するものと承知をしております。

14ページは、今回暫定税率の引下げ対象6品目に絞った輸入動向などです。直近の1年間では輸入量が14.2%の減少となっておりまして、前述のようにココア調製品の減少が主に寄与しているところです。

一方で、この引下げ品目には漸増する関税割当が設定されておりまして、その枠内は調整金の負担なく、また低い関税率で輸入できるため、安価な加糖調製品の輸入増の脅威は依然として存在していると考えております。

15ページを御覧ください。加糖調製品を使用するメーカーにアンケート調査を行いました結果です。これは食品製造事業者等が対象ですが、この意向では加糖調製品を利用する理由として、依然としてコスト削減が最も多く、価格が下がれば加糖調製品に切り替えるという意向もあります。また、価格面以外でも、砂糖以外の原料の安定調達につながる、生産効率がいいなどの意向も見られ、引き続き様々な理由での需要が存在すると考えております。

16ページを御覧ください。加糖調製品からの調整金収入の推移です。調整金の収入額につきましては、輸入量は減少したものの、暫定税率引下げによる調整金徴収幅の拡大と加糖調製品のCIF単価の上昇が相まって増加傾向で推移しており、直近1年間では約102億円となっているところでございます。

17ページを御覧ください。直近の砂糖と輸入加糖調製品の価格を比較したものでございます。砂糖の価格については、直近1年で約190円から245円と、粗糖の国際相場の高騰などにより昨年から約20円から30円の上昇となっております。一方で輸入の加糖調製品ですけれども、これは175円から205円程度と、昨年から25円から30円程度の上昇となっており、価格差がわずかながら縮小しているという傾向が見られます。

この要因としましては様々あろうかと思いますが、加糖調製品を制度対象に組み込んだことによる粗糖価格の抑制、あるいは精製糖メーカー、製糖メーカーの合理化努力などにより価格の上昇幅が抑制されたことなどがあると考えられ、消費者に一定のメリットがあったものと認識をしております。引き続き価格差が存在しておりますので、競争力の強化を図るため、暫定税率の引下げが必要と考えております。

18ページからが国内産糖の競争力強化の取組についてです。

まず19ページ、全体の取組状況を整理しております。甘味資源作物であるさとうきび、てん菜ともに物財費が上昇している状況ですが、労働時間削減に向けた取組を進めることで生産費の減少に寄与をしております。また、甘しゃ糖工場やてん菜糖工場につきましては、自働化設備、省エネ設備の導入や原料中間受入場の開設による原料輸送効率の向上などにより、製造コストの低減を進めているところです。

具体的な取組内容については、20ページになりますけれども、さとうきびについては機械収穫への移行やデータを活用したスマート栽培といった効率化が進められているほか、多回株出し栽培に適した新品種の開発も進んでおります。

また、てん菜は直播栽培の拡大や特定の除草剤に耐性を持つ品種の普及なども含めた減農薬・減肥料によりコストを削減し、収益の確保を目指した経営体の育成を図っております。また、省力機械の導入、作業の外部化・共同化により、育苗・移植・収穫時間の削減を推進しているところです。

21ページは製糖工場の具体的な取組内容です。甘しゃ糖工場につきましては、自動化設備の導入による長時間労働の削減に向けた取組や省力化設備の導入などにより製造コスト低減の取組を進めております。

てん菜糖工場についても、工場の再編合理化による効率的な生産体制の構築に加え、流通の合理化や省力化設備の導入などにより製造コスト低減の取組を進めていると承知をしております。

22ページは精製糖企業の状況です。この1年間の動きとしまして、1つ目は3月にDM三井製糖と和田製糖の業務提携があり、来年3月に和田製糖が工場を閉じることになっております。また、2つ目は10月に日新製糖と伊藤忠製糖が合併し、ウェルネオシュガーになりました。こうした業務提携や企業合併等を通じて経営体質の強化を図りつつ、生産の合理化を進めることで、国民の重要なエネルギー源である砂糖の安定供給に貢献いただいているものと承知をしております。

23ページからは制度の中長期的な在り方及びその実現に向けた具体的な取組についてです。

24ページです。今年の通常国会で食料・農業・農村基本法の改正法案が成立し、6月に施行されました。新しい基本法に基づきまして、政府として中長期的に取り組むべき方針である食料・農業・農村基本計画を来年3月をめどに策定する予定となっております。新たな基本法では、国民一人一人の食料安全保障を柱として位置づけ、そのための農業生産基盤などの食料の供給能力の確保が重要である旨が位置づけられております。こうした中で、引き続き砂糖の安定供給の確保が課題となっているものと認識をしております。

砂糖の安定供給の確保には、国内のさとうきびやてん菜の生産者、国内産糖の製造事業者を支えていくことが重要であり、農林水産省としましては砂糖をめぐる国内外の情勢を踏まえて、引き続き持続可能な制度の在り方を検討していく必要があると考えております。

25ページが砂糖勘定の収支の状況です。令和元年以降、収支が悪化しておりまして、令和5砂糖年度は国際糖価の高騰、円安の影響などにより調整金収入がさらに減少しております。制度関係者も具体的な改善のための努力を続けているところですが、単年度収支は約70億円の赤字となっておりまして、累積差損は640億円を見込んでおります。

26ページです。制度関係者にとって不可欠な本制度を維持し、砂糖を安定供給していくために、これまでも関係者の御理解と御協力のもとで収支改善の取組を続けてきました。まず、てん菜の関係がこのページになります。砂糖の消費量が減少して、てん菜糖業の抱える在庫が増大し、厳しい経営状況にある中で、一昨年12月、持続的なてん菜生産に向けた今後の対応を決定しました。これはてん菜糖への交付対象数量を令和8砂糖年度に55万トンとし、需要のある作物への転換などを推進することを内容とするもので、直近のてん菜の作付面積は5万ヘクタールを切る状況まで取組が進んでいる状況です。

27ページは異性化糖からの調整金についてです。異性化糖の需給動向と用途の拡大などを踏まえて、今年4月から異性化糖の調整金について見直しを実施しており、13年ぶりに調整金が発生しているところです。引き続き価格算定の諸要素を適切に算定していくということを考えております。

28ページは砂糖勘定の収支改善に向けた取組全体でございます。近年の砂糖勘定の収支が大きく悪化した要因も踏まえつつ、制度関係者による収支改善に向けた取組を進めることにより、将来的にも糖価調整制度を安定的に運営していく必要があります。直近では今年9月に令和6砂糖年度に係る各種価格指標を定める中で、需給の見通しを踏まえ、輸入糖から頂く調整金の算定要素である指定糖調整率については引上げといたしました。引き続き国産の砂糖がより効率的・安定的に供給される環境をつくり、制度について国民の支持を頂くためにも、全ての制度関係者が生産・製造コストの引下げに向けて不断の努力をしていく必要があると考えております。

29ページにまいります。制度の安定運営のためには砂糖の需要拡大も重要な要素の1つです。幾つか御紹介をしておりますが、ページ左下、平成30年から当課職員がSNS等で砂糖に関する情報発信などを行う「ありが糖運動」を展開しております。SNS以外の取組として紹介させていただきますと、今年8月7日、8日に開催されましたこども霞が関見学デーにおきましては、親子参加型の綿菓子作り体験や楽しく砂糖の知識が学べるクイズなどを実施いたしまして、多くの消費者に砂糖に親しんでいただく機会を提供できたものと考えております。また、菓子の輸出も年々増加しており、引き続き輸出の促進にも取り組んでまいります。

30ページにまいります。持続可能な航空燃料(SAF)の関係でございます。農林水産省としても引き続きSAF官民協議会の議論に参画をしております。この1年間の動きとしましては、国際的にSAFの導入目標がCO2削減量に着目して設定されていることに伴い、我が国においてもGHG削減量での評価が必要という観点で目標が見直されました。

31ページにまいります。国産さとうきびを原料としたSAFにつきましては、輸入エタノールを原料としたSAFと比較しましてコストが高くなっているため、国産のSAF導入に当たっては地産地消のサプライチェーンモデルなどの検討が必要になってくるものと考えております。国産のSAFの実現可能性を広く検討するためにも、SAFに関する認知向上に資する取組を支援する予算も確保しておりますので、引き続き課題の把握や関係者への理解醸成に向けて取り組んでまいります。

最後、32ページ、33ページになります。今般の関税改正要望の概要といたしまして、引き続き価格差が存在するということ、また、輸入増加の脅威があるということを踏まえまして、暫定税率の引下げを要望させていただいております。

少し長くなりましたが、以上でございます。何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

森田分科会長 御説明ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございましたら御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

杉山委員、お願いいたします。

杉山委員 ありがとうございます。国内砂糖の需要拡大の取組についても様々お伺いしたところでございます。もっと消費者にアピールするためには、さらにブランド化をするなどの取組も必要なのではないかなというふうに考えております。例えば政府の認証マークであるとか、さらに国内砂糖のブランド化を推進していくといったことでございます。これについては何か取組が進められているのでしょうか。これが質問でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。御回答をお願いいたします。

参鍋農産局地域作物課長(農林水産省) 御質問ありがとうございます。国内産糖のブランド化は、需要拡大に重要な要素であると認識をしております。ブランド化については、それぞれの産地、あるいは精製糖企業におきまして、それぞれ取組が進められているものと承知をしております。先ほど御紹介した我々からの情報発信などの中でも取り扱って、こうした取組を後押ししてまいりたいと考えております。

杉山委員 分かりました。ありがとうございます。

森田分科会長 ほかにいかがでしょうか。

植田委員、どうぞ。

植田委員 出先で状況が悪いので、声だけでお願いします。昨年もちょっとお聞きしたんですけども、全体的に食料安全保障と言いながら、砂糖からアルコールを作り出すことをサポートしたり、もしくは作付面積を減らすようなキャップをはめているということでしょうか。もちろん、世界的にはむしろ、例えば成人病の問題も関わってくるので、むしろ脂肪分とか糖分に対して税金をかけるという、国民の健康を気にして、そういう国、先進国もあるような状況で、そうしたことも考慮しているのでしょうか。いずれにせよ、全体的な戦略が何か支離滅裂になっているという印象がいたします。その上で、単に農家にお金を払っているだけのように感じますが、いかがでしょうか。

以上です。

森田分科会長 御回答いただけますか。御趣旨は御理解いただけましたでしょうか。

参鍋農産局地域作物課長(農林水産省) 御指摘ありがとうございます。食料安全保障との関係では、てん菜方針に基づくてん菜糖への交付対象数量の抑制については、この制度のもとで持続的なてん菜の生産を可能にしていくための取組であると理解をしております。また、てん菜から需要のある別の作物への転換などを促していくことは食料安全保障の取組にも資するものだと考えております。

また、アルコールなどへの利用につきましても、砂糖等の需要拡大を通じた砂糖の安定供給の確保のための1つの方法として考えておりまして、こうした様々な選択肢の検討を通じて、この制度の安定運営を図ってまいりたいと考えております。

森田分科会長 植田委員、よろしいでしょうか。聞こえましたか。つながっていないようですね。

植田委員 大丈夫です。ありがとうございました。

森田分科会長 それでは、続きまして宮島委員、お願いします。

宮島委員 ありがとうございます。この調整制度に関しましてはずっと議論があって、様々に農水省のほうでも議論されているんですけれども、なかなか持続可能性に心配がある一方で、これに代わるすごく大胆な新たな制度というのは見出しにくい状態になっているかなというふうに思います。その中では、今やっている農業基本法の中で改めてしっかりと議論を進めるとともに、特に具体的にできる転作などの奨励をしっかりやっていただきたいと思います。沖縄のほうはなかなか厳しい部分もあるんですけれども、北海道は需要の多い大豆ですとかじゃがいもへの転作や、あるいは流通とか工場のほうの改革というのは結構まだできると思いまして、こちらのスピードをアップして、しっかり取り組んでいることでまずは制度を安定させる、その上でこの制度を超えた別の対応策というのも考えていく必要があるのではないかと思います。

以上です。

森田分科会長 コメントがありましたら、どうぞお願いします。

参鍋農産局地域作物課長(農林水産省) 御指摘ありがとうございます。この制度の持続可能性については、まさに御指摘いただいたとおり困難な課題があるところではありますけれども、引き続き関係者の御理解を得て持続可能な制度の在り方を議論してまいりたいと思います。先ほど例でまさに挙げていただきましたとおり、北海道では、資料の中でも御紹介をさせていただきましたが、工場の再編合理化・省力化といった取組にも取り組んでいただいておりますし、また、てん菜方針の中でも需要ある作物への転換を進めておりますので、こうした取組について、引き続き我々としても必要な支援を講じていきたいと思っております。

森田分科会長 よろしいでしょうか。

それでは、樽井委員、どうぞ。

樽井委員 全中の樽井と申します。先ほど、農業者にお金を払っているというような発言がありましたけども、私も北海道で農業を営んでおります。北海道のてん菜、そして沖縄、鹿児島、南西諸島のさとうきび、甘しょですね、これは今農地がどんどん高齢化によって維持することが難しくなりつつあり、若い方々にもてん菜、さとうきびをつくってもらいたいんですけども、そこら辺がなかなか思うようにこれから進んでいくのかという不安もあります。それと、先ほど出ていました製糖工場はかなりの年数がたって老朽化してきています。これから私たち現場を預かる人間としても、この国の目と鼻の先にある諸外国と離島や沖縄等の位置関係を考えると、これらの地域の方々がこれ以上減少すれば、本当に食料安全保障のみならず、やっぱり日本国を守るという、島に人が住めなくなるということは国防の観点からも大事な部分になろうかなというふうに感じております。

そのためには、私たち農業者が安心して生産できる経営安定対策の支援が本当に必要となってきますし、糖価調整制度をしっかり維持するためにも、加糖調製品対策として暫定税率引下げは引き続きしっかりと講じられるべきであるというふうに考えてございます。

そういうことも含めて、これから産地自ら国内の産糖に関わる競争力強化や中長期的な在り方を検討しながら、生産者団体として食生活において不可欠な砂糖を国民の皆様に安定的に供給すべく、引き続きその責務を果たしてまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

私からは以上でございます。ありがとうございます。

森田分科会長 ありがとうございました。これは特にコメントはよろしゅうございますね。

それでは、ほかにいかがでしょうか。

村上委員、どうぞ。

村上委員 この制度は砂糖の輸入が自由化されたのを受けて昭和40年に導入されたもので、よくここまでもっているという感じがします。その制度設計の最初の考え方としては、内外価格差を全部税金で埋めるというのは難しいということで、国からの交付金と輸入粗糖に対する調整金で賄うということで負担のバランスを図ったということかと思います。その後、甘味をめぐる市場の状況が変わってきて、でんぷんからつくる異性化糖ができてきたり、今議論になっております加糖調製品が出てきて、その輸入が増えてきました。一方、砂糖の全体の消費はどんどん減っていく中で、制度を維持するための負担のバランスを図ることが非常に重要になってきたということかと思います。

平成29年のTPP大綱でも、加糖調製品の市場拡大、アクセス改善を図ると同時に、消費者価格を引き下げるということで、加糖調製品にも制度維持の負担をしてもらう一方で、砂糖の実需者負担、あるいは消費者負担は減らすというようなバランスをとったということかと思います。この制度を維持していくためには、これに代わる制度がなかなか見当たらないという中では、ステークホルダーがそれぞれ努力をしていくこと、特にコスト削減の努力をすることが非常に重要だと思います。それから農水省としては、不断にこの制度の運用の改善を図ると同時に、制度の見直しということを心がけていただきたいと思っております。

森田分科会長 コメントとして伺っておきます。

それでは、ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

ありがとうございました。特に御発言ないようでございますので、本日は以上をもちまして関税分科会を終了したいと思います。

なお、次回の関税分科会の開催につきましては、11月26日(火曜日)の10時開始を予定しております。詳細につきましては事務局と調整の上、別途御連絡差し上げたいと思います。

それでは、本日は御多用中のところ、御出席をいただきましてありがとうございました。かなり予定より早く終了したかと思いますが、これで終わりとさせていただきます。どうもありがとうございました。

午前11時09分閉会

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