密林に栄えた26代、600年にわたるアンコール王朝の興亡を、碑文や発掘成果から解き明かす『アンコール王朝興亡史』が発売

2021/12/02  株式会社 NHK出版 

著者による大発見以降も調査が続くアンコール王朝の遺跡群。各地に残された碑文の解析や新発見史料から王朝の興亡史を明らかにする

 9世紀に始まった、クメール人によるアンコール王朝。歴代の王が、密林を切り拓き高さ65メートルの尖塔をもつアンコールワットをはじめ巨大伽藍を建設するなど、その遺跡群はクメール建築の傑作であるとしてカンボジアの世界文化遺産にも登録されています。  歴史にも大きな足跡を遺したアンコール王朝はどのようにして興り、どのように衰退したのか。自らを「神なる王」と称し、その証を大都城、大寺院、大王宮の3点セットの造営、バライと呼ばれる灌漑用環濠の建設で示した26名の王による600年にわたるアンコール王朝の栄枯盛衰を解き明かす『アンコール王朝興亡史』(NHK出版、2021年10月25日刊)が、発売されました。



 王位継承は永続的なものではありませんでした。本書は、26代の王位簒奪の歴史、「神なる王」信仰、巨大石造り寺院、都城が造営された目的・理由、60万の人口を支えた水利灌漑システム、世界に開かれていた王道の全踏破、バイヨン寺院の回廊浮彫りから検証した当時の生活、アンコール王朝末期の歴史を塗り替えた280体の仏像発掘などの内容で構成し、アンコール王朝の繁栄から衰退までを、写真家大村次郷氏の多数の写真とともに解説します。
 
 長きにわたりアンコール遺跡群の調査・修復・保存にかかわる著者の石澤良昭氏は、上智大学アンコール遺跡国際調査団を率い、2001年には、バンテアイ・クデイで考古学研修中に仏像274体(その後6体を追加発掘)を地中から発掘、それまでの学説を塗り替える大発見となりました。
 アンコール王朝史をまとめた前著『アンコール・王たちの物語~碑文・発掘成果から読み解く』(2005年刊行、NHKブックス)執筆後、継続した発掘調査、周辺都市調査、建築学、美術図像学の研究成果による新たな史料の校訂、遺跡の保存修復中に見出した伝統技法の新発見などを加え、大幅に加筆、改訂したものです。

 密林の中に誕生した600年にわたる王朝の興亡を、アンコール学の第一人者が新たな研究成果により再び明らかにする、必読の一冊です。


【著者】
石澤 良昭 (いしざわ・よしあき)
1961年上智大学外国語学部卒。文学博士(中央大学)。専門は東南アジア史(特にアンコール王朝時代の古クメール語碑刻学)。現在、上智大学教授、上智大学アジア人材養成研究センター所長、上智大学アンコール遺跡国際調査団団長。第13代上智大学学長(2005-2011年)。2003年「国際交流基金賞」受賞、「ラモン・マグサイサイ賞」受賞。2018年「モニサラポン勲章」受章。2020年王立プノンペン大学より「名誉博士号」を授与された。
主な著書に『〈新〉古代カンボジア史研究』(風響社)、『カンボジア密林の五大遺跡』(共著、連合出版)、『アンコール・ワットと私』(連合出版)。訳書に『カンボジア近世史』(キン・ソック著、めこん)、『カンボジア中世史』(マック・プン著、共訳、めこん)など。



『アンコール王朝興亡史』構成


はじめに
アンコール王朝遺跡配置図
アンコール王朝の遺跡と王道地図
アンコール王朝と寺院遺跡の造営一覧表

第一章 アンコール遺跡とは何か――巨大な建寺エネルギーに圧倒される
第二章 群雄割拠をまとめた若い王――前アンコール時代末期からジャヤヴァルマン三世まで
第三章 アンコール王朝を造営した炯眼の王
第四章 最初の大都城ヤショダラプラ
第五章 アンコールへの再遷都を行なった王
第六章 最初の建寺王――忠誠を誓った査察官たち
第七章 スールヤヴァルマン二世の大いなる野望
第八章 偉大な建寺王ジャヤヴァルマン七世
第九章 浮彫りに描出されたアンコール都城の人々
第十章 すべての道はアンコールへ――ヒトとモノが動いた王道
第十一章 世紀の大発見、二八〇体の仏像発掘――歴史は塗り替えられた

おわりに
参考文献
カンボジア古代・中世歴史年表



商品情報




出版社:NHK出版
発売日:2021年10月25日
定価:1,870円(本体1,700円)
判型:B6判
ページ数:324ページ
ISBN:978-4-14-091271-3
URL:https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000912712021.html

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