スカパーJSAT発スタートアップ 「株式会社Orbital Lasers」設立のお知らせ
民間企業で世界初の商用利用をめざして、レーザーによる スペースデブリ除去事業・高精度な地表面情報を提供する衛星ライダー事業開始
2024年01月30日
スカパーJSAT株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長:米倉 英一、以下スカパーJSAT)は、宇宙実業社としてさらなる事業領域の拡大を目指し、社内スタートアッププログラムから始まったレーザーを用いたスペースデブリ除去プログラムを次のステージへ進めるため、2024年1月12日に「株式会社Orbital Lasers(オービタルレーザーズ)」(本社:東京都港区、代表取締役社長:福島 忠徳、以下Orbital Lasers)を設立いたしました。2020年6月に発表した、世界初*1の宇宙ごみ(以下スペースデブリ)をレーザーで除去する衛星ミッション部分の設計・開発について国立研究開発法人理化学研究所*2と進めてきた結果、スカパーJSAT発のスタートアップが誕生します。
Orbital Lasersはスペースデブリ除去事業に加え、レーザー技術をさらに活用・発展させ、宇宙用ライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)*3を衛星に搭載することで、民間事業者として世界初*1となる衛星ライダーによる高精度な地表面情報の提供を行う衛星ライダー事業の拡大も目指します。衛星ライダー事業では、2024年1月12日にスカパーJSATと宇宙航空研究開発機構(JAXA)が「2023年度地球観測用高度計ライダー衛星のシステム並びに事業化に係る概念検討」に係る契約を締結しましたが、今後はOrbital LasersがスカパーJSATから委託を受けて、衛星ライダー事業の研究開発に取り組む予定です。
新会社Orbital Lasersが取り組む事業は以下を予定しています。新会社Orbital Lasersが取り組む事業は以下を予定しています。
1.スペースデブリ除去事業
① DTB (Detumbling)事業
回転しているスペースデブリを止めるペイロードの開発・販売 ※2025年度予定
② ADR (Active Debris Removal)事業
スペースデブリを除去するサービス ※2029年度予定
2.衛星ライダー事業
③ 地球観測事業
衛星ライダーによる高精度な地表面情報の取得・提供 ※計画中
現代の私たちは、気象予報やGPSによる位置情報など、日常のあらゆるシーンにおいて宇宙からの情報を活用することで安心かつ快適な生活を送っています。また、災害時においても、宇宙システムによるサービスは、被災状況の把握や緊急時の連絡手段としても大きな役割を果たしており、今後も経済・社会を支えるインフラとしての重要性は一層高まると考えられます。*4
スカパーJSATは、1989年に日本の民間企業初の通信衛星JCSAT-1を打ち上げて以来、宇宙利用企業の草分けとして、30年以上にわたり国内外へ衛星通信サービスの提供を行ってきました。既存サービスに加え、2018年より開始した次世代ビジネスを検討する社内スタートアッププログラムの下、持続可能な宇宙環境の維持を目指したプロジェクトを立ち上げ、産学連携で本事業の実現に向けて研究と検討を進めてきました。その結果、スペースデブリ除去と衛星ライダーの2つの事業が具体化するに至りました。
スペースデブリは、今や地球温暖化や海洋プラスチック汚染と同様に重要な環境問題の一つです。スカパーJSATとOrbital Lasersは、この問題に真摯に向き合いながら持続可能な宇宙環境の維持改善に貢献するとともに、今後も宇宙で実業する企業として歩みを進めてまいります。
<新会社概要>
会社名: 株式会社Orbital Lasers
所在地: 東京都港区赤坂1-8-1
株主: スカパーJSAT他
代表者: 福島 忠徳(代表取締役)
設立: 2024年1月12日
事業内容:・スペースデブリ回転抑止事業
・スペースデブリ除去事業
・地球観測事業
URL:https://www.orbitallasers.com
■関係者コメント
株式会社Orbital Lasers 代表取締役社長 福島 忠徳
14年にわたる衛星運用の中で、スペースデブリが宇宙環境へ及ぼす影響について高い関心を寄せていたことから、社内スタートアッププログラムに応募し、大学・研究機関・省庁・企業・有識者の皆様とデブリ除去に関する研究開発と事業化の検討を進めてまいりました。このたびのOrbital Lasers社の設立に際し、改めて関係者の皆様に感謝申し上げます。また、事業化にあたっては宇宙用レーザーを応用した衛星LiDAR事業という新たな可能性を見出すこともできました。Orbital Lasers社の事業を通し、宇宙のユーザビリティをさらに高めることで、社会に貢献していきます。
スカパーJSAT 代表取締役 執行役員社長 米倉 英一
2018年に社内で立ち上げたスタートアッププログラム(社員発案による新規事業創出提案制度)からこのような新会社をようやく設立できましたことを大変光栄に思います。スカパーJSATはこれからも宇宙実業社として、さらなる事業拡大を目指し、次なる新規事業創出をはじめ、社外とのパートナリングを視野に入れた新しいビジネスモデルや価値創造に挑戦してまいります。
スカパーJSATホールディングス 社外取締役 青木 節子
このたび、Orbital Lasers社が、最先端レーザー技術で高精度の地表面情報を提供するとともに、世界に先駆けて限りある資源としての軌道を保護する事業を開始しました。技術革新に挑み、急成長する市場の開拓に乗り出した同社は、宇宙空間という公共財を守り、持続可能な宇宙利用を確保する、という意味で、日本からの世界貢献の一翼を担うことにもなります。社外取締役として、両社が価値ある挑戦を決断した、という姿勢に共感し、成功を祈念いたします。
※1:自社調べ
※2:衛星姿勢軌道制御用レーザー開発研究チームhttps://bzp.riken.jp/oneteam/team_49/
※3:ライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging):レーザー光を照射して、その反射光の情報をもとに対象物までの距離や対象物の形などを計測する技術。
※4:令和5年6月13日閣議決定 内閣府「宇宙基本計画」より一部引用
■関連リンク
・Orbital Lasersコンセプトムービー:https://youtu.be/wuoNVBOactc
・2020年6月11日プレスリリース
世界初、宇宙ごみをレーザーで除去する衛星を設計・開発~宇宙のSDGs~ 持続可能な宇宙環境の維持をめざして
https://www.skyperfectjsat.space/news/detail/sdgs.html
・社外取締役 青木節子氏 略歴:https://www.skyperfectjsat.space/company/resume/sjh/officer/
■参考
軌道上で増え続けるスペースデブリイメージ図