インド視察でモディ首相との会談

2024/08/30  株式会社 メルカリ 

2024-08-29

額賀衆議院議長のインドオフィス訪問 モディ首相との会談 メルカリがスタートアップとしてインド人エンジニア採用で果たす役割

1. ピックアップ 2. 活動実績

2024年7月最終週に、額賀 福志郎 衆議院議長と国会議員団によるインド視察が行われました。この視察には、インドに進出する日系企業も同行し、ネットワーキングや情報交換が約1週間にわたり実施されました。モディ首相への表敬訪問も行われ、両国の関係強化を印象付ける会合となりました。

この記事では、一連のプロジェクトの報告と、そこから得られた知見や今後の展望について、メルカリEngineering Officeの大角 佳代がご紹介したいと思います。

額賀 福志郎 衆議院議長訪問の背景と目的

今回の訪問には、日本とインド間の経済協力、投資、そして人材交流の促進をさらに強固なものにしたいという背景がありました。特に人材面では、日本において2030年頃に最大79万人のIT人材が不足すると予測されており、この問題の解決策として、インドの豊富なIT人材との連携が急務とされています。

インドは世界的にテック人材のハブとして注目を集めています。今後、日本としても、就職や留学を含む幅広い面での連携を深めたいという意図があり、今回の訪問で両国間の人材交流をさらに促進することが期待されていました。

本訪問におけるメルカリの役割

メルカリにおけるインド人材の採用の本格的なきっかけは、2018年の海外新卒採用でした。この採用では約40名の海外新卒を迎え入れましたが、その中で最も多かったのがインド工科大学(IIT)出身の29名でした。その後も、中途採用や新卒採用を通じて、世界のIT人材に占めるインド国籍の割合と同様に、メルカリでもインド国籍のエンジニアの採用が大きく伸びていきました。

さらに、2022年にはエンジニアリングのスケールを拡大するためにベンガルールに開発拠点を設立し、人材採用の強化を図りました。このような背景のもと、メルカリは同行企業として視察に参加すると同時に、額賀議長がメルカリのベンガルールオフィスにも訪問する機会を得ました。

額賀 福志郎 衆議院議長のメルカリインドオフィスの訪問

7月末日、ベンガルールのメルカリインドオフィスに額賀議長と国会議員団が訪問しました。そこで、これまでのメルカリのインド人採用における歴史やインド人材市場の情報共有が行われました。特に額賀議長は、今後さらに日本で優秀なインド人材の採用を加速させるために、日本政府がどのような支援を行うことができるかについて深掘りしました。

メルカリインド拠点長のVishからは、歴史的に米国系企業がインドのビザ制度や働く環境の整備にいち早く取り組んできた事例や、政府による法人設立や各種承認、コンプライアンスの取得に関する包括的な支援の必要性が共有されました。Managing DirectorのCarlosからは「計画をたてすぎず、失敗を経験しながらも、学びながら進む」というマインドセットの重要性について語られました。

また、本視察のネットワーキングの間に、スタートアップ業界の課題感として、日印の人材交流やインドで開発や事業を行うに当たっての税制の問題をはじめとした環境整備について、額賀議長をはじめ議員の皆さまに提案させていただきました。

「5万人の人材交流を」 モディ首相への表敬訪問

ベンガルールのオフィス訪問後、デリーにてモディ首相とジャイシャンカル外務大臣への表敬訪問が行われました。モディ首相への表敬訪問には、メルカリからCEOの山田進太郎が参加しました。

モディ首相から日印政府間の新たな提案として、今後5年間で、IT業界の人材交流を5万人以上生み出すという発言がありました。また、スタートアップ人材の採用に関する文脈においては、山田からメルカリの採用事例を共有する機会をいただき、直面している課題や、今後さらに日系企業がインドに進出するための具体的な施策について意見を交わしました。

日系企業とのネットワーキング、視察への参加

インドに進出する日系企業として、今回のインド視察に同行させていただき、他業種のインド展開する日系企業とのネットワーキングや情報交換を行いました。実際にメルカリチームとしてマネサールにあるマルチスズキとデンソーの工場視察にも参加しました。

インド進出の第一人者として40年以上の歴史を持つマルチスズキは、すでにインド各地で数万の雇用を生み出しており、今後もインド市場の伸びに合わせて成長が加速していくようです。工場見学においては、何百もの部品を組み立てて一つの自動車を作り上げる工程を生で見ることができ、製造工程の現場を知る非常に貴重な体験となりました。

また、マルチスズキとともに成長するデンソーの工場では、より緻密な日本式の部品管理が行われており、さらに複数の分野におけるインド人材の教育も実践されておりました。改めて日本企業の製造業の強さを実感する機会となりました

インドはどのような立ち位置になっていくか メルカリができること

今回の1週間のインド視察は、直接、額賀議長や議員団の方々とメルカリベンガルールオフィスで意見交換をする機会をいただき、さらにはモディ首相への表敬訪問、他業種の日系企業とのネットワーキングなど、メルカリチームとしても非常に学びの多いものとなりました。個人的に、2018年から海外新卒採用、オンボーディング、ベンガルールオフィス設立を担当してきた身として、一つの集大成を見たような気分にもなりましたが、このトレンドはまだ始まりにすぎず、日印両政府のコラボレーションの更なる期待を感じる出来事ともなりました。最後に、参加したメルカリチームが感じた所感をまとめたいと思います。

日印連携 スタートアップ人材活用への注目は引き続き高い

額賀議長とモディ首相との会談で、人材採用の中でも、特にスタートアップ企業におけるインド人エンジニア採用について深掘りされました。メルカリがその一事例として、これまでの取り組みや課題感について共有する機会をいただき、日系企業におけるインド人エンジニア採用は、今後も非常に注目度の高い分野となることを実感しました。

世界に挑戦する同志が持つ敬意と連帯感

今回、インドに進出する他業種の日系企業の方々とのネットワーキングは、我々にとって大きな財産となりました。情報の交換はもちろん「自らインド市場に挑戦したくて、インドに来た」という同志に、エネルギーを感じずにはいられませんでした。メルカリよりもっと大きな企業や、豊富なキャリアを積んだ先輩方が、果敢にリスクをとり挑戦している姿は、非常に刺激的でした。それと比べて、メルカリはまだまだできることがあるのではないかと、改めて自分たちの取り組みを振り返る機会となりました。

始まったばかりだが、先進的な事例を見せていきたい

他業種の日系企業と比べ、メルカリのインド人材採用の歴史を振り返ると、インドでの歩みはまだ始まったばかりといえます。しかし、両国間の状況を踏まえると、メルカリが日本のスタートアップとして、人材採用の事例を示していく意義は大きいと考えています。挑戦的な部分もあれば、改善するべき点もありますが、日本のスタートアップのインド人エンジニア採用のロールモデルとなり得るように、政策提案も含め、業界に示していく姿勢が重要であると考えています。

本視察にあたり、関係各所の皆様に多くのご支援をいただき、心より感謝申し上げます。今後も日印の人材交流の促進に尽力していきますので、引き続きご協力をよろしくお願いいたします。

(大角 佳代)

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