三菱電機株式会社による株式会社北弘電社の完全子会社化に関する株式交換契約締結(簡易株式交換)のお知らせ

2024/01/09  三菱電機 

2024年1月9日
三 菱 電 機 株 式 会 社
株式会社北弘電社

三菱電機株式会社による株式会社北弘電社の完全子会社化に関する
株式交換契約締結(簡易株式交換)のお知らせ


三菱電機株式会社(以下「三菱電機」)及び三菱電機の持分法適用会社である株式会社北弘電社(以下「北弘電社」、三菱電機と北弘電社の総称を「両社」)は、本日開催された三菱電機の執行役会議及び北弘電社の取締役会において、三菱電機を株式交換完全親会社とし、北弘電社を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」)を行うことを決議し、本日、両社間で株式交換契約(以下「本株式交換契約」)を締結しましたので、お知らせいたします。

なお、本株式交換は、三菱電機においては会社法第 796 条第2項の規定に基づく簡易株式交換の手続きにより株主総会の承認を受けずに、北弘電社においては 2024 年3月4日開催予定の臨時株主総会における特別決議による本株式交換契約の承認を受けた上で、2024 年4月 15 日を効力発生日として行われる予定です。

また、本株式交換の効力発生日(2024 年4月 15 日(予定))に先立ち、北弘電社株式は、証券会員制法人札幌証券取引所(以下「札幌証券取引所」)において 2024 年4月 11 日付で上場廃止(最終売買日は 2024 年4月 10 日)となる予定です。

なお、本株式交換の効力が発生した場合には、北弘電社の株主は三菱電機の1社のみとなり、以後、北弘電社の定時株主総会の基準日制度の必要性が失われるため、北弘電社は、本日開催した取締役会において、2024 年3月4日開催予定の臨時株主総会に、本株式交換契約が効力を失っていないことを条件として議決権行使の基準日に関する規定を削除すること等を内容とする定款変更に係る議案を付議することを決議しております。詳細は、北弘電社が本日付で公表した「単元株式数の定めの廃止及び定款の一部変更に関するお知らせ」をご参照ください。



1.本株式交換の目的・背景

三菱電機は、「成長性」「収益性・効率性」「健全性」のバランス経営に加えて、「事業を通じた社会課題の解決」という原点に立ち、サステナビリティの実現への貢献を経営の根幹に位置付けております。また、三菱電機グループ内外の知見の融合と共創により、強化されたコンポーネント・システム及びデータを核としてソリューションを提供する「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」へ変革し、多様化する社会課題の解決に貢献してまいります。

一方、北弘電社は、明治 43 年の創業以来 100 年を超え、電気設備工事の施工を通じて地域社会への貢献を果たすべく、北海道を中心に「社会インフラ」「産業インフラ」「快適な事務・生活空間」を構築するための活動を続けてまいりました。北弘電社は、電気設備工事及び FA 住宅環境設備機器、産業設備機器の仕入・販売を主な事業として事業活動を展開しております。

三菱電機と北弘電社の関係は、昭和 30 年に三菱電機が北弘電社へ資本参加したことに始まり、昭和 47 年に北弘電社は、商事事業部の家庭電化機器販売部門を札幌三菱電機商品販売株式会社へ営業譲渡しております。現在では、北弘電社は、三菱電機が注力する重電関連事業において、水処理施設等の電気設備工事の一部や、発変電所の電気設備工事の一部を受注するほか、三菱電機が製造する FA 住宅環境設備機器、産業設備機器を仕入し、販売しております。

北弘電社を取り巻く事業環境は、この数年間において大きく変化しております。すなわち、北弘電社が事業領域としている北海道における近年の経営環境は、ロシア・ウクライナ情勢及び急激な円安によるエネルギー価格の高騰、慢性的な労働者不足や建設資材価格の高騰による建設コストの上昇等、北弘電社を取り巻く事業環境は、内外ともに従来にも増して厳しく不確実な状況にあります。

また、小形風力発電設備に関して、販売代理店契約を締結していた小形風力発電機メーカーの日本向け販売子会社が倒産したことによる同社の販売代理店契約上の義務の不履行や、製造不良に起因するブレード落下事故発生等を理由に、北弘電社は、製品の品質及び安全性の確保が困難であると判断して、製品輸入や販売終了を決定し、これにより、発電事業者への補償並びに小形風力発電事業からの撤退(以下「小形風力発電事業撤退」)に係る費用が発生しておりました。

加えて、太陽光発電所建設工事及びその他の一部の案件において不適切な会計処理(以下「太陽光案件に係る不適切会計処理」)の疑義が生じ、特別調査委員会の設置及び調査が行われた結果、2021 年3月期以前の有価証券報告書等の一部訂正を行うこととなりました。北弘電社は、特別調査委員会の調査報告書による原因分析及び提言を真摯に受け止め、当該事案の再発防止策について検討を重ね、再発防止策を取締役会で決定し、施策の実行を開始いたしましたが、一部の太陽光発電所建設工事の工事コストの大幅な増加等により、2022 年3月期において、営業損失 2,741,628千円、経常損失 2,588,925 千円、当期純損失 2,787,443 千円を計上し、借入金残高が 3,700,000 千円に増加したことで、北弘電社の資金繰り計画に重要な影響を及ぼしておりました。

このように財務状況が急激に悪化する状況の中で、北弘電社は、経営の立て直しに向け、太陽光案件に係る不適切会計処理再発防止策の展開、中・長期経営計画の策定に着手しておりました。しかしながら、北弘電社は、太陽光案件に係る不適切会計処理等に伴う損失の計上により、2022 年3月期第3四半期末において純資産が 47,027 千円(2021 年3月期末の純資産は 3,109,903 千円)となり、資本の充実が喫緊の課題であることに加えて、財務状況の健全化の見通しが立たず、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在することから、自力での再建が困難であるとの判断に至りました。そのため北弘電社は、北弘電社の今後の中長期的な企業価値向上を図るためにも、まずは、財務状況の健全化を図ることが必要であると考え、三菱電機に対して 2022 年3月4日に、三菱電機による北弘電社の完全子会社化及び追加出資等の検討を求める申し入れを行いました。

一方、かかる状況の下、三菱電機としては、北弘電社が、小形風力発電事業撤退、太陽光発電所建設工事及びその他の一部の案件に起因する多額の損失を発生させる2019 年度までは、地域に根差した着実な事業運営方針により、売上高及び利益を安定的に計上してきたことを踏まえると、今後、札幌市内中心部再開発、北海道新幹線札幌延伸、北海道本州連系設備(青函トンネル内地中線)等をターゲットに、堅実な事業運営への回帰による事業拡大を行っていくために、健全な財務基盤及びより強固なコーポレート・ガバナンス体制を構築することが必要であると認識しておりました。そのため、三菱電機は、北弘電社からの申し入れを受けて、北弘電社の支援に関して、本株式交換を中心として様々な選択肢の検討を開始いたしました。

しかしながら、2022 年 12 月上旬、三菱電機は、北弘電社より高山ソーラーヒルズ太陽光発電所工事(以下「高山案件」)において、長雨による天候不順及び軟弱地盤や岩や石などの地中の障害物への対応などによる土木工事の大幅な工事遅延や工事コストの増加により追加損失が発生し、当該損失額がどこまで拡大するのか不透明な状況であるとの報告を受けました。これを受けて、三菱電機としては高山案件の損失額が確定しない中で本株式交換を進めることは難しく、本株式交換の検討を中断せざるを得ない状況となり、2023 年1月 25 日に、北弘電社に対して本株式交換その他の支援策の検討の中止を通知しました。

その後、2023 年5月10 日に、北弘電社より「特別損失の計上に関するお知らせ」にて公表しているとおり、高山案件の工事遅延について施主及び発注者との協議を進める中で、北弘電社の想定を上回る遅延違約金の請求を受けたため、北弘電社は2023 年3月期において、当該遅延違約金につき 1,071,958 千円、総額1,106,976 千円を特別損失として計上いたしました。

そして、当該特別損失が生じたことも一因として、北弘電社は 2023 年3月期において、営業損失 2,059,254 千円、経常損失2,064,358 千円、当期純損失 2,880,902 千円を計上し、2,638,814 千円の債務超過となりました。これにより、北弘電社は、2023 年6月 29 日に、同日付で札幌証券取引所より、株券上場廃止基準第2条第1項第5号の規定に基づき、猶予期間を 2023 年4月1日から 2024 年3月 31 日とする上場廃止に係る猶予期間入り銘柄の通知を受けました。

三菱電機は、2023 年7月 18 日に、北弘電社より受領した同日付書面にて、高山案件について、2023 年6月 30 日をもって発注者への引渡しが完了し、終息の目途が立った旨の報告を受けるとともに、高山案件が企業価値算定に与える影響が予見できないとして検討が中止された三菱電機による完全子会社化及び追加出資等による再建支援につき検討を再開するよう要請(以下「再建支援要請」)を受けました。

この点、仮に本株式交換が行われない場合には、北弘電社が 2023 年3月期まで過去3事業年度連続して営業損失、経常損失及び当期純損失を計上したことにも鑑みると、北弘電社は、2024 年3月期においても債務超過となることで上場廃止となることが現実的に想定される状況にあります。北弘電社が上場廃止となった場合には、北弘電社の株主の皆様がその保有する株式を証券取引所において取引することができず、株式取引の実施が事実上困難となるという不利益を被る可能性もあります。加えて、2024 年4月に北弘電社の借入の返済期限を迎えるところ、本株式交換が行われない場合の北弘電社の財務状況では約定どおりの弁済及び借換えは困難であることから、本株式交換が行われなければ、北弘電社の資金繰りが滞り、経営破綻に至ることも具体的に想定されます。

他方で、北弘電社としては、2023 年6月 30 日付で公表した「債務超過解消に向けた計画について」のとおり、単独での債務超過解消の取り組みについても進めてはいるものの、かかる取り組みにより早期かつ抜本的に経営状況を改善するには至っておらず、本株式交換を行わない場合の単独での上場維持及び事業の継続は困難な現状にあります。

また、北弘電社としては、本株式交換より少数株主にとって有利な方策を模索すべく、三菱電機との間における本株式交換の交渉と並行し、再生系の投資ファンドとして著名な8社に支援依頼を打診しました(以下「マーケット・チェック」)が、三菱電機の提案する本株式交換より少数株主に有利な条件での提案を行った候補先はありませんでした。このため、北弘電社としては本株式交換よりも少数株主にとって有利な方策を提案可能な候補先を探索することは困難であるとの結論に至りました。

以上を踏まえると、北弘電社としては、上場廃止さらには経営破綻による北弘電社の株主、取引先や取引銀行をはじめとするステークホルダーへの不利益を回避するためには、本株式交換を行うことが唯一の方策であるものと認識しています。

このような状況も踏まえつつ、上記北弘電社からの再建支援要請を受けて、三菱電機は、北弘電社の支援に関して、様々な選択肢の検討を進めてまいりました。

そして、仮に北弘電社の債務超過の状況が継続し、現在の株主構成のまま上場廃止となり、更に経営破綻という事態に陥れば、その事業や企業価値が毀損し、三菱電機が保有する北弘電社の株式価値の毀損や取引上の損失等を被ることとなり、また、北弘電社及び三菱電機を取り巻くステークホルダーの皆様に対し、多大な影響を及ぼすものであり、三菱電機としては、そのような事態を回避する必要があると判断いたしました。

以上を踏まえた結果、三菱電機としては、本株式交換により三菱電機が北弘電社を完全子会社化した上で、三菱電機による財務的支援を実施しつつ、北弘電社及び三菱電機双方の企業価値の維持向上に資するあらゆる選択肢を検討することが、北弘電社の今後の事業継続を可能とするとともに、三菱電機・北弘電社双方の企業価値維持向上に資する最善の策であるとの結論に至り、本株式交換を行うことを決定いたしました。

また、北弘電社としても、仮に本株式交換が行われない場合には上場廃止及び経営破綻に至ることが現実的に想定される状況にあることから単独での上場維持及び事業の存続が困難であり、マーケット・チェックの結果としても少数株主にとってより有利な条件を提示することが可能な候補先がないことから、三菱電機の提案する本株式交換は、上場廃止及び経営破綻による株主の皆様の不利益を回避しつつ、ステークホルダーからの信用力を維持することができる唯一の方策であって、北弘電社の事業継続及び企業価値の維持向上の観点からも最善であるとの判断に至っております。

公式ページ(続き・詳細)はこちら
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2024/0109.pdf

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