ローブレナ(R)、CROWN試験でALK陽性の進行肺がん患者の多くが疾患の進行なく5年以上の生存を確認・過去に前例のない結果、60%の患者さんが疾患の進行なく5年後に生存・ザーコリ(R)との比較で疾患進行または死亡リスクが81%、頭蓋内の疾患進行リスクが94%継続的に低下

2024/06/03  ファイザー 株式会社 

ローブレナ(R)、CROWN試験でALK陽性の進行肺がん患者の多くが
疾患の進行なく5年以上の生存を確認
過去に前例のない結果、60%の患者さんが疾患の進行なく5年後に生存
ザーコリ(R)との比較で疾患進行または死亡リスクが81%、頭蓋内の疾患進行リスクが94%継続的に低下

報道関係各位

2024年6月3日
ファイザー株式会社


英文タイトル:

Pfizer’s LORBRENA(R) CROWN Study Shows
Majority of Patients with ALK-Positive Advanced Lung Cancer Living
Beyond Five Years Without Disease Progression

  • An unprecedented 60% of patients remain alive without disease progression after five years

  • Updated results show continued 81% reduction in risk of progression or death and 94% reduction in progression of brain metastases compared to XALKORI(R)

■以下の参考資料について

この資料は、ファイザー社が2024年5月31日(米国現地時間)に配信したプレスリリースの一部を日本語に翻訳再編集し、皆さまのご参考に供するものです。正式言語は英語であり、その内容及び解釈については英語が優先されます。
https://www.pfizer.com/newsroom をご参照ください。また、一部に海外情報が含まれているため、日本の承認情報については最新の添付文書をご確認ください。

米国 ニューヨーク、2024年5月31日-ファイザー社(NYSE:PFE。以下、ファイザー)は本日、未治療の未分化リンパ腫キナーゼ(以下、ALK)融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(以下、NSCLC)の患者を対象として、第三世代ALK阻害剤のローブレナ(R)(一般名:ロルラチニブ。以下、ローブレナ)と、ザーコリ(R)(一般名:クリゾチニブ。以下、ザーコリ)を比較した、第3相CROWN試験の長期追跡調査結果を発表しました。追跡期間の中央値5年の時点で、治験担当医師の評価による無増悪生存期間(以下、PFS)の中央値はローブレナ群で到達せず、観察されたハザード比(HR)は0.19(95%信頼区間[CI]:0.13~0.27)で、ザーコリ群と比較して、疾患の進行または死亡リスクが81%低下したことが示されました。さらに、5年後に疾患の進行なく生存していた患者さんは、ローブレナ投与群で60%(95%CI:51~68)、ザーコリ群で8%(95%CI:3~14)でした。これらのデータは本日、米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会のLate-Breaking Abstract口頭セッション(抄録LBA8503)で発表され、Journal of Clinical Oncology に掲載されました。

ファイザーのオンコロジー部門開発チーフオフィサー、Roger Dansey(M.D.)は次のように述べています。「CROWN試験から得られた結果は前例がないもので、ローブレナで治療された患者さんの多くは疾患の進行がなく5年以上生存することができました。これらの結果は、患者さんのために科学的なブレークスルーの探求を続ける、当社の長年の取り組みによるものと考えています。ローブレナがALK陽性進行NSCLC患者さんの一次治療標準薬として位置づけられることを支持しています」

肺がんは全世界において、がんによる死因の第1位で1、米国では2024年に234,580人が新たに診断されると見込まれています2。NSCLCは肺がんの約80~85%を占め3、約3~5%がALK陽性を伴います4ALK陽性進行NSCLC患者の約25~40%において、診断から2年以内に脳転移をきたすことがあります5。他のALK阻害剤で生じる耐性変異を克服し、血液脳関門を通過するような薬剤として、当社はローブレナを設計、開発しました。

Peter MacCallum Cancer Centre、腫瘍内科の医師で、CROWN試験の治験責任医師であるBenjamin Solomon氏(Ph.D.)は次のように述べています。「ALK陽性進行NSCLCは一般的に急速に進行するため、人生であらゆるチャレンジができる若年層の患者さんに大きな影響を与えます。今回の解析では、ローブレナ群の多くの患者さんで疾患の進行がなく5年以上生存し、ほぼすべての患者さんが、頭蓋内の疾患の進行から守られたことが示されました。ALK陽性NSCLC患者さんにおけるこのようなアウトカムの改善は、肺がん治療での顕著な進歩を示すものです」

今回の解析で、ローブレナ群での頭蓋内の疾患進行リスクが94%低下したことが示されました(HR,0.06:95%CI,0.03~0.12)。また、頭蓋内の疾患進行までの期間はローブレナ群で中央値に到達せず(95%CI:NR-NR)、ザーコリ群で16.4ヵ月 (95%CI:12.7~21.9)でした。加えて、ベースライン時に脳転移が認められなかった患者のうち、投与開始後16ヵ月以内に脳転移が認められたケースは、ローブレナ群で114例中わずか4例だったのに対し、ザーコリ群では109例中39例でした。CROWN試験における今回の解析時点で、ローブレナを継続している患者さんは50%であったのに対し、ザーコリを継続している患者さんは5%でした。

NPO『ALK POSITIVE』リサーチ・クリニカルアフェアーズのディレクターKenneth Culver氏(M.D.)は次のように述べています。「ALK陽性進行NSCLC患者さんは、NSCLC症例の約5%ですが、世界で毎年72,000人の方々がALK陽性進行NSCLCと診断されていることとなります。今回の新たなCROWN試験の結果は、ALK陽性進行NSCLCの分子標的治療における一次治療としての大きな進歩の象徴であり、患者コミュニティにとって注目すべきものとなりました」

5年間の追跡調査におけるローブレナとザーコリの安全性プロファイルはこれまでの所見と一致し、ローブレナに関し報告された、安全性の新たなシグナルは認められませんでした。今回の解析で、ローブレナ群の患者さんで最も高頻度(≥20%)で認められた有害事象(以下、AE)は、2020年のCROWN試験の結果と一致しており、浮腫、体重増加、末梢性ニューロパチー、認知障害、気分障害、下痢、呼吸困難、関節痛、高血圧、頭痛、咳嗽、発熱、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症などでした。グレード3/4のAE発現はローブレナ群で77%、ザーコリ群で57%でした。治験薬と関連のある投与中止に至ったAEはローブレナ群で5%、ザーコリ群で6%でした。

<参考情報>
CROWN試験について
CROWN試験は、第3相、無作為化非盲検並行群間比較試験で、未治療のALK陽性進行NSCLC患者296人をローブレナ単剤療法(n=149)、またはザーコリ単剤療法(n=147)に1:1の割合で無作為に割り付けました。主要評価項目は盲検下での独立中央判定(BICR)によるPFSです。副次評価項目には治験担当医師の評価によるPFS、全生存期間(OS)、奏効割合(ORR)、頭蓋内奏効割合(IOR)、および安全性が含まれます。3年間の追跡調査ではPFSの中央値に達しなかったことから、臨床的に意義のある指標となる5年間の追跡調査で、治験担当医師による腫瘍評価に基づく長期アウトカムの評価を目的として、試験の開始当初には予定されていなかった事後解析が実施されました。

ローブレナ(R)(一般名:ロルラチニブ)について
ローブレナは、米国では米国食品医薬品局(FDA)で承認された体外診断薬を用いた検査によりALK陽性と診断された転移性NSCLCの成人の治療を適応として承認されています。
日本においては、2017年10月に独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)が導入した「医薬品の条件付き早期承認制度」の適用を受け、優先審査対象として約8カ月の審査期間を経て、2018年9月21日に「ALKチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能・効果で世界に先駆け製造販売承認を取得しました。次いで、上記の第3相CROWN試験の結果に基づき、2021年11月25日に「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能・効果で承認を取得し、ALK陽性肺がんの一次治療薬として使用することが可能となりました。添付文書においては、「十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、ALK融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること」が求められています。

ザーコリ(R)(一般名:クリゾチニブ)について
ザーコリは、米国ではFDAで承認された体外診断薬を用いた検査によりALK陽性またはROS1陽性と診断された転移性NSCLC患者の治療を適応とするチロシンキナーゼ阻害剤です。日本の添付文書においては、「十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、ALK融合遺伝子陽性又はROS1融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断薬を用いること」が求められています。本剤は、オーストラリア、カナダ、中国、日本、韓国、欧州連合など90以上の国および地域においてALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者の治療薬として承認を取得しています。また、60以上の国および地域で、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の治療薬として承認を取得しています。

ファイザーオンコロジーについて

ファイザーオンコロジーは、がん治療の新たな時代を切り開く最先端にいます。業界をリードするポートフォリオと広範なパイプラインには、様々な角度からがんを攻撃し、従来の治療を大きく変える作用機序を持つ、抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugates:ADC)、低分子化合物、二重特異性抗体、免疫療法などが含まれます。私たちは、乳がん、泌尿生殖器がん、血液がん、メラノーマ(悪性黒色腫)、大腸がん、婦人科がん、肺がんを含む胸部がんなど、世の中の主要ながんに対する変革的な治療薬を提供することに注力しています。サイエンスを推進し、患者さんの生活を改善するブレークスルーを加速することを私たちはお約束します。

ファイザーについて:患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーを生みだす

ファイザーはサイエンスとグローバルなリソースを活用し、人々が健康で長生きし、生活を大きく改善するための治療法をお届けしています。私たちは、革新的な医薬品やワクチンを含むヘルスケア製品の探索・開発・製造における品質・安全性・価値の基準を確立するよう努めています。ファイザーの社員は、生命や生活を脅かす疾患に対するより良い予防法や治療法を提供することで、日々、世界中の人々の健康に貢献しています。世界有数の革新的医薬品企業の責務として、信頼できる医療に誰もが容易にアクセスできるように、世界中の医療従事者、政府、地域社会と協力しています。人々の期待に応えるため、私たちは175年以上にわたり前進し続けてきました。詳細はホームページ、公式SNSをご覧ください。

(米ファイザー本社)www.pfizer.com 

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<出典>

1. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. GLOBOCAN 2022: DOI: 10.3322/caac.21834. Global Population Fact sheet:
https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/populations/900-world-fact-sheet.pdf 

2. American Cancer Society. Key Statistics for Lung Cancer. https://www.cancer.org/cancer/types/lung-cancer/about/key-statistics.html .Access April 2024.
3. American Cancer Society. What is lung cancer? https://www.cancer.org/cancer/lung-cancer/about/what-is.html .Accessed June 2024..
4. Garber K. ALK, lung cancer, and personalized therapy: portent of the future? J Natl Cancer Inst. 2010;102:672-675.
5. Rangachari D, Yamaguchi N, VanderLaan PA, et al. Brain metastases in patients with EGFR-mutated or ALK—rearranged non—small—cell lung cancers. Lung Cancer. 2015;88(1):108—111 DOI: 10.1016/j.lungcan.2015.01.020

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