ディーゼルの躍進(13.1%増)、メゾン マルジェラ(23%増)とジル サンダ ー(13.7%増)の好業績、アジアおよび日本がグループの成長を牽引
ブレガンツァ市(ヴィチェンツァ県)、2024年2月16日 - ディーゼル、ジル サンダー、メゾン マルジェラ、マルニ、ヴィクター&ロルフ、スタッフ インターナショナル、ブレイブ キッドを傘下に持ち、アミリにも出資する国際的なファッション&ラグジュアリーグループ、OTBは2023年12月31日時点の業績を発表しました。
指標となる数字
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総売上高:19億ユーロ
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純売上高:18億ユーロ
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EBITDA:3億4,800万ユーロ(売上高比19.6%)
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EBIT:1億4,000万ユーロ(売上高比7.9 %)
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純財務状況(IFRS第16号適用前):6,000万ユーロ
2023年度は、すべての主要市場および流通チャネルにおけるグループの立ち位置を確認し、さらに堅固にした重要な成長の年となりました。会計年度の
総売上高は19億ユーロで2022年度比、固定為替レートで10.2%増、現行為替レートで7.2%増となりました。
純売上高は18億ユーロで2022年比、固定為替レートで12.4%、現行為替レートで9.1%増加しました。これは、直営販売綱における売上高の増加、ラグジュアリーブランドの好調な業績、ディーゼルの黒字化に牽引されたものです。全世界で着実な成長を記録し、特に、
アジア太平洋地域が最も好調であり、グループにとってこの地域の重要性が増しています。
2023年度の投資総額は2億100万ユーロで、パリ16区にあるメゾン マルジェラの本社ビルの購入も含まれます。
さらに、OTBの生産・物流プラットフォームであるスタッフ インターナショナルを通じて、
フィレンツェの歴史ある皮革製品メーカー、フラッシネーティの株式の過半数を取得しました。この取引は、メイド・イン・イタリーの最高峰を代表する主要生産パートナーの株式取得を通じて、戦略的な商品カテゴリーのノウハウを獲得するというOTBグループの戦略に沿ったものです。
各ブランドとグループのキーとなる指数
ディーゼルの業績は特に好調で、2022年比で13.1%*の増加を記録し、すでに確立されているブランドのリポジショニング路線の成功が実証されました。1DRバッグのようなアイコニックな特定の商品の優れた業績だけでなく、今や事業のほぼ50%に相当するウィメンズ・コレクションの成長も挙げられます。さらに、ディーゼルは若い消費者の関心を高めることに成功し、Z世代が顧客全体の35%を占め、世界レベルで将来的にも発展を続ける強固な地盤を築きました。2023年、ディーゼルはパリ、マイアミ、アントワープ、広州などの主要都市における旗艦店を含む15店舗をオープンしました。
Diesel 2024年春夏コレクション
ラグジュアリー部門においては、
メゾン マルジェラが非常に好調に推移し、総売上高が前年比23%*増となったおかげで、グループ内でますます重要な役割を担うようになりました。特に中国と韓国が成長を牽引し、総売上高は前年比72.4%増となり、アジアの若い消費者の間でブランドへの評価が高まっていることが確認されました。このポジショニングは、オートクチュールのショー「Maison Margiela Artisanal Collection 2024」が世界的な成功を収め、過去10年間で最高のショーに数えられ、ジョン・ガリアーノが明確なビジョンを持つアーティストであり、センセーショナルなコレクションのクリエーターであることを証明したことにより、さらに確固たるものになりました。
2023年には、ヴェニス、北京、上海、ロサンゼルス、ラスベガス、ソウルなどの一等地に、世界で24の新店舗をオープンしました。さらに、パリのシンボリックな16区にあるパラスデザタジュニにメゾン マルジェラの新本社を構えたことで、フランス国内での地位を確固たるものとし、フランスでの大規模な投資を継続するというグループの意向が確認されました。
Maison Margiela 2024年アーティザナルコレクション
ジル サンダーは今年も2022年比で17.3%*の大幅な成長を記録し、グローバルラグジュアリーブランドの中でデザインとクラフツマンシップを最も高く表現するブランドのひとつとしての地位を確かなものにしました。同ブランドは、パリ、ローマ、ヴェニス、マドリッド、ロンドン、ダラス、ロサンゼルス、東京、京都、南京、ソウルなどの都市に新たに18店舗をオープンし、ダイレクト・チャネル・ネットワークを強化しました。ジル サンダーはまた、化粧品分野で世界的な大手であるコティ社と、同ブランドの化粧品とフレグランスの開発、生産、販売に関する10年間を視野に入れたライセンス契約を更新しました。
2023年に前年比8.6%*以上の成長を遂げた
マルニは、グローバルにそのポジショニングを維持しています。この方向性は、小売ネットワークの拡大(2023年だけで16の新店舗をオープン)だけでなく、ニューヨーク、東京、パリで開催された巡回ショーにより、ブランドのビジョンと価値観を世界中に広めることで、ブランドをフォローする愛好家やセレブリティの国際的なコミュニティをさらに強固なものにしました。2023年9月のパリでのショーの成功を受けて、マルニは2024年秋冬シーズンからミラノ・ファッション・ウィークの公式カレンダーに復帰します。さらに2024年初頭、マルニは、コティ社とマルニ・ブランドによるハイエンドの化粧品&フレグランス商品の開発、生産、世界的な販売に関する20年間のライセンス契約を新たに締結しました。
ヴィクター&ロルフは、2023年、ブランドの30周年を迎えました。現在もメゾンのクリエイティブ・ディレクターを務める2人のデザイナーが創設したこのブランドは、オートクチュールのアイコン的な存在です。この年はオートクチュールのショーで大成功を収め、2023年春夏コレクションはネット上で世界レベルで爆発的に拡がり、2023年の最も重要なイメージのひとつとして取り上げられました。また、同ブランドは、ヴィクター&ロルフのアイコニックなフレグランスの生産と販売において、ロレアルとの長く続くパートナーシップを強化しました。
スタッフ インターナショナルは、OTBのブランドの生産・物流・プラットフォームとして、またハイエンド・ブランドの生産と世界的流通のライセンシーとしての役割を強化し、引き続きグループの高度な戦略的資産となっています。スタッフ インターナショナルは、2023年にフィレンツェの歴史ある皮革製品会社であるフラシネティの株式の過半数を取得したことで、メイド・イン・イタリーの最高峰を代表する重要な生産パートナーの獲得を通じて、戦略的商品カテゴリーにおけるノウハウの取得を目指すグループの戦略の実行を開始しました。同じ方向性に沿ったその他の戦略的事業も、2024年中に最終決定される予定です。
ブレイブ キッドは、マックスマーラ・グループのマックスアンドコーブランドと5年間のライセンス契約を結び、2023年にガールズのファーストラインを立ち上げると発表しました。
ダイレクト・チャネルの成長と小売の拡大
2023年のリテール・チャネルは、全世界の店舗数の増加(年末時点で610店舗)と既存店舗の売上増加の両方により、33.8%*の成長を遂げました。OTBは2023年、中国、韓国、米国などの国際展開の主要市場だけでなく、欧州でも
76の新店舗をオープンし、ダイレクト・チャネルの強化に引き続き投資しました。
同時に、
ジル サンダーがオムニチャネルMOONプラットフォームを
採用し、Eコマース・チャネルのさらなる強化に努めました。このプラットフォームは、OTBオペレーションモデルで、デジタルショッピング体験を完全かつスムーズで、パーソナライズしたものにします。ダイレクト・チャネルの比重は総売上高の50%を超え、グループの戦略計画に沿った結果となりました。
地域:アジア太平洋、日本、米国の戦略的地域
OTBグループのさらなる拡大は続き、2023年に新たに30店舗を開設した中国、グループ事業の約23%を占める日本、新規市場の中でも最も好調な業績を上げている韓国を含む
アジア諸国など、大きなポテンシャルのある地域における国際市場の開拓を目指しています。アジア市場全体では、総売上高の40%を超え、
北米市場は成長を取り戻したものの、
欧州は複雑な経済環境のため現状維持にとどまりました。
デジタル・イノベーション
バーチャルリアリティ、3D、カスタマーエンゲージメント、人工知能といったソリューションに重点を置き、イノベーションへの投資を継続しています。あらゆるビジネスプロセスの改善という観点から人工知能が生み出す機会を探るため、当グループは、あらゆるプロジェクトやプロセスの設計段階から人工知能の可能性を活用することを目的として、業界をリードする企業との協力関係により、2023年に管理職の研修を開始することを決定しました。
OTBは、AURAブロックチェーン・コンソーシアムの創設メンバーとして、ラグジュアリーブランドの顧客の体験をさらに向上させる目的で、ブロックチェーン技術をビジネスプロセスの不可欠な一部とすることで、ブロックチェーン技術の大量導入を続けています。AURAが提供するブロックチェーンプラットフォームへの商品登録と、衣服内に設置されたチップを使用し、ジル サンダー、メゾン マルジェラ、マルニの最もアイコニックな小物が対象となった第一段階の後、OTBグループは、デジタル真贋証明書の作成を、2024年秋冬から同ブランドのすべての既製服コレクションに拡大し、この革新的な証明書を添付した登録商品は80万点以上に及びました。
ブレイブ・バーチャル・エクスペリエンス
BVX(ブレイブ・バーチャル・エクスペリエンス)は、仮想世界での体験と製品の開発を専門とするグループ会社で、Web3プロジェクトの創造と実施において、グループのブランドを戦略的・技術的にサポートします。特にBVXは、ディーゼルがHapeと提携したNFTコレクションの立ち上げに協力し、デジタル・コレクティブルでリミテッドエディションの現物製品へのアクセスや、コミュニティ向けの限定イベントや特典を保証しました。BVXのサポートにより、メゾン マルジェラも初のWeb3ゲームを発表し、ブロックチェーン技術を通じて、ゲームやデジタル・コレクティブルの愛好家がブランドの数字アイコンにリンクしたデジタルトークンのミンティングに参加できるようになります。ゲーミフィケーションとデジタル・コレクティブルは、新たなオーディエンスを取り込むための革新的なツールですが、オーディエンスは数ヶ月先に発表されるリアルとバーチャル両方のエクスクルーシヴな体験を通じ、ブランドのストーリーや商品を発見できる仕組みです。
持続可能性
2023年は、サプライチェーン支援へのコミットメントという点で重要な年になりました。当グループはC.A.S.H. プロジェクト[2]10周年を迎えました。このプロジェクトには現在までに65社のサプライヤーが参加しており、その債権の90%を売却しています。2013年のプログラム開始以来、融資総額は5億5,000万ユーロを超えました。
10周年を記念して、2023年9月、企業・メイド・イン・イタリー省アドルフォ・ウルソ大臣に、同省にて「M.A.D.E.、メイド・イン・イタリー、メイド・パーフェクトリー」キャンペーンを発表。このキャンペーンには、OTBのサプライチェーンの優れたパートナーが参加し、短編ドキュメンタリーの制作を通じて、イタリアの卓越した職人技についての起業家ストーリーを伝えることを目的としています。
さらにOTBは2023年、企業が環境フットプリントの削減について野心的な目標設定を認める世界的な機関であるSBTiから、その排出削減目標の承認を得ました。従業員の福利厚生に関しては、OTBはディーゼルとともに国家男女共同参画認証を取得し、グループの発展と組織の持続可能性のための真の戦略的な原動力とみなされる多様性、公平性、インクルージョンの問題へのコミットメントを確認しました。
OTB財団
OTB財団は、2023年、最も脆弱で弱い立場にある人々を支援するというコミットメントを再確認し、イタリア国内外で活動を展開しました。このコミットメントは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)による、こうした人々の雇用を促進する取り組みに対して授与される栄誉ある「We Welcome」賞の受賞により証明されました。同財団は、移民の社会経済的統合を目的とした「ジョブ・クリニック」プロジェクトも推進しています。2023年を通じて、困難な経済状況にある家族を支援する「エンポリ・ソリダーリ(連帯マーケット)」の活動も継続しました。さらに、トルコの地震やエミリア・ロマーニャ州の洪水など、2023年の緊急事態を支援するために即座に行動を起こしました。
OTB財団のコミットメントのもうひとつの基本的な柱は、女性のエンパワーメントです。2023年、財団は「ブレイブ・ウーマン・アワーズ(勇敢な女性賞)」プロジェクトを拡大し、イタリアの有名大学の優秀な女子学生に57の奨学金を支援し、行政や企業における将来の女性のリーダーシップを生み出すことを目標に掲げています。女性への支援には、心理カウンセリングや法律サポートを提供する「マイ・ピウ(もう2度と)」サービスや、被害者とその子どもたちのためのDVシェルターの開設など、暴力の被害者への支援も含まれます。
OTBグループ会長 レンツォ・ロッソ
「2023年に達成した仕事を誇りに思います。とてもチャレンジングな年でしたが、米国、中国、そしてブランド誕生当初からの日本のような主要市場だけでなく、好調な韓国やその他のアジア市場といった新しい地域でも私たちのブランドは成長を続けました。若い消費者は、私たちのブランドが市場とはしばしば正反対の方向に向かい、特に商品の美しさと品質に重点を置き、ファッションに夢を与えるというミッションを継続しているという事実を高く評価しています。私たちが協力関係やパートナーシップを築いてきたサプライチェーンや、メイド・イン・イタリーの偉大さと卓越性がなければ、このミッションを達成することはできません」
OTBグループの創設者兼会長であるレンツォ・ロッソは、こう宣言しました。「今年もサステナビリティ、イノベーション、テクノロジーへの投資に重点を置きました。イノベーションに関しては、あらゆるビジネスプロセスにおいて人工知能が提供できる機会とソリューションを実験的に開始しました。この分野の主要企業と協力し人工知能について管理職の研修を始めたいと考えたのです。持続可能性は私たちの心の一部であり、あらゆるレベルで受け入れています。私たちは、ますます責任ある製品を作り、消費者が衣服の品質と耐久性を重視した、より持続可能な選択ができるように育てることで、環境への影響を減らす努力をしてきました。たとえばディーゼルでは、商品の50%が環境負荷の低いコレクションです。私の循環型経済へのヴィジョンは、企業が創造し、生産し、販売し、そこから得た価値の一部を、社会問題に投資することで地域社会に還元することです。私は、OTB財団がイタリアや世界中の困っている人々を支援するために実施しているすべての取り組みを誇りに思います。一般的に企業は、具体的なプロジェクトを通じて社会福祉に貢献すべきであると考えます。私たちの取り組みは、ジェンダー・バイオレンス、インテグレーション、依存症との闘い、国際緊急事態などがいくつかの例になりますが、グループの従業員もボランティアとして喜んでOTB財団のプロジェクトに取り組んでいます」
OTBグループCEO ウバルド・ミネッリ
「2023年はマクロ経済における厳しい環境が際だった年であり、下半期は特に厳しくなりました。だからこそ、2023年にOTBが達成した業績には非常に満足しています。全てのブランド、全ての地域で成長し、我々のビジネスモデルの有効性を確認することができました。この結果は、ダイレクト・チャネルの開拓とアジア市場への浸透を成長の柱とするグループの戦略プランの方向性を示すものです。事実、2023年には特に中国、韓国、日本では、既存店舗も新規店舗も小売り販売がコンスタントに増加し、ダイレクト・チャンネルでの好業績を記録し、大規模な投資により、拡大を続けています」 と
OTBグループCEOのウバルド・ミネッリは宣言しました。「グループの成長は人材によってもたらされると確信しています。やる気と意欲に溢れた人材は企業の成功に不可欠な資産です。私たちは組織への投資を拡大し、2023年末には従業員数が全世界で約7000人に達しました。これは小売ネットワークの拡大によるもので、全世界で610店舗を展開しています。人材へ絶え間なく注力し、若者の育成にも反映されています。2023年に第3回目を迎えた私の思い入れの深いプロジェクトは『スタッフ・アカデミー』、私たちのブランドのコレクションを創造できる新しい世代のプロフェッショナルを育成することを目的とした職業訓練学校です。これらの職業に新たな活力を注入することによってのみ、ラグジュアリーおよびハイエンド商品の生産において世界で最も重要な国としての優位性を引き続き確立することができるのです。
当グループが重視しているもうひとつの資産は、サプライチェーンの戦略的パートナーとの長期的な関係です。こうした関係を構築し強化することは、当グループの成長に極めて重要でした。特に、生産を担うパートナーの専門知識と技術のおかげで、商品の高い品質基準を保証することができ、世界中の消費者からますます評価されるのです」と
ミネッリは締めくくります。
OTBグループ
OTBはディーゼル、ジル サンダー、メゾン マルジェラ、マルニ、ヴィクター&ロルフといったアイコニックかつ、型にはまらないブランドを擁する国際的なファッショングループです。また、OTBは、スタッフ インターナショナルとブレイブ・キッドを子会社に、アメリカのブランド、アミリにも出資しています。「Only The Brave」の頭文字をとったOTBは、ファッションとスタイルのフロンティアを超え、国際的な才能の創造性を支援し、創業者であるレンツォ・ロッソ会長の革新的な精神と妥協を許さない勇気のすべてを表現することを信条としています。世界中に約7,000人の従業員を擁するOTBグループは、消費者を中心に据えたデジタルなアプローチ、技術的な足跡を残した持続可能なビジネスを創造するための具体的かつ長期的なコミットメント、そしてOTB財団を通じた社会問題への強い関心をその基盤としています。
[1]*固定為替の場合
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プロジェクトC.A.S.H.(Credit Agevolato-Suppliers' Help):保証人であるOTBグループの高い信用力により、サプライヤーがOTBに対する債権を極めて有利な条件で銀行から事前に回収できるプログラム。このプロジェクトにより、サプライチェーンの企業は、パンデミック(コロナ禍)のような最も複雑な事態でも、より確信をもって立ち向かうことができました。