遺伝性血管性浮腫発作抑制薬「ドニダロルセン」のライセンス契約の対象エリアを拡大 -欧州に加え、大塚製薬の開発・販売エリアに日本を含むアジア地域を追加-

2024/06/18  大塚製薬 株式会社 

大塚製薬株式会社

医療関連事業

2024年6月18日

遺伝性血管性浮腫発作抑制薬「ドニダロルセン」のライセンス契約の対象エリアを拡大
-欧州に加え、大塚製薬の開発・販売エリアに日本を含むアジア地域を追加-

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)は、Ionis Pharmaceuticals, Inc. (本社:米国カリフォルニア州、CEO:Brett P. Monia, Ph.D.、以下「アイオニス社」)が遺伝性血管性浮腫の発作抑制薬として開発する「ドニダロルセン(INN:donidalorsen、開発コード: ISIS 721744)」について、ライセンス契約の対象エリアを昨年12月に締結した欧州に加え、日本を含むアジア地域を追加する契約を締結しましたので、お知らせします。

遺伝性血管性浮腫(Hereditary angioedema: HAE)は、顔(くちびる、まぶた、舌など)、腹部、手足などの目に見える場所だけでなく、消化管や喉頭など全身のさまざまな部分が繰り返し腫れることを特徴とする常染色体優性の遺伝性疾患です。消化管や喉頭に浮腫が生じれば腹痛や息苦しさが生じ、ひどいときには窒息によって死に至ることがあります。 日本では、約500人の患者さんが罹患していると報告されています。(アレルギー 71 (5) 402-406, 2022.)

本剤は、HAE の急性発作において重要な役割を果たすといわれているカリクレイン経路を標的とする核酸医薬(アンチセンス阻害剤)です。カリクレイン経路の最上流に位置するプレカリクレインのメッセンジャーRNAを破壊しプレカリクレインタンパクの産生を抑制します。その結果、浮腫を促進する主要な物質であるブラジキニンの生成を抑制し、発作を予防すると考えられています。

欧米で実施されたフェーズ3試験では、HAE発作を抑制する有効性と、長期的に良好な安全性および忍容性プロファイルを示しました。また、他剤ではHAEの発作が抑えきれなかった患者さんを対象にしたドニダロルセンへの切り替え試験において、有意に発作が減少しました*。現在、アイオニス社が米国食品医薬品局 (FDA)への承認申請を、大塚製薬が欧州医薬品庁(EMA)へ承認申請を準備中です。ドニダロルセンは米国および欧州において希少疾病用医薬品に指定されています。

このたびの日本を含むアジアに拡大した契約の締結により、大塚製薬はアイオニス社に対して契約一時金(20百万米ドル)に加え、薬事目標達成および売上高の達成目標に応じたマイルストンを支払います。日本およびアジア地域における開発及び販売は大塚製薬が独占的に実施し、売上高に応じたロイヤルティをアイオニス社に支払います。

大塚製薬は常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)などを対象とした希少疾患治療薬をグローバル展開しています。このたびのアイオニス社との提携拡大により、HAE患者さんのアンメットメディカルニーズに貢献できるドニダロルセンを欧州に加え、日本を含むアジア地域の患者さんにお届けできるよう努めてまいります。

*Riedl, M.A.et al. Efficacy and Safety of Donidalorsen for Hereditary Angioedema N Engl J Med . 2024 May 31. doi: 10.1056/NEJMoa2402478

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