日米豪印首脳会合

2024/09/21  外務省  

外交政策

日米豪印首脳会合

令和6年9月21日

日米豪印首脳会合 (写真提供:内閣広報室)

日米豪印首脳会合 (写真提供:内閣広報室)

日米豪印首脳会合 (写真提供:内閣広報室)

現地時間9月21日午後4時(日本時間22日午前5時)から約2時間、米国デラウェア州ウィルミントンを訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、アンソニー・アルバニージー・オーストラリア連邦首相(The Hon. Anthony Albanese, MP, Prime Minister of the Commonwealth of Australia)、ナレンドラ・モディ・インド首相(H.E. Mr. Narendra Modi, Prime Minister of India)及びジョセフ・バイデン米国大統領(The Honorable Joseph R. Biden, Jr., President of the United States of America)と米国主催で日米豪印首脳会合を行ったところ、概要は以下のとおりです。また、今次会合の機会に日米豪印首脳共同声明が発出されました。

  1. 4か国の首脳は、昨年の広島での会合に続き、対面での日米豪印首脳会合が開催されたことを歓迎しました。岸田総理大臣からは、日米豪印の4か国が「自由で開かれたインド太平洋」という共通のビジョンへの強固なコミットメントを国際社会に示し続けていくことがますます重要である旨述べ、4か国首脳間でその旨一致しました。
  2. 4か国の首脳は、共有する価値観を基盤とし、法の支配に基づく国際秩序の堅持を目指すこととし、人権、自由、法の支配、民主的価値、主権及び領土一体性並びに国連憲章を含む国際法に従った紛争の平和的解決及び武力による威嚇又は武力の行使の禁止を強く支持し、安定し開かれた国際システムの堅持に対するコミットメントにおいて結束することで一致しました。
  3. 4か国の首脳は、日米豪印の活動は透明性が高く、これからも透明性を保ち続けることを確認しました。また、東南アジア諸国連合(ASEAN)、太平洋諸島フォーラム(PIF)、環インド洋連合(IORA)を含む地域機関のリーダーシップを尊重することは、日米豪印の取組の中心的な要素であり、今後もそうであり続けることで一致しました。
  4. 4か国の首脳は、インド太平洋地域情勢について意見交換を行いました。
    1. 岸田総理から、東シナ海・南シナ海における力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みへの強い反対を表明しました。4か国の首脳は、ルールに基づくグローバルな海洋秩序に対する挑戦に対応するため、特に国連海洋法条約(UNCLOS)に反映されている国際法の遵守の重要性を強調するとともに、係争地形の軍事化及び南シナ海における威圧的かつ脅迫的な操船に深刻な懸念を表明し、海上保安機関及び海上民兵の船舶の危険な使用を非難しました。加えて、2016年の南シナ海に関する仲裁判断が、重要なマイルストーンであり、当事者間の紛争を平和的に解決するための基礎であることを確認しました。また、岸田総理からは、台湾に関する我が国の基本的立場を述べました。
    2. 4か国の首脳は、インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)の実施を引き続き支援し、日米豪印の取組がASEANの原則及び優先事項と一致することを確実にすることを確認しました。また、東アジア首脳会議やASEAN地域フォーラムを含む、ASEANの地域における指導的役割を強調し、各国がASEANの包括的な戦略的パートナーとして、ASEANとの関係をそれぞれ強化し続け、AOIPを支持するより大きな日米豪印の協力の機会を模索していく意図を有することを確認しました。
    3. 4か国の首脳は、太平洋島嶼国と協力していくことを再確認するとともに、地域の主要な政治・経済政策機関であるPIFへの支持を再確認しました。また、「ブルーパシフィック大陸のための2050年戦略」の目標を引き続き支持し、気候変動対策、海洋の健全性、強じんなインフラ、海洋安全保障、財政の健全性など、太平洋地域の優先事項に耳を傾け、常に指針としていくことで一致しました。
    4. 4か国の首脳は、インド洋地域における協力強化へのコミットメントを確認しました。また、環インド洋連合(IORA)を強く支持するとともに、「インド太平洋に関するIORAアウトルック」の策定におけるインドのリーダーシップを認識し、その実施を支持しました。
  5. 地域情勢の議論に続き、4か国の首脳は、地域に真に裨益する実践的協力として、様々な協力案件の進展を確認しました。
    1. 4か国の首脳は、インド太平洋地域の健康・安全に関する協力として、新型コロナ・ワクチンで協力の実績がある日米豪印が、子宮頸がん対策にまずは焦点を当てるとともに、他の種類のがんにも取り組むための基盤を整えることを確認しました。各国が様々な取組を行うことが確認され、日本は、引き続き、(1)医療機材・設備の整備や技術協力、(2)各国がん関連機関との連携、(3)国際機関(Gavi等)への資金の拠出等の実施を確認しました。
    2. 4か国の首脳は、人道支援・災害救援に関して、迅速な人道支援・災害救援の実施のために、各国が支援物資を地域に事前集積することを確認しました。
    3. 4か国の首脳は、インド太平洋における自然災害時を念頭に、日米豪印で輸送協力を実施することを目指すべく、試運用事業を立ち上げることで一致しました。
    4. 4か国の首脳は、日米豪印の海上保安機関間で知見の共有等を行い、連携・協力を深めるため、2025年に「シップオブザーバー」ミッションを立ち上げることで一致し、今後その取組を日米豪印の間でインド太平洋地域において継続していくことを確認しました。
    5. 4か国の首脳は、インド太平洋のパートナーが自国の海域を監視・確保し、法を執行し、不法な行動を抑止するため、「海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップ(IPMDA)」や他の日米豪印のイニシアティブを通じて提供されるツールを最大限に活用できるようにすべく、「インド太平洋海洋トレーニング・イニシアティブ(MAITRI)」を実施していくことで一致しました。
    6. 4か国の首脳は、安全で、強じん性、相互接続性のある通信システムを支援するため、5G・オープンRANの協力を、フィリピン及びツバルへ拡大することで一致し、地域における更なる協力を確認しました。
    7. 4か国の首脳は、日米豪印の偽情報に関する作業部会を通じて、偽情報対策について定期的な情報共有等の協力を推進していくことを確認しました。
  6. 4か国の首脳は、日米豪印の取組を継続及び強化していく旨確認し、インドが来年の日米豪印首脳会合を、米国が来年の日米豪印外相会合を主催することで一致しました。
  7. この後、バイデン大統領主催のワーキングディナーが行われ、4か国の首脳は、北朝鮮、ウクライナ情勢及び中東情勢を含む国際情勢について話し合う予定です。
  8. また、今次会合のホストであるバイデン大統領から、岸田総理のこれまでのクアッドをはじめとする様々な取組への謝意が示されました。

(参考)別添

日米豪印首脳共同声明(和文(PDF)英文(PDF)