2024 年11 月14日
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
株 式 会 社 三 菱 UF J 銀 行
三菱UFJ 証券ホールディングス株式会社
MUFG-KDDI協働のNext Step(協業2.0)について
株式会社三菱 UFJ フィナンシャル・グループ(代表執行役社長 亀澤かめざわ 宏ひろ規のり、以下 MUFG)とKDDI株式会社(代表取締役社長 髙橋たかはし 誠まこと、以下 KDDI)は、2008年開業の「じぶん銀行」(当時)の共同設立・運営を始めとして、15年以上にわたり、実りある密接な協業を続けています。その間、IT技術の飛躍的な発展などを受け、両社グループを取り巻く事業環境は目まぐるしく変化を続けております。それに伴い、今般、両社は協業の重点領域および協業の在り方について見直しを行いました。その結果として、両社グループの協業シナジーを大きく発揮できる領域に協業リソースをシフトし、また既に協業の成果を得られた領域はシンプルな建付けで経営のスピードを上げることを主眼とし、両社グループの役割・責任を明確化する形で整理することで、その協業関係を次のフェーズ(協業2.0)へと発展させることといたしました。
(1) 新たな協業イニシアティブ
① 生成AIの開発・活用についての戦略的提携
MUFGとKDDIは、今般、生成AIを活用した金融領域の課題解決および従来困難だった金融サービスの実現を目的とする新たな戦略的提携に合意しました。
MUFGは、2024年度からの中期経営計画の3本柱の1つである「企業変革の加速~会社がかわる」の中で、AI・データ基盤の強化を通じて経営基盤の強化に取り組むことを掲げており、金融領域のトップランナーとして、AI・データ基盤のフル活用を通じた金融業界の革新とお客さまへの期待を超える顧客体験の提供を目指しています。2024年9月にはグループ企業を通じ、先端AI開発企業のSakana AI株式会社(代表取締役 David Ha、以下 Sakana AI)に出資しています。一方、KDDIは2024年4月にLLM[1](大規模言語モデル)の開発力を持つ株式会社ELYZA(代表取締役 曽根そね岡おか 侑也ゆうや、以下 ELYZA)をKDDIのグループに迎え、お客さまに最適な生成AI を開発すると共に、快適なAIサービスの利用を実現する大規模計算基盤の提供も予定しており、LLMをより多くのお客さまに提供する仕組みと体制を整備しています。
今後の協働において両社グループは、保有するアセット、知識・ノウハウに、Sakana AI・ELYZAの革新的なAI開発・活用技術を掛け合わせることで、金融事業の抜本的な改革を進めます。まずは、MUFG 社内の大量のドキュメントや、社員が有する金融領域の経験やノウハウを学習させた「金融特化LLM」を構築し、汎用LLMでは対応が難しい多くのシーンに活用することを目指します。足元は、一例として、「顧客対応」「社内外用ドキュメント生成」「システム開発」などへの活用を見込みます(Step1)。 その後は、法律・規制データなどを含めて多様なデータを学習させることで、お客さまごとにパーソナライズされたAIがアドバイザーとなって、金融専門知識の有無に拠らず、お客さまに高度な金融サービスをご提供できるプラットフォームなど、金融業界の変革に資するユースケースの創出を進めてまいります(Step2)。さらに両社グループは、「金融特化LLM」を広く金融業界に提供することも展望しています(Step3)。
両社グループは、戦略的提携により、生成AIを活用した金融領域の課題解決や新たなサービスの開発などを通じ、金融サービスの在り方を革新してまいります。
<金融特化LLMの活用例(Step1)>
・顧客対応:AIによるお客さま応対
・ドキュメント生成:社内報告資料やお客さま提案書、メール文面の作成
・システム開発:設計書の作成やコード生成
<各社の役割>
・MUFG:学習データの提供、ユースケースの発掘
・KDDI:大規模計算基盤の提供および高セキュリティなネットワークの構築
・Sakana AI:AI Agent[2]をはじめとする先進的なAIの研究開発
・ELYZA:LLMの開発・活用をはじめとする生成AIの社会実装
(図表:生成AIの協業態勢)
(図表:ロードマップ)
② 次世代リモート接客プラットフォームの開発・活用に関する協働
KDDIは最新技術を活用した次世代リモート接客プラットフォームを開発中であり、これを活用し、全国をカバーする多様なロケーションでの汎用リモート接客ファシリティ(ブースなど)の展開を検討しています。MUFGとKDDIは、今般、当該ファシリティをMUFGのリモート接客に活用する検討に着手しました。
本件はいまだ構想段階であり、その実現にあたり超えるべき技術的・経済的・規制的ハードルはありますが、当該ファシリティは、コンビニエンスストアへの設置などMUFGの拠点配置が必ずしも充分でない地域を含めて広域な展開が検討されており、実現の際には、MUFG のお客さまへのアクセスポイントは飛躍的に広がることを見込んでいます。最新の技術を活用し、より多くのお客さまへ、身近な場所でのより優れた顧客体験をお届けするために、MUFGはKDDIと協働し、新チャネルの開拓を追求してまいります。
(2) これまでの協業の成果の整理と発展
① auカブコム証券 ~ 三菱UFJ eスマート証券に ~
MUFGとKDDIは、両社グループの共同出資会社であるauカブコム証券株式会社(代表取締役会長兼社長 二宮にのみや 明雄あきお、以下 auカブコム証券)における協働に関する検討の結果、今般、株式会社三菱UFJ銀行(取締役頭取執行役員 半沢はんざわ 淳一じゅんいち、以下 三菱UFJ銀行)がauフィナンシャルホールディングス株式会社(代表取締役社長 石月いしづき 貴史たかし、以下 au フィナンシャルHD)の保有する同社持分49%を取得することを決定いたしました。三菱UFJ銀行は、当局認可を前提に、三菱UFJ証券ホールディングス株式会社(取締役社長 小林こばやし 真まこと、以下 三菱UFJ証券HD)が保有するauカブコム証券持分51%を先に取得の上、上記49%を取得し、auカブコム証券を100%子会社とします。また、auカブコム証券は社名(商号)を「三菱UFJ eスマート証券株式会社」に改め、MUFGグループ各社との顧客基盤の連携を中心とした協業を強化してまいります。
au カブコム証券株式の取得完了は2025年1月末、商号変更は2025年2月を予定しております。
au カブコム証券は既に au 経済圏におけるネット証券として大きなプレゼンスを築いており、その役割は今後も続きます。au カブコム証券に関して両社グループは業務提携契約を締結し、「auマネ活プラン」を始めとしたau経済圏ユーザーへの諸プログラムにおいて、「三菱UFJ eスマート証券」は従来のauカブコム証券と同様のサービス・機能を提供してまいります。
今後はMUFGの中核ネット証券としてMUFG顧客基盤との結びつきを抜本的に強化し、その機能を縦横に発揮することで、業界における確固たるポジションの獲得を目指します。
(図表:新社名ロゴ)
変化の激しい時代では、経営のスピードを上げることが極めて重要であり、この対応はこれまでの協業の成果の上に、各社の新たな役割分担を明確化し、協業リソースやコストをミニマイズしつつ、一段の価値向上を目指してまいります。
② auじぶん銀行
2008 年にMUFG・KDDI両社グループが共同で開業したauじぶん銀行株式会社(代表取締役社長 田中たなか 健二けんじ、以下 auじぶん銀行)は、近年、住宅ローンの取り扱いで業界上位を確立するなど、着実な成長を続けてまいりました。その結果、マスリテールにおける独立した金融プレーヤーとしてau経済圏をけん引するプレゼンスを築いています。両社グループは、今後の協業の在り方を検討した結果、MUFGはauじぶん銀行持分22%をKDDIに譲渡し、MUFG本体のマスリテール戦略にリソースを集中、KDDIはauじぶん銀行を100%子会社の自社経済圏の中核銀行としてリソースを集中することが、両社グループ及びauじぶん銀行のさらなる発展に向け、最適との結論に至りました。auじぶん銀行株式の譲渡完了は、auカブコム証券と同様、2025年1月末を予定しております。MUFGとauじぶん銀行は、引き続き互いに親密な協業先として最適な協働に向けた取り組みを推進してまいります。
[1] Large Language Model。大量のデータを事前学習し、文章を理解・生成できるAIモデル。最新のものは画像や音 声なども処理可能。
[2] LLM を使って業務プロセスそのものを自動化する技術。
以 上
(Appendix)MUFG – KDDI 協働(関係図)
≪ MUFG – KDDI 協働 ≫
✓ デジタル技術と金融サービスの融合や、広く携帯キャリア・ユーザーを対象としたネット金融機能の普及を企図した協業。
≪ MUFG – KDDI 協働のNext Step(協業2.0)≫
✓ 協業の掛け算を最大化できる領域 = 生成AI領域などに協業リソースをシフト・集中投入。
✓ シナジー期を通過し、自律運用に入った事業では、新たな役割分担を明確化。協業リソースやコストをミニマイズしつつ、経営スピード・機動性を上げ、一段の成長を企図。
以 上