奈良県知事 記者会見 2024年09月03日 - 【発表案件】 ●道の駅「クロスウェイなかまち」開駅日決定! ● ●はぐくみキャンペーン2024 【質疑応答】 ●安堵町に対する産業廃棄物処理事業補助金 ●情報公開請求の請求手数料 ●県の防災対策 ●待機児童の状況等 ●結婚を機に東京から地方へ移住する女性への支援金制度案 ●最低賃金 ●奈良県いじめ問題再調査委員会報告書

2024/09/03  奈良県  

令和6年9月3日(火曜日)知事定例記者会見

【発表案件】
○道の駅「クロスウェイなかまち」開駅日決定!
○はぐくみキャンペーン2024について

【質疑応答】
○安堵町に対する産業廃棄物処理事業補助金について
○情報公開請求の請求手数料について
○県の防災対策について
○待機児童の状況等について
○結婚を機に東京から地方へ移住する女性への支援金制度案について
○最低賃金について
○奈良県いじめ問題再調査委員会報告書について

司会:

おはようございます。ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。

本日の記者会見は、ユーチューブ、奈良県公式総合チャンネルでライブ配信するとともに、配付資料もホームページに掲載しております。

本日は、知事からの発表案件が2件ございます。それぞれの発表後に質疑応答の時間を取らせていただきます。

まず、1件目の発表案件は、道の駅「クロスウェイなかまち」開駅日決定!についてでございます。

山下知事から発表いただきます。よろしくお願いいたします。

道の駅「クロスウェイなかまち」開駅日決定!

知事:

奈良市内に開業を予定しておりました道の駅「クロスウェイなかまち」ですが、建築工事の入札の不調等によりまして、開駅の時期がちょっと遅れておりましたけれども、令和6年11月30日土曜日に開駅することが決まりましたので、ご報告させていただきます。

次の資料をお願いします。オープンまでのスケジュールは、スライドのとおりでございます。

場所は、こちらの第二阪奈と枚方大和郡山線が交錯する場所の付近でございます。こういう道路が交錯する場所に建設されるということから、クロスウェイというネーミングになったものでございます。

さらに詳しくしたのが次の図でございまして、すぐ近くに国宝級と評される蛇行剣が発見された富雄の丸山古墳がございます。

次、お願いします。施設のレイアウトは、スライドのとおりとなっておりまして、駐車台数は257台、芝生広場やドッグランなども併設をしております。3つの建物が建設されます。

全景は、スライドのとおりでございます。建物の外壁には県産のヒノキを使用しております。

内観は、スライドのとおりでございます。建物の天井や床には県産の杉を使用しております。観光案内所やトイレは24時間利用可能となっております。

施設については、スライドのとおりでございまして、準備を進めているテナントは、まず、農産物の直売所、旬の駅、クロスウェイなかまち店というところ、それから、レストラン、なかまちキッチン、カフェ、喫茶、千壽茶寮なかまち店、これらによりまして、県産農産物の販売や料理を提供するものでございます。

続きまして、道の駅「クロスウェイなかまち」には、非常用発電や災害時に自衛隊の支援活動が可能な約1万平米の駐車場、防災倉庫も備えておりまして、県内初の防災道の駅となっております。防災道の駅は、全国で39か所ございますけれども、県内では唯一でございます。

道の駅がにぎわいと防災の拠点として、より魅力ある施設となるよう、引き続き開駅に向けて準備を進めてまいります。

以上でございます。

司会:

それでは、本件に関しまして、ご質問がございます方は挙手にてお願いいたします。

読売新聞さん。

記者(読売新聞):

2点お伺いしたいことがございまして、1点目、開業が遅れていたということですけれども、開業が遅れていたことに対しての受け止め、そして、今回、やっと開業に至ったということに関しての知事のコメントを一言いただけたらと思います。

知事:

開業が遅れておりましたのは、先ほど申し上げましたように、建設資材や人件費の高騰等によりまして、建物建設工事の入札が不落に終わったということが原因でございまして、それについてはやむを得ないかなと思っております。少し時期は遅れましたけれども、やっとオープンできたこと、大変うれしく思っております。

記者(読売新聞):

この道の駅が奈良県にとってどのような施設になってほしいか、どういうふうにしていきたいか知事の思いをお伺いできますでしょうか。

知事:

奈良県の北西部にはここしか道の駅がございませんので、奈良市や生駒市、それから、大和郡山市等々、近隣の市町の住民の皆さんにとっては、新鮮な農産物が買えるということで、大変喜んでいただけるのではないかと思っておりますし、また、先ほど言いましたように、防災の拠点にもなりますから、今申し上げましたような奈良市や大和郡山市、生駒市等の防災にも寄与するのではないかと思っておりますし、第二阪奈の中町ランプの近くでございますから、大阪方面から奈良に来られる観光客の皆さんにとっても大変利便性の高い、そういう道の駅になると思っております。

司会:

ほかに質問はございますでしょうか。

NHKさん。

記者(NHK):

この時期に開業した理由というのは特にありますか。単純に時期がいろいろ積み重なっていって、この時期が最短となったのか、それとも、その時期に何か意味があったのか、どちらになりますか。

知事:

それは、先ほども申し上げましたとおり、建設工事が一旦不落になりまして、再度、入札を行って、落札業者が決まって工事をして、この時期になったと、こういう経過でございます。

記者(NHK):

ありがとうございます。

司会:

ほかに質問はございますでしょうか。

奈良新聞さん。

記者(奈良新聞):

奈良市議会で、富雄丸山古墳へアクセスするための出入口がないというのが話題になっていたかと思うのですが、その辺りはどういうふうになっていますでしょうか。

知事:

そういったことに関して、県と市で何か協議が進んでいるというような報告は受けておりません。特に協議はしておりません。

記者(奈良新聞):

県としても、アクセスできるような入り口は設けてないということですか。西側のゲートがないという。

知事:

周辺図を出してもらえますか。

司会:

新しいスライドがあるということですので、それを投影させていただいて、説明をさせていただきます。その資料、記者の皆さんにも追加でお渡しさせていただきます。

知事:

この水色の線で行けるということですね。

道路建設課:

そうです。

知事:

ということでございます。

司会:

よろしいでしょうか。

ほかに質問がございましたら、お願いします。

毎日新聞さん。

記者(毎日新聞):

防災道の駅というものを初めて聞きまして、これはどういうところが評価されて防災道の駅になったのかを伺えたらと思います。

知事:

ここに書いてございますように、非常用電源、防災倉庫、発電機、それから、駐車場が1万平米と広い、フォークリフト、マンホールトイレ、こういったものを兼ね備えているということで、防災道の駅としての機能を充足しているということで、国から認められたものでございます。

記者(毎日新聞):

国から認められたもの。

知事:

はい。

記者(毎日新聞):

分かりました。ありがとうございます。

司会:

ほかに質問はございますでしょうか。

産経新聞さん。

記者(産経新聞):

富雄丸山古墳のことに関連してですけれども、これまでの見学会でもたくさんの人が訪れたりしていたかと思いますが、文化観光というところでも寄与することがあるのかなと思います。知事の中で期待することがありましたら教えてください。

知事:

そうですね、富雄丸山古墳を訪れる人がこの場所を駐車場としてご利用いただくとか、あるいは、古墳を見学する前後に休憩していただいたり、飲食していただいたりする施設として、ご利用いただければ、大変いいかなと思っております。

記者(産経新聞):

ありがとうございます。

はぐくみキャンペーン2024について

司会:

それでは、2件目の発表案件に移らせていただきます。2件目は、「はぐくみキャンペーン2024について」でございます。

知事、よろしくお願いします。

知事:

資料をご覧ください。このキャンペーンの目的でございますが、物価高による経済的負担感が大きくなってきている中で、特に費用負担の大きい子育て世帯への経済的支援を行うというのが目的の一つでございます。また、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力を強化するための地域の消費喚起ということが2番目の目的です。そうしたことから、妊婦さんや子育て家庭に対しまして、県内で利用することができるプレミアム付電子クーポンを給付するキャンペーンを行います。

具体的な事業の内容でございますけれども、妊娠中の方を含む、18歳までの子を養育する保護者が対象でございまして、1万5,000円分の電子クーポンを1万円で販売いたします。発行口数は6万口、購入可能口数は1人につき2口まで、給付総額は3億円でございます。これはプレミアム分の5,000円掛ける6万口で3億円ということでございます。購入方法でございますけれども、奈良スーパーアプリを通じて「なら子育て応援団」に登録し、マイナンバーカードで本人確認を行うことにより購入できます。販売期間は本年10月1日から10月31日までの1か月間でございます。売り切れ次第、終了となっております。使用可能期間は、本年10月1日から来年2月28日までということでございます。使用可能店舗は、電子クーポン「PayPay」を使用できる店舗のうち、キャンペーンに参加する店舗、約1万店となっておりまして、県内の多くのスーパーとか飲食店等が対象でございます。子育て用品店、家電量販店、スーパー、ファミレス、ドラッグストア、アパレル、それから、クリーニング店等々でございます。ホームセンター等もございます。

ただ、コンビニでは使えないということが大変ご不便なんですけれども、この理由は、コンビニではたばこを売っているんですが、たばこをプレミアムつきのクーポンで買うと、定価より値引き販売するということになり得るということで、こういったプレミアム商品券を用いてコンビニでたばこを売ってはいけないということに、たばこ事業法36条1項で解釈されるということのようです。そうしたことから、コンビニ大手3社が参加を辞退されているということでございます。

以上です。

司会:

それでは、ご質問がございます方は挙手にてお願いいたします。

読売新聞さん。

記者(読売新聞):

昨年にも同様の子育て世帯支援のための電子クーポンを配付されてたと思うんですけれども、今回のキャンペーンは、それが好評だったために規模を拡大して実施するという形になるんでしょうか。

知事:

それもございますし、財源となる国の交付金というのがございますので、当然、それを使わないともったいないですから、その交付金を活用したいということもございます。去年は、PayPayで付与するという形ではなく、インターネット上のショッピングサイトで購入する場合に限って利用できるようなクーポンを発行していたんですけれども、やっぱり、ネットで物を買うということにしか使えないということで、想定していた口数が完売できなかったということがございまして、結局その分の残った財源を国に返還したという経緯がございます。それではせっかくのこの子育て世代の応援という趣旨からして不十分であるということから、今年は方法を見直しまして、インターネット上でしか買えないような電子クーポンではなく、PayPayを利用して普通のお店でも買えるようにしたということでございます。

記者(読売新聞):

より広く使ってもらおうというところで今回のような形にしたということでしょうか。

知事:

おっしゃるとおりです。

記者(読売新聞):

先ほどお話しいただいた内容と重複するところがあると思うんですが、知事として、このクーポンをどのように活用していただきたいか、一言コメントをいただけたらと思います。

知事:

そうですね。冒頭も申し上げましたが、物価が高騰しています。一方で、賃金の上昇がそれに追いついていないということで、実質賃金がマイナスになっているというような指摘もあります。やはり子育て世代は家計のやりくりがそんなに楽ではないというふうに思っておりますので、このクーポンを活用していただいて、少しでも子育て世帯を応援することができればという思いでございます。

司会:

毎日新聞さん。

記者(毎日新聞):

先ほど、想定した口数が完売できなくて、残った分の財源を返還したとおっしゃったと思うんですが、どれぐらいのうち、どれぐらい返還したか、もし分かれば教えていただけませんでしょうか。

知事:

担当課から回答します。

こども・女性課:

昨年度は1世帯につき1枚の配付でしたが、6万世帯分をご用意いたしまして、3万5,700世帯にお配りしました。

記者(毎日新聞):

これ、金額でいうと、どれぐらいになるんでしょうか。計算したら分かるということですね。

知事:

昨年度は5,000円分でしたので、配付した世帯数に5,000円を掛ければいいということですね。

*昨年度実績:4,000円×35,700件+1,000円×8,094件

(定例記者会見後、補足資料により訂正)

記者(毎日新聞):

分かりました。ありがとうございます。

あと、知事にお伺いしたいんですが、使える場所と額が変わっていると思うんですが、ほかに、例えば期間など、前回から変わったところというのはありますか。

知事:

使用期間は、今回、10月から2月までの5か月間ですけど、昨年はどうでしたか。

こども・女性課:

使用期間は同じく、ほぼ変わりません。ただ、販売期間を1か月に絞らせていただいております。昨年度の販売期間は5か月でした。

知事:

あと、去年は1世帯1口までしか買えませんでしたが、今年は1世帯何口買えるんですか。

こども・女性課:

1世帯、保護者2名までご購入いただけます。

知事:

ということは、夫婦がいた場合は、去年は夫婦が1口ずつ買ったら、世帯で2口買えたということですか。

こども・女性課:

買えません。去年は、1世帯で1口ですので、夫婦どちらか1名だけでした。

知事:

去年は1世帯1口、今年は1世帯2口までということですか。

こども・女性課:

いえ、お一人2口まで買えますので、1世帯、保護者2名で4口になります。

知事:

ということは、母親と父親と別々に買ってもいいということですね。去年はどうでしたか。

こども・女性課:

去年は、1世帯につき1回だけの申請になります。

知事:

ということは、お母さんかお父さんか、どちらかが購入したら、もう片方の人は買えなかったということですね。それで、1人1口ですね。

こども・女性課:

はい、その通りです。

知事:

では、単純に言うと、1口から4口に増えたということですね。利用する県民からしたら、そこは重要な変更ポイントですね。

司会:

ほかに質問はございますでしょうか。

時事通信さん。

記者(時事通信):

今の質問と関連して、去年実施されたキャンペーンの仕組みを見ると、3歳未満の子供がいて父親が育休取得した場合とか、18歳未満のひとり親家庭には1,000円追加するなど、フォローアップ的なことをされていたり、育休取得の促進をされてたようなことがあったと思うんですけど、今年度については、そういうものは外されたということになるわけですか。

こども・女性課:

はい、全て外しました。

記者(時事通信):

それは理由があったりしますか。

こども・女性課:

最初から5,000円のクーポンをつけたほうがスキームとしてもスムーズで、購入される方にもスムーズに受け入れていただけると思い、見直させていただきました。

記者(時事通信):

先ほどの毎日新聞さんの質問の関連で、ひとり親世帯だったら、最大2口ということになるんですか。

こども・女性課:

はい、おっしゃるとおりです。

記者(時事通信):

分かりました。ありがとうございます。

司会:

ほかに質問はございますでしょうか。

朝日新聞さん。

記者(朝日新聞):

マイナンバーカードは必要になるんですか。

こども・女性課:

マイナンバーカードで本人確認し、ご購入いただきます。

記者(朝日新聞):

ということは、カードを発行してない方は入手できないということでしょうか。

こども・女性課:

はい、おっしゃるとおりです。

記者(朝日新聞):

父親が熱心に育児に取り組む様子を作文に書くと1,000円上乗せされるとか、独り親家庭を助けるとか、昨年のキャンペーンには県として子育てを応援するという姿勢が見えたかと思うんですが、今年は、まず自由になる1万円のお金がないと入手できないとか、県として子育て支援の姿勢みたいなものが、昨年に比べて見えづらい感じがあるんですが、知事としてはどのように受け止めてらっしゃいますか。

知事:

去年、作文を書いたら1,000円上乗せされるというものの利用者はどれぐらいいたんですか。

こども・女性課:

35,700枚のうち、5,000枚分が作文を書いたら1,000円上乗せの対象だったのですが、4,000枚近くしかはけていません。

知事:

要するに利用者が少なかったから、今年度からはやめたということです。

記者(朝日新聞):

今年のキャンペーンの色合いが去年と若干変わっていると思うのですが、そこに関して知事としては、スムーズにみんなに浸透すること自体がいいことだというお考えになりますか。

知事:

この辺の制度設計は担当課にお任せしていたんですが、やはりこういうのはシンプルなほうが利用しやすいという面はあるんじゃないかと私は思います。

安堵町に対する産業廃棄物処理事業補助金について

司会:

それでは、その他のご質問がございます方は挙手にてお願いいたします。

朝日新聞さん。

記者(朝日新聞):

県が過去に安堵町に対して交付していた産業廃棄物処理の補助金についてお伺いしたいと思います。裁判や町の調査で、実態がよく分からないとか、不適切な取扱いがされていたことが判明していて、特に県との関係でいうと、県の補助要項の対象種別のごみがどれだけ入っていたのか分からないとか、県に申請していた処理量の数字が、根拠がなくでたらめな数字を書いていたと聞いています。知事として、この問題への受け止めと、今後、県として補助金の返還を求めるかどうか、ご意向があるかどうか、その辺り、現状の知事のご認識をお伺いさせてください。

知事:

補助金の根拠となる産業廃棄物の処理量が真実の数字と異なっていたということで、大変残念に思っております。判決で指摘された廃棄物の処理実績がないとされた分、具体的には令和2年8月から令和3年3月までの8か月分の安堵町に交付した県補助金については、既に返還が完了しております。裁判の対象となっていない令和2年8月より前の分につきましては、同様の扱いがされていたのか、いないのか、安堵町に精査するよう求めているところでございまして、同様に根拠のない数字で県の補助金を受け取っていたということであれば、当然それは返還を求めていくことになろうかと思います。

記者(朝日新聞):

県と安堵町は協議中の段階だと認識しているのですが、既に安堵町からは、報告していた数字に根拠がなかったとか、県の補助要項の対象種別のごみがどれだけ混じっていたのか、それはもう分からない、混じってなかったかもしれないというような意味合いで、取材にも、県にも報告されていると聞いています。その段階で、申請の仕方としては不適切であると思うんですけれども、県としては何を町に求めて、返還するかどうかの判断を待っている状態でしょうか。

知事:

判決で違法な補助金支出があったという部分については、きちんと事実認定がされておりますので、県が改めて調査する必要はないと考え、その分の返還は受けました。ただ、それ以前についても、同様の取扱いがあるのであれば、やはりそれは返していただかないといけないものですので、それについて精査をしてほしいと、町に申し入れているということでございます。

情報公開請求の請求手数料について

記者(朝日新聞):

県の情報公開請求に関しての質問です。県では、6月からコピー代の実費とは別に、請求手数料を徴収することになりました。担当部局から聞いているのは、その背景としては、請求件数が増えて、事務コストがかかるというところが一番大きいのかなと思っております。一方で、情報公開を使って行政運営のチェックをされてきた、いわゆるオンブズマンの方々に聞くと、請求の一つのハードルになって、行政の透明化ということに対しては逆行する動きだという指摘も出ています。知事は、就任式でも情報公開の重要性というのは柱に掲げておられたと思うのですが、こういった指摘についての知事のご認識について教えてください。

知事:

まず、行政コストという点でございますけれども、正当な情報公開請求、要するに制度の趣旨、目的に沿った請求に対する対応というのは、当然それは必要なコストだと思っております。ただ、令和5年で3,010件ほど、情報公開請求があったのですが、感覚的ですが、そのうち約半数が、新聞記事でも紹介されているような濫用的な請求であったと担当課からは報告を受けております。情報公開請求は、請求を受けたときから2週間以内に開示する、しない、あるいは一部開示するという判断をし、一部開示する場合は、非開示箇所全てを黒塗りの作業をしなくてはいけません。期間が非常にタイトなので、職員はかなり残業してその黒塗りの作業をしていたということでございます。ですから、新聞記事にも報告、指摘されています個別の職員の給料、人事に関する自己申告書や特定の部署の健康診断に関する文書の請求、これらは知る権利に奉仕するという、情報公開制度の趣旨とは違って、興味本位の請求であるという面が否めないので、そういう制度の趣旨から逸脱した請求に対して、職員が残業をしてまで対応するというのは、民主主義のコストとして受け入れられるものなのかどうかという点で判断をしています。そういう濫用的な請求に対して、県民の税金を使って、職員に残業してもらってまで対応するというのはいかがなものかということで、濫用的な情報公開請求が少しでも減ればいいという思いがもちろんございます。一方で、この300円なんですけれども、コピー代とは別にと先ほどおっしゃいましたけれども、白黒で1枚10円、カラーで50円ですから、白黒で30枚までは、コピー代としてこの300円に含まれるんです。ですから、白黒で30枚まで、カラーだと6枚までであれば、コピー代とは別ではないわけで、従前と負担は変わってないわけです。そうすると、白黒で30枚、カラーで6枚を超える分については、確かに300円というものが新たな負担になるわけでございますけれども、その300円という金額があるから、情報公開請求を控えようと思われるのか。記者さんもよくこの制度はお使いになられると思いますけれども、300円払うから情報公開請求をしないという判断には多分ならないだろうと私は思っております。私は、弁護士時代に、オンブズマン的な活動の支援をする弁護もしておりましたし、住民訴訟の住民側の代理人もしておりましたけれども、300円払わなければいけないから情報公開請求を控えるというような判断は通常はないと、私は認識をしております。

記者(朝日新聞):

300円はそんなに高くないだろうというお話だったと思うのですが、1件300円なんで、当然、各年度とか、類似の資料を求めた場合に、300円掛ける5とか10とかで、1,000円を超えることはあるということは認識いただきたいというのと、まさにこれは市民の感覚みたいなところが問われているのかもしれないですが、濫用的なものが多いからという理由で、本当に行政の政策を知りたいだとか、公金の使われ方を知りたいと思っていらっしゃる方の請求に一定のハードルをかけるのかという、そういう考え方についてはいかがですか。

知事:

2番目の質問からお答えしますと、私は、1件300円の手数料がハードルとは認識しておりません。これは、朝日新聞さんはそう考えられるかもしれませんが、私は県民全員が300円により情報公開請求を躊躇するというほどの非常に高いハードルと認識するとは思いません。何人かに聞きましたが、300円ならいいじゃないかという感覚の意見をお持ちの方も多かったと思います。

それから、複数件を請求すれば、300円ではとどまらないというのは確かにそうですし、複数件請求すれば、当然その分のコピーの枚数も増えます。1件につき300円まではコピー代に充当されますので、例えば、今の計算でいうと3件で900円払いましたとするなら、従前でも90枚まではコピー代として払う必要があったわけです。ただ、従前は、請求手数料は無料、コピー代は別途実費だったので、90枚分は900円払わないといけなかったわけですよね。今回からは、3件で請求したとして、1件につき300円払うから900円払うけど、90枚までだったら900円で済むわけですから、そう考えると従前と何ら経済的負担は変わっておりません。

1件300円分までのコピー代は、情報公開請求の手数料に含まれるわけですから、3件請求して900円払っても、コピーの枚数が例えば90枚以上する場合は、その90枚分のコピー代は徴収されないわけですからね。

記者(朝日新聞):

お金の高い低いというのは、それぞれ感覚ですが、いわゆる権利の濫用というところから始まった、この請求手数料ですけども、例えば権利の濫用を防ぐ規定を設けるだとか、そういうところで防ぐ方法もあったのかなと思うのですが、その辺りのご検討はされたのでしょうか。つまり、権利の濫用を目的にしているけれども、権利の濫用をしてこなかった人たちからすると、何でこれまで実費以外は無料だったのにというちょっともどかしさを感じられています。

知事:

そのご質問にお答えするとすれば、まず、権利の濫用かどうかというのは、なかなかそれを一義的に定義するというのは非常に難しいというのがございます。権利の濫用に当たるか当たらないかということで、請求者と県との間でトラブルが生じる可能性があるというのが1点と、権利の濫用ではない、正当な目的で情報公開請求する人にとっては新たな負担であるというのは確かにそのとおりです。しかし、それは先ほど申しましたとおり、私は1件300円という負担が正当な目的で情報公開請求する人にとって不当に高い手数料であって、300円払わなければいけないから情報公開請求を躊躇するというような金額ではないんじゃないかと、そういうふうに認識しているということでございます。

記者(朝日新聞):

分かりました。ありがとうございます。

司会:

毎日新聞さん。

記者(毎日新聞):

今のに関連して、1点、知事の中でどういう情報公開請求が正当で、どういうものが濫用に当たるのかという認識をお伺いしたいです。

知事:

例えば、新聞記者やテレビ局の記者の皆さんが、報道する目的で情報公開請求をすると、これは当然正当な目的ですよね。議員さんが県議会等で質問するに当たって、情報公開請求で情報を入手して質問するという場合も当然正当な権利の行使だろうと思いますし、あるいは、オンブズマンの皆さんが住民監査請求等をするという、その前段階として情報公開請求をするというようなものは、当然正当な権利の行使だというふうに思います。

記者(毎日新聞):

一方で、濫用とはどういったものとお考えですか。

知事:

一方で、この新聞の記事にも書いてございますけれども、個別の職員の給料とか、人事に関する自己申告書とか、健康診断に関する文書といった内容です。個々の職員のそれを知ってどうするんですかと、何か嫌がらせか興味本位だとしか思えません。県の職員の給与の給与表というのは当然公開してるわけですよね。それを見れば、大体県の給与の水準というのは分かるわけじゃないですか。

記者(毎日新聞):

そういう公共の知識として必要でないものを執拗に請求するみたいなのが濫用に当たるという認識でしょうか。

知事:

なかなか定義は難しいですけれども、そもそも情報公開制度というのは、知る権利というものが根拠となっております。知る権利というのは、表現の自由という憲法21条から派生する権利だというふうに憲法学では言われておりますので、そうすると、その表現の自由というのは、表現の自由がなければ、民主主義社会がちゃんと正当に機能しないということで、極めて高い憲法上の価値を与えられているわけです。その表現の自由に資する、表現の自由に根拠を置く民主主義に資する権利という観点からすると、特定の職員の給料を知ったからといって、それが民主主義の健全な発展に資するとはやっぱりなかなか言えないと思います。この新聞記事にも書いていますが、情報公開請求して、職員が一生懸命黒塗りして、どうぞ、一部開示で取りに来てくださいといって、取りに来ない人もございます。この情報公開請求は、本当に民主主義を健全に発展させるためにやっているのでしょうかというふうに思わざるを得ないような請求が、全体の半分を占めているという状況です。全体の半分、1,500件のために県の職員が深夜まで残業を強いられるということを放置するということがいいのかどうなのか、そういうことも考えて、今回こういう条例改正を提案したということでございます。

県の防災対策について

記者(NHK):

明日、紀伊半島豪雨から13年を迎えるということで、改めて、県として知事として、防災への決意を一言伺えればと思います。

知事:

先般、五條市の赤谷地区というところの砂防工事が完了して、記念式典をやりました。箇所数は正確でないですけど、五條市や十津川村、野迫川村で5か所ぐらい工事をしております。ですから、まだまだ被害が回復していないということでございまして、非常に紀伊半島大水害の被害というのは大きかったというふうに改めて感じております。今回の台風もそうですけれども、非常に台風とか、集中豪雨というのが増えていて、そういう土砂の崩落事故が発生する可能性というのは、13年前より高まっているというふうに私は思っております。そういう意味では、土砂の崩落を防ぐための対策というのが非常に重要になっていると考えております。先般、昨年12月に下北山村で発生した国道169号線の土砂崩落事故でございますけども、結局そういう非常に危険な箇所を通過せざるを得ないような道路がまだまだ残っているというのが問題でございまして、全てが全て、トンネル工事をできるわけではないですが、今回、国のほうで直轄権限代行でやっていただくことになりました。国のお力も借りて、トンネルといった形での抜本的対策を講じていく必要があると思っております。それとともに、これは全地球的な課題ではございますが、これだけ台風とか、線状降水帯による集中豪雨が発生しているというのは、地球温暖化が原因であるということは、いろんな識者が指摘しております。2050年までのカーボンニュートラルの実現という、中長期的な、全人類的な課題を解決していかなければいけないと思います。一番いいのは集中豪雨とか、ゲリラ豪雨とか、台風が減ることだと思います。もちろん災害対策も必要ですけれども、脱炭素に向けた取組ということも、私は同時に必要じゃないかと思いますし、これだけ災害が増えている原因である地球温暖化に対して、もっともっと、私は県民の皆さんも関心を持ってほしいなと思っております。そういう意味で、再生可能エネルギーの普及拡大ということについて、県はこれから力を入れていきますけれども、太陽光発電の普及とか、水素の利活用とか、そういったことに対しても県民の皆さんには理解を深めてほしいなと思っております。

記者(NHK):

関連でお伺いしますが、今、道路の崩落を防ぐ方法として、トンネル化をしていくべきではないかというふうにおっしゃったと思いますが、集落に対する土砂被害の安全性を守るためにどうしていきたいかということはございますか。

知事:

それは、今いわゆるレッドゾーンとかイエローゾーンと言われる土砂の崩落の危険性が高いエリアがありますが、それについて、もちろんハザードマップで周知はしております。ただ、そこから移転してほしいということまではなかなか言えないのが現状です。県として今やっているのは、レッドゾーンにある避難所、そこに避難した人が土砂にのみ込まれるということであれば、何のための避難所なのか分かりませんので、このレッドゾーンにある避難所というのを解消するための施策を、今やっております。具体的には、避難所の裏手にあるレッドゾーンののり面に対する工事になります。コンクリートの吹きつけ、あるいは防護柵を設置するといった工事で、そういう工事は、費用と時間がかかります。そのため、今、奈良県は全国に先駆けて、避難所そのものをレッドゾーンから動かすことができないかという新たな取組をやっております。県がその避難所移転に必要な9割のお金を出すということで、今、各自治体と協議を進めており、3つぐらい、今協議中の箇所があるというふうに聞いております。ぜひこの避難所そのものを移すという事業を全国に先駆けて実現したいなと思っております。これは、国土交通省に要望に行った際も、紹介したところ、いや、これはすばらしい制度ですねと国土交通省の方からも評価いただいております。

記者(NHK):

ありがとうございます。

あと、最後にもう1点、紀伊半島豪雨の被災地がもともと過疎地域ということはあると思うんですけど、被災後にやはり急激に人口が減少しているという実態があり、それについてはどう思われますか。

知事:

たしか、県の南部、東部の人口のピークは昭和25年か、昭和30年だったと思います。そこから、ずっと減ってきたわけですから、人口減少が災害によるものかどうかということは分かりません。

記者(NHK):

ありがとうございます。

待機児童の状況等について

記者(時事通信):

待機児童関連のことでお伺いします。この前、全国的な傾向としては待機児童が減っている中で、奈良県は増えているとの国の発表がありましたが、お受け止めをお聞きしたいです。担当課に聞いたところ、基本的に、保育士不足が原因で、県が要望活動されている地域手当に関しても、今回の国の人事院勧告の改正では、結局、大阪府と奈良県の手当の格差が広がってしまったという結果になっているとお話がありました。これを踏まえて、今後、国にどういうアプローチをしていくのか、この2点を教えてもらえますでしょうか。

知事:

待機児童が増えた原因は、保育士不足で、定員まで子供さんを預かることができない園が増えていることが要因だと認識をしております。特に0歳から2歳児について待機児童が増えているということでございまして、育休明けで子供さんを預けたいというニーズがある一方で、保育士不足でなかなか子供さんを受け入れることができず、定員が、例えば10人となっていても7人までしか受け入れられないという園があるというのが原因だと考えております。やはりこの待機児童を解消するためには保育士不足を解消することが非常に重要だと考えておりまして、奈良県では、ご案内のように、保育士の処遇改善のための手当というものを市町村負担の2分の1を県が負担するという制度を始めましたし、公定価格の地域区分と言われる国から支給される民間保育園への交付金の算定基準についても、都市とその周辺部の格差をなくすような申入れを2年続けて行っています。それとともに、保育士の人材バンクというのがございますので、この人材バンクの活用を促すとともに、その人材バンクに専門の方を配置して、そういう保育士さんの相談に乗るというような事業もしております。

記者(時事通信):

結局、国に要望に行かれても、実態として、どれだけ保育士給与に反映されるかというのはともかくとして、地域区分の格差が広がってしまっている状況はあるかと思いますが、今後どういうアプローチをお考えでしょうか。

知事:

今、人事院で公務員の地域手当を大くくり化する作業をしていると聞いていまして、公務員の地域手当が大くくり化されることで、先ほど申し上げました社会福祉法人等に給付されるお金の公定価格の地域区分も一定見直しがされるのではないかなと聞いております。ですから、今回の制度改正を見て、それでもまだ不十分であれば、また3年続けて政府に要望に行くということもあろうかと思います。

記者(時事通信):

分かりました。取りあえずは様子見ということですかね。実際に保育士さんに対してどういうふうになっていくか、また今後ということですか。

知事:

国の制度改正については見守るということでございます。

記者(時事通信):

分かりました。

知事:

一方で、県内の保育士不足に対しては、先ほど言いましたような制度で、保育園や保育士さんをバックアップしていくと、こういうことでございます。

結婚を機に東京から地方へ移住する女性への支援金制度案について

記者(時事通信):

国のほうで、結婚を機に地方に移住する若年女性に支援金を支給するという方針が、事実上、結構批判が大きくて撤回されたようで、秋田県知事も発想が偏向的だというようなことをおっしゃっていましたが、知事としてお受け止めはありますか。

知事:

政府のほうで既に撤回された政策について、私の立場でコメントすることはありません。

記者(時事通信):

分かりました。ありがとうございます。

最低賃金について

記者(朝日新聞):

最低賃金、時給のことでお伺いします。徳島県では、知事の意向もあって、大幅に引き上げられたというような経緯があるようですけれども、奈良県でも、時給の高い大阪府とか、京都府に人材が流出するみたいな観点では、似た課題の部分があるのかなと思います。最低賃金自体についての知事のお考えがあれば、お聞かせいただけないでしょうか。

知事:

徳島県の場合は、たしか全国最低だったかと思いますが、それを脱却するために、知事が動かれたということは認識をしておりますけれども、奈良県はたしか986円だったかと思います。本来は、奈良労働局に最低賃金を決める審議会がございまして、そこで使用者側の委員、労働者側の委員、そして、中立の立場の学識経験者が中心となって、それぞれの立場の人たちが意見を出し合って決める、そういうシステムになっておりますので、特段、奈良県において、そういう本来の制度に加えて、行政側がそこに何か意見を言うような必要が奈良県でもあったとは認識しておりません。

記者(朝日新聞):

地域間競争になってしまっていること自体についての知事のご見解というのはありますか。

知事:

地域間競争というか、全国最低になるのを避けるために、最低賃金を上げるために関係者がご努力して最低賃金が上がるのは、結果として、これはこれでいいことだと思います。下げる方向での競争だったら、問題かもしれませんが、全国最低という汚名を着せられるのを避けるために、行政含めて、各関係者がご努力されるというのは、私はそれは結果的には、よい結果になっているのではないかと思います。

奈良県いじめ問題再調査委員会報告書について

記者(朝日新聞):

約1か月前のことになってしまいますが、県内の私立中学校でのいじめ事案で、県として初めて再調査の報告書が発表されました。約6年前のいじめで、当事者は県外に転出されてしまって、今もPTSDに苦しんでおられるということで、今回、県が出した報告書にも必ずしも満足しておられるわけではないということで、対応が難しいなと私も感じたんですが、県として初の報告書を出すに至ったことについて、知事として何らかの所見というか、お考えがあれば、お聞かせください。

知事:

私は、報告書の内容や出すことについて、全く関与しておりません。そういう制度にのっとって行われたことでございますし、内容については、有識者の皆さんが中心にご検討されたものと認識していますので、そのことについて、逆に行政の立場から何かくちばしを挟むのはいかがなものかと思います。

記者(朝日新聞):

その直後に県のいじめ対策連絡協議会が開かれて、今回のこの報告書の内容も酌んで、加害者側の別室登校というものについても盛り込む内容で、来春に改定する方向で今動いているようですけども、いじめの行為者側を別室登校させるようなことが明記されるとしたら、全国でも割と珍しいものになるのではないかと思います。こういった問題への対処について、知事として何かお考えがあれば、お聞かせいただけないでしょうか。

知事:

それについても、教育委員会で検討されていることでございまして、私に特に相談があったわけでもないし、逆に知事が口出しをするような事項でもございません。教育委員会が政治的中立性の中で判断してやっておられることだろうと思いますので、教育委員会のその措置について、私がいい悪いというようなコメントをすることはかえって政治による教育への介入だということにもなりかねませんので、コメントは差し控えさせていただきます。

司会:

ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

知事:

ありがとうございました。

※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。

また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。

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