中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)近畿本部は、スタートアップ企業等の成長加速化を目的に、近畿地区にビジネスインキュベーション施設を11棟運営しており、現在150社以上の企業に入居いただいております。
この度、神戸健康産業開発センター(通称:HI-DEC 読み:ハイデック)に2021年から入居するシンバイオシス株式会社(以下、同社)が、社会的なコミュニケーションの困難さや空間・人・特定の行動に対する強いこだわりがある等、多種多様な障害特性が見られる発達障害の一つである自閉スペクトラム症(ASD)の治療に向けた医師主導特定臨床研究を開始しました。
中小機構では、同社保有技術に係る販路開拓・テストマーケティング支援や研究資金獲得支援等により同社技術の社会実装を支援しています。
研究内容の詳細は以下の通り。
■抗菌薬を使わない腸内細菌叢移植により自閉スペクトラム症の治療を目指す
シンバイオシス株式会社は、「NanoGAS(R)水」という目に見えない微細な泡を含んだ水の製造技術を持っています。この技術を腸内細菌叢移植の移植用菌液に活用し、一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会に所属する医療機関に継続して提供してきました。
腸内細菌叢の移植は、健常人の腸内細菌叢を患者の腸内に直接注入し、崩れてしまった腸内細菌叢のバランスを整える効果があるとされています。
今回、「NanoGAS(R)水」の特性である微細な泡で他人の腸内細菌を効果的に定着させ、自閉スペクトラム症(ASD)の治療を目指します。医師主導特定臨床研究を、5~12歳の小児を対象に開始し、6医療機関で30症例を予定しています。
この新しい治療法は、一般的に用いられている抗菌薬投与や腸管洗浄を必要とせず、投与する細菌数が少ないため、治療を求める患者、特に小児にとって穏和な条件となっています。
■株式会社ジー・キューブとの連携
今回の臨床研究における自閉スペクトラム症児特有の腸内細菌叢バランスの検証や、動物実験による「NanoGAS(R)水」を用いた比較試験では、同施設に入居している株式会社ジー・キューブの協力(便の遺伝子解析等)を得ており、施設内における新たな研究開発が促進されることが期待されます。
2023年9月17日の腸内フローラ移植臨床研究会 第7回学術大会においては、本臨床研究の中間報告が予定されています。
腸内フローラ移植臨床研究会 第7回学術大会
https://fmt-japan.org/post/8052
<神戸健康産業開発センター(HI-DEC)>
神戸市が推進する「神戸医療産業都市構想」において、医療・健康関連分野等で、新たな事業展開や起業に取り組む方々をサポートする、インキュベーション(起業家支援)施設です。
所在地:兵庫県神戸市中央区港島南町6-7-4
アクセス:神戸新交通(ポートライナー)「医療センター」駅下車、歩道橋直結 徒歩2分
<シンバイオシス株式会社>
シンバイオシス株式会社(代表取締役 田中三紀子)は、「偉大なる発明はリサーチの先には無い 発明の先にこそ在る」を理念に掲げ、2017年に設立。ヒトだけではなくあらゆる生態系、環境に敬意を表した開発を目指し研究・開発を行なっています。
シンバイオシス株式会社 ホームページ:
https://sym-biosis.co.jp/
<株式会社ジー・キューブ>
株式会社ジー・キューブ(代表取締役社長 西村賢治)は、半導体産業向け事業のほか、近年では人々の健康幸せな毎日を願い、課題を解決するための新たなチャレンジとして、メディカル・ライフサイエンス業界にも力を入れています。
株式会社ジー・キューブ ホームページ:
https://www.g3-conception.com/company/
<独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)>
中小機構は、事業の自律的発展や継続を目指す中小・小規模事業者・ベンチャー企業のイノベーションや地域経済の活性化を促進し、我が国経済の発展に貢献することを目的とする政策実施機関です。経営環境の変化に対応し持続的成長を目指す中小企業等の経営課題の解決に向け、直接的な伴走型支援、人材の育成、共済制度の運営、資金面での各種支援やビジネスチャンスの提供を行うとともに、関係する中小企業支援機関の支援力の向上に協力します。