世界最高クラスの低位相ジッタ/低位相ノイズを実現した差動出力水晶発振器を開発
2024/10/28
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この度、当社(社長 飯塚 実)は世界最高クラスの低位相ジッタ※1/低位相ノイズ※2を実現した差動出力水晶発振器※3 (DS2016A/DS2520A/DS3225Aシリーズ)を開発しましたのでお知らせいたします。
近年、生成AIの急速な普及に伴い、クラウドサービスの拡大やIoTの進展によるインターネットの多様化によりデータセンター間などでの通信トラフィックが増加しています。大量のデータを高速で処理し、通信品質を向上させるためには正確な信号源が必要不可欠であり、信号源となる水晶デバイスには位相ジッタ/位相ノイズと呼ばれる信号の揺らぎを抑えることや高周波が求められます。
この度開発した差動出力水晶発振器は、世界最高クラスとなる低位相ジッタ(36fs typ. @156.25MHz、LVDS、従来品:70fs typ.)を実現しており、大容量/高速通信の品質向上に貢献します。また、本製品は今後のさらなる高周波ニーズに向け、400MHzまで周波数の拡張を計画しており、AI技術により変革しつつある大容量/高速通信の需要に対応した製品となっています。
本製品は、内部にフォトリソ加工※4を用いた高周波を得意とする「Arkhシリーズの水晶振動子」を搭載しています。従来のセラミックパッケージ製品と同じ外観でありながら、搭載される振動素子はすでに検査済みの水晶振動子であるため、振動素子部分に由来する不良が発生することがなく、振動素子の内部には接着剤を使用していないため、エージング特性など信頼性に優れています。さらに、検査済みの水晶振動子を使用しているため、世界中、どの生産拠点でも組み立て可能でありBCPの観点からも優れた製品です。また、「Arkhシリーズの水晶振動子」は3層の水晶ウエハを貼り合せるWLP(ウエハレベルパッケージ)構造であるため、より大きな水晶ウエハを使用することで単位面積当たりのアウトプットの増加につながります。つまり、製品1個当たりの固定費を大幅に削減することができ、今後急増する水晶発振器の需要に対し、新たに工場を建てるなど増床することなく安定供給が可能であり、コストパフォーマンスにも優れています。
図1:Arkh.2Gシリーズの構造図1
今後、当社は差動出力水晶発振器だけでなく、全ての水晶発振器にArkh.2Gをシリーズ展開するとともに、フルオート生産を目指してまいります。そして、さまざまなマーケットの要望に応える製品ラインアップの拡充に努め、水晶デバイスの新たな価値を創造してまいります。
[用途]
AIサーバ、光トランシーバ、車載Ethernet、光伝送装置、5G基地局など
[特長]
HCSL、LVDS、LV-PECLの3種の差動信号に対応
世界最良クラスな低位相ジッタ: 36fs typ @156.25MHz、LVDS
世界最良クラスな低位相ノイズ: f0=156.25MHz、Vcc= 3.3V、LVDS出力
[サンプル/量産時期]
サンプル対応 2024年10月~ / 量産開始 2025年4月~
[電気的特性]
型名 |
DS2016AK
DS2520AK
DS3225AK |
DS2016AJ
DS2520AJ
DS3225AJ |
DS2016AD
DS2520AD
DS3225AD |
サイズ |
2.0×1.6×0.7mm
2.5×2.0×0.85mm
3.2×2.5×1.1mm |
出力仕様 |
LV-PECL |
LVDS |
HCSL |
出力周波数範囲 |
標準周波数 100, 125, 156.25MHz |
電源電圧 |
+2.5V/+3.3V |
+1.8V/+2.5V/+3.3V |
周波数許容偏差/
動作温度範囲 |
±50×10-6max./-40~+85℃, - 40~+105℃ |
±100×10-6max./-40~+85℃, -40~+105℃, -40~+125℃ |
位相ジッタ
@fo=156.25MHz |
- |
50fs typ. @Vcc=+1.8V |
52fs typ. @Vcc=+1.8V |
48fs typ. @Vcc=+3.3V |
36fs typ. @Vcc=+3.3V |
42fs typ. @Vcc=+3.3V |
その他仕様についてはお問い合わせください。
<用語の説明>
※1)位相ジッタ:
信号のパルス波形の位相が、本来の位置から前後に揺らぐ現象で、位相の変動周波数(時間的なズレ)が10Hz以上の周波数をジッタと呼ぶ
※2)位相ノイズ:
水晶発振器出力より発生する公称周波数近傍の不要なエネルギー放射の総称
※3)差動出力水晶発振器:
コモンモードノイズ(共通して混入する雑音成分)を除去するために、2つの差動信号(電流の向きを反転した信号)を出力する水晶発振器
※4)フォトリソ加工:
フォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて水晶ウエハから水晶片を加工すること。機械加工に比べ微細な加工が可能であり、水晶デバイスの小型化や高周波化には欠かせない
<お問い合せ先>
「報道機関窓口」
経営企画室 広報部 Tel:079-426-3211 Fax:079-426-8618
「お客様窓口」
営業本部 営業企画部 Tel:079-425-3141 Fax:079-425-1134