「米国一強」「G7主導」の崩壊、権威主義・独裁の台頭、影響力を増すグローバルサウスにどう対処するか。国連・JICAで世界を見た国際政治学者が、日本の進むべき道を大胆に提言。
JICA(国際協力機構)前理事長で、現在も特別顧問として国際協力に関与する国際政治学者・北岡伸一氏の新刊『覇権なき時代の世界地図』が新潮社より5月22日に発売されます。
JICA理事長時代を中心に途上国を巡った経験をまとめた『世界地図を読み直す――協力と均衡の地政学』(2019年5月刊)に続き、アジア、アフリカ、南米、欧州の途上国を巡り、各国の歴史や日本との関係、開発協力の実情などを詳細に紹介。併せて米中の拮抗やG7主導体制の後退、権威主義や独裁国家の台頭、ウクライナやパレスチナの戦争、影響力を増すグローバルサウスなど、「自由・民主主義・法の支配」が脅かされる危機の時代に、大きく変化しつつある世界の現状と日本が採るべき道について考えます。
■本書の目次より
はじめに
第一章 東南アジア・太平洋――日本に近接する地政学的に重要な国々:フィリピン、パラオ、台湾、タイ、カンボジア
第二章 南アジア・中東・インド洋――自由と繁栄と平和の道を築けるか:パキスタン、パレスチナ、マダガスカル、モーリシャス
第三章 アフリカ――困難をいかに乗り越えるか:コンゴ民主共和国、ルワンダ、スーダン、南スーダン、南アフリカ、ナイジェリア
第四章 移民の歴史が結ぶ日本との縁:パラグアイ、チリ、アルゼンチン、ボリビア
第五章 ロシア・ウクライナの影の下で:ポーランド、モルドヴァ、ジョージア、アイルランド
第六章 覇権なき時代の新たな国際秩序を求めて:日本の近代化経験を共有する開発大学院連携とJICAチェア、グローバルサウスと日本
あとがき
(以上、本書「目次」より)
■著者の言葉
リーマン・ショックのあと、世界経済の維持はG7だけでは難しいというのでG20が結成されたのは、2008年だった。2019年末に中国から始まったコロナが世界を覆い始めた時、これは世界的大事件になるだろうと直感した。そして、国民を統制する上で効果的な措置を取りやすい権威主義体制に有利に働き、21世紀に入って目覚ましく台頭している中国のさらなる影響力の拡大につながるのではないかと考えた。このような先進産業諸国の軍事的経済的理念的影響力の後退のなかで、途上国に何が起こっているのか、そして日本には何ができるかを観察し、考え続けた。これが本書のテーマである。
(以上、本書「はじめに」より)
■著者紹介
北岡伸一(きたおか・しんいち)
1948年、奈良県生まれ。東京大学名誉教授。国際協力機構(JICA)特別顧問。東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。立教大学教授、東京大学教授、国連大使(国連代表部次席代表)、国際大学学長、JICA理事長等を歴任。2011年、紫綬褒章受章。著書に『清沢洌―日米関係への洞察』(サントリー学芸賞受賞)、『日米関係のリアリズム』(読売論壇賞受賞)、『自民党―政権党の38年』(吉野作造賞受賞)、『国連の政治力学―日本はどこにいるのか』『外交的思考』『世界地図を読み直す―協力と均衡の地政学』『明治維新の意味』など。
■書籍データ
【タイトル】『覇権なき時代の世界地図』
【著者名】北岡伸一
【発売日】2024年5月22日(水)
【造本】新潮選書(四六判変型ソフトカバー)
【定価】1,925円(税込)
【ISBN】978-4-10-603910-2
【URL】
https://www.shinchosha.co.jp/book/603910/