インドネシアにおける二国間クレジット制度(JCM)の第10回合同委員会を開催しました

2024/12/27  環境省  

2024年12月27日
  • 地球環境

インドネシアにおける二国間クレジット制度(JCM)の第10回合同委員会を開催しました

1.2024年12月18日、日・インドネシア間の二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism: JCM)※1の第10回合同委員会をインドネシア共和国にて開催しました。(オンラインとのハイブリッド開催)

2.合同委員会では、パリ協定第6条に沿ってJCMを実施するための改定規則及びガイドライン類等の採択や二酸化炭素回収・貯留(CCS)及び二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)事業に関するガイドライン類を新たに採択しました。また、1事業からのJCMクレジット発行量の決定、8件のプロジェクト登録及び7件の方法論承認が行われました。

※1 JCMは、パリ協定第6条に沿って、パートナー国において優れた脱炭素技術やインフラ等の普及及び緩和活動を実施すると同時に、パートナー国の持続可能な開発に貢献するものです。パートナー国で実施される緩和活動を通じた日本からの温室効果ガス排出削減又は吸収への貢献を定量的に評価し、それらの排出削減又は吸収によって日本及びパートナー国の排出削減目標の達成に貢献します。
https://www.env.go.jp/earth/jcm/index.html

■ 合同委員会の概要

合同委員会は、JCM に係る二国間文書に基づき設置され、日本国及びパートナー国の代表により構成される、JCMの実施に係る意思決定を行う場です。具体的には、JCM に係る規則及びガイドライン類の採択、JCMクレジット量を計算する方法論の承認、プロジェクトの登録及び発行するJCMクレジット量の各国政府への通知を決定します。
今回、パートナー国の1つであるインドネシアとの10回目の合同委員会が行われ、パリ協定第6条に沿ってJCMを実施するための改定規則及びガイドライン類等を採択すると共に、二酸化炭素回収・貯留(CCS)及び二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)事業に関するガイドライン類を新たに採択しました。また、1事業からのJCMクレジット発行量の決定、8件のプロジェクト登録及び7件の方法論承認が行われました。

■【開催報告】第10回 日・インドネシア間の合同委員会

(1)概要
日時:2024年12月18日
会場:インドネシア共和国経済担当調整府(オンラインとのハイブリッド開催)

(2)参加者
(日本側)○:オンライン参加者
・在インドネシア日本国大使館 経済公使 上田 肇(共同議長)
・在インドネシア日本国大使館 一等書記官 重松 賢行
・在インドネシア日本国大使館 二等書記官 若林 甫
・外務省 国際協力局 気候変動課 気候変動交渉官 足立 宗喜 ○
・経済産業省 GXグループ 地球環境対策室 地球環境問題交渉官 木村 範尋
・環境省 地球環境局 国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付JCM推進室長 飯野 暁
・環境省 地球環境局 国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付JCM推進室 国際炭素市場調整官 宇賀 まい子
・林野庁 森林整備部 計画課 海外林業協力室 課長補佐 岩間 哲士 ○
・農林水産省 輸出・国際局 国際戦略グループ 国際交渉官 長井 真人 ○
他、政府関係者・オブザーバー17名、事務局5名

(インドネシア側) ※ 部局名及び役職名は仮訳
・経済担当調整府 多国間経済協力担当次官補 Mr. Ferry Ardiyanto(共同議長)
・経済担当調整府 エネルギー移行加速担当次官補 Mrs. Farah Heliantina
・経済担当調整府 JCM事務局長 Mr. Cahyadi Yudodahono
・環境省 分野別・地域別資源動員担当課長 Mr. Ignatius Wahyu Marjaka
・エネルギー・鉱物資源省 新エネルギー・再生可能エネルギー担当課長 Mrs. Andriah Feby Misna
他、オブザーバー8名、事務局5名

(3)主な議題と結果概要
① 規則及びガイドライン:
パリ協定第6条に沿ったJCM実施のための規則・ガイドラインの改定案(各種申請のための様式含む)及びCCS・CCUS事業に係るガイドライン(各種申請のための様式含む)が採択されました。JCMでの案件を御検討中の事業者におかれましては、これらの新ルール・様式を御参照ください。なお、事業概要書(PIN)の作成に当たっては、「民間資金を中心とするJCMプロジェクトの組成ガイダンス」中の記入例を参考にしていただくと共に、JCM事務局(info@jcm.go.jp)にお気軽に御相談ください。
https://www.env.go.jp/content/000123179.pdf

実施規則における主な改定内容は以下の通りです。

  1. 事業概要書(Project Idea Note: PIN)の導入
  2. クレジット期間(crediting period)の導入
  3. 持続可能な開発実施計画・報告に関する追記
  4. プロジェクト登録時にクレジット配分を決定
  5. 事業実施報告書の導入
  6. CCS・CCUS事業のモニタリングに係る追記

② クレジット発行:
環境省JCM設備補助事業で支援する以下の事業について、合同委員会として、クレジット発行量を決定しました。今回の議論では、JCM事業による排出削減量(成り行き(Business as Usual)排出量とプロジェクト実施後の排出量の差)と保守的に計算されたクレジット量(参照排出量とプロジェクト実施後の排出量の差)を明確に分け、排出削減量に対する日本の貢献を踏まえて発行量が決定されました。今後のクレジット発行においても適用される基本的な考え方であり、将来のクレジット発行を円滑に進める上でも重要な決定となりました。

● プロジェクト参加者:
(日本側)JFEエンジニアリング株式会社
(インドネシア側)セメンインドネシア社
プロジェクト名 対象となったモニタリング期間 発行が決定された
クレジット量
(tCO2eq)
うち日本政府の
獲得分
(tCO2eq)
PTセメンインドネシア(Persero)Tbkトゥバン工場における廃熱回収による発電
(Power generation by waste heat recovery in the PT Semen Indonesia (Persero) Tbk factory in Tuban)
2018年7月1日~
2020年12月31日
46,938 23,469
※ 上記プロジェクトの概要は参考資料を御参照ください。

③ プロジェクト登録
環境省JCM設備補助事業で支援する以下8件の事業について、合同委員会として、プロジェクト登録を承認しました。今回の登録承認により、今後、これらの事業からのクレジット発行が見込まれます。環境省としては、クレジット発行を目指し、排出削減量の第三者機関による検証を進めていきます。
  1. 工業団地へのスマートLED街路灯システムの導入(Energy Saving for Industrial Park with Smart LED Street Lighting System (ID025))
  2. 物販店舗へのLED照明の導入(Introduction of LED Lighting to UNIQLO Sales Stores (ID026))
  3. 北スマトラ州10MW小水力発電プロジェクト(10MW Mini Hydro Power Plant Project in North Sumatra (ID027))
  4. 輸液製造工場への高効率滅菌釜導入による省エネプロジェクト(Energy Saving by Introducing High Efficiency Autoclave to Infusion Manufacturing Factory (ID029))
  5. スマラン市公共交通バスへのCNGとディーゼル混焼設備導入プロジェクト(Introduction of CNG-Diesel Hybrid Equipment to Public Bus in Semarang (ID032))
  6. 製薬工場・自動車ディーラー・材木加工工場への4.2MW屋根置き太陽光発電プロジェクト(4.2MW Rooftop Solar Power Project to Pharmaceutical Factories, Vehicles Dealers, and Timber Factories (ID033))
  7. 輸液製造工場への高効率滅菌釜導入による省エネプロジェクト2(Energy Saving by Introducing High Efficiency Autoclave to Infusion Manufacturing Factory 2 (ID034))
  8. カライ7小水力発電所における発電システム能力改善プロジェクト(Rehabilitation Project of Power Generation System at Karai 7 Mini Hydro Power Plant (ID035))
④ 方法論の承認
環境省JCM設備補助事業で支援する事業への適用を想定した以下7件の方法論案が、合同委員会により承認されました。また、類似の事業を検討する場合も、これらの方法論を活用し、検討中の事業のクレジット量の算定が可能となります。
  1. 高効率ターボ冷凍機導入による省エネ(Energy Saving by Introduction of High Efficiency Centrifugal Chiller (ID_PM039))
  2. 食料品店の冷房用インバータ式空調システムの設置(Installation of Inverter-Type Air Conditioning System for Cooling for Grocery Store (ID_PM040))
  3. 食料品店のLED照明の設置(Installation of LED Lighting for Grocery Store (ID_PM041))
  4. 食料品店の自然冷媒を使用したセパレート型冷凍冷蔵ショーケースの設置による店内空調負荷の低減(Installation of a separate type fridge-freezer showcase by using natural refrigerant for grocery store to reduce air conditioning load inside the store (ID_PM042))
  5. 新築ビルへのダブルバンドルモジュール式電気ヒートポンプの導入(Introducing double-bundle modular electric heat pumps to a new building (ID_PM043))
  6. クローズドドレン回収システムの設置とボイラー給水への利用(Installation of closed drain recovery system and utilization for boiler feed water (ID_PM044))
  7. 電気、暖房エネルギー、冷房エネルギーを供給する吸収式冷凍機付きガスエンジンコージェネレーションシステムの設置(Installation of gas engine cogeneration system with absorption chiller to supply electricity, heating energy and cooling energy (ID_PM045))
採択された日・インドネシアJCMに係る規則及びガイドライン類並びにミーティングレポートについては、JCMウェブサイト(https://www.jcm.go.jp/)に掲載されます。

以上

添付資料

連絡先

環境省地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付JCM推進室

代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8246
室長
飯野 暁
企画官
百瀬 嘉則
国際炭素市場調整官
宇賀 まい子

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