旭化成とDe Nora、水素製造用コンテナ型アルカリ水電解システムの開発および販売に関する覚書を締結 [旭化成株式会社]

2024/09/11  旭化成 

  • プレスリリース

旭化成とDe Nora、水素製造用コンテナ型アルカリ水電解システムの開発および販売に関する覚書を締結

アルカリ水電解の導入加速に向けたシステム開発・評価・販売・サポート面での協業

2024年9月11日
旭化成株式会社

旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:工藤 幸四郎、以下「旭化成」)とIndustrie De Nora S.p.A.(本社:イタリア・ミラノ、社長:Paolo Dellachà、以下「De Nora」)は、両社が保有するアルカリ水電解システムの技術・ノウハウ・実績を基に、コンテナ型のアルカリ水電解システム(以下「本システム」)について、共同で開発・評価・販売・検討を進める覚書(MOU)を締結したことをお知らせします。
De Noraは電気化学分野における高性能電極用触媒の技術力と知見を持ち、食塩電解分野でも電極や電解槽の開発、製造および販売におけるリーディングカンパニーです。今回のMOUは、両社の食塩電解分野における長年の経験とノウハウを活用し、水電解分野における開発、生産、および販売・サポート面で密接な協力体制を構築することを目的として締結しました。

  • 旭化成の本社にて行ったMOU調印式
    左からDeNora/Paolo Dellacha、旭化成/竹田健二

近年、化石燃料に替わるクリーンエネルギーとして、水電解によって製造されるグリーン水素に対する期待と需要は世界中で拡大しており、2030年の世界の水電解槽導入容量は累積で約300GW※1へ急速に拡大することが見込まれています。
そのような状況下で、水電解分野に新規参入する企業の増加が見込まれる中、今回両社が開発を進めるシステムは、当社が開発を進めてきた大規模アルカリ水電解システム「Aqualyzer™」と比較して小型であり、主に導入コストや設置スペース、納期などの面で負担が少なく、新規参入企業を中心に需要が拡大することが見込まれます。同時に、水電解装置の導入にあたっては、長期運用を見据えた顧客サポートの体制構築や、実績と信頼の確立が必要とされています。
旭化成はイオン交換膜法食塩電解プロセス※2事業において世界各国への販売チャネルや、長期運用を前提としたデータドリブンのサポート体制を有しています。これにより、電解技術に対して十分な経験を持っていない顧客に対して強固な支援を実施することが可能です。

本システムは1~7.5MWと設備容量を任意に調整できる加圧小型電解槽※3を用いており、水素製造に必要な機器類をすべてコンテナに収納した仕様で、水電解システムの新規導入を目指す企業のエントリーモデルや、小規模製造装置、水素ステーションに併設するような分散型の設備に適しています。一方で、旭化成が持つ大規模アルカリ水電解システム「Aqualyzer™」は、常圧大型電解槽※4を用いた大量かつ安価な水素製造を得意としており、双方の特長とニーズは大きく異なっています。このように、異なる需要に合致したラインアップを揃えることで、幅広い水電解需要にも対応していくことを目指していきます。

  • 旭化成の水素関連事業における本取り組みの位置づけ

各社のコメント

旭化成 執行役員(グリーンソリューションプロジェクト事業開発担当) 竹田健二
「新規水電解システムの展開に向けた両社の取り組みは、顧客にとって水電解の導入ハードルを下げ、水素市場の発展に広く貢献するものです。電気分解の分野で世界を長年リードし続けているDe Noraの技術力および経験と、食塩電解事業で培った旭化成の顧客体験を重視したビジネスの知見が、本システムの展開に重要な役割を果たすと考えています。」
De Nora Chief Executive Officer Michele Azalbert Paolo Dellaca
「De Noraは、グリーン水素製造用の小型電解槽の開発において、旭化成との協業開始を発表できることを誇りに思います。2社のリーディングカンパニーがそれぞれの強みと専門知識を組み合わせることで、小型の水素製造システムに対する世界中の需要の高まりに対応することができ、本協業は持続可能なエネルギーソリューションに向けた重要な一歩となります。当社は、モビリティや製鉄、その他水素供給が困難な分野を含むさまざまな用途に水素製造用の簡単に設置できるコンテナ型電解槽システムを提供しています。このシステムは、「水素バレー※5」として特定された地域における分散型水素製造を効果的にサポートし、化石燃料への依存を徐々に解消していきます。旭化成との戦略的パートナーシップにより、当社はこの技術をさらに発展させ、アジアをはじめ世界中で本システムの可能性を十分に引き出すことを期待しています。この提携により、現在建設中の最新の電解槽製造拠点であるイタリアのギガファクトリーでの生産が加速することを期待しています。」
  • ※1 出典:Hydrogen Council
  • ※2 イオン交換膜法食塩電解プロセス:食塩水を電気分解することで、塩素、苛性ソーダ、水素を生産する工業プロセス。
  • ※3 加圧小型電解槽:圧縮水素の製造に必要な機器をすべてコンテナ内に収納した装置。大型電解槽と比較して初期投資が少なく、設置工事が容易。
  • ※4 常圧大型電解槽:常圧(大気圧)で大量の水素を安定して生成する大型装置。工業的に大規模かつ安価な水素生産に適している。
  • ※5 水素バレー:特定の地域や産業クラスター内で水素の生産、供給、利用が集中的に行われるエコシステムのこと。

以上

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