ビラフトビ(R)カプセルおよびメクトビ(R)錠、新たな二つの効能又は効果の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得

2024/05/17  小野薬品工業 株式会社 

2024.05.17

研究開発

ビラフトビ(R)カプセルおよびメクトビ(R)錠、新たな二つの効能又は効果の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得

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- がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺癌 -
- BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺未分化癌 -

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:滝野 十一、以下「当社」)は、本日、BRAF阻害剤であるビラフトビ(R)(一般名:エンコラフェニブ)カプセル(以下、ビラフトビ)およびMEK阻害剤であるメクトビ(R)(一般名:ビニメチニブ)錠(以下、メクトビ)について、ビラフトビとメクトビの2剤併用療法による「がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺癌」および「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺未分化癌」に対する効能又は効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得しましたので、お知らせします。

 今回の承認は、BRAF V600 遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺がんの患者22例(甲状腺未分化がん5例を含む)を対象に、日本国内で実施した第Ⅱ相試験(ONO-7702/7703-03)の結果に基づいています。本試験において、主要評価項目である全体集団における独立中央判定によるビラフトビとメクトビの併用療法の奏効率は54.5%(12/22例、95%信頼区間:32.2 – 75.6%)であり、本試験の主要評価項目を達成しました。本試験におけるビラフトビとメクトビの併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されているビラフトビとメクトビの臨床試験で認められているものと一貫していました。

第Ⅱ相試験(ONO-7702/7703-03)について

 本試験は、BRAF V600 遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺がんを対象に、日本国内で実施したビラフトビとメクトビの併用療法の有効性および安全性を評価した多施設共同非盲検非対照第Ⅱ相試験(ONO-7702/7703-03)です。患者は、ビラフトビを1日1回(1回450 mg)、およびメクトビを1日2回(1回45 mg)、疾患の進行または安全性などの理由により投与できないと判断されるまで投与を受けました。本試験の主要評価項目は、奏効率(独立中央判定による評価)です。副次評価項目は、奏効率(実施医療機関による評価)、病勢制御率、全生存期間、無増悪生存期間等です。

甲状腺がんについて

 甲状腺がんは、気管の付近、頸部の前面に位置する甲状腺組織中に発生する悪性腫瘍であり、組織学的には、分化がん(甲状腺がんの約97%)、未分化がん(同1~2%)、髄様がん(同1~2%)に大別されます。日本国内の甲状腺がんの罹患者数は、2023年で約18,700人、国内の死亡者数は約1,900人と推定されています*。BRAF遺伝子変異陽性は、甲状腺がん患者の37~68%と報告されています。

がんの統計編集委員会編.がんの統計〈2024年版〉.公益財団法人がん研究振興財団.令和6年3月

ビラフトビ(R)カプセル50 mg、同75 mgの概要

製品名 ビラフトビ(R)カプセル 50mg、同75mg
一般名(JAN) エンコラフェニブ
効能又は効果
  • BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫
  • がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
  • がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺癌
  • BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺未分化癌
用法及び用量

〈BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫、がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺癌、BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺未分化癌〉

ビニメチニブとの併用において、通常、成人にはエンコラフェニブとして450mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

〈がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉

セツキシマブ(遺伝子組換え)との併用、又はビニメチニブ及びセツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはエンコラフェニブとして300mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

製造販売 小野薬品工業株式会社

※今回の承認による改訂箇所は下線で表示

メクトビ(R)錠15 mgの概要

製品名 メクトビ(R)錠 15mg
一般名(JAN) ビニメチニブ
効能又は効果
  • BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫
  • がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
  • がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺癌
  • BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺未分化癌
用法及び用量

〈BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫、がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺癌、BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺未分化癌〉

エンコラフェニブとの併用において、通常、成人にはビニメチニブとして1回45mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

〈がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉

エンコラフェニブ及びセツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはビニメチニブとして1回45mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

製造販売 小野薬品工業株式会社

※今回の承認による改訂箇所は下線で表示

ビラフトビ(R)およびメクトビ(R)について

 ビラフトビは低分子BRAF阻害剤であり、メクトビは低分子MEK阻害剤です。BRAFおよびMEKは、MAPKシグナル伝達経路(RAS-RAF-MEK-ERK)における重要なプロテインキナーゼであり、この経路が、増殖、分化、生存および血管新生を含むいくつかの重要な細胞活性を調節することが示されています。この経路におけるタンパク質の不適切な活性化は、悪性黒色腫、結腸・直腸がん、および甲状腺がんを含む多くのがんにおいて生じることが報告されています。ビラフトビおよびメクトビは、どちらもこの経路の重要な酵素を標的としています。
 日本では、当社が2019年1月に両製剤の併用療法による「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」に対する効能又は効果で両剤の国内製造販売承認を取得し、同年2月より販売を開始しました。その後、2020年11月に両製剤と抗ヒトEGFRモノクローナル抗体であるセツキシマブの3剤併用療法、およびビラフトビとセツキシマブの2剤併用療法による「がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」に対する効能又は効果で追加承認を取得しました。
 海外においては、Array BioPharma Inc.(現、Pfizer社の子会社)およびそのパートナーであるPierre Fabre社が、各々米国およびEUで2018年に「BRAF V600EまたはV600K 変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」の適応症で承認を取得し、販売を開始しました。その後、2020年に「治療歴を有するBRAF V600E 変異を有する進行・再発の結腸・直腸癌」の適応症の追加承認を取得しました。また、Pfizer社が、米国で2023年に「BRAF V600E 変異を有する進行・再発の非小細胞肺癌」の適応症の追加承認を取得しました。

小野薬品工業株式会社とPfizer社の提携について

 当社は、2017年5月にArray BioPharma Inc.(2019年7月30日よりPfizer社の子会社)とBRAF阻害剤のビラフトビ(エンコラフェニブ)およびMEK阻害剤のメクトビ(ビニメチニブ)に関するライセンス契約を締結し、日本および韓国で両製剤を開発および商業化する権利を取得しました。

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