令和4年1月6日定例知事記者会見
「第40回京都府文化賞」受賞者の決定について
1点目は、今年度の「京都府文化賞」受賞者の決定についてです。
この賞は、文化芸術分野で顕著な業績を収められ、京都の文化の向上に寄与された方で、京都府にゆかりのある方を顕彰するもので、昭和57年度に創設したものです。
今年度は、第40回目の記念すべき年ということで、「第40回記念特別賞」という特別賞を設け、それを含め特別功労賞を5名、功労賞を9名、奨励賞を5名、計19名の方々への授賞を決定しました。
まずは、特別功労賞です。この賞は、文化芸術活動において顕著な業績をあげられ、文化の高揚に多大の功労があった方を表彰するものです。
1人目は、人工知能ロボット工学者の金出武雄様です。
コンピュータによる画像認識研究に取り組まれ、顔認識プログラムの実用化に大きく貢献されました。また、車の自動運転でアメリカ大陸を横断するという画期的な成果を挙げられるなど、自動走行の第一人者としても活躍されています。コンピュータビジョンと、知能ロボット工学において、幅広い分野で先駆的に御貢献いただきました。
2人目は、文化財防災学(地震工学者)の土岐憲三様です。
耐震・耐火を専門分野とされており、京都の文化遺産を災害から守り、後世につないでいくための「文化遺産防災学」を創出されました。また、明日の京都文化遺産プラットフォームを設立されるなど、現在も、多数の講演をはじめ、文化遺産を守り、育み、創造する様々な取組を続けておられます。
3人目は、陶芸家の林康夫様です。
前衛陶芸の研究会「四耕会」の結成に参加され、日本の前衛陶芸の先駆者として、用にとらわれない陶オブジェや、錯視を誘う立体的な作品を作陶されるなど、常に新しい表現を追求され、海外でも高く評価されています。
4人目は、東洋史学者の間野英二様です。
中央アジア史が御専門で、インドにムガル朝を設立したバーブルの回想録『バーブル・ナーマ』の諸言語で書かれた写本を基に、30年余りをかけて校訂本を作成されました。この校訂本は、原本に近い貴重な文献として、世界的に高く評価されています。
5人目は、古典の日推進委員会会長の村田純一様です。
「古典」そのものの素晴らしさを後世に伝え、古典をもっと身近なものとして人々に楽しんで欲しいと、「古典の日推進委員会」を立ち上げられました。「古典の日」の法制化にも尽力され、日本の歴史や文化が色濃く残る京都から国内外へと日本の古典文化の普及活動を続けておられます。
以上、5名の方を特別功労賞として表彰させていただきます。
次に、功労賞です。この賞は、長年の文化芸術活動を通じ、文化の向上に功労があった方を表彰するものです。
小説家のいしいしんじ様、現代美術家の石原友明様、美術家の伊庭靖子様、箏曲家の大谷祥子様、音楽学者の岡田暁生様、歌手・俳優の沢田研二様、繊維造形作家のひろいのぶこ様、和太鼓奏者・指導者の富治林浩様、合唱指揮者の本山秀毅様、以上、9名の方を功労賞として表彰させていただきます。
次に、奨励賞でございます。この賞は、新進の芸術家等で、文化芸術活動における業績が特に顕著である方を表彰するものです。
写真家の金サジ様、ピアニストの田村響様、歌舞伎俳優の中村壱太郎様、音楽家の原摩利彦様、現代美術家の人長果月様、以上、5名の方を奨励賞として表彰させていただきます。
京都の魅力であり、活力の源泉である文化芸術は、人々に安らぎや明日への生きる活力を与えるものであり、これまでも幾多の苦難を乗り越える力となっております。
現在、新型コロナウイルス感染症の拡大が我々の生活に大きな影響を与えていますが、府民の皆様に困難に立ち向かう糧となる文化の力を感じて頂きたく、今回は、国際的に学術をリードする方や、国内外で評価も高く京都の知名度を高めて頂いた方、府民をはじめ世界中の多くの方に元気と勇気を与えて頂いている方などを選ばせて頂きました。
なお、授賞式は2月1日午前10時から、京都ブライトンホテルで執り行いますので、当日の取材についてよろしくお願いします。
「第40回京都府文化賞」受賞者の決定について(PDF:393KB)
新型コロナウイルス感染症対策について
2点目は、新型コロナウイルス感染症対策についてです。
昨日、国からの通知により、自宅等の療養体制が整った自治体においては、感染の急拡大が確認された場合に、オミクロン患者について、原則入院からデルタ株等と同様に症状に応じて、宿泊療養・自宅療養が可能となり、また濃厚接触者についても、宿泊療養施設への入所から、自宅等での滞在が可能となりました。京都府といたしましても、今回の国の方針変更に係る通知で示された自治体の要件を満たすことから、入院基準等の見直しを行うことといたします。
詳細は、資料のとおりですが、株の種類を問わず、(コロナ患者)それぞれの症状に合わせて、入院、または宿泊療養施設への振り分けをさせていただきます。
新型コロナウイルス感染症対策について(PDF:191KB)
私からは以上です。よろしくお願いします。
質疑応答
記者
コロナ陽性者の入院方針の見直しについて、いつから開始するのか。今日からという理解で良いのか。
知事
厚生労働省へ報告し、了解は既に得ています。この場で皆さまに発表しましたので、直ちに(本日から)実施させていただきます。
記者
4日の対策本部会議後の会見のなかで「国の通知を受けての見直し」という発言があったが、(今回の入院方針の見直しは)「国の通知を受けて」の変更なのか、それとも、2、3週間後に病床使用率が更に高くなるおそれなどを考慮しての変更なのか。
知事
総合的に申し上げますと、国もある程度水際対策を維持しながら国内対策に重心を移すと言っていますので、感染の拡大に備え、入院等が必要な方に的確に治療を受けていただく観点から今までの取扱いを変更したということがベースにあります。今回、国の通知の中で、取扱変更についての要件が示されています。
例えば、宿泊療養や自宅療養の体制が整っているということで、経口薬を診断の当日ないし翌日には投与が可能であることや、陽性判明の当日ないし翌日に連絡を取って健康観察やオンライン診療ができる体制になっていること、パルスオキシメーターを自宅療養開始の当日ないし翌日には配付できる体制ができているかということが一つ。もう一つ感染急拡大(の観点)では、オミクロン株患者の全員入院を続けた場合に3週間後には病床利用率が50%を超えることが想定されていることや、オミクロン株患者の濃厚接触者を全員宿泊療養施設で待機とした場合に3週間後には宿泊療養施設の使用率が50%を超えることが想定されるといったことです。
国から推計ツールも示されており、それに当てはめると(京都府は)いずれも要件を満たしているということもあり、この要件から見るとやはり将来の病床のひっ迫が想定されるということなので、それに備えて、現段階において、的確な療養につなげる体制に変更するということです。両方の意味があると思っています。
記者
既に軽症や無症状で入院されている方への対応はどうなるのか。
知事
(既に入院されている方は)継続して居ていただくことになりますが、一定の(期間が)経過すれば隔離解除になりますので帰っていただけます。今おられる方を外に出すことは求められていません。
記者
あくまで今日以降の陽性者の方(が対象)ということか。
知事
そうです。
記者
昨日の時点で病床使用率が20%程度だったが、今回の対応変更でどの程度まで落ちつくのか。見通しはどうか。
知事
現行ではオミクロン株陽性者は全員入院としていますが、実際は、オミクロン株かどうかは後からわかってくるということがあり、今日現在で約4割がオミクロン株だと推計しています。あくまで推計ですが、新しい方針で今の数を当てはめると一桁の割合の病床使用率になります。
将来推計については、先ほど言いました国の将来推計ツールでは若干低めに出ており、それでも3週間後には(入院基準等の見直しの)要件に達するということですが、今の感染ペースからするともう少し早いと思います。
記者
陽性者への対応に係る国の通知は昨日(5日)に出ているのか。
知事
昨日(5日)です。厚生労働大臣がぶら下がり会見をされた後ですので、夜です。時間はわかりませんが、勤務時間終了後の夜に通知が来ました。
記者
今日も全国的に新型コロナの感染者数が増加しているが、今日の府内の感染者数は。
知事
今日の新規陽性者数は121人でして、7日間の移動平均は45.14人、前週比が2.80倍です。この数字を見ても明らかに感染の拡大傾向が見られるということは間違いないと思っています。
記者
京都市も含めての数字か。
知事
そうです。京都府内全部の数字で121人です。
記者
新規陽性者数が府市合わせて121名ということで、数カ月ぶりに3ケタに乗るが、知事の受け止めはどうか。
知事
100を超えたからどうかは別にしても、改めてオミクロン株の感染力の強さを実感していることと、年末年始の休みでかかりつけ医や検査所(の休み)もありますし、かかられる方も年末年始は受診を躊躇された場合もあるので、そうしたところで溜まっていたという両方の要素があって、新規感染者が増えていると思っています。
全国の状況でもありますし、海外での連日最多を更新している状況を見れば、極めて強い警戒感をもって臨んでいかなければいけないことと、感染拡大のスピードが非常に早いので、スピード感をもって臨機応変に対応していく必要があります。引き続き最大の緊張感を持ってコロナ対応に全力を尽くしてまいります。
記者
本日の新規陽性者数121人という数字は、今日この後に増えることはないということよいか。
知事
ないです。121人で報道発表する予定です。
記者
(6日の)新規感染者数が100人を超えるということで、改めて府民に対して、どのように感染対策を講じてほしいと考えているのか。
知事
オミクロン株については、まだ不明な点が多い訳ですが、感染力が強いということが十分に予測されます。ただ、他の株と同じで基本的な感染防止対策は有効だと言われていますので、感染リスクの高い飲食時における「きょうとマナー」の徹底や、マスクの正しい着用、手洗いの励行、人と人との距離をきちんととる、体調の悪い時は出かけない、そうした基本的な感染防止対策について、感染拡大局面に入っておりますので、府民の皆様にはご負担をおかけしますけれども、改めてご協力をお願いします。
記者
他府県では感染状況を踏まえて「まん延防止等重点措置」を要請されるところが出ているが、今の京都府の感染状況や病床使用率等の認識を踏まえて、そういうものが必要かどうか、知事はどう考えているか。
知事
今日の時点では、ただちに「まん延防止等重点措置」を要請する状況にはないと思っています。沖縄や広島、山口でそういう動きがあることは承知しておりますし、この感染状況ですので、次にはそういう形を想定しないといけないとは思っていますので、よく感染状況を見て躊躇なく判断したいと考えていますが、今日の段階では、「まん延防止等重点措置」を要請することは考えていません。
記者
レベル分類について、今、京都府は「レベル1」になっているが、これを「レベル2」に引き上げる可能性についてはどうか。
知事
4日の会見でも申し上げましたが、第5波での教訓を得て、感染者数よりも病床のひっ迫度でレベルを考えていくことになったのですが、一方で沖縄などオミクロン株の感染状況での対応を見ますと、感染者数(の増加)によって保健所など様々なところで業務ひっ迫が起きますので、感染者数についても一定のウエイトが置かれています。(レベル判断の)目安は設定しましたが、総合的に判断する必要がありますので、「まん延防止等重点措置」の要請等も含めて、全体として感染抑止に必要だという観点でのレベルの議論になれば、当然レベルの引き上げについても対応しないといけないと考えています。ただ、どういう数値基準がいいのかについてはなかなか(難しく)、現状、各県でバラバラです。政府が要請を受けてくれるかということについても見極めが必要なので、どういう形でのレベル表示がいいのか、措置も含めて検討していく必要がある場面が出てくると想定していますので、レベルの議論についても並行して検討していきたいと考えています。
記者
4日の会見で知事は「第6波の入り口の可能性がある」と言われていたが、本日の新規陽性者が100人を超えたということで、第6波への認識についてはどうか。
知事
「可能性」を取る、つまり「第6波の入り口」だと思っています。波というためには一定「山」の部分が必要ですが、第6波の入り口に入っているということは間違いないと思っています。
記者
京都版GoTo「きょうと魅力再発見旅プロジェクト」を広げている中での感染拡大だが、社会経済活動との両立との関連で、京都版GoToについてはどのように考えているか。
知事
今のところ、レベルの兼ね合いで国の補助要項も決まっていますので、直ちに停止する考えはありませんが、更に感染の拡大が進めば、感染状況に合わせた対応を取る必要が出てくると思います。今日の段階で停止は考えていませんが、そうしたことも視野に入れながら常に感染状況を注視していきたいと考えています。
記者
前回までの感染拡大時と異なり、ワクチン・検査パッケージ等社会経済活動との両立の取組を進めている中で、オミクロン株に対しては逆に「危機感を持って取り組む」という話だが、状況の変化を踏まえてこれまでと判断に違いは出てくるのか。
知事
一つはワクチン接種が2回終わっている方がかなりたくさんおられることや、第三者認証制度で1万店超の飲食店を認証していることがあります。しかも、ワクチン・検査パッケージで無料の検査の仕組みも導入されています。そうした意味では感染拡大を防止しながら少しでも経済活動を取り戻していく仕組みが少し整っていますので、そこはこれまでのところとは全く違う状況だと思っています。ただ、それでも本当にすごい感染者数になってきた等の状況はよく見ていかなければいけませんが、大分状況は違うと思います。
記者
昨日、経ヶ岬通信所で2人の感染が確認された。渡航歴や行動歴、府民との接触があったかどうかについて、どのような報告を受けられているのか。沖縄や岩国とは規模が違うとは思うが、今後、保健所はどのように対応するのか。
知事
昨日、経ヶ岬通信所の米軍関係者の中から陽性判明が出ました。これは簡易検査キットで陽性が出たことから府内の医療機関で検査を行った結果、陽性が判明したものです。この方は京丹後市内の自宅に居住しておられました。他のコロナ陽性者と同じように濃厚接触者や行動履歴を調査する必要がありますが、現在まだ詳細については調査中ということで、その結果についてはまだ報告を受けていません。
昨日報道発表しましたが、直ちに経ヶ岬通信所の司令官と近畿中部防衛局長に対して基地内における感染拡大の防止のお願いと、京都府が行う行動履歴や濃厚接触者の調査について協力いただくようにお願いをしております。米軍の協力も得ながら的確に調査を進めてまいります。そこで更に陽性者が判明した場合には的確な療養に繋げて、感染拡大を防止するために万全を期してまいります。
記者
米軍関係者の陽性者の関係で、沖縄や山口では感染が広がっているという見方があるが、京都府でも米軍関係者の感染が確認された中で、そこから感染が拡大する可能性について、知事の考えはどうか。
知事
経ヶ岬も米軍関係者ではありますが、沖縄とは次元が違って、沖縄の場合は米軍関係者が基地内に、しかもかなりたくさんおられますし、市中にも出られています。
今回、米軍関係者に(陽性者が)出ましたが、当然、基地内の感染拡大防止は努めてなければいけないのですが、我々としてはコロナ陽性者の一人として、従来のコロナ対策に合わせてきちっと積極的疫学調査をして囲い込んでいく努力をしていくことによって、感染拡大防止に繋げられると思っております。米軍関係者だということによる特殊な事情はないと見ています。誰でも同じですが、感染拡大の防止については多くの方の協力を得て努力していきたいと考えています。
記者
知事は1期目の公約にスポーツ振興を掲げていた。近々、ラグビーで新しいリーグワンという新しいリーグが始まる。同リーグでは自治体名をチーム名に入れ、Jリーグのようにディビジョン1、2、3と階層があり、チームが二十数チームあるが、その中に「京都」がチーム名に入ったチームがまだない。大阪や兵庫にはあるが、京都のチームが存在していないことについて何かあれば。
知事
調べていないので的確には答えられないのですが、元々京都とラグビーは、この間活躍した京都成章高校だけでなく昔の伏見工業高校や、大学でも京都産業大学や平尾さんがいた同志社大学などラグビーの歴史があります。もっと前で言えば社会人では京都市役所やリコーなど、京都にはラグビーの伝統があると思います。私の立場として「ないのは寂しいですね」と言いにくいのですが、JリーグやBリーグも同じですが、地域に根ざしたプロスポーツのあり方が全体として今後の流れだということであれば、ラグビーもそうしたものとしての可能性はあった方がいいと思います。ただ、ラグビーの現状を的確に把握していないので、どういう課題と乗り越えなければいけないハードルがあるのかわからないので軽々には言えません。ラグビーの伝統ということであれば京都という地名があるに越したことはないというのが率直な感想です。
記者
亀岡スタジアムは球技専用で主にサンガが使っているが、施設利用を見ているとラグビーやアメリカンフットボールも対象になっている。今後、協会や民間企業等との連携が必要だと思うが、チームを創設するかどうか希望や考えはあるのか。
知事
そこまでは考えていません。ただ、サンガスタジアムができた時にいち早くラグビー協会からも活用したいという話があったので、当然、スタジアムの活用推進の観点からは、ラグビーチームの存在はそれにつながるいい話だとは思っています。せっかくの芝生なのでそういう活用はあると思います。ただ、それだけがチーム設立につながるかというと様々な課題があると思います。一つの要素としてスタジアムが存在することはプラスの要素にはなるかなと思っています。
記者
京都府文化賞について、沢田研二さんは表彰式に来られるのか。
知事
詳細日程は確認中です。京都市の文化功労者の表彰も来られなかったこともあります。皆さんの日程を合わせて(表彰式の)日を決めている訳ではないので、日程が合えば来ていただけるとは思いますが、今のところは日程確認中ということでお返事をいただいておりません。
記者
京都の生んだ大スターだが、何か思い入れがあれば。
知事
私も小学校の時に教室の掃除をしながらホウキでギターの真似をしている頃にちょうどデビューされたという思い出はあります。
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