赤外線カメラ搭載のスマートマスクなどを活用した消防向け現場活動支援ソリューションを開発 - 火災現場などにおける迅速かつ安全な消防活動の実現に向けて

2022/02/07  日本電気 株式会社 

NEC、赤外線カメラ搭載のスマートマスクなどを活用した消防向け現場活動支援ソリューションを開発

~火災現場などにおける迅速かつ安全な消防活動の実現に向けて~

2022年2月7日
日本電気株式会社

NECは、暗闇や濃煙下などの視界不良時やGPSの届かない屋内における、迅速かつ安全な消防活動を実現する「現場活動支援ソリューション」を開発しました。
本ソリューションは、赤外線カメラを搭載し暗闇でも要救助者の検索活動を支援するスマートマスクや、GPSが届かない屋内で消防隊員の位置情報をリアルタイムに確認できる屋内位置測位システム、指揮支援機能を搭載したタブレット端末や電子指揮盤によって現場の消防隊員間や指令センターなどとの情報共有・指揮伝達を支援する指揮支援システムから構成されます。
NECは今年度から電子指揮盤と連携した指揮支援システムの提供を開始しており、2023年度までにはスマートマスクと屋内位置測位システムを実用化し、全国の消防への展開を目指していきます。さらに各システム間のデータ連携強化を進め、消防活動のより一層の迅速化・効率化に貢献していきます。

現場活動支援ソリューションのシステム間連携イメージ

消防の現場活動は要救助者の救出や消火活動など、一刻を争う対応が必要です。こうした中、迅速かつ効率的な現場活動を実現するために、現場活動機材の高度化、情報連携の強化が求められています。また同時に、危険と隣り合わせで活動する消防隊員の安全を確保する必要があります。
NECは、これまで消防指令システムの開発・構築を通じ、指令管制の高度化や効率化に貢献してきました。今回、先進技術を活用した現場活動支援ソリューションによって、消防の現場活動の迅速化と効率化、更に消防隊員の安全性向上に貢献していきます。

現場活動支援ソリューションの概要

1. スマートマスク

火災現場などで消防隊員が着装する空気呼吸器の面体に、ヘッドマウントディスプレイと赤外線カメラ・可視光カメラを搭載し、赤外線カメラ映像により暗闇や濃煙下での活動や要救助者の検索活動を支援します。また、現場隊長や指揮本部との無線技術によるネットワーク化により、リアルタイムな情報共有ができます。
消防隊員の活動時の視界を妨げないよう透過型のヘッドマウントディスプレイを採用し、赤外線カメラ映像に加えて空気ボンベの残圧、現場隊長のタブレット端末から送られる様々な指示情報などが投影できます。このような面体用に専用設計されたフルカラー表示のヘッドマウントディスプレイを内蔵し、外部と双方向の情報伝達を実現する仕組みは世界初(注1)となります。
なお、本スマートマスクは、エア・ウォーター防災株式会社(注2)、株式会社重松製作所(注3)と共同開発しました。また、本開発は総務省消防庁の「消防防災科学技術研究推進制度」における令和元年度・2年度採択の委託研究(代表研究機関:一般財団法人日本消防設備安全センター(注4))として実施したものです。

スマートマスク

2.屋内位置測位システム

GPSが届かない屋内で、予め設置された位置情報を取得するためのインフラを必要とせずに、モバイルビーコンを装着した消防隊員の位置情報を確認できる屋内位置測位システムです。現場到着時にアンカービーコンを設置することで、複数の消防隊員の現在位置がリアルタイムにタブレット端末に表示され、活動状況の把握が可能となります。
本システムは、NEC北米研究所が開発したUWB(Ultra Wide Band、注5)を用いた屋内位置測位の特許技術である「TrackIO」を活用しています。またNECの子会社で新事業の創出を推進するNEC X, Inc(注6)とNEC北米研究所が、本システムの実証実験を北米の消防機関で進めています。

屋内位置測位システム(イメージ)

3.指揮支援システム

指揮支援機能を搭載したタブレット端末や電子指揮盤によって、現場の消防隊員間や指令センターとの情報共有・指揮伝達を支援するシステムです。2017年から複数の消防で導入実績のある指揮支援システムのノウハウを活かし、今回、指揮支援タブレット端末と電子指揮盤との情報連携を実現する新たな指揮支援システムを開発しました。
指揮支援タブレット端末は、現場の消防隊員や現場隊長、指揮本部、指令センター間を相互かつリアルタイムに情報共有することができます。
電子指揮盤は、これまで紙や無線通信などで行っていた火災現場や救助等における指揮本部の運用をデジタル化し、防水仕様により雨天でも使用可能です。電子指揮盤は、株式会社リコー(注7)のRICOH eWhiteboard 4200(大型電子ペーパー)を活用しています。
なお、新たな指揮支援システムは今年度から提供を開始しています。

指揮支援タブレット端末
表示画面例

電子指揮盤

本ソリューションは、「NEC Safer Cities」(注8)実現に向けて、消防現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速・強化するものであり、安全・安心・公平・効率な社会の実現に貢献していきます。

以上

  • (注1)

    2022年2月7日時点、NEC調べ。

  • (注2)

    本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:酒井 勇次

  • (注3)

    本社:東京都北区、取締役社長:重松 宣雄

  • (注4)

    本所:東京都港区、理事長:北崎 秀一

  • (注5)

    Ultra Wide Band:超広帯域無線。極めて広い帯域幅を用いる無線通信で、高精度の測位・測距が可能。

  • (注6)

    本社:米国・カリフォルニア州、President and CEO:井原 成人

  • (注7)

    本社:東京都大田区、代表取締役 社長執行役員:山下 良則

  • (注8)

    NEC Safer Cities:
    生体認証や映像解析を含むAI、IoT関連の先端技術を活用して、安全・安心で公平・効率な都市の実現を支えるNECの事業領域。人々がより自由に、個人の能力を最大限に発揮して豊かな生活を送ることのできる社会の実現に貢献。
    https://jpn.nec.com/safercities/index.html

本件に関するお客様からのお問い合わせ先

NEC 第一都市インフラソリューション事業部
E-Mail:genba@shobo.jp.nec.com

NECは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、
誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します。
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