新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けDNAワクチンの開発中止及び新型コロナウイルス感染症の変異株に対する改良型DNAワクチン並びにその経鼻投与製剤の研究開始に関するお知らせ

2022/09/07  アンジェス 株式会社 

2022 年9月7日
各 位
会 社 名 ア ン ジ ェ ス 株 式 会 社
代表者名 代表取締役社長 山 田 英
(コード:4563 東証グロース)
問合せ先 広報・IR グループ
https://www.anges.co.jp/contact/

新型コロナウイルス感染症(武漢型)向け DNA ワクチンの開発中止及び新型コロナウイルス感染症
の変異株に対する改良型 DNA ワクチン並びにその経鼻投与製剤の研究開始に関するお知らせ


当社は、これまで開発を進めていた新型コロナウイルス感染症(武漢型)向け DNA ワクチン(以下、「初期のワクチン」という。)の開発を中止することを決定いたしました。一方、新型コロナウイルス感染症の変異株(オミクロン BA.5 等)にも有効な改良型 DNA ワクチン及びその経鼻投与製剤の研究を開始することについて決定いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。



1.新型コロナウイルス感染症(武漢型)向け DNA ワクチンの開発経緯

当社は、2020 年3月に当社の保有する DNA プラスミドの技術を用いた新型コロナウイルス感染症(武漢型)に対する DNA ワクチンの開発を決定いたしました。当社は 2020 年3月から初期のワクチンの非臨床試験を開始し、第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験、第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験と開発を進めてまいりました。しかしながら、2021 年 11 月に初期のワクチンでは期待どおりの効果を上げることが難しいとの判断に至りました。

また、当社は、2021 年8月より、初期のワクチンの薬剤濃度を上げた高用量製剤(以下、「高用量製剤」という。)を用いた第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験も併せて進めてまいりました。

2.新型コロナウイルス感染症(武漢型)向け DNA ワクチンの開発中止

現在当社は、高用量製剤での第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の投与を完了し、データの整理、分析を行っております。

この高用量製剤の最終的な臨床試験結果の確定にはさらに時間が必要ですが、臨床試験の速報データにより、安全性については確認されております。しかしながら、高用量製剤は当初開発した初期のワクチンよりも免疫原性は増強したものの、筋肉内接種群と皮内接種群いずれにおいても、主要評価項目である、12 週後の SARS-CoV-2 のシュードウイルスに対する中和活性及び 12 週後の SARS-CoV-2 スパイク(S)糖タンパク質特異的抗体価が期待する水準には至りませんでした。この結果に基づき、当社は、新型コロナウイルス感染症(武漢型)に対する高用量製剤を含む初期のワクチンの開発を中止することを決定いたしました。

3.新型コロナウイルスの変異株に対する改良型 DNA ワクチン並びにその経鼻投与製剤の研究

上記2.の状況に対し、当社はこれまでの研究開発の知見を活かし、プラスミドの発現効率や導入効率の向上等、プラットフォームの見直しを行い、並行して、将来発生する可能性のある新たな変異株を視野に入れ、当面、オミクロン株の最新変異株(BA.5 等)に対しても有効な、改良型 DNA ワクチン研究を開始することを決定いたしました。

さらに当社は、ウイルス性肺疾患に対し、広範な免疫応答を刺激し、ウイルスの増殖防止、拡散の阻止が期待される、ワクチンの経鼻投与製剤の研究開始を決定いたしました。改良型 DNA ワクチンとその経鼻投与製剤の研究開発により、安全で予防効果の高い DNA ワクチン及び投与方法の実現を目指してまいります。

なお、改良型 DNA ワクチンの経鼻投与製剤の研究につきましては、別途お知らせいたします。

4.今後の見通し

これまで、当社の初期のワクチンの開発については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の創薬支援推進事業「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」、ワクチン開発推進事業、並びに、厚生労働省の「ワクチン生産体制等緊急整備事業」として、補助金を受領しており、入金時に貸借対照表負債の部「前受金」として計上し、2022 年 12 月期第2四半期末時点で前受金は 5,764 百万円となっております。当社からワクチン開発に使用した費用明細を申告し、申告内容について年度毎の調査が実施され、適正と認められたワクチン開発費を営業外収益の補助金収入に振替を行っております。当社に支給されるワクチン開発に関する補助金は既に入金が完了しており、前受金に計上している補助金については、今後の申告、調査の結果、適正と認められるワクチン開発費を調査年度毎に補助金収入として計上する予定です。なお、今回の初期のワクチンの開発中止により、共同研究に参画いただきました大阪大学及びタカラバイオ株式会社、株式会社ダイセル、EPS グループ、株式会社ファンペップ、株式会社ペプチド研究所、株式会社新日本科学、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社、フューチャー株式会社、スリー・ディー・マトリックス株式会社、AGC Biologics 社、Cytiva 社、シオノギファーマ株式会社、Kaneka Eurogentec 社、Brikell Biotech 社との初期のワクチンに関する共同研究も終了することとなりました。

一方、改良型 DNA ワクチンとその経鼻投与製剤の研究費用は、初期の段階であることから、当面は手元資金から予定しておりますが、研究開発の進捗を見極めながら資金の検討を行ってまいります。

今回の初期のワクチン開発中止及び改良型 DNA ワクチンとその経鼻投与製剤の研究に伴う当社の連結会計年度における連結業績、財政状態への影響については、上記のとおり前受金として計上している補助金のうち、どの範囲のワクチン開発費が当連結会計年度中に認められるかなどの詳細が未確定であり、現時点でその影響を見通すことが難しい状況となっております。今後の進捗を踏まえ、合理的な算出が可能になり次第速やかに開示いたします。

以 上

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